2017/05/23

プラモデル制作(+関連ツール使用感)雑感 その3

その2からの続き。



<キット:バンダイ RG ガンダムアストレイ ゴールドフレーム天ミナ>

 トリの三体目。まさかの天ミナがRGシリーズ化、しかも密林辺りでえらい高評価付いてるとあって、前々から興味深々だったキット。前述の模型店で密林とほぼ同価格で販売されていたのを目撃してしまったのが運の尽き、気が付けばほくほく顔で持ち帰っていたという魔性のプラモ。(酷い言い掛かり
 あくまで個人的な意見だが、ゴールドフレーム天は「シンメトリーの中に存在するアシンメトリー」が魅力だと思っている。右腕だけ純正腕ではなくてブリッツになっているそのアンバランスが、しかしマガノイクタチを搭載した大型バックパックの存在によって最早アクセントとしてしか機能し得ない辺りに、何とも言えない良さがあるのだ。

 さてキットだが、……………………凄く、組みやすいです…………(感涙
 前述の二体(ノブリス、白栗)と比較してゲートの位置や太さ、形状が非常に良心的で、タミヤの薄刃やアルティメットニッパー辺り使えば二度切りなんぞせずとも一度切りで十分なほど。つまりゲート処理が要らない。作業がごそっと減る。
 色分けはほぼ完璧で、部分塗装やスミ入れ、しまいにゃデカール貼りさえ無粋に思えてしまうレベル。グロスインジェクションの黒と若干色味の異なる金のコントラストが掛け値なしに美しい。その中で存在を主張するカメラアイの青がまた存在感抜群。
 サイズとしては1/144で決して大きくはないのだが、MGもかくやと言わんばかりのパーツ分割が為されているため情報量が凄い。この密度をよくもまあHGサイズである1/144で実現したものである。その辺は流石バンダイ、と賞賛する他無い。
 ただ厄介な点もあって、サイズ故に仕方無いことかもしれないが、少々パーツの合いが悪い箇所があった。自分はツムハノタチの一番外側の黒パーツが中々きっちり嵌まらず、中のパーツの凸部を少し削るなどの処理を迫られた。まあ1/144でこれだけのパーツ分割を実現している都合上、多少こういう部分はあってしかるべきだろうし、余り気にはしていないが。
 その他で組むのにちと苦労したのは、カメラアイのシール貼りとか、上半身と下半身繋ぐのとか。前者は単純に細かいのと自分が肝心な時に限って不器用なのでしゃーないとして、後者は「これ下手すると折ってしまわんか……!?」ってくらい力掛けてようやく嵌まったので冷や汗モノだった。心臓に悪過ぎる…

 ギミックは満載。そもそもアドヴァンスドMSジョイントが凄い。基礎フレームが一体成形とか相変わらず頭おかしい(※褒めてます)。基礎フレームの時点で変態可動状態なので、装甲取り付けても大体そんな感じのまま。マガノイクタチを搭載するバックパックもあちこちに間接があってよく動き、更にはMETAL BUILDのものを発展させた展開機構もあって迫力満点。
 間接が緩くなるのが嫌で余りポージングなどはさせていないが、仁王立ち状態でマガノイクタチを展開させスタンド使って浮かせるだけでも存在感は大したもの。先に組んだノブリスと白栗が基本真っ白なこともあって、概ね真っ黒な天ミナはサイズ以上のオーラを放っている。一応正義側の機体のはずなのだが、どう見ても悪役にしか見えない。威圧感たっぷり。

 1/144というサイズと、そのサイズからは想像もつかないパーツ分割故、手こずる部分もあったものの、やろうと思えば一日で組めてしまうくらいには取っ付きやすいキットだった。組み応えは言わずもがなで、これで2500円はかなりお得だろう。
 それまでに組んだガンプラの最新フォーマットはMGユニコーンだが、バンダイの確かな技術進化を窺い知ることの出来る良いキットだった。ある程度MGなどを組み慣れているなら、一度組んでみて欲しい一体。


※追記[2017/09]

