2020/10/23

物欲色々

 前回の記事で「4.4mm用にDAP欲しいなあ」などと我乍ら戯言を宣っていたワケだが、……色々と新製品情報とか掴んで物欲がわちゃわちゃしてきたので、ここらで一回整理がてら雑記などつらつらと。


<Astell&Kern KANN ALPHA>

 すっかり高級DAPメーカーの代名詞というか、老舗というか、そんなポジションを得て久しい感のある韓国IriverのAstell&Kernブランド。
 つい先日、本筋とは一風異なるラインのKANNシリーズの三機目として発売されたのがKANN ALPHAである。

 某メディアで「スマホの三倍分厚い」とまで言われた重量級の見た目は伊達ではなく、バランス出力を駆使すれば最大12Vrmsという高出力を発揮する。……この数字、何と我がレファレンスのADI-2 DAC FSより上だったり。えぇ…
(尤も、詳しい方に倣うなら「実用的な最大音量時の出力」は「クリッピング(音割れ)してしまう上限が何処に在るか」次第でまた異なってくるっぽいが…)

 細かいスペックはメーカーのスペックシートでも参考にしてもらうとして、個人的にはかなり手堅く纏まってそうで非常に興味深い製品。特に、

・比較的新しいAndroid 9.0ベースのシステム
・Bluetoothのバージョンが5.0
・AK機初の4.4mmバランス端子搭載
・3.5mmジャックから光出力可能
・高速充電(9V/1.67A)可能
・連続再生時間が14.5時間(FLAC44.1kHz/16bit)と優秀
・持ちやすい(との声が多い)デザイン
・低ノイズで高感度IEMも大丈夫

 この辺がかなりソソられる。
 当面はコレ持ってりゃポータブル環境で遅れを取ることは無さそう。

 しかし如何せん値段も重量級で、本体140kケース13kの合計150kオーバー。
 ADI-2 DAC FSよりも高いのである。えぇ……

 かなり物欲が刺激される一品ではあるものの、値が値なので流石に逡巡中。ちょっと最近臨時収入あったからって散財し過ぎてるしな…


<xDuoo XD-05Bal>

 愛用中のXD-05Plusの後継機?或いは上位機種?なPHPA。何でもメーカーによれば本来はもっと早く出すはずだったらしい。バッテリー周りに問題があった模様。
 05Plusと比較して異なるのは、

・DACにES9038Q2Mをデュアルで使用(※05PlusはAK4493EQ)
・4.4mmバランス端子搭載
・Bluetoothモジュール内蔵
・AES出力搭載
・外部電源/内蔵バッテリー駆動を選択可能

 一見すると完全に上位機種の趣だが、実は仕様の詳細が未だ発表されていないので、バッテリー容量やオペアンプ交換の可否次第では05Plusとは差別化出来る可能性もある。
 4.4mmバランスを導入するだけならほぼ確実に上記KANN ALPHAより値打な選択肢なので、続報を待ちたい。


<iFI micro iDSD Signature>

 最近ディスコンになったmicro iDSD Black Labelの後継機。
 iDSD BLとの違いは、

・出力が若干向上
・充電端子がUSB-Cに
・4.4mmバランス端子搭載
・光/同軸入力端子がRCA→3.5mmに
・ラインインの廃止

 こんな感じ。
 iFIもすっかりバランスっつーか流行りに乗っかっちゃって…

 ただコイツのバランス端子、どうやらiFIが「S-Balance」と呼称している仕様(所謂グラウンド分離みたいなもん?)かもしれず、だとすればマジのバランス出力とは違う可能性も。
 実際、メーカーの仕様表見ても出力の表記がアンバランスとバランスで別になってなかったし。まあ元々超高出力だったからな…

 憧れだったiDSD BLの後継機、しかも一応4.4mmバランスを備えているということで中々興味深くはあるが、青歯の無い純粋なDAC故に、購入したとしてもポジションがADI-2 DAC FSとモロ被りするのよなあ…
 価格も初っ端は結構釣り上がりそうだし、暫くは様子を見たいところ。


<HiBy R6の新型?>

 フラグシップモデルのR8を踏襲したような新機種の写真がリーク?されたらしく、どうやらR6の新型とか。直線的で随分カチッとしたシルエット。
 詳細は不明。此方も仕様の公表を期待中。



