2020/11/02

ヘッドフォン色々雑感

 かれこれ二ヶ月近くも前に注文したDT1990PROと、密閉型オーバーヘッドを二機種売却した穴埋めとしてうっかり衝動買いしてしまったATH-WP900が、まるで示し合わせたかの如くほぼ同時に届いたので、二つ纏めてファーストインプレッションをば。
 尚、先に届いたのはWP900で、その翌日にDT1990PROが到着した。……ヘッドフォン環境が一気に豪勢になっちゃってまあ……(苦笑

 鳴らしにはXD-05 Plus(with MUSES03*2)とADI-2 DAC FSの両方を使用。クオリティ考えたらADI-2 DAC FSだけで十分じゃないの?、と思わなくもないが、05BL Pro使用時のXD-05 Plusの機動力はバッテリー駆動化したADI-2 DAC FSを大幅に上回るので、大まかに傾向掴むだけならXD-05 Plus使う方が気楽だったり。
 音源はFLAC(44.1~192kHz)やDSD(64(2.8MHz)~128(5.6MHz))。最近は配信サイトでハイレゾ音源を単曲買いすることが増えていて、96kHz/24bit以上のフォーマットが地味に充実してきたのはオーディオ機器の感想書く上で丁度良くなったなー、と言うか。



<開放型モニターヘッドフォン雑感:
  beyerdynamic DT1990PRO ファーストインプレッション>
 九月に注文してからずっと到着を待っていた箱を開くと、最初に見えたのはゴロッとした四角いキャリングケース。そのしっかりした作りに「おー、流石はプロ仕様…」と感心しながらファスナーを開けて、……ようやく、念願のDT1990PROとの御対面が叶った。

 ヘッドバンドのアームを縮めきった状態で収まっていたのもあるが、パッと見の印象は「思ったより小振りなんだな…」。そして真っ黒。殆ど飾りっ気無し。無骨。だがそれが良い。
 実際に手にとって触れてみると、アームだけでなくハウジングまで金属製で質感良し。ハウジングのスリットの奥に覗く銀のメッシュが良い味出してる。格好良い。

 ケースの中には交換用イヤーパッドとケーブルがそれぞれ二種。イヤーパッドは通気孔の数が多いバランスドと数が少ないアナリティカルが在り、デフォで装着されているのは前者。ケーブルは3mストレートと5mカールコードがケース内のポケットに収められていた。
 想定していたかどうか定かでないが、ケースは結構スペースに余裕があり、3mストレートケーブルを本体に装着したままでもヘッドフォンを収納出来た。ぶっちゃけケーブル付けっぱなしのまま収納出来るとは思ってなかったので、少々意外だが嬉しい誤算だった。


 肝心の音について。
 専らADI-2 DAC FSに繋いで、現在のマイレファレンスであるT60RPと聴き比べてみた。

 暫く聴き続けて最初に思ったのは「エッジがカリッカリに立ちまくってるなあ…」。
 歯擦音や金管楽器、シンバルなど高域の鳴りがT60RPに比べて容赦無く、フツーに耳を刺してくる。尤も「刺さり過ぎでとても聞いてられねー!(怒」なんて塩梅ではなく、あーモニター機だけあってやっぱエッジ立ててあるんだなー、とぼんやり思う程度。

 一旦T60RPにスイッチし、後にもう一度DT1990PROへ戻してピンと来たのは、「T60RPは少し引いた所で鳴っているような感覚が有る」こと。対してDT1990PROは、傍らで音が出ているようなダイレクト感があり、それ故か解像感が凄い。DT1990PROからT60RPにスイッチすると、一瞬曇っているような気がしてしまう程。
 つーかT60RPは高域の「刺さりに影響がありそうな辺り?」をかなり「聞きやすく丸めてある」ことが分かってちょっとびっくり。DT1990PROからスイッチした際の「曇り感」は恐らくこの辺に起因するものだろう。単純に「クリアか否か」を問うならT60RPの音は十分且つ間違いなくクリアなのだが、しかしDT1990PROはクリアっつーか兎に角「明確」で、その上更に「微細」。最早音の「輪郭」が垣間見えるような感じ。めっちゃ細かい。

 じゃあ低域は、と言えばこっちはこっちで文句なくしっかり響く。そして開放型なだけあってちゃんと圧が外へ抜けて適度に逃げていく。籠もった感じは無く、それでいて量感が確か。レスポンスも良い。
 中域もバッチリ。中域や高域ばっか目立ってボーカルや主旋律が死んでるなんてことは先ず無い。てかそれ以前に分離感良過ぎて埋もれるどころの話ではない。どの音に意識を向けてもしっかりソレを捕捉出来るし。

 総じて、まさに「超高解像度ヘッドフォン」といった趣き。
 これまでに自分が使用していた機種で、真っ当に「モニター機」と言えるのは先日手放したSRH440だけだろうが、記憶の中でDT1990PROと比較すると「やはり値段なりだったんだなあ…」と思わざるを得ない。単純に考えて5~6倍近いからな…

