2017/12/03

プラモデル制作用ツール雑感:Liquitex パーマネントマットバーニッシュ


 巷で噂のプラモ・フィギュア用関節補強ツール。
 …………というのはぶっちゃけ大嘘で、本当の用途は画材。(恐らくはアクリル絵の具で描かれた)絵画の上に塗って使う、水性のつや消し仕上げ用保護ニスである。
 それが何故関節補強に最適なツールとしてまことしやかに囁かれているか、詳しい発端はよく分からないのだが、どうやら某匿名掲示板のフィギュア系スレでオススメされていたのが事の始まりな御様子。……まあ、薄い被膜を形成して塗ったモノを守る、という性質を立体物であるプラモやフィギュアの関節に応用してしまった辺りに、なんというかこう、センスを感じなくもないが…

 んで実際に毎度お馴染み密林で120mL入りを購入し、最近マイブームであるコトブキヤのフレームアームズシリーズに使ってみた。
 今回の被験体[クランケ]は此方。


 ……お前コレいつ買ったんだよ!?、という詰問は無しの方向で……
(実はM.S.Gをアレコレ(ストロングライフル、メガスラッシュエッジ、プロペラントタンク、キラービーク、etc...)購入するにあたり、その改造素体というかテストベッドとして新たに漸雷強襲装備型:REを購入してしまったのである……肩と腰、手首の計五箇所のポリキャップをHIPS置換(肩:3.0mm、腰・手首:3.2mm)済)

 パーマネントマットバーニッシュ(以下、バーニッシュ)で補強を試みたのは以下の部分。
・腰部軸ロール(腰キャップ軸穴)
・両上腕軸ロール
・手首軸ロール(手首キャップ軸穴)
・太腿軸ロール

 やり方は簡単。一旦装甲やアーキテクトをバラし、バーニッシュをよく振った上で爪楊枝の先端に付けて、補強箇所(の摩擦部)へまんべんなく塗布していく。塗布したら安定した場所で最低丸二日弱放置し、しっかりと乾燥させる。これだけ。
 先述の通りバーニッシュは水性で、粘性が殆ど無いサラサラな液体の為、爪楊枝でも簡単に塗布可能。すぐ固まるため焦りやすい瞬間接着剤や、粘性故狭い所や窪みに馴染ませにくい木工用ボンド等と異なり、本当に塗布は簡単。
 ネックは乾燥時間。瞬着は言うに及ばず、木工用ボンドでも盛り方次第では丸一日程度の乾燥で十分なのに対し、バーニッシュは最低丸二日弱掛けないと被膜が強くならない。
 だが効果は確か。上腕軸ロールが展開したストロングライフルの負荷に平然と耐えうる程で、迂闊に塗り過ぎるとギッチギチになりかねないレベル。存外強固な被膜を形成してくれる。
 それでいて瞬着と違い、被膜は爪楊枝で簡単に剥がせてしまうためやり過ぎた時の調整、リカバリーは比較的簡単。総じて、時間が掛かることを除けば非常に使い勝手が良い。


 兎にも角にも大事なのは乾燥時間。丸一日くらいではまだまだ被膜が柔っこいので、組み直したくなるのを我慢してしっかり乾燥させるべし。
 また関節の補強以外に、外れやすいパーツの接合部に軽く塗ってから組むことで、簡易的な接着剤とすることも出来る。アーキテクトの場合、上半身と下半身を繋いでいるL字ジョイントに使ってみると良い。
 自分はやっていないが、関節を簡単にバラせない完成品フィギュアの場合、専らインジェクターという道具を使いバーニッシュを関節の隙間に流し込んで馴染ませる模様。バラせる場合はプラモと同様に楊枝や筆、綿棒等を使えばオーケー。


 まさかの画材の転用に面食らったものの、思った以上に簡便で効果的なのが面白い。ただ使用量を考えると120mLは多過ぎた。この用途なら一番小さいボトルでも十分だろう。
 モノは使いようというか、一番最初にコイツをホビー用品として使った人には関心せざるを得ない。すげぇ。

2017/10/13

プラモデル雑記:フレームアーキテクト関節調整メモ

 コトブキヤのフレームアームズシリーズの素体、フレームアーキテクトの関節調整について備忘録的につらつら。
 以下、HIPS置換せずにポリ関節のまま運用することを想定。

・肩〜腕部
 特に緩いのは肩と手首のポリ(スイング、軸ロール)、そしてボール軸。次点は上腕の軸ロール。武装をアレコレ持たせる都合上、全体的に掛かる負荷が大きい部分なので注意して調整したい。
 ポリ(スイング)は軸の受け側のプラに接着剤をごく薄く塗る。瞬着塗った爪楊枝やグルーアプリケーターを穴に突っ込んでくるりと一周するか、或いは装甲被せるとかで目立たなくなるなら木工用ボンド塗って組んで乾くまで動かさずに放置。
 コレは他の部分でも言えることだが、キツくなり過ぎたら絶対に削る。白化や破損の原因となるので無理に嵌めようとしない。特に瞬着はやり過ぎることがままあるので注意。楊枝に紙ヤスリ貼り巻き付けてリューター宜しく削るのがベネ。ちゃんと1000〜2000番まで削ってから削りカスを水拭きするなり洗うなりしてしっかり落とすこと。2000番の削りカスですら残っていると動かした時の感触が違ってくる。
 ポリ(軸ロール)は凸軸側に瞬着を薄く塗る。相手がポリなので薄さはそこまで気にしなくていいが、厚塗りし過ぎると今度はポリ割れが有り得るのでやり過ぎは禁物。
 ボール軸は瞬着での調整が大変シビアなので、木工用ボンドを使うかまたはランナー入ってた袋を取っておいて1cm角に切って挟むのが良い。特に後者をオススメ。リカバリーが簡単で、プラを傷めないから精神衛生的にも大変宜しい。
 上腕の軸ロールは肩をバラして軸が擦れる部分に接着剤を塗る。組み上がると隠れてしまう、面で擦れる部分にも塗って更に摩擦稼ぐのもアリ。

・脚部
 足首のポリと太腿の軸ロールが緩くなりやすい。次点は股関節(スイング、軸ロール)。スタンドを使う場合、余り気にしなくてもいい部分。
 足首のポリと太腿の軸ロールは腕と同様。股関節は木工用ボンドかランナー袋の切れ端を挟む。

・腰部
 ポリと胸部側プラ関節の両方共に緩め。上半身と下半身を繋ぐL字ジョイントの噛みが非可動部では一箇所のみで、胸部側プラ関節をキツめに調整し過ぎると関節を動かしているだけでジョイントが開いてきてしまうので注意。
 調整法は他の部分と同様。木工用ボンドか瞬着を推奨。

・おまけ -HIPS置換の場合-
 軸受けを3.0mmピンバイスで拡張後、ポリキャップをHIPSキャップで置換する。軸受けを拡張し過ぎるとキャップ軸の動きがユルユルになり、充分に拡張しないまま無理矢理キャップを嵌めようとするとパーツの白化や破損に繋がる……と中々調整が難しい。しかし上手く行けば効果は絶大。緩くなってしまったら上記を例に調整する。
 注意点は手首と腰の凸軸径。3.0mmよりも僅かに太く出来ている為、3.0mmHIPSキャップに嵌める場合はしっかり削る必要がある。或いは3.2mmキャップにランナー袋を噛ませて嵌めると良い。