 特にこの中で最も迷っているのがKANN ALPHA。確かに値は凄まじいが、XD-05Balやmicro iDSD Signatureと違ってポジションが被らないので腐り難い。
 AP80は番いとしていたxDSDの売却を決断したこともあって、最早完全にADI-2 DAC FS用のデジタルトランスポートと化してしまっており、ここらでそろそろ単体DAPのレファレンスを何かしら導入しても実際損は無いのよな…

 ただDAPはPHPAなんかと比べると新型の登場ペースが矢鱈早く、迷ってる内に次が出てきて更にまた迷うという展開がしんどい。
 N3Proとか真空管面白そうでどうしよっかな~、なんて考えてたらKANN ALPHA出てきてその全部載せに動揺し、そこへHiBy R6の新型が姿をチラ見せしてきて懊悩が深まる――――ってもうコレ完全にアカンやつやんけ!(遠目

 とは言え昨今のコロナ禍で自宅に居る機会が増え、外で彼是とモノを出す真似をすっかり控えてしまっているのに、100kオーバーもするDAP買ってどないすんねんというツッコミもあるワケでして…
 買うにしてもせめて予算抑えてR6ProAL辺りで手を打つべきやろJK、とか。いやいやそこまで投資するならいっそレファレンスのつもりで景気良く行っちゃえよ、とか。あんま慌てずに様子見たら?もっと良いの出るかもよ?、とか…

 いやはや人間の物欲ってのは、まっこと業が深いですな…

2020/10/15

雑記

 唐突だが。
 ATH-ESW9とSRH440とxDSDを手放す事と相成りました。


 ……ホントに唐突なので少々備忘録がてら経緯など。

 ある日のこと。
 久々にESW9を引っ張り出して、XD-05 Plusに繋いでリスニングなど楽しんでいた時、ちょっとおかしなことに気が付いた。

「……?? 左側のハウジングから変な音がする……?」

 ビリビリ…というか、ジリジリ…というか、そんな感じのノイズっぽい音が、時折ESW9の左側から聞こえてくるのである。
 色々な曲を再生してパターンを探ってみたところ、どうも中低音以下が豊富なトコで発生しているっぽい。音が強く大きくなるにつれて、まるで共振するようにノイズも大きくなった。

 んで試しに荒療治ではあるが、XD-05 Plusを使って爆音での鳴らし込みをやってみた。XD-05 Plusのボリュームをゲイン小の状態で思いっきり右へ捻りまくり、防音として厚手のタオルケットに包んだ上で、数時間鳴らし続けてみた。
 結果は――――ダメ。効果無し。

 検証として、SRH440をXD-05 Plusに繋ぎ、ESW9でノイズが聞こえた曲を再生してみたが、こっちは全く問題無く再生出来ていた。ノイズ皆無。


 この時点で頭を過ぎった選択肢が、売却
 かれこれ七年程使っていたATH-ESW9を、売っ払ってしまおうという次第。

 幸い箱や付属品の類は全て揃っている。ポーチはほぼ未使用なので殆ど劣化無し。アフリカンパドックの中々洒落たハウジングも目立つ大きな深い傷は無い。ラムスキンのイヤーパッドも臭いがするような状態には至っておらず。
 つまり、自分で言うのもアレだが――――所謂、「美品」と言える状態を比較的保てていた。なので、ノイズが更に酷くなっていよいよ本格的に価値付かなくなる前に、少額でもいいからカネに変えてやろうと思ったワケである。


 ……では何故、今し方「問題無い」としたSRH440と、ついこないだまで「散々使い込むぞー!」と息巻いていたxDSDまで手放す事にしたか、だが。
 簡単に言うと、

<SRH440>
・如何せん(専ら頭頂部の)装着感が悪過ぎ
・ヒンジがいつブッ壊れるか不安

<xDSD>
・バッテリーがXD-05 Plusの半分以下で充電頻度高過ぎ
・XD-05 Plus(with MUSES03*2)の方が音色が好み
・手持ちのIEMであれば、XD-05 Plusでも概ね適当な音量を取れてしまう

 この記事を記述している時点で、既にESW9とSRH440は売却済。
 幸運な事に某ショップ(非オーディオ系)でフルプライスが付き、ESW9とSRH440の二つで諭吉一枚オーバーにもなった。有難や…

 そしてxDSDは某所で出品中。(※追記:無事に売却出来ました)
 此方も丁寧に使っていた甲斐あって状態は決して悪くないと思ったので、そこそこの値を付けさせてもらった。