 個人的には、超高解像度だから長時間は聞き疲れる、といった感覚は全然無かった。確かにT60RPと比べてもシャープな音で、音像?がとてもハッキリクッキリしているものの、ソレはソレとして十分以上に音楽を楽しめた。まあ聞き流しには向かないかもしれないが。
 むしろ聞き疲れがあるとしたら音よりも装着感の方。イヤーパッドはふかっとしていて感触上々なのだが、側圧が結構キツめなので思いの外じわじわくるかも。一方で頭頂部の負荷はそんなでもない。

 因みに音量だが、T60RPと概ね同等の音圧?を得ようとすると、大体同じ程度のボリューム位置に落ち着いた。
 インピーダンスはT60RPの方が明らかに低い(DT1990PRO:250Ω、T60RP:50Ω)が、一方で感度はDT1990PROの方が公称上で10dBも高い(DT1990PRO:102dB、T60RP:92dB)ので、その辺が上手いことプラマイゼロになったのかも?



<密閉型ヘッドフォン雑感:
  audio-technica ATH-WP900 ファーストインプレッション>
 箱出しして最初に思ったのは、「……相変わらずオーテクのウッドハウジングポータブル機はデザインがシンプルやな……(苦笑」。
 ぶっちゃけ、売却したATH-ESW9がそのまま一回り二回り程大きくなっただけというか。ハウジング以外がプラスチッキーで微妙に安普請なトコもあまり変わっていない。一応、ヘッドバンドのアームはしっかりした作りの金属製で、動き具合も頗る良かったが。
 ただその肝心のハウジングは確かにかなり綺麗。自分の個体はサンバースト塗装?のグラデーションや木目がそこまで鮮やかなモノではなかったが、それでも得も言われぬ美しさを醸し出している。街中でこんなの見掛けたら思わず目を奪われそう。

 その他で感心したのは、オーテクの独自端子A2DCコネクターのカッチリした嵌り心地。一見するとMMCXっぽいのだが、アレよりも大分安定性高そうで安心できる。
 凝り性なマニアからすれば、独自端子故にリケーブルで遊び難いのが欠点らしいが、個人的にケーブルで諭吉飛ばすのは幾ら何でもナンセンスと思ってるので無問題。むしろ断線のリスクを低減出来る、って方が余程重要である。

 付属品は布製のキャリングケースと4.4mmバランスケーブル。前者はほっとくとその内加水分解でボロボロしてきそうなのがちと不安。そして後者は今の所対応する上流機器が無いので泣く泣くお蔵入り確定。出来ることなら、遠からず4.4mmバランス出力を備えたDAPを是非共導入したいものだが…

 んで音出し。
 試しにADI-2 DAC FSに繋いだところ、ハイパワーモードを切ってあってもPhones端子ではT60RPやDT1990PROに比べて音量をかなり取りやすくて驚かされた。……まあインピーダンス(38Ω)と感度(100dB)考えたら当たり前っちゃ当たり前だけど。
 だから、という訳ではないが、気が付けばWP900は主にXD-05 Plusへ繋いで聴き込んでいたり。一応ポータブル機のはずなんで、それでも十分なはず。


 WP900の音を聴き始めてすぐに思った。――成程、低音の主張が凄い。
 それも、想像していた以上に。

 密閉型というハウジング構造の性質によるものだろうが、低音の響きが相当強い。DT1990PROと比較した場合、瞬間的な圧力はDT1990PROが勝るものの、残響まで含めた低音の「量」はWP900の方が多め。
 ではボワついた締まりの無い緩~い低音なのか、といえば全然そうではなく、何と言うか「レスポンスに優れたドライバーが鳴らす低音を、ハウジング内に反響させて意図的に響きを持たせている」感じ。多分狙ってチューニングしている類の音。
 その為か低域強めでも嫌気は覚えず、むしろ単純に「これはこれで、新鮮で良いんじゃね?」と思ったり。……我乍ら此処最近「ADI-2 DAC FS+T60RP」という、かなーりニュートラル傾向強い組み合わせでリスニングし続けていた反動だろうか?