2017/10/08

プラモデル制作雑感:コトブキヤ フレームアームズ フレズヴェルク=アーテル:RE

 …………気が付けば再びの衝動買い。
 もう自分でも何やってるんだか分かんないです…………orz

 大本命たるレイファルクスやゼルフィカール/NE:RE、ワイバーンを組む前に「付属アーキテクトをポリ関節のまま運用する」ことを試してみたかった、という理由があるにせよ、この期に及んで態々キット一つを更に衝動買いってのは、我ながら感覚がオカシイとしか…
 だがおかげさまで、付属する素体もといアーキテクトの詳細な具合を知ることが出来たので、得るものはあった。…………財布は軽くなったけど。(自業自得


 というわけでフレズヴェルク=アーテル(:RE)。
 差替無しで変形可能なフレームアームズ、フレズヴェルクシリーズの二番目。機体本体の全高を軽々抜かす程の長物「ベリルスマッシャー」を二本装備する近接特化機。
 本来なら肩やら太腿やらにデカールを貼り付けるのだが、今回は思う存分ブンドドしてみたかったので敢えて無視。キレイに貼り付ける自信が無かったのは内緒

 見た目とかギミックに関しての感想は後回しにするとして、勘弁してほしかったのが「付属素体のポリ軸の潰れ」。特に足首と肩が深刻極まりなく、組立ての際に軸と受けをしっかり合わせて嵌め込まなかったのであろうことが一目で分かった。ぶっちゃけぐちゃぐちゃ。コレだから中華クオリティは…
 尤も、どの道ポリ軸に関しては関節を完全分解後瞬着使ってしっかり渋くする予定だったので、余計な手間が一つ増えただけだったが。

 むしろ今回一番ヤバかったのは肩ボール軸の破損。ちょこっとだけ渋くさせるつもりが派手にボール軸を太らせてしまい、思いっきり捩じ切ってしまうという最悪の事態が発生。
 しかもフレズヴェルクの肩ボール軸ブロックは変形ギミックのためアーキテクトのそれとは形状が微妙に異なっており、代用としてアーキテクトの肩ボール軸ブロックを使うと完全変形は出来なくなるというオマケ付き。
 最早破損部を注文するしかないか……と諦めかけていたのだが、色々弄っている内に「腕部を一度肩の付け根(アーキテクトのA15・16)ごと胴体から外してしまい、変形後の状態にしてから再度嵌め直す」ことで、アーキテクトの肩ボール軸ブロックを利用したまま変形させられることが判明し、何とか事無きを得た。
 コトブキヤの部品注文はバンダイと違って注文シートのコピーが使用不可=つまり一度きりで、出来れば注文せずに何とか凌ぎたかったので、とてもホッとした。

 目玉であるベリルスマッシャーは見た目こそケレン味利いてて大変宜しいのだが、重心が末端に寄りきっていてモーメント負荷が凄まじく、相当関節を強化しないとポージングに苦労する程。先日作ったドゥルガーのベルングルストも大概だったが、まさかアレ以上に扱いにくいとは流石に予想できなんだ…
 しかも関節強化の為アーキテクトを何度かバラしている内に、うっかり下腕部の細ピンを折り千切るなどトラブルもアクシデントもてんこ盛り。……ブキヤキットは毎度毎度組むのが本当に大変である……

 さてキットの見た目だが、コレはもう言う事無し。全身に配されたクリアブルーがとても鮮やかで、ド迫力のスマッシャーと相まって非常に見栄えが良い。どんなポーズを取らせても派手で映える。それでいて白と青という涼し気なツートーンがさっぱりとした清涼感を演出するのがまた憎い。
 フレズヴェルク系列の特徴である可変ギミックは実際にやってみると思わず感心する出来。それっぽい形へ綺麗に収まるのでビックリする。但し航空力学を真っ向からガン無視したシルエットではある。設定上、TCSという力場を機体周囲に展開して空気抵抗等を誤魔化しているらしいので、単純に「推力を一点へ集中させる」ことを目的とした結果生まれたシルエットなのだろう。
 ベリルスマッシャーは三枚の刃を動かすことでサイズ(鎌)やアックス(斧)、グレイブ(薙刀)に変形可能。恐らく基本形態はサイズで、個人的にも一番しっくり来るので両片手サイズ持ちがデフォ。デカいわクリアブルーが派手だわ実際に持たせると干渉しまくって扱い辛いわと、最早ロマンの塊である。だがそれがいい。
 一見すると中々不思議なデザインをしているフレズヴェルク系列だが、実際にキット組んで弄りながら眺めている内に、この見た目こそが大事なのだなと感じた。特に太腿のブースターユニットが最たる例で、太腿フレームに対して基本斜めに付いている為、大してフレームの膝を曲げていなくても思いっきり膝を曲げているように見えてしまうのである。これが躍動感を生んでいるというか、「動き」を演出しているのが面白い。


 掲載した二枚の写真で使用しているスタンドはバンダイのアクションベース2 クリアブルー。パケ写にジオン水泳部が印刷されているヤツ。
 パッと見、アーテルのクリアブルーと色味が似ている気がしたので合わせてみたのだが、思った以上に違和感無く馴染んでいて思わず笑ってしまったw


 今回は「付属素体をポリ関節のまま渋さを調整して使う」ことが制作コンセプトだったのでやらなかったが、正直スマッシャー程のデカブツを片手で持たせるならHIPS置換を強く推奨。絶対にポリよりも安定する。
 そしてボール軸の調整はくれぐれも慎重に。瞬着のノズルから直接塗りつけてはいけない。(戒め


※おまけ

 瞬着使用時に物凄く助かったツールを一つ紹介。


 GSIクレオスのMr.グルー・アプリケーターといって、瞬着が剥がれやすい樹脂系素材で出来ている塗布棒三種とプチ取り皿のセット。
 瞬着を点付けしたり、軸や平面へ出来るだけ薄めに塗る時に重宝するツール。今回組んだアーテルの各部関節強化で大いに役立ってくれた。プラモ組むなら一つ持っておくと何かにつけ便利なはず。

2017/09/04

プラモデル制作(及び制作用ツール)色々雑感 キット編

 ACVIのノブリス、白栗+VOBを皮切りに、一向に収まる気配のないプラモ熱。
 HGUCバーザム以降に作ったキットと、追加で買い込んだ各種ツールを簡単に雑感。


<HG 1.5(アイズ)ガンダム>

 OOの外伝で登場する機体。
 以前模型系ブログで見て、そのシルエットが印象的で気になっていたキットの一つ。

 白とペールトーンの紫、関節部のグレーという三色構成で、全身の黒溝と胸部ダクト周辺、後はカメラアイやセンサー辺りがシール。でも顔やセンサー以外はシール全く貼ってなかったり。それでも中々良い見た目。
 標準的なポリキャップ関節で、可動はそれなり。特に肘は二重ではない単関節で見事に直角まで。更に股関節はボールジョイント(BJ)で大きく開脚は出来ない、とまさに一昔前のHGクオリティ。一応、保持力は必要十分な程度に達している。
 本体の可動範囲がそこそこなのに対し、特徴である背面バインダーはとても良く動いて面白い。保持力には全く不安が無いので、設定にあるポジション以外にも、自分で勝手にそれっぽい位置を見つけて楽しむのもまた一興。
 武器はシンプル。ライフルとシールドとサーベル刃が一つずつ。不満があるとすれば、サーベル刃が一本な上に色が無いこと、シールドがデカくてバインダーと干渉し易いことか。後者に関しては見た目が良いので、トレードオフと言えなくもない。

 RG天ミナ作るまでロクに作ってなかった1/144。一寸出来が良過ぎるバーザムを除けば、ようやくHGらしい1/144を久方振りに作ったわけだが、大きさと値段が手頃で存外良いものだな、と。
 余りにも色分けが杜撰なら兎も角、シール貼りをサボってもそこそこの見た目に仕上がるので、完成後の遊び甲斐もあって息抜きに丁度良いボリュームのキットだった。