 後日、色々と作っている内に発覚していったRG天ミナの弱点。

・(個体差かも知れないが)アドヴァンスドMSジョイント由来の関節が緩い(専ら太腿の軸ロール)
・腕に装備する武器が基本肘辺りまで被るため、バックパックと干渉しやすく取り回し辛い(特にオキツノカガミは最悪)

 グロス仕様の黒パーツに金色のフレームという組み合わせは間違いなく豪華で、何かと映える見た目はしているものの、ガシガシ遊ぶには全く以て向いていない。特に上記二点の内の二点目がかなり辛い。
 ラスボスよろしくバックパック(マガノイクタチ)を展開して仁王立ちさせておくのが一番平和。せめてマガノシラホコをリード線伸ばして射出状態にしておくとベネ。


<その後>

 三体も立て続けに組んで、我ながらもういい加減満足しただろうと思っていたのだが、……………………気が付けばプレバンでガンプラを一体、ブキヤのフレームアームズを二体、計三体を予約注文していた。な…、何を言ってるのかわから(ry
 ……注文内容だが、プレバンで注文したのはRGクアンタフルセイバーで、フレームアームズはレイファルクスとゼルフィカール/NEである。何れも前々から気になっていた面子。本音を言えば更にMGプロヴィデンスとかFAワイバーンとかも欲しかったのだが、流石にそこまでやると財布的にも飾る場所的にもピンチにしかなり得なかったので却下。まあその内、ね?

 しかし久々にプラモ組みまくったが、やっぱり楽しい! 掛けた手間暇が実際に立体として結実していくプロセスが堪らないというか、とても充実感がある。
 ガキの頃と違って無闇矢鱈ブンドドしまくって間接をユルユルにさせることなく、ただスタンドに飾るというシンプルな楽しみ方が出来るようになったこともあるのだろうが、何体でも作りたくなってしまう。……金銭的にも空間的にも限度があるので、そうそう上手くは行かんが……(遠目

 基本あがり症で部分塗装とかデカール貼りとか歪みそうで手が出せないというチキンな自分だが、それでもプラモ作りは面白い、と強く実感させられた数ヶ月だった。
 嗚呼今からクアンタとかフレームアームズとか組むの楽しみだなあ…

プラモデル制作(+関連ツール使用感)雑感 その2

その1からの続き。



<キット:コトブキヤ ACV.I.シリーズ ホワイト・グリント+V.O.Bセット ムービーカラーVer.>

 二体目にして本命キット。皆大好き白栗。
 アサルトアーマーの展開にOB飛行形態への可変まで再現したという変態企業の真骨頂であり、ノブリス以上に苦労させられたお化けプラモ。V.O.Bまで完成させて飛行形態の白栗に接続しスタンドに飾ると全長が凄まじいことに。

 ノブリスと比較して曲面が非常に多いパーツ構成で、しかも細かいパーツばっかりなもんだからゲート処理が冗談抜きで死ぬ。その上白パーツにはパールコーティングとか完全に素組派を殺しにかかってきている。マジで。
 だがゲート処理以上に白栗で手を焼かされたのが、パーツの合いの悪さ。特に可変に伴う首元の前方スライド機構のユルさと、前腕上面の可変機構部の合いの悪さは勘弁して欲しかった。前者は一度一通り組んでしまってから平ピンセットを使ってバラし、スライド部にデザインナイフでサイズ合わせて切断したメンディングテープ張って補強。そして後者はあっちこっちをヤスって削ってクリアランスを調整しながら組む羽目になった。この辺、某ガンプラ企業なら安心なのに…(…と思っていたのだが、実際はそうでもなかった。三体目参照)
 更にV.O.B組み立て中には細くてぐにょぐにょしている動力パイプのパーツを折る、というか捩じ切るという最悪の事態が発生し、泣く泣く瞬着を使って慎重かつ可能な限り違和感無いよう固定した。……本命キットなのにノブリス以上にトラブルばっかなのはコレ如何に。(遠目