 これだけ低域の主張がはっきりしていると中域~高域の聞こえ方が不安になりそうだが、中々どうして十分過ぎる程クリア。この辺は低域少ない曲を聴けばよく分かるはず。
 特に高域は「刺さりはしないが何処か鮮やか」という絶妙な塩梅で、DT1990PROのようなモニター機の「エッジの立った明瞭さ」とは異なる「明るさ」を感じられた。中域のボーカルや主旋律もしっかりと耳に届くので、音楽のジャンルは割と何でもイケそう。

 ところで、T60RPやDT1990PROはぼーっと聞き流していても分離感が相当に強い辺り、やはりモニター機の系譜なんだなあと思わされた一方で、WP900はそこまで音楽の構成要素をバラしてこない。無論、意識向ければ十分にクローズアップ出来るレベルの分離感は備わっているが、基本は音の分離よりも音楽の纏まりを重視している気がする。その辺、なるほどWP900はモニター機というよりリスニング機なのねー、と実感したり。
 低域強めのリスニング機、なんて聞くと売却したATH-ESW9を思い出すが、……流石に購入価格が三倍以上するWP900とアレを比較するのは御門違いってモノ。ESW9は全体的に鳴りがスモーキーだったのに対し、WP900は中域から高域がクリアで低域のレスポンスも優れており、解像感が段違い。またESW9はオンイヤーだったが、WP900は大型化によってアラウンドイヤー化したおかげで装着感が格段に向上。鳴りっぷりに狭っ苦しさが無く、低域強めでも聞きやすく仕上がっているのは大きな違い。

 総じて、「屋内使用でも全く問題無い、ハイクオリティなリスニングフォン」。
 T60RPやK701、HD595といった「特定の帯域を余り強調しない」タイプ、つまりどちらかといえばフラットバランスなヘッドフォン達と比較すると、明らかにドンシャリ系。間違いなくモニター用じゃなくてリスニング用だが、鳴らし方が上質なので「音楽を楽しむ」分には何の問題も無かろう。
 愛用しているHD25 OriginalsとWP900を、ポータブル向けという括りで比較すると、前者が「地味なのに荒っぽい」一方、WP900は「派手だが端正」な鳴り方で実に好対照なのが面白い。少なくとも、現代的なHi-Fi感を得られるのはほぼ確実にWP900の方だろうが。



 以上、高級オーバーヘッド二機を纏めて初聴感想でした。やはり値段が値段だけあって、何方も良い音してますなあ…
 解像感が凄まじいDT1990PRO、クリアな中高域と豊かな低域が楽しいATH-WP900、二つとも現在のレファレンスであるT60RPとは違った風情で、気分やら曲やらに応じた使い分けが楽しめそう。諭吉をド派手に吹っ飛ばしてしまった(DT1990PRO:48k、WP900:65k)が、この満足感なら良い買い物だった。

 ……さぁて。残るは4.4mmバランスが使えるDAPなりHPAなりですな……
 前回の記事で書いたHiBy R6の新型が最近正式に発表されて、ソイツが中々良い感じのスペックしてたんでけっこー気になってたり。同軸デジタルが3.5mmからUSB-C兼用になってしまったのは大変残念だが、……「レファレンスレベルのDAP環境」をなるべく新しいブツから選ぼうとすると、どうしても選択肢がねえ……(溜息
 んん?こないだ気になってるっつってたKANN ALPHAはどうなった?、と言われそうだが、…………やっぱ140kは高価ぇよ!ADI-2 DAC FSよりも高価ぇのは承服しかねるわ!それなら100k前後でSDM660+RAM4GB+青歯5.0+泥9.0+フルHD IPS液晶と五拍子揃ってるHiBy R6の新型待つよ!安いのは大正義だよ!!(力説



※追記[201201]:WP900のイヤーパッド交換
 某掲示板や密林のレビューでWP900に使えるとの声があった、YAXI製汎用イヤーパッド「stPad2」を購入した。

 届いたstPad2を見ると、完全に楕円形状だったので「これホントにWP900に取り付けられんのか…?」と少し不安に。が、実際にやってみるとフツーにすんなり装着出来て拍子抜け&一安心。
 とは言え純正イヤーパッドと違ってWP900にぴったりフィットしているとは言い難いが。まー元々CD900STとかあの辺を想定したブツだからしょーがないネ。

 触ってみた感じ、stPad2はWP900の純正イヤーパッドよりも合皮が厚く、しっかりした造り。イヤーパッド内部は半分が合皮、半分が布地(アルカンターラ)という凝った構造になっており、空間が広く余裕を持って耳全体を覆ってくれる。
 装着感だが、……初っ端は正直ちょい戸惑った。ヘッドバンドの長さが純正イヤーパッド使用時と同じポジションだと当たりがかなり緩く、軽く頭を振っただけで大きくズレてしまいそうな塩梅だった。そこでヘッドバンドを少し縮めてやると側圧が増して、ちゃんとホールド出来るように。
 肝心の音については、事前に聞いていた通りの効果が得られた。つまり「低域が締まる/低音の量が減る」。純正イヤーパッドでは激しかった低域の主張、もとい低音の量感が一気に抑えられ、その分高域から中域の明瞭感が増した印象。良く言えば常識的なバランスになり、悪く言えばユニークさや面白味が減った感じ。XD-05 Plusのバスブーストを使うと純正イヤーパッド使用時と概ね同じ様な聞き心地になったので、やはりデフォのままだと低音過多だったんやなー…、と改めて痛感させられた。
 試しにstPad2を装着したWP900とDT1990PROを比較すると、stPad2の効果で随分とバランスが近付いた――なんてことは全然無く、何だかんだ言って案の定前者の方が低域強めだった。つーか前者はハウジング内で低音が反響・増幅されてる感が凄い。後者は開放型故に低音の反響感は全然無く、上から下まで只管すっきりさっぱりされどちゃんとしっかり鳴っていて、この辺が「開放型モニター」と「密閉型ポータブル」の差なのかなー、とか。