<RG ダブルオークアンタ フルセイバー>

 プレバン限定キット。RGクアンタのバリエ。
 天ミナの「シンメトリーの中にあるアシンメトリー」とは真逆な、「一見シンメトリーのようなアシンメトリー」という印象の機体。

 相変わらずのRGクオリティというか、色分けは1/144というサイズで考えたなら異常としか言い様が無い。カメラアイだけシールを貼っておけばぱっと見のカラーリングは完成してしまうのだから凄まじい。コンデンサの文字や模様もリアリスティックデカールでしっかり再現していて抜かり無い。
 関節は柔らかめのプラ(恐らくKPS製)で、軸関節を多用しているため可動範囲は抜群。保持力も上々。しかしそのまま組もうとすると軸の受け側が白化する部位がちょこちょこある(特に肩―胸部が顕著)ので、その辺は注意。組み上げると目立たなくはなるが。
 ソードビットの基部であるシールドと、フルセイバーの象徴たる大剣は背面GNドライヴからアームを介して接続され、可動ポイントが複数あるため本体のポージングの邪魔になり難いのは嬉しい所。意外にも保持力は中々で、一箇所(大剣―アーム部のスイング可動)怪しい部分がある以外はしっかりした感触なのが嬉しい。
 武器はGNソードV、GNシールド、GNソードビット(3種2個ずつ)、大剣(GNソードIVフルセイバー:基部、GNカタール、GNガンブレイド*3から構成)と盛り沢山。ソードビットはGNソードVと組み合わせて色々作れるし、大剣もランチャーとして振る舞えたりカタールを分離出来たりとプレイバリュー抜群。

 RGは二体目だが、同シリーズの天ミナ以上にしっかりした出来のとても良いキット。公式通販から予約購入するしか無いので、コストと入手に要する時間の両方が嵩んでしまう点は否めないが、完成時の充実感は一入。
 まるでアスリートのように引き締まってスラッとした本体と、多用されたクリアパーツも相まって派手派手な二種の大型武装という組み合わせはインパクト抜群。RGなので組むのは大変だが、機会と余裕があれば手に取ってみては如何?


<フレームアームズ フレームアーキテクト リニューアルVer.(ガンメタリック)
  + M.S.G ジョイントセットA・B
   + フレームアームズ NSG-Z0/K ドゥルガーII:RE>

 お前レイファルクスとゼルフィカール/NE:RE予約したんじゃなかったのかよ!
 特に前者とっくに届いたはずだよ何してんの?!


 ……という話だが、あの後何故か気が付けばドゥルガーIIとワイバーンをさっくり予約してしまい、そして一番最初にドゥルガーIIへ手を付けてしまっていた。どうなってるの…
 加えて付属品のアーキテクトの品質に不安を覚え、単品のアーキテクトを今後の製作予定分(ワイバーン、レイファルクス、ゼルフィカール/NE:RE)も含めて四個(グレー*3、ガンメタ*1)、更に公式ブログで目撃した関節強化案を実施すべく新発売のジョイントセットを四個(A、B二個ずつ。ついでに言えば加工に必要な工具も)、一気にまとめ買いしまくるという暴挙に出てしまった。……後悔は、していない。(震声
 白栗を作る前座にノブリスを組むという何時ぞやを彷彿とさせる大暴走っぷりに、我が事ながら頭が痛くなって仕方ない。……が、結果的にはこのくらいやっといて良かったと思わなくもない辺り、プラモというのは本当に難儀なシロモノである……

 先ずはフレームアーキテクトだが、非常にシンプルなパーツ構成でサクサク組み上がる。彼方此方良く動くように出来ており、アーキテクトを弄っているだけでも割と楽しい。今回は単品の方をドゥルガーの素体として利用したため、付属品は不足しているパーツを補ってフレームアーキテクトとして完成させておいた。
 そして上記で触れたが、アーキテクトを組む際公式ブログを参考に、付属ポリキャップをMSGジョイントセットA・Bに同梱されるHIPS製キャップへ置換するための工作を同時に実施した。3.0mm刃を装着したピンバイスでキャップ軸の受け部を削り、嵌め込んだ際緩くならない程度に拡張する、という作業である。
 こういったピンバイス工作は初めての試みだが、思ったほど難しくはなかった。が、慎重さが求められる故に手間が掛る上、ガンメタアーキテクトはプラにウェルドという成形上のムラ?みたいなものがあるせいで、下手するとキャップを嵌める際ウェルドをなぞるように割れるという最悪の事態を想定しながらの工作だったので、何だかんだ言って疲れた…
 尤もその分効果は絶大で、後々ドゥルガー本体が組み上がった時は「HIPS置換やっといて良かったわ、マジで…」としみじみ思ったものである。だって重いんだものドゥルガー…

 肝心のドゥルガーだが、此方も然程難しいキットではなかった。特別嵌まりが悪かったり組み辛かったという部分は無く、普通に組み上がる。
 だが驚いたのはその重さ。各部の目立つ装甲を取り外した、基体と呼ばれる状態で既に下手なMG並の重量があるのだ。パケ絵等で見る状態にすれば言わずもがな。……MGよりも一回り低い全高でコレである。パーツ密度凄まじすぎ。
 そして主武装の大剣ベルングルスト(リハルー、ハジット*2から構成)と鋏ギミックを内蔵した大盾ヘルライネがまたすっげぇ重いのなんの! その分カッコ良さも鰻登りだが、付属品のアーキテクトを素体に組んでしまったら、コレらを持たせてのポージングは諦めるしかなくなる。いやマジで重いんだって…
 しかし「銀騎士」そのものなカラーリングとシルエット、クリアレッドの刀身を持つ馬鹿デカい大剣、ギミックが仕込まれた大盾という組み合わせはロマン以外の何物でもなく、完成させた際の「ほぇ〜、なにコレすっごくイイ…」という感覚は流石ブキヤとしか言えない。フレームアームズ、侮り難し。

 パーツ密度と大型武装による重量感は見た目として大きなメリットだろう。何せ本当に格好良いので。
 だが一方、付属品のアーキテクトは彼方此方の関節強度がその重量に耐えられるものではなく、単品を買い増しして、場合によっては今回のような調整を入れつつ自分で組まないと正直厳しいというのは、キットを購入して制作に挑む上でかなり敷居を上げている気がするのが微妙。
 プラとプラの関節はブレーキ感が出るので、概ねちゃんと止まってくれる(むしろ所々硬過ぎる程)ものの、プラとポリの関節は特にポリキャップ軸を中心とする可動に些か渋さが足らない。HIPS置換が上手くいけばバッチリだが、工作を行う以上失敗時はリカバリーが必要で、その辺りビギナーには辛い。
 制作時の組み応えも完成時の充実感も十分な、良いキットであることは間違い無いが、多くのガンプラと比較してかなり取っ付き難い部分が多々あるのが残念。せめてキット付属のアーキテクトが未組立であれば、関節強度の確保と組み立て分のコスト削減に繋がるはずだと思うのだが…


 ツール編に続く。

プラモデル制作(及び制作用ツール)色々雑感 ツール編

 キット編からの続き。


<ゴッドハンド ニッパーメンテナンス油セット NM-285>

 ……実は、折角のニッパー三本を派手に錆びさせてしまい、慌てて応急処置(錆びた部分を2000~3000のスポンジヤスリで研磨後、防錆剤が添加された一般的なスプレー油を塗布、馴染ませてから拭き取り)した後に購入したのがコレ。
 中身は可動部の潤滑用に粘度の高い油、表面の防錆処理用に揮発性の高い油、更に汚れ落としの歯ブラシと拭き取り用の紙クロス(キムタオル*2枚)が同梱されたメンテナンスキット。
 普段は先述のスプレー油を使い、たまに此方を利用するようにした結果、錆びることは無くなった。一安心である…