 と、まあそんな感じで色々と手放したワケだが。
 その一方で。


 ATH-WP900、買 い ま し た 。


 ……………………お前、お前ちょっと何してん????(仏頂面


 いや、その、ESW9とSRH440を手放すと密閉型オーバーヘッドがいっぺんに二つも減ってしまうわけで。
 室内での音楽鑑賞に堪え得る上、軽量で負担が少なく、見た目が非常に良いとか言われてて欲しくなっちゃって。
 そしたら偶々某ショップのナイトセールでめっちゃ安くなってて。

 …………つい、出来心で、IYHしてしまいまして…………
 _| ̄|○ il||li


 但し未だ未到着のDT1990PRO同様、WP900もまた未到着。何せまぁた在庫切れの要取寄せなタイミングで注文したしな…(既視感
 恐らく1990PROもWP900も今月末に届くはず。……見事に時期被りましたねコレは……

 一応、何方も届き次第ファーストインプレを記述するつもり。勿論ADI-2 DAC FSをレファレンスとして、折角だしXD-05 Plus(with MUSES03*2)でも聴いてみようかねー。
 

 …………ところで。
 実は、やはりDAPも買おうかと相当悩んでたりする。(ぉ

 と、言うのも。今回IYHしてしまったWP900には、一般的な3.5mmステレオミニ(アンバランス)ケーブルの他に、何とデフォルトで4.4mmバランスケーブルが付属しているのだ。
 しかし生憎と、自分は未だにバランス接続対応機器を持っていない。レファレンスであるADI-2 DAC FSはヘッドフォンアンプとしてはアンバランス専用機で、携帯機のXD-05 Plusもやはりアンバランス専用である。
 故に現状のままでは、折角の4.4mmバランスケーブルだが、全く活用出来ないまま死蔵する羽目になってしまう。幾ら何でもソレは流石に勿体無い。

 個人的に、ヘッドフォンアンプに於けるバランス接続は、端子の規格が未だ定まりきってない点が非常に嫌で、余り手を出したくなかったファクターである。だが最近の潮流を見ていると、どうやら「携帯機は4.4mm、据置は主にXLR」という塩梅になりつつある……ように見受けられる、気がする。
 正直な話、韓国のAstell&Kernが主導していた2.5mmはちょっと細過ぎるだろう、と前々から思っていたので、4.4mmが一般化されるなら比較的納得しやすい。ここらで一つ、バランス接続対応機器を持っておくのも良いんじゃないか、なんて考えた次第。

 当初検討していたのは以下の機種。

・Cayin N3Pro
・HiBy R6Pro(AL)
・HiBy R5
・Shanling M6Pro

 アンダー100kで評価がそこそこ良いモノ、かつ4.4mmバランスに対応となると、概ねこの辺に収束するんじゃなかろうか。
 しかしレビューや評価を調べれば調べる程、何れも一長一短というか、自分のニーズにガチッとハマる機種が見当たらないと分かってきてしまい、ちょい途方に暮れてたり。

 つーかADI-2 DAC FSのバッテリー駆動化に成功してしまったことで、尚更ハードル挙がってしまったのよねえ…
 ADI-2 DAC FSはD/Aコンバーターとして、USB入力以外にコアキシャル(RCA端子)とオプティカル(角型端子)の二種類のデジタル入力に対応しており、折角なら此等を活かせる光/同軸出力付きのDAPが良いな、なんて思ってしまったのだ。……それが運の尽きとも知らず。

 有志によって、比較的最近に発売されたDAPを大変綺麗にまとめた一覧表が作成されているのだが、それを見ると光/同軸出力機能を搭載したDAPは尽く高額なのだ。少なくとも30k以上はする。
 ……自分のような小市民からすると、コレならいっそヘッドフォンかイヤフォン買った方が良いのでは?、と思わざるを得ないというか。

 因みに現在の希望は、

・OSはAndroid/非Androidを問わず
・4.4mmバランスに対応、2.5mmはあっても構わないが基本は不要
・低能率オーバーヘッドでも(バランスを使えば)そこそこ鳴らせる駆動力
・バランスで10時間近く使えるバッテリー容量
・急速充電規格(QC or PD)に対応
・USB以外のデジタル出力(COAX or OPTICAL)に対応、出来れば3.5mmジャックで