 個人的には、音の変化以上に質感が気に入ったので当分stPad2で通そうかな、と。YAXIのイヤーパッドは既にHD25 Originals用として「HD25 TypeB」の青色(※青のみディスコン)を購入して愛用しているが、相変わらずきちんとした品質で大変有難い。
 無論コレで音の変化がダメダメなら当然ボツにするが、ちょいと主張過剰かなー?と思わなくもなかったWP900の低域を良い感じに抑えられたので、その点でも割と満足していたり。

2020/10/23

物欲色々

 前回の記事で「4.4mm用にDAP欲しいなあ」などと我乍ら戯言を宣っていたワケだが、……色々と新製品情報とか掴んで物欲がわちゃわちゃしてきたので、ここらで一回整理がてら雑記などつらつらと。


<Astell&Kern KANN ALPHA>

 すっかり高級DAPメーカーの代名詞というか、老舗というか、そんなポジションを得て久しい感のある韓国IriverのAstell&Kernブランド。
 つい先日、本筋とは一風異なるラインのKANNシリーズの三機目として発売されたのがKANN ALPHAである。

 某メディアで「スマホの三倍分厚い」とまで言われた重量級の見た目は伊達ではなく、バランス出力を駆使すれば最大12Vrmsという高出力を発揮する。……この数字、何と我がレファレンスのADI-2 DAC FSより上だったり。えぇ…
(尤も、詳しい方に倣うなら「実用的な最大音量時の出力」は「クリッピング(音割れ)してしまう上限が何処に在るか」次第でまた異なってくるっぽいが…)

 細かいスペックはメーカーのスペックシートでも参考にしてもらうとして、個人的にはかなり手堅く纏まってそうで非常に興味深い製品。特に、

・比較的新しいAndroid 9.0ベースのシステム
・Bluetoothのバージョンが5.0
・AK機初の4.4mmバランス端子搭載
・3.5mmジャックから光出力可能
・高速充電(9V/1.67A)可能
・連続再生時間が14.5時間(FLAC44.1kHz/16bit)と優秀
・持ちやすい(との声が多い)デザイン
・低ノイズで高感度IEMも大丈夫

 この辺がかなりソソられる。
 当面はコレ持ってりゃポータブル環境で遅れを取ることは無さそう。

 しかし如何せん値段も重量級で、本体140kケース13kの合計150kオーバー。
 ADI-2 DAC FSよりも高いのである。えぇ……

 かなり物欲が刺激される一品ではあるものの、値が値なので流石に逡巡中。ちょっと最近臨時収入あったからって散財し過ぎてるしな…


<xDuoo XD-05Bal>

 愛用中のXD-05Plusの後継機?或いは上位機種?なPHPA。何でもメーカーによれば本来はもっと早く出すはずだったらしい。バッテリー周りに問題があった模様。
 05Plusと比較して異なるのは、

・DACにES9038Q2Mをデュアルで使用(※05PlusはAK4493EQ)
・4.4mmバランス端子搭載
・Bluetoothモジュール内蔵
・AES出力搭載
・外部電源/内蔵バッテリー駆動を選択可能

 一見すると完全に上位機種の趣だが、実は仕様の詳細が未だ発表されていないので、バッテリー容量やオペアンプ交換の可否次第では05Plusとは差別化出来る可能性もある。
 4.4mmバランスを導入するだけならほぼ確実に上記KANN ALPHAより値打な選択肢なので、続報を待ちたい。


<iFI micro iDSD Signature>

 最近ディスコンになったmicro iDSD Black Labelの後継機。
 iDSD BLとの違いは、

・出力が若干向上
・充電端子がUSB-Cに
・4.4mmバランス端子搭載
・光/同軸入力端子がRCA→3.5mmに
・ラインインの廃止

 こんな感じ。
 iFIもすっかりバランスっつーか流行りに乗っかっちゃって…

 ただコイツのバランス端子、どうやらiFIが「S-Balance」と呼称している仕様(所謂グラウンド分離みたいなもん?)かもしれず、だとすればマジのバランス出力とは違う可能性も。
 実際、メーカーの仕様表見ても出力の表記がアンバランスとバランスで別になってなかったし。まあ元々超高出力だったからな…

