2012/05/11

イヤフォン雑感:Westone4R 其の弐

 音屋で弾丸を比較的安めに入手出来て思わずにんまり。
 しかしいざ届いた弾丸をW4Rに嵌めようとしたら余りに固くて思わず冷や汗。(--;
 ステムを折らない様に、変な方向へ力を掛けない様に気を付けながらゆっくり嵌め込んでホッと一息。

 んでいざ聞いてみると、コンプライと余り大差が無い。
 やっぱフォームチップからフォームチップではそこまで劇的な差は生まれんのかなあ、とか。

 しかし、コスパは確実に弾丸の方が良い。
 何せコンプライは量販店価格で約3kの3ペア、一方で弾丸は音屋価格送料込みで約2kの5ペア。
 つまり1ペアにつき前者は1k、後者は0.4kである。幾ら何でもコレは酷い。

 その上、ラテックス加工が施されている御陰か弾丸の方が質感が良い。丈夫そう。
 耳垢防止用のフィルタが付いてる分Tx-100の方が安心して使えるが、流石にこの価格差だとちょっと…
 でも、ステムを折ってしまう懸念が弾丸は些かデカいのよなあ。コンプライの方がスッと嵌ってラク。


 しかしイヤピの使用感以上に最近気になってきたのが、鳴らし込み――ブレークインによる音の変化。
 大体ここ数日、一日につき7~10時間程HP-A3で鳴らし込んでいたのだが、何か音が随分変わってきた感触がある。
 イヤピがテクニカのファインフィットだとコンプライよりも音が明瞭なのは前回の雑感で触れたが、コンプライor弾丸使用時の音がソレに近付いている気がするのだ。
 以前はフォームチップ使うといっぺんに大人しくなった高域が、ファインフィット使わなくてもそれなりに主張してくるようになったというか。ピラミッドバランスの傾斜がキツくなった(低域の支配感が薄れた)と言っても良い。

 まあプラシーボというか、脳がW4Rの音に順応したのを都合良く解釈してるだけかもしれんがねー。
 フォームチップのせいで耳穴拡張されたという可能性もあるし、W4R「自体」の音が変わったかどうかは正直不明。少なくともブレークインの間ずーっと着けっぱでないことは確かだが。


 しかし、ホントにとんでもないイヤフォンだなコイツ。兎に角「普通に」音が良い。
 IE8は如何にもゼンハイザーらしい音でニヤッとしたり、ER-4Bは超絶解像度で驚いたり、HiDefJaxは音抜け良くてカナルなのに開放型オーバーヘッドっぽい音がしてびっくりしたモノだが、コイツはそういう「穿った特徴」が無い。
 高域から低域までスムーズに鳴らし、嫌な感じの籠もり曇りは無く、意識向ければしっかり目的の音にフォーカス合ってくれて、いたって聞き疲れし難い、それこそ肩の力抜いてぼけーっと聞いてられる、「質の良い鑑賞型オーバーヘッド」みたいな鳴り方するのよな。……自分密閉型で鑑賞タイプのオーバーヘッド持ってないけども。(何

 はっきり言うととっても地味な音なのだが、その「地味さ」が極めて高次元の代物。
 ツボに嵌ると抜群にノれる浸れるといった音楽のジャンルこそ持たないが、その代わりどんな音楽でも平均よりずっと「良い音」で聞かせてくれる。
 今まで入手してきたカナルは基本的に何かしら尖ったトコを持ち合わせていたから、この普通さはとても新鮮だし、とても貴重だ。


 三万オーバーのイヤフォンなんて金の無駄じゃないかと思ったりもしたが、流石にこの音を味わったらそうも言えなくなってしまった。
 密閉型オーバーヘッドに対するカナルのメリットである「小さく軽い・音漏れない・遮音性高い」という要素をしっかり満たした上で、下手な二万円台のオーバーヘッドより余程上等な音を鳴らしてくれるW4Rの価値は、人にもよるだろうがかなり高いと言って良い。少なくとも損はしない。
 このちっちゃこい筐体で三万オーバーもする高級品を外へ持ち出せる勇気がある方なら(ぇ)、外でも相当な高音質で音楽に浸れるというメリットは中々大きいだろう。文句抜きで薦められる一品である。


 ……しかし、こうなってくると同じ三万オーバーであるSE535とかEX1000とかやはり気になってくるなあ。
 X10や10proも微妙に気になるし、…………嗚呼、イヤフォンスパイラルって恐ろしい……(溜息+遠目

2012/05/03

コミック雑感:風の谷のナウシカ

 実家に帰省した姉の土産物。全七巻、一気読みした。



 …………何つーかまあ、これは、…………凄いな、ホント。
 宮崎駿は昭和五十年代にこんな頽廃感全開フルスロットルなコミック書いてたんかいな…

 皆がよく知るのは確実に劇場版アニメの方だろうが、展開が全然違う。共通している箇所がないわけではないが、もっと突き詰めてるし行くとこまで行ってる。というか深淵過ぎて一回読了しただけじゃ内容が掴み切れん。もう何回か読まんとしっかり理解出来ない気がする。

 取り敢えず、「環境」ってのをテーマに据えてるのは「もののけ姫」も同じかもしれんが、こっちは遥か未来、環境破壊通り越して最終戦争の果てに人類が滅びかけてるからねえ。もっと破滅的で殺伐としてる。
 もののけ姫は「自然対人間」みたいな構図だが、こっちのアニメージュ版ナウシカは「ヒトの業」がテーマというか、奥底にあるというか、そんな印象を受けた。


 拡大する戦乱。世界を「喰って行く」腐海。人死にが当たり前の様な、そんな終末を思わせる光景。

 だが、毒を撒散らす腐海の奥底で、確かに世界の浄化は始まっていた。静かに、時間を掛けながら。

 微かに残る伝承。蒼い人の伝説。黄金の野原を行くと言うその姿は、果たして救世主か、それとも別の何かか。

 遙か昔、世界が焼き尽くされる前。生命[いのち]をも操った人の業[わざ]。その産物は、荒廃した世界だけでなく。

 戦士にして調停者。そして「裁きを定める者」である幼き命は、約束の地にて何を彼女らに見せるのか。

 滅びの果ての再生。もう一度やり直そうとしている世界。でも、そのやり直しは、果たして本当に正しいものなのか。

 黒の匣。古[いにしえ]の遺産。生まれ出ずるその日を静かに待つ卵。脈打つソレを前に、「彼女」はどんな決断を下すのか。



 ……何か、何となく感想というか記憶というかを整理していたら、明らかに厨二病臭い文章が出来上がってしまった……
 でもまあ自然と思い浮かんだ以上、コレが感想みたいなものなんだし、よしとする。