 ……とまあ、ボリュームやらアクシデントやらでノブリス以上に気苦労が絶えなかった白栗+V.O.Bだが、組み上がってみればやはり「苦労した甲斐があった…」と思わされてしまった。
 オーギルベースのノブリスとはいっそ真逆と言っていい、曲線曲面を多用したやや細身のシルエットは、しかし張り出した肩や背面のOBユニットの存在故に、羽レーザーが主張しまくっているノブリスと同等かそれ以上の存在感を誇っている。通常時でも端っこのSALINE05のせいで結構な横幅を稼いでいるのに、OB展開なんぞしようものならそりゃあもう凄いことになってしまう。飾る場所的に厳しいものがある。だがそこがいい。
 極めつけにV.O.Bの存在。ムービー中でもゲーム中でも役目終えるとバラバラに分解されて投棄されてしまう「片道吶喊用使い捨て大型ブースターユニット」をこうも本気でキット化してしまったコトブキヤは変態以外の何者でもない(※褒め言葉です)。単体でも十分インパクト大きいのに、白栗にくっつけたりしてしまった日にゃあ、もうとんでもないことに。コレをド迫力と言わずして何とする、ってくらい迫力満点。
 滑らかなスタイルで下手すりゃ優美な白栗に、ぶっちゃけ最早無骨一辺倒なV.O.Bという組み合わせはアンバランスなようでいて、めっちゃくちゃマッチングしているのだから面白い。何より、ただの実写と化したACfAのOPムービーでとてつもないインパクトを視聴者に叩き付けた、あの白栗 with V.O.Bがスケールこそ違えど現実に存在しているという感激は、本当に素晴らしいとしか言い様が無い。

 注意点は、太もも前方上部の丸い皿みたいなパーツがそのままだと極めて外れやすいことと、前述したあちこちの合いの悪さ。皿に関してはいっそ接着してしまったほうがいい。瞬着推奨。
 またとかく曲面が多いので、パーツのヤスリがけは要注意。下手するとエッジ削ったりえぐり気味に削ってしまうので、一つ一つ慎重に組むことを心掛けるべし。手間を掛けた分だけ、キレイに仕上がるのがプラモデルというホビーである。(知ったか顔



<道具:ハイキューパーツ リタックスティック(5本入)

 紙ヤスリ用の当て板。アクリル板と粘着シート、番手識別用シールから構成されている。
 値段がかなり高額で、いっそのことシャー芯ケース辺りで代用しようかとも思ったのだが、ええいままよと購入に踏み切ってしまった。そしてその便利さに驚愕した。
 アクリル板が非常にしっかりしたものを使っており、板に合った大きさのゲル状粘着シートを利用するため、ヤスリを全面に均一に貼り付けられとても使いやすい。平面部のゲート処理で絶大な効果を発揮してくれる。道具に金を惜しむべからず。



<道具:タミヤ 研磨スポンジシート

 白栗を作り始めて少し経った頃、ひょんなことから電気街の模型店に行く機会があり、そこで見つけたモノ。四枚(600、1000、2000、3000)購入。
 スポンジにヤスリ面をくっつけてあり、指の圧力を適度に逃がすことで接触面全体を均一にヤスれるという便利アイテム。実際、白栗のゲート処理はコイツのおかげで一気に楽になった。曲面曲線の多いキットに最適。
 デメリットとして、迂闊にあっちこっちで使いまくっているとパーツのエッジを潰しまくりかねないということ。自分も白栗で何箇所か僅かにカドを潰してしまった。加えて、密林ですら中々数を揃え辛いアイテムなので、入手するには品揃えの良い模型店に行く必要がある。単価はそうそう高いものではないので、見つけたらいっぺんに買い揃えてしまうのが吉。