 憧れだったiDSD BLの後継機、しかも一応4.4mmバランスを備えているということで中々興味深くはあるが、青歯の無い純粋なDAC故に、購入したとしてもポジションがADI-2 DAC FSとモロ被りするのよなあ…
 価格も初っ端は結構釣り上がりそうだし、暫くは様子を見たいところ。


<HiBy R6の新型?>

 フラグシップモデルのR8を踏襲したような新機種の写真がリーク?されたらしく、どうやらR6の新型とか。直線的で随分カチッとしたシルエット。
 詳細は不明。此方も仕様の公表を期待中。



 特にこの中で最も迷っているのがKANN ALPHA。確かに値は凄まじいが、XD-05Balやmicro iDSD Signatureと違ってポジションが被らないので腐り難い。
 AP80は番いとしていたxDSDの売却を決断したこともあって、最早完全にADI-2 DAC FS用のデジタルトランスポートと化してしまっており、ここらでそろそろ単体DAPのレファレンスを何かしら導入しても実際損は無いのよな…

 ただDAPはPHPAなんかと比べると新型の登場ペースが矢鱈早く、迷ってる内に次が出てきて更にまた迷うという展開がしんどい。
 N3Proとか真空管面白そうでどうしよっかな~、なんて考えてたらKANN ALPHA出てきてその全部載せに動揺し、そこへHiBy R6の新型が姿をチラ見せしてきて懊悩が深まる――――ってもうコレ完全にアカンやつやんけ!(遠目

 とは言え昨今のコロナ禍で自宅に居る機会が増え、外で彼是とモノを出す真似をすっかり控えてしまっているのに、100kオーバーもするDAP買ってどないすんねんというツッコミもあるワケでして…
 買うにしてもせめて予算抑えてR6ProAL辺りで手を打つべきやろJK、とか。いやいやそこまで投資するならいっそレファレンスのつもりで景気良く行っちゃえよ、とか。あんま慌てずに様子見たら?もっと良いの出るかもよ?、とか…

 いやはや人間の物欲ってのは、まっこと業が深いですな…

2020/10/15

雑記

 唐突だが。
 ATH-ESW9とSRH440とxDSDを手放す事と相成りました。


 ……ホントに唐突なので少々備忘録がてら経緯など。

 ある日のこと。
 久々にESW9を引っ張り出して、XD-05 Plusに繋いでリスニングなど楽しんでいた時、ちょっとおかしなことに気が付いた。

「……?? 左側のハウジングから変な音がする……?」

 ビリビリ…というか、ジリジリ…というか、そんな感じのノイズっぽい音が、時折ESW9の左側から聞こえてくるのである。
 色々な曲を再生してパターンを探ってみたところ、どうも中低音以下が豊富なトコで発生しているっぽい。音が強く大きくなるにつれて、まるで共振するようにノイズも大きくなった。

 んで試しに荒療治ではあるが、XD-05 Plusを使って爆音での鳴らし込みをやってみた。XD-05 Plusのボリュームをゲイン小の状態で思いっきり右へ捻りまくり、防音として厚手のタオルケットに包んだ上で、数時間鳴らし続けてみた。
 結果は――――ダメ。効果無し。

 検証として、SRH440をXD-05 Plusに繋ぎ、ESW9でノイズが聞こえた曲を再生してみたが、こっちは全く問題無く再生出来ていた。ノイズ皆無。


 この時点で頭を過ぎった選択肢が、売却
 かれこれ七年程使っていたATH-ESW9を、売っ払ってしまおうという次第。

 幸い箱や付属品の類は全て揃っている。ポーチはほぼ未使用なので殆ど劣化無し。アフリカンパドックの中々洒落たハウジングも目立つ大きな深い傷は無い。ラムスキンのイヤーパッドも臭いがするような状態には至っておらず。
 つまり、自分で言うのもアレだが――――所謂、「美品」と言える状態を比較的保てていた。なので、ノイズが更に酷くなっていよいよ本格的に価値付かなくなる前に、少額でもいいからカネに変えてやろうと思ったワケである。


 ……では何故、今し方「問題無い」としたSRH440と、ついこないだまで「散々使い込むぞー!」と息巻いていたxDSDまで手放す事にしたか、だが。
 簡単に言うと、

<SRH440>
・如何せん(専ら頭頂部の)装着感が悪過ぎ
・ヒンジがいつブッ壊れるか不安

<xDSD>
・バッテリーがXD-05 Plusの半分以下で充電頻度高過ぎ
・XD-05 Plus(with MUSES03*2)の方が音色が好み
・手持ちのIEMであれば、XD-05 Plusでも概ね適当な音量を取れてしまう

 この記事を記述している時点で、既にESW9とSRH440は売却済。
 幸運な事に某ショップ(非オーディオ系)でフルプライスが付き、ESW9とSRH440の二つで諭吉一枚オーバーにもなった。有難や…

 そしてxDSDは某所で出品中。(※追記:無事に売却出来ました)
 此方も丁寧に使っていた甲斐あって状態は決して悪くないと思ったので、そこそこの値を付けさせてもらった。