 なおこの製品、油の入った小瓶の蓋が閉まりきってないことがちょこちょこあるらしい。
 購入時は御用心。
 (※店頭で購入する場合、極力箱を寝かさないようにすると吉)


タミヤ クラフトツールシリーズ No.52 デカールピンセット 74052

 特にRGフルセイバー制作時に役立ったツール。読んで字の如くタミヤから模型のデカール用に販売されているピンセットで、先端が三角の扁平に出来ているのが特徴。デカールの端をつまむ際、点ではなく直線で広く捉えることが出来る優れモノ。
 思いの外いい値段するが、シールやデカールを多用する場合は一本持っていても損は無いだろう。RGをシール全貼りで作るとかなら尚更。


タミヤ クラフトツールシリーズ No.112 精密ピンバイス D-R (0.1-3.2mm) 74112
  + タミヤ クラフトツールシリーズ No.49 ベーシックドリル刃セット 74049

 フレームアーキテクトのHIPS置換工作に使用。非常にベーシックなピンバイスとドリル刃。
 ピンバイス本体はラバーグリップが巻いてあって回しやすい。ドリル刃は、…………正直、特筆すべき点があるのかよく分からない。ピンバイス自体初めての使用感なので御容赦。


NT デザインナイフ DS-800P
  + NT カッター替刃 デザインナイフD型・円切り用 40枚入り BDA-200P>

 自分は長らくオルファのアートナイフを愛用しているのだが、ドゥルガーを組んでいてふと「刃の角度がもうちょっと大きいヤツ使いたいなあ」と思い、購入したのがこれ。アートナイフよりも刃が薄く、また角度が大きく取られている(アートナイフ替刃:32.8度、BDA-200P:45度)のが特徴。

 早速使ってみて、……………………その切れ味に、戦慄した。

 アートナイフでは「削る」だったゲート処理が、コイツだと「斬れる」。つか油断してると思いっきり抉ってしまうレベル。何だこの斬れ味……?!
 刃の薄さか、それとも刃の角度的に力が入り易いのか、何れにしてもプラにスルリと刃が滑り込んでいくので制御が大変。ぶっちゃけかなり手こずって、要らぬ表面処理を何度もやる羽目になった。
 しかし慣れてしまえば此程心強いナイフも無い。ゲート跡をサクサクスパスパ斬っていけるので処理が速い速い。おまけに替刃が非常にお得でガンガン使える。もっと早く買っておくべきだった…!

 ちなみにNTカッターの替刃は地味にオルファの替刃と互換性があり、
・オルファのデザイナーズナイフ(旧デザインナイフ。≠アートナイフ)とNTカッターのデザインナイフ
・オルファのアートナイフとNTカッターの大型デザインナイフ
 は相互に本体や替刃を使うことが出来る模様。


 色々書いていたらまーたやたら長くなってしまったが御容赦。
 それにしても……まだ押入れにレイファルクスとワイバーン、アーキテクト(グレー)*3が眠っている上、10月にはゼルフィカール/NE:REがやってくるので、積みプラが無くなる気配がさっぱりありゃせんのはどうしたもんかね…

2017/06/02

プラモデル制作雑感:バンダイ HGUC バーザム

 やたら評判の高いガンプラ、RG天ミナに引き続き第二弾!
 一部でカルト的人気を有するバーザムを衝動買い(またかよ)したので御紹介。

今回はちゃんと写真も貼り付けてみる。
撮影用ブースなんて無いから箱の裏使って簡易撮影。
スタンドはアクションベース2(グレー)。カメラはスマホ(LG V10 マニュアルモード)。

 その独特な、ぶっちゃけガンダムMkIIと関連性が感じられないシルエット。初御目見得した劇中(ゼータ)に於ける活躍の無さ。その他諸々(?)がコアなガノタの心をガッチリ掴んで離さないという不思議な一機。
 これまでKa signature(ROBOT魂)やGFFで立体化したりMkIIとコンパチしたりしていたバーザムだが、先月めでたくHGUCで立体化。しかも悪評は精々デザインくらい(もっと劇中寄りが良かった、的な?)で、キット自体の出来は相当、いやむしろ非常に良いらしい。
 それでいて価格はHGUCならでは、つまり漱石+αで済むと来た。プラモ熱がそこそこ高まっているのを良いことに、昼飯を数回節約することを決めて衝動買いした次第。


 実際に組み上げて思ったが、冗談抜きでとても組みやすく、そして兎に角よく動く!
 写真一枚目みたいなポーズが無理せず容易く取れる辺り、本当に間接周りがよく考えられているなあと。
 先日のRG天ミナはマジで久方振り(十年以上)に手に取った1/144スケールで、技術の進歩に物凄く驚かされたものだが、このHGUCバーザムも負けず劣らず。むしろHGUCという程々のパーツ分割でこの可動域と色分け、スタイリングと考えると、RG以上かもしれない。
 間接の硬さは十分。そも長物の類を装備している設定の機体ではないので、も少し緩くてもいいのよ?と思ってしまうレベル。つーか太腿―股関節間は凸側の軸の出っ張りをある程度削っておかないと凹部が一発で白化する。白化しなくなる程度に削っても尚固いくらいなので、要注意。


 ……実際に組んで触った人ならこう思うはずである。
 このHGUCバーザム、格好良いのだ。
 そして何故か――――かわいい。(重症

 劇中のソレと比較して大分スタイリッシュ気味なラインになっているおかげで、普通にカトキ立ちさせてるだけでも随分と様になる。射撃ポーズとかサーベル突撃ポーズとか取らせると、とても敵方のやられ役の雑魚に見えない。
 だが、にも関わらず何処と無く野暮ったいというか、アンバランス感がどうしても拭えないのだ。その辺の不思議さ故なのだろうが、触って眺めてしている内に可愛く見えてくるという…


 実はモノアイな機体のプラモやフィギュア買うのって今回のHGUCバーザムが初めてで、ぶっちゃけ今までホントにツインアイなガンダムフェイスしか触れたこと無かったのだが、……モノアイ、イイね! アリだな!!
 これを機にジムみたいなバイザー機とか組むのも良いかもしれんねえ。

2017/05/23

プラモデル制作(+関連ツール使用感)雑感 その3

その2からの続き。



<キット:バンダイ RG ガンダムアストレイ ゴールドフレーム天ミナ>

 トリの三体目。まさかの天ミナがRGシリーズ化、しかも密林辺りでえらい高評価付いてるとあって、前々から興味深々だったキット。前述の模型店で密林とほぼ同価格で販売されていたのを目撃してしまったのが運の尽き、気が付けばほくほく顔で持ち帰っていたという魔性のプラモ。(酷い言い掛かり
 あくまで個人的な意見だが、ゴールドフレーム天は「シンメトリーの中に存在するアシンメトリー」が魅力だと思っている。右腕だけ純正腕ではなくてブリッツになっているそのアンバランスが、しかしマガノイクタチを搭載した大型バックパックの存在によって最早アクセントとしてしか機能し得ない辺りに、何とも言えない良さがあるのだ。