<道具:ゴッドハンド SPN-120 アルティメットニッパー5.0

 後日、上記スポンジヤスリを購入した模型店で三体目と同時購入した道具の一つ。PN-120のアッパーバージョンであり、プラモ向けニッパーとしては最高額レベル(衝撃の5kオーバー!)のシロモノ。
 刃が薄い分取り扱いに注意が必要らしく、下手すると刃が「折れる」ほど繊細な刃付けが為されている模様。その甲斐あってPN-120以上の切れ味を誇り、割と適当に切っていてもアートナイフ使って鉋掛けする必要が失せるくらい綺麗に仕上がってしまう。タミヤの薄刃とPN-120をまとめ買いして尚お釣りが来る高額さは伊達ではない。
 取り扱いに注意が必要という点で、脱初心者を果たしたモデラーが行き着く逸品というイメージが強いが、むしろ個人的には初心者にこそオススメすべきツールなのではないかと思った。兎に角すぱっと切れるので、テンポよくペースよくパーツを切り出せてプラモ作りが楽しくなること請け合い。
 ただ一本目から使ってしまうのは「ニッパーの使い方を学ぶ」という点でよろしくない。なので先ずはタミヤの薄刃辺りから始めて、アートナイフの使い方も体得しつつ、二本目以降としてその内手を出すのがベターと思われる。



<道具:ウェーブ パーツオープナー

 三体目購入時に上記アルティメットニッパーと同時購入した道具のもう一つ。
 プラモ作っていてちょこちょこ発生する「間違えてパーツ組んじゃった!」「ポリキャップ仕込み忘れた!」といううっかり。大抵、パーツとパーツの隙間にカッターとか突っ込んでこじってバラしに掛かるのだが、そういう時に便利なのがコレ。
 ワザと刃を潰した分厚いカッターという見た目で、「パーツ間の隙間に突っ込んでこじって間を広げる」事に特化したブツ。順調に組んでいれば中々出番はないのだが、一通り組んでから「ここの間接緩くないか……?」とか「ここのパーツの合いが悪い…」なんてことがようやく発覚するケースもある(白栗とか白栗とか白栗とか)ので、そういう時にとても便利。結局白栗では使うことがなかったものの、三体目を組む際は大変助かった。
 限定用途に特化しているだけあって、こじった箇所に余り負荷を掛けずに済む。万が一の保険として一つ持っておくと良いだろう。



<キット?:コトブキヤ MB-42R フライングベースR & バンダイ アクションベース1>

 大なり小なりプラモ作ってる人ならきっと知っているであろうスタンド二種。
 当初、前述の模型店でノブリス用に前者を購入したのだが、どうやらスケールが合ってない模様でスタンドの軸が重みに負けてふとした弾みに回る回る。角度調整はビスを程々に締めれば問題無いが、軸回転は瞬着で軸太らせるのも何だか微妙。なので、後日後者を密林で購入して使用中。
 尚フライングベースの方は後述の三体目で使用中。まあ此方もその内アクションベース2に置換する予定なのだが。



その3へ続く。

プラモデル制作(+関連ツール使用感)雑感 その1

 今年、もとい今年度に入ってから立て続けに三体もプラモを組んでいる。
 ついでに道具への出費が大変なことになっている。

 元々プラモ自体は好きで、子供の頃から定期的に組んでいた。スタンスは素組のみ。場合によってはスミ入れをするが、塗装はしない。パーツの切り出しにアートナイフも使うようになったのが高校卒業以降で、それまでは基本的に安物ニッパーの一度切りの切りっぱなしでそのまま組んでいた。つまりトーシロもいいとこ。
 今までガンプラしか組んだ経験無かったのだが、今回初めてガンプラ以外に手を出した。リアル変態企業の一角として名高いコトブキヤのACV.I.シリーズである。ブキヤのはパーツこまいから上級者向けと聞いていたので、購入時はかなりおっかなびっくりな調子だった。
 んで、ここんとこ年単位でプラモ触ってなかったし道具とか大丈夫かとチェックしたら案の定プラモ制作の要ことニッパーがあかんことになっていて、折角本腰入れて作るんだしこの機会に買い揃えてみるかと色々道具も購入。……ただ、予想以上に色々買い込む羽目になって今回組んだプラモ三体分を軽くオーバーする金が吹っ飛んだ。ニッパーって奥が深いのね…

 と、言うわけで。
 今回組んだプラモやら使った道具やらをちまちまと雑感していく次第。



<キット:コトブキヤ ACV.I.シリーズ ノブリス・オブリージュ>

 久方振りのプラモ制作、その前座はノブリス。

 三体立て続けのプラモ制作だが、当初購入したのは一つのみで、残り二つ、特に最後の三つ目などは完全にノリで衝動買いしたイレギュラーだったりする。前座であるノブリスも衝動買いの範疇。