 と、まあそんな感じで色々と手放したワケだが。
 その一方で。


 ATH-WP900、買 い ま し た 。


 ……………………お前、お前ちょっと何してん????(仏頂面


 いや、その、ESW9とSRH440を手放すと密閉型オーバーヘッドがいっぺんに二つも減ってしまうわけで。
 室内での音楽鑑賞に堪え得る上、軽量で負担が少なく、見た目が非常に良いとか言われてて欲しくなっちゃって。
 そしたら偶々某ショップのナイトセールでめっちゃ安くなってて。

 …………つい、出来心で、IYHしてしまいまして…………
 _| ̄|○ il||li


 但し未だ未到着のDT1990PRO同様、WP900もまた未到着。何せまぁた在庫切れの要取寄せなタイミングで注文したしな…(既視感
 恐らく1990PROもWP900も今月末に届くはず。……見事に時期被りましたねコレは……

 一応、何方も届き次第ファーストインプレを記述するつもり。勿論ADI-2 DAC FSをレファレンスとして、折角だしXD-05 Plus(with MUSES03*2)でも聴いてみようかねー。
 

 …………ところで。
 実は、やはりDAPも買おうかと相当悩んでたりする。(ぉ

 と、言うのも。今回IYHしてしまったWP900には、一般的な3.5mmステレオミニ(アンバランス)ケーブルの他に、何とデフォルトで4.4mmバランスケーブルが付属しているのだ。
 しかし生憎と、自分は未だにバランス接続対応機器を持っていない。レファレンスであるADI-2 DAC FSはヘッドフォンアンプとしてはアンバランス専用機で、携帯機のXD-05 Plusもやはりアンバランス専用である。
 故に現状のままでは、折角の4.4mmバランスケーブルだが、全く活用出来ないまま死蔵する羽目になってしまう。幾ら何でもソレは流石に勿体無い。

 個人的に、ヘッドフォンアンプに於けるバランス接続は、端子の規格が未だ定まりきってない点が非常に嫌で、余り手を出したくなかったファクターである。だが最近の潮流を見ていると、どうやら「携帯機は4.4mm、据置は主にXLR」という塩梅になりつつある……ように見受けられる、気がする。
 正直な話、韓国のAstell&Kernが主導していた2.5mmはちょっと細過ぎるだろう、と前々から思っていたので、4.4mmが一般化されるなら比較的納得しやすい。ここらで一つ、バランス接続対応機器を持っておくのも良いんじゃないか、なんて考えた次第。

 当初検討していたのは以下の機種。

・Cayin N3Pro
・HiBy R6Pro(AL)
・HiBy R5
・Shanling M6Pro

 アンダー100kで評価がそこそこ良いモノ、かつ4.4mmバランスに対応となると、概ねこの辺に収束するんじゃなかろうか。
 しかしレビューや評価を調べれば調べる程、何れも一長一短というか、自分のニーズにガチッとハマる機種が見当たらないと分かってきてしまい、ちょい途方に暮れてたり。

 つーかADI-2 DAC FSのバッテリー駆動化に成功してしまったことで、尚更ハードル挙がってしまったのよねえ…
 ADI-2 DAC FSはD/Aコンバーターとして、USB入力以外にコアキシャル(RCA端子)とオプティカル(角型端子)の二種類のデジタル入力に対応しており、折角なら此等を活かせる光/同軸出力付きのDAPが良いな、なんて思ってしまったのだ。……それが運の尽きとも知らず。

 有志によって、比較的最近に発売されたDAPを大変綺麗にまとめた一覧表が作成されているのだが、それを見ると光/同軸出力機能を搭載したDAPは尽く高額なのだ。少なくとも30k以上はする。
 ……自分のような小市民からすると、コレならいっそヘッドフォンかイヤフォン買った方が良いのでは?、と思わざるを得ないというか。

 因みに現在の希望は、

・OSはAndroid/非Androidを問わず
・4.4mmバランスに対応、2.5mmはあっても構わないが基本は不要
・低能率オーバーヘッドでも(バランスを使えば)そこそこ鳴らせる駆動力
・バランスで10時間近く使えるバッテリー容量
・急速充電規格(QC or PD)に対応
・USB以外のデジタル出力(COAX or OPTICAL)に対応、出来れば3.5mmジャックで

 そしてカタログスペックだけ見てコレにピッタリ合致する機種は、安い方から、

・iBasso DX160
・FiiO M11(Pro)
・HiBy R6Pro(AL)
・Astell&Kern KANN ALPHA
・FiiO M15

 ――この辺。
 200kオーバーの超ハイエンドモデルは流石に省略。つーか最早無駄遣いやろ彼処迄行くと。

 KANN ALPHAとM15は、何と我がレファレンスであるADI-2 DAC FSよりも高額という、常人にはよく分からない領域に踏み込んだ代物。
 未発売のKANN ALPHAはさておき、M15はレビュー見るとかなり評価高いものの、やはり値が値なので気楽に手を出せるようなモノではない。