 さてキットだが、……………………凄く、組みやすいです…………(感涙
 前述の二体(ノブリス、白栗)と比較してゲートの位置や太さ、形状が非常に良心的で、タミヤの薄刃やアルティメットニッパー辺り使えば二度切りなんぞせずとも一度切りで十分なほど。つまりゲート処理が要らない。作業がごそっと減る。
 色分けはほぼ完璧で、部分塗装やスミ入れ、しまいにゃデカール貼りさえ無粋に思えてしまうレベル。グロスインジェクションの黒と若干色味の異なる金のコントラストが掛け値なしに美しい。その中で存在を主張するカメラアイの青がまた存在感抜群。
 サイズとしては1/144で決して大きくはないのだが、MGもかくやと言わんばかりのパーツ分割が為されているため情報量が凄い。この密度をよくもまあHGサイズである1/144で実現したものである。その辺は流石バンダイ、と賞賛する他無い。
 ただ厄介な点もあって、サイズ故に仕方無いことかもしれないが、少々パーツの合いが悪い箇所があった。自分はツムハノタチの一番外側の黒パーツが中々きっちり嵌まらず、中のパーツの凸部を少し削るなどの処理を迫られた。まあ1/144でこれだけのパーツ分割を実現している都合上、多少こういう部分はあってしかるべきだろうし、余り気にはしていないが。
 その他で組むのにちと苦労したのは、カメラアイのシール貼りとか、上半身と下半身繋ぐのとか。前者は単純に細かいのと自分が肝心な時に限って不器用なのでしゃーないとして、後者は「これ下手すると折ってしまわんか……!?」ってくらい力掛けてようやく嵌まったので冷や汗モノだった。心臓に悪過ぎる…

 ギミックは満載。そもそもアドヴァンスドMSジョイントが凄い。基礎フレームが一体成形とか相変わらず頭おかしい(※褒めてます)。基礎フレームの時点で変態可動状態なので、装甲取り付けても大体そんな感じのまま。マガノイクタチを搭載するバックパックもあちこちに間接があってよく動き、更にはMETAL BUILDのものを発展させた展開機構もあって迫力満点。
 間接が緩くなるのが嫌で余りポージングなどはさせていないが、仁王立ち状態でマガノイクタチを展開させスタンド使って浮かせるだけでも存在感は大したもの。先に組んだノブリスと白栗が基本真っ白なこともあって、概ね真っ黒な天ミナはサイズ以上のオーラを放っている。一応正義側の機体のはずなのだが、どう見ても悪役にしか見えない。威圧感たっぷり。

 1/144というサイズと、そのサイズからは想像もつかないパーツ分割故、手こずる部分もあったものの、やろうと思えば一日で組めてしまうくらいには取っ付きやすいキットだった。組み応えは言わずもがなで、これで2500円はかなりお得だろう。
 それまでに組んだガンプラの最新フォーマットはMGユニコーンだが、バンダイの確かな技術進化を窺い知ることの出来る良いキットだった。ある程度MGなどを組み慣れているなら、一度組んでみて欲しい一体。


※追記[2017/09]

 後日、色々と作っている内に発覚していったRG天ミナの弱点。

・(個体差かも知れないが)アドヴァンスドMSジョイント由来の関節が緩い(専ら太腿の軸ロール)
・腕に装備する武器が基本肘辺りまで被るため、バックパックと干渉しやすく取り回し辛い(特にオキツノカガミは最悪)

 グロス仕様の黒パーツに金色のフレームという組み合わせは間違いなく豪華で、何かと映える見た目はしているものの、ガシガシ遊ぶには全く以て向いていない。特に上記二点の内の二点目がかなり辛い。
 ラスボスよろしくバックパック(マガノイクタチ)を展開して仁王立ちさせておくのが一番平和。せめてマガノシラホコをリード線伸ばして射出状態にしておくとベネ。


<その後>

 三体も立て続けに組んで、我ながらもういい加減満足しただろうと思っていたのだが、……………………気が付けばプレバンでガンプラを一体、ブキヤのフレームアームズを二体、計三体を予約注文していた。な…、何を言ってるのかわから(ry
 ……注文内容だが、プレバンで注文したのはRGクアンタフルセイバーで、フレームアームズはレイファルクスとゼルフィカール/NEである。何れも前々から気になっていた面子。本音を言えば更にMGプロヴィデンスとかFAワイバーンとかも欲しかったのだが、流石にそこまでやると財布的にも飾る場所的にもピンチにしかなり得なかったので却下。まあその内、ね?

 しかし久々にプラモ組みまくったが、やっぱり楽しい! 掛けた手間暇が実際に立体として結実していくプロセスが堪らないというか、とても充実感がある。
 ガキの頃と違って無闇矢鱈ブンドドしまくって間接をユルユルにさせることなく、ただスタンドに飾るというシンプルな楽しみ方が出来るようになったこともあるのだろうが、何体でも作りたくなってしまう。……金銭的にも空間的にも限度があるので、そうそう上手くは行かんが……(遠目

 基本あがり症で部分塗装とかデカール貼りとか歪みそうで手が出せないというチキンな自分だが、それでもプラモ作りは面白い、と強く実感させられた数ヶ月だった。
 嗚呼今からクアンタとかフレームアームズとか組むの楽しみだなあ…

プラモデル制作(+関連ツール使用感)雑感 その2

その1からの続き。



<キット:コトブキヤ ACV.I.シリーズ ホワイト・グリント+V.O.Bセット ムービーカラーVer.>

 二体目にして本命キット。皆大好き白栗。
 アサルトアーマーの展開にOB飛行形態への可変まで再現したという変態企業の真骨頂であり、ノブリス以上に苦労させられたお化けプラモ。V.O.Bまで完成させて飛行形態の白栗に接続しスタンドに飾ると全長が凄まじいことに。

 ノブリスと比較して曲面が非常に多いパーツ構成で、しかも細かいパーツばっかりなもんだからゲート処理が冗談抜きで死ぬ。その上白パーツにはパールコーティングとか完全に素組派を殺しにかかってきている。マジで。
 だがゲート処理以上に白栗で手を焼かされたのが、パーツの合いの悪さ。特に可変に伴う首元の前方スライド機構のユルさと、前腕上面の可変機構部の合いの悪さは勘弁して欲しかった。前者は一度一通り組んでしまってから平ピンセットを使ってバラし、スライド部にデザインナイフでサイズ合わせて切断したメンディングテープ張って補強。そして後者はあっちこっちをヤスって削ってクリアランスを調整しながら組む羽目になった。この辺、某ガンプラ企業なら安心なのに…(…と思っていたのだが、実際はそうでもなかった。三体目参照)
 更にV.O.B組み立て中には細くてぐにょぐにょしている動力パイプのパーツを折る、というか捩じ切るという最悪の事態が発生し、泣く泣く瞬着を使って慎重かつ可能な限り違和感無いよう固定した。……本命キットなのにノブリス以上にトラブルばっかなのはコレ如何に。(遠目

 ……とまあ、ボリュームやらアクシデントやらでノブリス以上に気苦労が絶えなかった白栗+V.O.Bだが、組み上がってみればやはり「苦労した甲斐があった…」と思わされてしまった。
 オーギルベースのノブリスとはいっそ真逆と言っていい、曲線曲面を多用したやや細身のシルエットは、しかし張り出した肩や背面のOBユニットの存在故に、羽レーザーが主張しまくっているノブリスと同等かそれ以上の存在感を誇っている。通常時でも端っこのSALINE05のせいで結構な横幅を稼いでいるのに、OB展開なんぞしようものならそりゃあもう凄いことになってしまう。飾る場所的に厳しいものがある。だがそこがいい。
 極めつけにV.O.Bの存在。ムービー中でもゲーム中でも役目終えるとバラバラに分解されて投棄されてしまう「片道吶喊用使い捨て大型ブースターユニット」をこうも本気でキット化してしまったコトブキヤは変態以外の何者でもない(※褒め言葉です)。単体でも十分インパクト大きいのに、白栗にくっつけたりしてしまった日にゃあ、もうとんでもないことに。コレをド迫力と言わずして何とする、ってくらい迫力満点。
 滑らかなスタイルで下手すりゃ優美な白栗に、ぶっちゃけ最早無骨一辺倒なV.O.Bという組み合わせはアンバランスなようでいて、めっちゃくちゃマッチングしているのだから面白い。何より、ただの実写と化したACfAのOPムービーでとてつもないインパクトを視聴者に叩き付けた、あの白栗 with V.O.Bがスケールこそ違えど現実に存在しているという感激は、本当に素晴らしいとしか言い様が無い。