 というのも。
 本命を購入後、さあ制作開始だと意気込んだところでふと、
「……つか、プラモ作んの結構ブランクあるわけだし、ただでさえ難易度高いと評判のACV.I.シリーズを、いきなり本命作っちゃうのか?」
 と思ってしまったわけで。ここは一度肩慣らしをしておきたいと考え、本命にいきなり放置プレイかまして追加購入、先んじて作ってしまったのがノブリスなのである。

 兎にも角にも、初挑戦のACV.I.として挑んだノブリス。実際に作って思ったのは、

「やべぇゲート処理すげぇ時間掛かる……!?」

 今回、ほぼ全てのパーツでニッパーによる二度切りとアートナイフによる鉋掛けを、そしてこれは場合やら気分やらやる気次第だが、耐水ペーパーを用いたヤスリ掛け(600→1000→2000)も試みた結果、制作が遅々として進まず、極めて地道な作業を数日間に渡って延々続ける羽目となった。
 そも、後々の二体目、そして特に三体目を組んでよーく分かったが、ブキヤのキットは二度切りからの鉋掛けまでやらないとパーツがキレイにならないのだ。四角い形状のゲートがパーツの際にしっかり存在していることが多く、ある程度均しておかないと非常に目立つ。外は言わずもがな、内も下手にゲート残してると他のパーツと組み合わせた際に干渉するので、出来ればきっちりヤスっておきたいが、手間が更に増えることを考えると悩ましいところ。
 幸い、後述の通り今回の連続制作は色々と道具を買い込んだり買い足したりしながらの作業だったので、まあ何とかなった。特にちゃんとしたプラモ用ニッパーの効果は大きい。切れ方やゲートの位置次第では完全にツライチになるまで均さなくても何とかなるので、手間がガクッと減る。薄刃ニッパー、優秀。

 ノブリスそのものの話だが、…………非常に組み甲斐がありました。(半ギレ
 中心となるフレームを組んでから装甲を載せていく、というスタイルが多いガンプラと異なり、複数のブロックを組み立ててからパズルよろしく組み合わせて完成させるため、ガンプラとは違った組み心地。……そしてパーツ分割が鬼。(ぐったり
 目で見える大きめのモールドは別パーツ化されていると言っても過言ではなく、それ故パーツ量が結構なことになっていた。しかもそのほぼ全てに前述のゲート処理を行う訳で、……大変じゃないわけがないだろうというか。
 だがそのおかげで腕とか脚とかコアとかが一つ一つ組み上がった際の達成感は抜群。パーツが細かい≒情報量が多いということでもあるので、単純なサイズ(ガンプラで言う所のMGクラス)以上の存在感を放っている。
 そして全て組んで完成させた時は、掛かった手間暇の莫大さもあったとはいえ、その圧倒的なディテールに暫し言葉を失って惚れ惚れしたほど。あの「破壊天使」が立体として目の前に君臨しているインパクトは、筆舌に尽くし難い。プラモを完成させて「美しい…」と呟いてしまったのは、おそらく人生初だと思う。
 鬼のようなパーツ分割と細かいモールドがもたらす情報の密度は凄まじく、また存外しっかりマルチカラーしている(白二種、黒、金)ことも相俟って、もはやスミ入れなど不要なのではと思ってしまうほど。原作中でも象徴性の高さが謳われているローゼンタール(のオーギルフレーム)だが、立体をリアルで見るとそんな設定に違和感を覚えなくなってしまう。本当に素晴らしく映える。

 地味に有り難いのは、ノブリス(もといオーギル)は下半身が結構ガッチリしたデザインで「足」も大きめ故、接地させた際の安定感がとても良好であること。羽レーザーにも負けずしっかり自立してくれるのだ。
 逆に、スタンド等を用いて浮かせようとするとキット自体の重量が結構かさんで浮かし辛いので、半固定状態で飾るならいっそ適当な飾り用の台座にフツーの両面テープ(ナイスタックの標準版とか)貼ってくっつけてしまうと良い。浮かせる場合は同メーカーのフライングベースRをオススメ……出来れば良かったのだが、余り推奨出来ない。詳細は後述。