 では一番低価格なDX160はどうだ、と言う話だが、……どうもコイツ、「有線の音質」に極振りしまくったような塩梅らしくて、無線とか動作速度とか、その辺はイマイチっぽいのよなあ。総合的には手放しでオススメ出来る類じゃなさ気。
 M11(Pro)はDX160よりそこそこ値上がるだけあって概ね悪く無く見える。が、そもそもFiiO機には共通して「UIの作り込みが甘い」という割と致命的な欠点があり、ソレを解消するには現フラグシップのM15まで冒険する必要があるっぽい、という…
 そしてR6Pro(AL)。恐らく価格とスペック、更に音質まで含めたバランスはピカイチだと思うが、…………ついったや某掲示板辺りで検索すると散々出てくる「ノイズ」の三文字が痛過ぎる。特にバランス接続使用時と無線通信時が顕著らしい。当たり個体を引けばその限りではないらしいが、そんなリアルガチャとてもやってられんわい。ついでに代理店の評判が悪いのもマイナスポイント。

 まあAndroid DAPというカテゴリーそのものに関して言えば、「未だ過渡期の真っ只中なのでは?」という声があるくらいなので、性急に結論出すより落ち着いて成熟を待った方が損しないかもね。多機能ガジェットにはよくある話だが。

 ……正直、懐が許すならM15やKANN ALPHAに是非共手を出してみたい。希望全部叶ってるし音質も先ず間違いなく良いだろうし。……だが、やはりADI-2 DAC FSよりも高価いのはやり過ぎ感あってなあ……
 つーか海外メーカーはDAPの開発速度早過ぎるんよ! 今買ってもほんの数ヶ月後には希望にドンピシャでコスパも良い神機が出ないとも限らんとかバクチ過ぎるやろ! 何やねんこのリアルガチャ! そんで何なんだよアルミとかステンとか筐体の材質変えて音質変わるとかさあ! くそうコレが欲望の資本主義だというのか……!?(※錯乱中



 そうそう、最近面白いものを仕入れた。単純なスイッチが中間に入ったDCケーブルである。
 御値段、送料込で500円。
 前回の記事でADI-2 DAC FSのバッテリー駆動化を試したワケだが、その後ちょっと困ったことがある。モバイルバッテリーからADI-2 DAC FSへの給電を完全に止める手段が、ケーブルを抜く以外に無かったのだ。
 元々がACアダプタでコンセントに繋ぐ事を前提としているが故か、ADI-2 DAC FSは電源がオフでもスタンバイ状態ということで待機電力を食ってしまう。取説見る限り微々たる消費ではあるが、モバイルバッテリーから給電するなら微々たる消費でもしっかり遮断しておきたい。
 そこで仕入れたのがスイッチ付きDCケーブル。ADI-2 DAC FSとUSB PDトリガーケーブルの間にコレを挟むことで、物理的に電流を遮断出来る。接点が増えるというデメリットはあるものの、使い終わる度に一々バッテリーを外す手間を考えたら、明らかにメリットの方が上回っているだろう。うむ、良い買い物だった。

(※補足追記[201016]:
 端的に結論をぶっちゃけると効果ありませんでしたorz
 恐らくUSB PDトリガーケーブル(のType-C端子に組み込まれてるPDトリガーデバイス)をRP-PB201に挿した時点で、バッテリーからケーブルへの送電が始まってしまっているっぽい。スイッチ切って遮断した筈なのに満タン近かったはずのバッテリー容量が露骨に減っていた。
 なので結局、バッテリーの消耗を防ぐにはPDトリガーケーブルをバッテリーから抜いておくしかない、という……ちくしょー!)

2020/09/26

据置型HPA/DAC複合機雑感:RME ADI-2 DAC FS 其之弐

 めっちゃくちゃお気に入りのT60RPを横着した結果として露骨に傷付けさせて派手に凹んでいるのも束の間。
 必要なモノが全て揃ったので、ADI-2 DAC FSのトランスポータブル化を実験してみた。


<今回仕入れた物々>

・ADI-2 DAC FS
 前回参照。

・モバイルバッテリー
 後述するUSB PDトリガーケーブル(12V)の使用を前提に、12VのPD出力に対応したヤツを捜索。
 その結果、密林で「RAVPOWER RP-PB201」というモデルを購入した次第。12V/3Aに対応し、20000mAhで容量は申し分無し。

・USB充電器
 20000mAhクラスともなると既に保有しているモノではバッテリーの充電に相当時間掛かることは明白だったので、此方も新たに購入。バッテリーと同じRAVPOWERの「RP-PC133」をチョイス。
 GaN(窒化ガリウム)を用いることで高出力とコンパクトさを両立したモデル。PD出力に特化し更に高出力なRP-PC128とは少し迷ったが、値段的にも用途的にも必要十分はコッチだろうとRP-PC133を選択した。