 注意点は、太もも前方上部の丸い皿みたいなパーツがそのままだと極めて外れやすいことと、前述したあちこちの合いの悪さ。皿に関してはいっそ接着してしまったほうがいい。瞬着推奨。
 またとかく曲面が多いので、パーツのヤスリがけは要注意。下手するとエッジ削ったりえぐり気味に削ってしまうので、一つ一つ慎重に組むことを心掛けるべし。手間を掛けた分だけ、キレイに仕上がるのがプラモデルというホビーである。(知ったか顔



<道具:ハイキューパーツ リタックスティック(5本入)

 紙ヤスリ用の当て板。アクリル板と粘着シート、番手識別用シールから構成されている。
 値段がかなり高額で、いっそのことシャー芯ケース辺りで代用しようかとも思ったのだが、ええいままよと購入に踏み切ってしまった。そしてその便利さに驚愕した。
 アクリル板が非常にしっかりしたものを使っており、板に合った大きさのゲル状粘着シートを利用するため、ヤスリを全面に均一に貼り付けられとても使いやすい。平面部のゲート処理で絶大な効果を発揮してくれる。道具に金を惜しむべからず。



<道具:タミヤ 研磨スポンジシート

 白栗を作り始めて少し経った頃、ひょんなことから電気街の模型店に行く機会があり、そこで見つけたモノ。四枚(600、1000、2000、3000)購入。
 スポンジにヤスリ面をくっつけてあり、指の圧力を適度に逃がすことで接触面全体を均一にヤスれるという便利アイテム。実際、白栗のゲート処理はコイツのおかげで一気に楽になった。曲面曲線の多いキットに最適。
 デメリットとして、迂闊にあっちこっちで使いまくっているとパーツのエッジを潰しまくりかねないということ。自分も白栗で何箇所か僅かにカドを潰してしまった。加えて、密林ですら中々数を揃え辛いアイテムなので、入手するには品揃えの良い模型店に行く必要がある。単価はそうそう高いものではないので、見つけたらいっぺんに買い揃えてしまうのが吉。



<道具:ゴッドハンド SPN-120 アルティメットニッパー5.0

 後日、上記スポンジヤスリを購入した模型店で三体目と同時購入した道具の一つ。PN-120のアッパーバージョンであり、プラモ向けニッパーとしては最高額レベル(衝撃の5kオーバー!)のシロモノ。
 刃が薄い分取り扱いに注意が必要らしく、下手すると刃が「折れる」ほど繊細な刃付けが為されている模様。その甲斐あってPN-120以上の切れ味を誇り、割と適当に切っていてもアートナイフ使って鉋掛けする必要が失せるくらい綺麗に仕上がってしまう。タミヤの薄刃とPN-120をまとめ買いして尚お釣りが来る高額さは伊達ではない。
 取り扱いに注意が必要という点で、脱初心者を果たしたモデラーが行き着く逸品というイメージが強いが、むしろ個人的には初心者にこそオススメすべきツールなのではないかと思った。兎に角すぱっと切れるので、テンポよくペースよくパーツを切り出せてプラモ作りが楽しくなること請け合い。
 ただ一本目から使ってしまうのは「ニッパーの使い方を学ぶ」という点でよろしくない。なので先ずはタミヤの薄刃辺りから始めて、アートナイフの使い方も体得しつつ、二本目以降としてその内手を出すのがベターと思われる。



<道具:ウェーブ パーツオープナー

 三体目購入時に上記アルティメットニッパーと同時購入した道具のもう一つ。
 プラモ作っていてちょこちょこ発生する「間違えてパーツ組んじゃった!」「ポリキャップ仕込み忘れた!」といううっかり。大抵、パーツとパーツの隙間にカッターとか突っ込んでこじってバラしに掛かるのだが、そういう時に便利なのがコレ。
 ワザと刃を潰した分厚いカッターという見た目で、「パーツ間の隙間に突っ込んでこじって間を広げる」事に特化したブツ。順調に組んでいれば中々出番はないのだが、一通り組んでから「ここの間接緩くないか……?」とか「ここのパーツの合いが悪い…」なんてことがようやく発覚するケースもある(白栗とか白栗とか白栗とか)ので、そういう時にとても便利。結局白栗では使うことがなかったものの、三体目を組む際は大変助かった。
 限定用途に特化しているだけあって、こじった箇所に余り負荷を掛けずに済む。万が一の保険として一つ持っておくと良いだろう。



<キット?:コトブキヤ MB-42R フライングベースR & バンダイ アクションベース1>

 大なり小なりプラモ作ってる人ならきっと知っているであろうスタンド二種。
 当初、前述の模型店でノブリス用に前者を購入したのだが、どうやらスケールが合ってない模様でスタンドの軸が重みに負けてふとした弾みに回る回る。角度調整はビスを程々に締めれば問題無いが、軸回転は瞬着で軸太らせるのも何だか微妙。なので、後日後者を密林で購入して使用中。
 尚フライングベースの方は後述の三体目で使用中。まあ此方もその内アクションベース2に置換する予定なのだが。



その3へ続く。

プラモデル制作(+関連ツール使用感)雑感 その1

 今年、もとい今年度に入ってから立て続けに三体もプラモを組んでいる。
 ついでに道具への出費が大変なことになっている。

 元々プラモ自体は好きで、子供の頃から定期的に組んでいた。スタンスは素組のみ。場合によってはスミ入れをするが、塗装はしない。パーツの切り出しにアートナイフも使うようになったのが高校卒業以降で、それまでは基本的に安物ニッパーの一度切りの切りっぱなしでそのまま組んでいた。つまりトーシロもいいとこ。
 今までガンプラしか組んだ経験無かったのだが、今回初めてガンプラ以外に手を出した。リアル変態企業の一角として名高いコトブキヤのACV.I.シリーズである。ブキヤのはパーツこまいから上級者向けと聞いていたので、購入時はかなりおっかなびっくりな調子だった。
 んで、ここんとこ年単位でプラモ触ってなかったし道具とか大丈夫かとチェックしたら案の定プラモ制作の要ことニッパーがあかんことになっていて、折角本腰入れて作るんだしこの機会に買い揃えてみるかと色々道具も購入。……ただ、予想以上に色々買い込む羽目になって今回組んだプラモ三体分を軽くオーバーする金が吹っ飛んだ。ニッパーって奥が深いのね…

 と、言うわけで。
 今回組んだプラモやら使った道具やらをちまちまと雑感していく次第。



<キット:コトブキヤ ACV.I.シリーズ ノブリス・オブリージュ>

 久方振りのプラモ制作、その前座はノブリス。

 三体立て続けのプラモ制作だが、当初購入したのは一つのみで、残り二つ、特に最後の三つ目などは完全にノリで衝動買いしたイレギュラーだったりする。前座であるノブリスも衝動買いの範疇。