 本命に挑む前の前哨戦として組んだノブリスだが、ACV.I.シリーズの難易度を知るという当初の目的を達成した以上に、ノブリスそれ自体の出来にすっかり魅了されてしまった。破壊天使、美しいです。
 また、本命も組んだ後だから言えることだが、本命に比べればノブリスはかなり組みやすい方だったと思う。どうしても知名度で本命に敵わそうなノブリスだが、出来は本物なのでAC4・fAを知っている方には是非手に取ってもらいたいキットである。



<道具:タミヤ クラフトツールシリーズ No.35 薄刃ニッパー 74035ゴッドハンド PN-120 片刃ニッパー

 本命キットを購入時に同時購入し、一体目のノブリスと二体目の本命を組む際に使用したニッパー。
 タミヤの薄刃を専らノブリスに、PN-120を二体目に使用していた。

 それまで使っていた適当な安物ニッパーと比較して、どちらも段違いの切れ味を誇り、特にPN-120は初めて使った際とても驚かされた。ぱちん、ぷちん、なんて感覚ではなく、とすん、とランナーから切り離せるものだから、素で困惑してしまったほど。
 タミヤの薄刃は先端付近の刃幅が細めで隙間に突っ込みやすいので、ランナーからゲートを少々残して切り離すのに便利。そのまま薄刃使って二度切りしてもそうそう問題は無いのだが、自分はそこでPN-120を使って仕上げていた。時としてアートナイフが不要、そうでなくともちょっとした鉋掛け程度で綺麗になるのは、流石モデラー御用達のゴッドハンドである。

 素組派、それもシールすら最低限という超にわかモデラーもどきな自分にとっては非常に有り難いツールだが、地味に値段が張る。何せ二つ合わせて買うと下手すりゃHGUCが複数購入出来る(2k強×2≒5k弱)。これを勿体無いと思うか、そんなもんだろ道具なんぞと思うか、どちらの感想を抱くかは人次第だろうが、少なくとも定期的にプラモ組んでいくのであればあって損はないだろう。初期投資は重要。
 またどちらにも弱点はある。タミヤの薄刃はパーツ表面ギリギリで一気にゲートを切ろうとすると白化しやすい。PN-120は片刃ニッパーという特性上、パーツ表面で刃を滑らせて切断しても僅かにゲートが残りやすい。後者は工夫すれば一発でツライチ並の滑らかさに出来なくもないが、パーツのエッジを髪の毛の細さほどもいでしまうこともあって悩みどころ。考え方を変えればいっそアートナイフの使い方を体得する良い機会なので、練習するのがいいだろう。



<道具:オルファ リミテッドAK アートナイフ Ltd-09

 アートナイフ自体は結構前から愛用していたが、如何せん一番安いタイプを使っていたので経年劣化でガタが来ており、折角なので新調。全金属製のどっしりした重量感が安心感を与えてくれる。密林のレビューには重すぎるという声もあるが、独ステッドラーの金属製製図シャーペンとか愛用している身からするとコレくらいが丁度良い。
 アートナイフプロシリーズの替刃(直線曲線)も纏めて購入したが、今んトコはデフォルトもとい昔から使っているアートナイフの替刃の在庫を消費中。キット一つで二、三枚くらいの替刃を消費する感じ。欲を言えば片腕や片足毎に新調すると良いかも。



<道具:タミヤ クラフトツールシリーズ No.104 ベーシックヤスリセット 74104

 今まで持っていた金属ヤスリは100均の安物だったので、ちゃんとしたものをと思い購入。ホントにスタンダードな金属ヤスリの三本セット。
 ただ、後述の「更に便利なヤスリ」の存在もあって今回の使用頻度はお世辞にも高いとは言えなかったが…



<道具:ウェーブ 極細ニードルピンセット 4本組

 プラモ製作でも愛用していた電工向けツル首ピンセットが結構ヒドいことになっていたためコレも購入。ツル首や平など四種類入っていて色々使える。
 ノブリスでは殆ど出番がなかったのだが、色々あって組んだ後にバラすことが多かった二体目やシール貼りの必要があった三体目では非常に活躍してくれた。



その2へ続く。