 そしてカタログスペックだけ見てコレにピッタリ合致する機種は、安い方から、

・iBasso DX160
・FiiO M11(Pro)
・HiBy R6Pro(AL)
・Astell&Kern KANN ALPHA
・FiiO M15

 ――この辺。
 200kオーバーの超ハイエンドモデルは流石に省略。つーか最早無駄遣いやろ彼処迄行くと。

 KANN ALPHAとM15は、何と我がレファレンスであるADI-2 DAC FSよりも高額という、常人にはよく分からない領域に踏み込んだ代物。
 未発売のKANN ALPHAはさておき、M15はレビュー見るとかなり評価高いものの、やはり値が値なので気楽に手を出せるようなモノではない。

 では一番低価格なDX160はどうだ、と言う話だが、……どうもコイツ、「有線の音質」に極振りしまくったような塩梅らしくて、無線とか動作速度とか、その辺はイマイチっぽいのよなあ。総合的には手放しでオススメ出来る類じゃなさ気。
 M11(Pro)はDX160よりそこそこ値上がるだけあって概ね悪く無く見える。が、そもそもFiiO機には共通して「UIの作り込みが甘い」という割と致命的な欠点があり、ソレを解消するには現フラグシップのM15まで冒険する必要があるっぽい、という…
 そしてR6Pro(AL)。恐らく価格とスペック、更に音質まで含めたバランスはピカイチだと思うが、…………ついったや某掲示板辺りで検索すると散々出てくる「ノイズ」の三文字が痛過ぎる。特にバランス接続使用時と無線通信時が顕著らしい。当たり個体を引けばその限りではないらしいが、そんなリアルガチャとてもやってられんわい。ついでに代理店の評判が悪いのもマイナスポイント。

 まあAndroid DAPというカテゴリーそのものに関して言えば、「未だ過渡期の真っ只中なのでは?」という声があるくらいなので、性急に結論出すより落ち着いて成熟を待った方が損しないかもね。多機能ガジェットにはよくある話だが。

 ……正直、懐が許すならM15やKANN ALPHAに是非共手を出してみたい。希望全部叶ってるし音質も先ず間違いなく良いだろうし。……だが、やはりADI-2 DAC FSよりも高価いのはやり過ぎ感あってなあ……
 つーか海外メーカーはDAPの開発速度早過ぎるんよ! 今買ってもほんの数ヶ月後には希望にドンピシャでコスパも良い神機が出ないとも限らんとかバクチ過ぎるやろ! 何やねんこのリアルガチャ! そんで何なんだよアルミとかステンとか筐体の材質変えて音質変わるとかさあ! くそうコレが欲望の資本主義だというのか……!?(※錯乱中



 そうそう、最近面白いものを仕入れた。単純なスイッチが中間に入ったDCケーブルである。
 御値段、送料込で500円。
 前回の記事でADI-2 DAC FSのバッテリー駆動化を試したワケだが、その後ちょっと困ったことがある。モバイルバッテリーからADI-2 DAC FSへの給電を完全に止める手段が、ケーブルを抜く以外に無かったのだ。
 元々がACアダプタでコンセントに繋ぐ事を前提としているが故か、ADI-2 DAC FSは電源がオフでもスタンバイ状態ということで待機電力を食ってしまう。取説見る限り微々たる消費ではあるが、モバイルバッテリーから給電するなら微々たる消費でもしっかり遮断しておきたい。
 そこで仕入れたのがスイッチ付きDCケーブル。ADI-2 DAC FSとUSB PDトリガーケーブルの間にコレを挟むことで、物理的に電流を遮断出来る。接点が増えるというデメリットはあるものの、使い終わる度に一々バッテリーを外す手間を考えたら、明らかにメリットの方が上回っているだろう。うむ、良い買い物だった。

(※補足追記[201016]:
 端的に結論をぶっちゃけると効果ありませんでしたorz
 恐らくUSB PDトリガーケーブル(のType-C端子に組み込まれてるPDトリガーデバイス)をRP-PB201に挿した時点で、バッテリーからケーブルへの送電が始まってしまっているっぽい。スイッチ切って遮断した筈なのに満タン近かったはずのバッテリー容量が露骨に減っていた。
 なので結局、バッテリーの消耗を防ぐにはPDトリガーケーブルをバッテリーから抜いておくしかない、という……ちくしょー!)