 というのも。
 本命を購入後、さあ制作開始だと意気込んだところでふと、
「……つか、プラモ作んの結構ブランクあるわけだし、ただでさえ難易度高いと評判のACV.I.シリーズを、いきなり本命作っちゃうのか?」
 と思ってしまったわけで。ここは一度肩慣らしをしておきたいと考え、本命にいきなり放置プレイかまして追加購入、先んじて作ってしまったのがノブリスなのである。

 兎にも角にも、初挑戦のACV.I.として挑んだノブリス。実際に作って思ったのは、

「やべぇゲート処理すげぇ時間掛かる……!?」

 今回、ほぼ全てのパーツでニッパーによる二度切りとアートナイフによる鉋掛けを、そしてこれは場合やら気分やらやる気次第だが、耐水ペーパーを用いたヤスリ掛け(600→1000→2000)も試みた結果、制作が遅々として進まず、極めて地道な作業を数日間に渡って延々続ける羽目となった。
 そも、後々の二体目、そして特に三体目を組んでよーく分かったが、ブキヤのキットは二度切りからの鉋掛けまでやらないとパーツがキレイにならないのだ。四角い形状のゲートがパーツの際にしっかり存在していることが多く、ある程度均しておかないと非常に目立つ。外は言わずもがな、内も下手にゲート残してると他のパーツと組み合わせた際に干渉するので、出来ればきっちりヤスっておきたいが、手間が更に増えることを考えると悩ましいところ。
 幸い、後述の通り今回の連続制作は色々と道具を買い込んだり買い足したりしながらの作業だったので、まあ何とかなった。特にちゃんとしたプラモ用ニッパーの効果は大きい。切れ方やゲートの位置次第では完全にツライチになるまで均さなくても何とかなるので、手間がガクッと減る。薄刃ニッパー、優秀。

 ノブリスそのものの話だが、…………非常に組み甲斐がありました。(半ギレ
 中心となるフレームを組んでから装甲を載せていく、というスタイルが多いガンプラと異なり、複数のブロックを組み立ててからパズルよろしく組み合わせて完成させるため、ガンプラとは違った組み心地。……そしてパーツ分割が鬼。(ぐったり
 目で見える大きめのモールドは別パーツ化されていると言っても過言ではなく、それ故パーツ量が結構なことになっていた。しかもそのほぼ全てに前述のゲート処理を行う訳で、……大変じゃないわけがないだろうというか。
 だがそのおかげで腕とか脚とかコアとかが一つ一つ組み上がった際の達成感は抜群。パーツが細かい≒情報量が多いということでもあるので、単純なサイズ(ガンプラで言う所のMGクラス)以上の存在感を放っている。
 そして全て組んで完成させた時は、掛かった手間暇の莫大さもあったとはいえ、その圧倒的なディテールに暫し言葉を失って惚れ惚れしたほど。あの「破壊天使」が立体として目の前に君臨しているインパクトは、筆舌に尽くし難い。プラモを完成させて「美しい…」と呟いてしまったのは、おそらく人生初だと思う。
 鬼のようなパーツ分割と細かいモールドがもたらす情報の密度は凄まじく、また存外しっかりマルチカラーしている(白二種、黒、金)ことも相俟って、もはやスミ入れなど不要なのではと思ってしまうほど。原作中でも象徴性の高さが謳われているローゼンタール(のオーギルフレーム)だが、立体をリアルで見るとそんな設定に違和感を覚えなくなってしまう。本当に素晴らしく映える。

 地味に有り難いのは、ノブリス(もといオーギル)は下半身が結構ガッチリしたデザインで「足」も大きめ故、接地させた際の安定感がとても良好であること。羽レーザーにも負けずしっかり自立してくれるのだ。
 逆に、スタンド等を用いて浮かせようとするとキット自体の重量が結構かさんで浮かし辛いので、半固定状態で飾るならいっそ適当な飾り用の台座にフツーの両面テープ(ナイスタックの標準版とか)貼ってくっつけてしまうと良い。浮かせる場合は同メーカーのフライングベースRをオススメ……出来れば良かったのだが、余り推奨出来ない。詳細は後述。

 本命に挑む前の前哨戦として組んだノブリスだが、ACV.I.シリーズの難易度を知るという当初の目的を達成した以上に、ノブリスそれ自体の出来にすっかり魅了されてしまった。破壊天使、美しいです。
 また、本命も組んだ後だから言えることだが、本命に比べればノブリスはかなり組みやすい方だったと思う。どうしても知名度で本命に敵わそうなノブリスだが、出来は本物なのでAC4・fAを知っている方には是非手に取ってもらいたいキットである。



<道具:タミヤ クラフトツールシリーズ No.35 薄刃ニッパー 74035ゴッドハンド PN-120 片刃ニッパー

 本命キットを購入時に同時購入し、一体目のノブリスと二体目の本命を組む際に使用したニッパー。
 タミヤの薄刃を専らノブリスに、PN-120を二体目に使用していた。

 それまで使っていた適当な安物ニッパーと比較して、どちらも段違いの切れ味を誇り、特にPN-120は初めて使った際とても驚かされた。ぱちん、ぷちん、なんて感覚ではなく、とすん、とランナーから切り離せるものだから、素で困惑してしまったほど。
 タミヤの薄刃は先端付近の刃幅が細めで隙間に突っ込みやすいので、ランナーからゲートを少々残して切り離すのに便利。そのまま薄刃使って二度切りしてもそうそう問題は無いのだが、自分はそこでPN-120を使って仕上げていた。時としてアートナイフが不要、そうでなくともちょっとした鉋掛け程度で綺麗になるのは、流石モデラー御用達のゴッドハンドである。

 素組派、それもシールすら最低限という超にわかモデラーもどきな自分にとっては非常に有り難いツールだが、地味に値段が張る。何せ二つ合わせて買うと下手すりゃHGUCが複数購入出来る(2k強×2≒5k弱)。これを勿体無いと思うか、そんなもんだろ道具なんぞと思うか、どちらの感想を抱くかは人次第だろうが、少なくとも定期的にプラモ組んでいくのであればあって損はないだろう。初期投資は重要。
 またどちらにも弱点はある。タミヤの薄刃はパーツ表面ギリギリで一気にゲートを切ろうとすると白化しやすい。PN-120は片刃ニッパーという特性上、パーツ表面で刃を滑らせて切断しても僅かにゲートが残りやすい。後者は工夫すれば一発でツライチ並の滑らかさに出来なくもないが、パーツのエッジを髪の毛の細さほどもいでしまうこともあって悩みどころ。考え方を変えればいっそアートナイフの使い方を体得する良い機会なので、練習するのがいいだろう。



<道具:オルファ リミテッドAK アートナイフ Ltd-09

 アートナイフ自体は結構前から愛用していたが、如何せん一番安いタイプを使っていたので経年劣化でガタが来ており、折角なので新調。全金属製のどっしりした重量感が安心感を与えてくれる。密林のレビューには重すぎるという声もあるが、独ステッドラーの金属製製図シャーペンとか愛用している身からするとコレくらいが丁度良い。
 アートナイフプロシリーズの替刃(直線曲線)も纏めて購入したが、今んトコはデフォルトもとい昔から使っているアートナイフの替刃の在庫を消費中。キット一つで二、三枚くらいの替刃を消費する感じ。欲を言えば片腕や片足毎に新調すると良いかも。



<道具:タミヤ クラフトツールシリーズ No.104 ベーシックヤスリセット 74104

 今まで持っていた金属ヤスリは100均の安物だったので、ちゃんとしたものをと思い購入。ホントにスタンダードな金属ヤスリの三本セット。
 ただ、後述の「更に便利なヤスリ」の存在もあって今回の使用頻度はお世辞にも高いとは言えなかったが…



<道具:ウェーブ 極細ニードルピンセット 4本組

 プラモ製作でも愛用していた電工向けツル首ピンセットが結構ヒドいことになっていたためコレも購入。ツル首や平など四種類入っていて色々使える。
 ノブリスでは殆ど出番がなかったのだが、色々あって組んだ後にバラすことが多かった二体目やシール貼りの必要があった三体目では非常に活躍してくれた。



その2へ続く。

2017/02/17

アーマード・コア雑感色々

 色々あって艦これを放置プレイ(実質引退)し、代わりに半ば積みゲーと化していたデモンズソウルに触れ始めて「あ、これ初代ダクソより面白いかも?」とか思っていたりする今日この頃。
 まあ今回の雑感はデモンズじゃなくて(空のじゃない)ACなんだけどね!

