2017/12/03

プラモデル制作用ツール雑感:Liquitex パーマネントマットバーニッシュ


 巷で噂のプラモ・フィギュア用関節補強ツール。
 …………というのはぶっちゃけ大嘘で、本当の用途は画材。(恐らくはアクリル絵の具で描かれた)絵画の上に塗って使う、水性のつや消し仕上げ用保護ニスである。
 それが何故関節補強に最適なツールとしてまことしやかに囁かれているか、詳しい発端はよく分からないのだが、どうやら某匿名掲示板のフィギュア系スレでオススメされていたのが事の始まりな御様子。……まあ、薄い被膜を形成して塗ったモノを守る、という性質を立体物であるプラモやフィギュアの関節に応用してしまった辺りに、なんというかこう、センスを感じなくもないが…

 んで実際に毎度お馴染み密林で120mL入りを購入し、最近マイブームであるコトブキヤのフレームアームズシリーズに使ってみた。
 今回の被験体[クランケ]は此方。


 ……お前コレいつ買ったんだよ!?、という詰問は無しの方向で……
(実はM.S.Gをアレコレ(ストロングライフル、メガスラッシュエッジ、プロペラントタンク、キラービーク、etc...)購入するにあたり、その改造素体というかテストベッドとして新たに漸雷強襲装備型:REを購入してしまったのである……肩と腰、手首の計五箇所のポリキャップをHIPS置換(肩:3.0mm、腰・手首:3.2mm)済)

 パーマネントマットバーニッシュ(以下、バーニッシュ)で補強を試みたのは以下の部分。
・腰部軸ロール(腰キャップ軸穴)
・両上腕軸ロール
・手首軸ロール(手首キャップ軸穴)
・太腿軸ロール

 やり方は簡単。一旦装甲やアーキテクトをバラし、バーニッシュをよく振った上で爪楊枝の先端に付けて、補強箇所(の摩擦部)へまんべんなく塗布していく。塗布したら安定した場所で最低丸二日弱放置し、しっかりと乾燥させる。これだけ。
 先述の通りバーニッシュは水性で、粘性が殆ど無いサラサラな液体の為、爪楊枝でも簡単に塗布可能。すぐ固まるため焦りやすい瞬間接着剤や、粘性故狭い所や窪みに馴染ませにくい木工用ボンド等と異なり、本当に塗布は簡単。
 ネックは乾燥時間。瞬着は言うに及ばず、木工用ボンドでも盛り方次第では丸一日程度の乾燥で十分なのに対し、バーニッシュは最低丸二日弱掛けないと被膜が強くならない。
 だが効果は確か。上腕軸ロールが展開したストロングライフルの負荷に平然と耐えうる程で、迂闊に塗り過ぎるとギッチギチになりかねないレベル。存外強固な被膜を形成してくれる。
 それでいて瞬着と違い、被膜は爪楊枝で簡単に剥がせてしまうためやり過ぎた時の調整、リカバリーは比較的簡単。総じて、時間が掛かることを除けば非常に使い勝手が良い。


 兎にも角にも大事なのは乾燥時間。丸一日くらいではまだまだ被膜が柔っこいので、組み直したくなるのを我慢してしっかり乾燥させるべし。
 また関節の補強以外に、外れやすいパーツの接合部に軽く塗ってから組むことで、簡易的な接着剤とすることも出来る。アーキテクトの場合、上半身と下半身を繋いでいるL字ジョイントに使ってみると良い。
 自分はやっていないが、関節を簡単にバラせない完成品フィギュアの場合、専らインジェクターという道具を使いバーニッシュを関節の隙間に流し込んで馴染ませる模様。バラせる場合はプラモと同様に楊枝や筆、綿棒等を使えばオーケー。


 まさかの画材の転用に面食らったものの、思った以上に簡便で効果的なのが面白い。ただ使用量を考えると120mLは多過ぎた。この用途なら一番小さいボトルでも十分だろう。
 モノは使いようというか、一番最初にコイツをホビー用品として使った人には関心せざるを得ない。すげぇ。