2015/07/06

過眠症の話。

 今年の三月から就活が本格的に始まって、現在進行形でその荒波に揉まれててグロッキー状態がいい塩梅に極まってきているのだが、…………説明会巡りまくってて、一つの異常を自覚した。

 兎に角、日中に、もとい説明会中に眠くなるのだ。

 前日に8時間以上眠っていても、開始前にコーヒーやタブレットなどでカフェインを摂取しても、ただただ眠くなる。ちゃんと話を真剣に聞こうとしているのに、しっかり聞いて一言一句漏らさずノート取ってやるぞと息巻いているのに、である。
 折角の説明会で眠りこける、という自分に対する罪悪感は凄まじく、「何故?どうして?」と自問自答しまくった。こんなんじゃこの先就活どうするんだよ、とリアルにorzな心境になった。

 思い起こせば、高校時代から居眠り常習犯で、それは大学に入ってからも続いていた。特に酷かったのは大学で教室移動が無いまま二、三コマの講義があった時で、初っ端から最後までひたすら寝倒したことがあった。友人が驚いていた、と言うか正直引き気味だったのを覚えている。

 ……そこまで考えて、ふと思い出したことがあった。
 当時、「なんでこんなに日中眠くなるんだろう?」と思って、色々調べた。その結果、過眠症――特に、ナルコレプシーという障害があることを知って、もしかしたら自分はこれに当て嵌まるんじゃないかと考えたことがあったのだ。
 ただ、ナルコレプシーほど無差別というか、唐突に眠くなることは少なく、あくまで授業を聞いている時だけ眠気が凄まじかったので、やっぱ違うな、単純に気合が足りてないんだろうとその時は思い過ごしたのだった。

 ところがどっこい、今度は就活中で、気合は十分入っているのに眠くなってしまった。
 やはり何かおかしい、と思ってよく調べて、…………もしや、という障害を見つけた。

 特発性過眠症である。

 ナルコレプシーによく似た、しかしナルコレプシーとは異なる過眠症。詳しく調べてみると、症状が面白いほど似ている。
 日中の強烈な眠気、一度眠りに入ると非常に深く寝入り、寝覚めが悪く、ナルコレプシーに見られる脱力発作が無い…………どれも覚えがある。というか、自分には脱力発作が無かったからこそ、ナルコレプシーの可能性を除外していたため、「脱力発作のない過眠症」である特発性過眠症は、まさに自分のことじゃないかと思ったのだ。

 睡眠外来のある病院に掛かってみたい、と親に相談したところ、幸いな事に此方の悩みや懸念に理解を示して快諾してくれて(むしろ「なんでもっと早く相談してこなかった(激おこ)」と叱られたw)、比較的近い距離にある大学病院に行くことに。
 四月から通い始め、自宅で睡眠時無呼吸症候群の簡易検査やったり、睡眠日誌をつけたりして、六月初めに検査入院(睡眠ポリグラフ検査)を受けた。そしてその結果を先日、六月下旬に聞いてきた。結果……

 担当医「特発性過眠症ですね」
 自分「…………そう、ですか(うわあ、ホントに当たっちゃったよ……)」

 見事に予感的中、特発性過眠症だった。
 但し、昼寝の検査(MSLT)の結果によれば、ナルコレプシー一歩手前だったらしい。…………嬉しくない。

 …………んで。
 特発性過眠症と診断受けて、何か事態が好転したかと問われれば、こう答えるしかない。――――何も、変わっていない、と。

 何せ、根本的な治療法が無い。精々、中枢神経刺激薬?を服用して意識を強制覚醒させるくらいしか対処法が無い。つまり、一生付き合っていくしかない。
 しかもその薬が非常に高い。なんだ一錠当たり100~400円って。副作用も結構キツいと言うし、そんなもんホイホイ飲んでいられん。
 唯一収穫があるとすれば、それは「歴とした睡眠障害である」ことが分かったということだろう。これで一応、言い訳は立つのだから。

 でも逆に言えば、それだけ。
 これからは自分がそういう体質であることを受け止めて、大丈夫なように生活していくしかない。……まこと、厄介極まりない。

 なにせこの障害、他人に理解されにくい。実の親ですら中々きちんと苦しみを分かってもらいにくく、まして他人なら、という次第。
 この日本という国が根性論至上っぽいのも拙い。そんなもん弛んどるせいだ根性入れろ根性ー!、という感じで、ますます分かってもらいにくい。
 仮に昼寝をやらかしたとして、実はこういう障害があるんですと説明して、どれだけの人間に分かってもらえるだろうか。憂鬱で仕方無い。

 ……まあ、それでも上手いことやってかんとどうにもならないのだが。


 もそっと早く分かっていれば、高校や大学での勉強効率が上がったかなあとか、色々思わないわけではない。が、今更どうにもならんのは重々承知している。……そう、自分は最早手遅れなのだ。
 でも、だからこそ、まだ高校生とか大学一年二年くらいで、「普段からよく眠っているのに日中居眠りしてしまう」という経験がある人は、すぐに睡眠科へ掛かって欲しい。早い内から分かっていれば、自己嫌悪とか周囲の不理解とかで悩む率が確実に下がる。悩んで悩み抜いて諦めたり鬱入ったりする前に、先ずは病院に行こう。それがきっと、現状打破のための一番の近道のはずだから。


 ……さて、自分も就活頑張らないとねー……(遠目