 自分が持ってるアーマード・コアは以下の四つ。上から順にプレイ。

・熱管理シミュレータと悪名高いネクサス(NX) ※ACデビュー作
・コジマ技術の結晶ことネクストが大暴れする4
・シリーズ屈指の超高速戦闘が展開されるフォーアンサー(fA)
・Vのシステムを受け継ぐ現時点での最新・最終作ヴァーディクトデイ(VD)

 初代〜サイレントライン(3SL)とナインブレイカー(NB)、ラストレイヴン(LR)、フォーミュラフロント(FF)、そしてVは未プレイ。NXの続編故に敬遠したNBとLR、評判の悪さから遠慮したVは兎も角、Bタイプ操作(サイトをL1L2R1R2で動かし両の人差し指と中指を全て使う)が出来なそう、というだけで初代〜3SLを諦めてしまったのは、今にしてみれば勿体無かったと言わざるを得ない。一応、動画サイトでプレイ動画を一通り見てはいるので、雰囲気くらいはなんとか。
 一番ドハマりして、今でもしょっちゅう遊んでいるのは4・fA、所謂リンクス世代の二作品。元々バーチャロン(初代ことOMG)やZ.O.E(ANUBIS)といった、かなりゲームスピードが早いロボゲーを好んでいたためか、一番性に合うという。

・NX 〜初めてのフロムマジック(OP詐欺)〜
 オープニングムービー見て「ホントにこんな動き出来んの!? すげぇ!」と思ったのも束の間、開始後間もなくNX名物の爆熱っぷりに見事幻想を打ち砕かれた。それでも可能な範囲で色々工夫した結果、軽量寄りの中量二脚でフィールドを時速350kmオーバー出しながら、マシンガン二丁orマシショのW鳥でヒャッハーするというスタイルを確立。以後、4やfAでも近〜中距離戦を中心とするようになったのはNXでの経験故。
 レイヴンACで唯一の経験作、また自分のACデビュー作ということもあって、実は結構お気に入り。爆熱加減もアセンやチューン次第では結構マシになるので、如何にして動き易い機体を作るか、当時は連日頭を悩ませていたもの。リンクス世代程では無いが、今でも時々レイヴン気分に浸る目的でプレイしている。

・4 〜憧れの超高速戦闘〜
 OPやプレイ動画を見てからというもの、ずっと憧れていたタイトルだけにfAも合わせてPS3ごと入手した時は喜び勇んでプレイし始めたのだが、いざ動かし始めると前述のL1L2R1R2全使用が出来なくて滅茶苦茶大変だった。しかしキーアサインを弄るなど試行錯誤している内に自然と慣れていって、相手の頭上をQBで飛び越えてからQTして背後を取り弾丸を見舞う、というアクションも出来るようになった。脳汁モノ。
 スピード感はfAの方が上かもしれないが、ストーリーなども含めたトータルの完成度は4の方が優れている、というのが自分の見解。というかfAはちと早すぎる。アレはアレで悪くないけど、自分には4くらいが丁度いい感じ。物語、音楽、戦闘のバランスはシリーズでも屈指だと思う。とても良い作品。
 元々自機を動かす上でオートマチックな要素の少ないACシリーズだが、4からはQBQTが加わって尚更マニュアル感が強まった結果、操作に馴染み始めてからの一体感が本当に素晴らしい。テストモードで飛び回ってるだけでも楽しいと感じられるのはその証左か。自分が見た目やらスペックやら拘って頭を悩ませながら組み上げたネクストが、自分の操作で地上を存分に駆け回り、空中を思うまま飛び回るのだから堪らない。まさに「次世代のアーマード・コア」である。

・fA 〜突き抜ける速さ〜
 4の時点でかなりのものだったゲームスピードが更に上昇。速度に特化させた機体なら時速2,000kmを容易に突破するなど、間違い無く現時点でシリーズ最速のアーマードコア。人によってはリアルに目を回しかねないのでACデビューには向かないかもしれないが、機体の挙動が全体的に4より軽く、(特にハードに於いて)理不尽な難易度のミッションが少なく、最新レギュであればロケットというお助け武器が存在するので、思いの外初心者向けな側面も。4から移るとビックリすること請け合い。
 総合的に自分が一番好きなACは4だが、fAも負けていない。スピード感はfAの方が圧倒的だし、重量別にカテゴライズが進められたフレームや内装、バリエーション豊かな武装など、アセンの幅も4とは比較にならないほど広い。音楽もRememberやCosmosなど良曲が揃い、ルートによって結末が決定的に分岐するマルチエンドを採用している分、fAの方がストーリーに変化がある点は否めない。またアームズフォート(AF)との戦闘はスケールがスケールだけにド迫力。慣れてくると作業化するのは御愛嬌。

・VD 〜ミグラントはつらいよ〜
 フロムがVで結構やらかしていたことは一応小耳に挟んでいたが、4・fAを一通りプレイし終えていたので新しもの欲しさに半ば衝動買い。晴れてミグラントデビュー……したはいいが、システムや操作の激変っぷりに未だ慣れきっていないのが実情。一応全ミッションS取ってサブクエも埋めきったが、いまいち達成感が無く、4・fA程の満足感というか充足感というか、その辺が得られないままだった。最近になってもう一度触りだして、ちったあマシに動かせるようになってようやく少しは面白くなってきた。グラブとパイルの練習のために何度黒栗とテスト先生(タンクver.)を破壊したことやら…
 一見するとQBやQTといったコジマ技術のおかげで全くの別物に見えるリンクス世代だが、基本的な部分に限って言えばそれまでのレイヴン世代とそうそう違っているわけではない。だがミグラント世代はブースト周りや戦闘・スキャンモード切り替えを始めとして本当に別物と化しており、正直滅茶苦茶戸惑った。作品世界に於ける技術力がリンクス世代よりも格段に下がった結果、操作が一気に複雑化するとかじょ、冗談じゃ…
 オンライン環境での多人数プレイを意識した結果このような仕様になったはいいが、4・fA以上に考慮すべき要素が多くなってしまっていてオフでのソロプレイがかなり窮屈になっているのがどうにも……「V系はそういう方向性なんだから仕方ない」と言われればそれまでだが、個人的にジャンケンめいた構図を強いる属性システムはACらしさに欠けている気がしないでもない。

 アップデートがかなり前に止まって久しく、そのせいでオンが廃れているらしいのでオン重視の本作はぶっちゃけ全くオススメできないが、歴代でも屈指の「むせる」雰囲気は確かに魅力的なため、以下にこれからVDを始めようという人へのちょっとしたアドバイスを。但し当方はオン未経験につき、あくまでもミッション攻略レベルについてしか語れないので御了承をば。そして超長文注意。