・オーディオグレードUSBケーブル(USB Type-C to B)
 AP80 or PocophoneをADI-2 DAC FSと繋ぐためのケーブル。PCとの接続に使っているGT2 USBにOTGケーブルを噛ませるのも考えたが、接点は減らすべきだろうと思って購入を決断。
 んで、オーディオグレードのType-C to Bケーブルというかなりニッチな代物があることは一応知っていたものの、まあ出してるメーカーそんな多くないだろうなと思っていたら、案の定極僅かで苦笑。国内の正規流通品だとオヤイデとAudioQuest、そしてunibrainというメーカーからしか出ていなかった。
 AudioQuestは流石に高過ぎるので即却下し、オヤイデとunibrainのどちらにするかでちと悩んだが、unibrainは情報が少なすぎるというか微妙に胡散臭かったので、手堅くオヤイデを採用。「d+USB Type-C classB(1.0m)」を購入。

・USB PDトリガーケーブル
 USB PD出力から、特定の電圧を選択して引き出せる特殊ケーブル。端子形状はUSB Type-C to DC。メーカーは中国。
 ADI-2 DAC FSに付属するACアダプタの出力電圧と揃えるのが一番安牌だろうと考え、12V仕様をポチった。ググると某電気部品店が出てくるので見付けるのは容易。


 一番の核となるADI-2 DAC FSを除いて、御値段占めて17kオーバー。ADI-2 DAC FSのキャンペーン価格も含めると140k前後くらいか。
 …………明らかに当初想定していた出費(※Cayin N3 Pro:64k、SHANLING M6 Pro:92k。何方も純正ケース込)を大幅に超過している気がするが、此処迄来たら気にするだけ無駄であろうよ。(震声

 ……さて。
 全部揃ったところで、ADI-2 DAC FSからGT2 USBと付属ACアダプタを引っこ抜き、代わりにType-C to B USBケーブルとUSB PDトリガーケーブルを接続。更にAP80とモバイルバッテリーを繋いでみる。
 ADI-2 DAC FSはしっかりコンセントに挿したACアダプタを繋いでスタンバイ状態になっていると、電源ボタンの周囲が赤く光るようになっているのだが、モバイルバッテリーを繋ぐとしっかり赤く光ってくれた。ならば、と電源を入れてみる――――問題無く起動してくれた。おぉ…
 続いてAP80を起動。……USBオーディオインターフェイス、つまりADI-2 DAC FSをしっかり認識した。AP80のボリュームをハイゲインの最大値(100)まで引き上げ、ライブラリからDSD音源を選択してみた。


「――――おぉ…………しっかり鳴ってる…………(感無量」


 ADI-2 DAC FSのPHONES出力に繋ぎっ放しのT60RPから、何の異常も無くクリアな音が鳴っている。
 つまり――――実験は、大成功である。…………うおおおおおおおおお…………!!(語彙消失


 此処迄書いておいて言うのもアレだが、…………実を言うと、肝心の音の出方というか具合というか、その辺は未ださっぱり精査していなかったりする。(何
 ぶっちゃけ音が問題無く出てくれたことだけで感激しきってしまったというか……音はどうせ良いことに変わりはないだろうからそこまで気にするこっちゃ無いわというか……(ぇ

 それより。
 むしろ気になったのはモバイルバッテリーとAP80のバッテリーの減り具合の方。

 取り敢えず二時間を基準として見た感じ、モバイルバッテリーは1/4、AP80は凡そ1/5(20%前後)程減るっぽい。コレはDSD64(2.8MHz)を4時間程ぶっ続けで再生させていた際の消費なので、フォーマット如何ではもうちょっと伸びたり、逆に短くなることも十分考えられる。
 ってことは単純計算すると、20000mAhのバッテリーを繋ぐ場合、限界ギリギリを攻めるなら八時間、少し余裕保たせるなら七時間くらいは再生出来ると見て良いだろう。……ADI-2 DAC FSの音質考えれば十分過ぎる。むしろよくそんだけ再生出来るな、と思うべきだろう。コレ以上のトランスポータブル環境なんぞ考えるだけ野暮ってもんではなかろーか。

(※補足追記[201115]:
 後日、AliexpressでUSB-C端子に対応したUSBテスターを購入し、RP-PB201とトリガーケーブルの間に入れて電流電圧を計ってみた。
 電圧はトリガーケーブルの仕様通りほぼ12Vが出ているのに対して、電流は電源オンのアクティブ時で凡そ540mA前後、電源オフのスタンバイ時で凡そ15mA程度流れていた。
 また、ハイパワーモードのON/OFFで電流量が変化するか確認してみたが、見事に変化が無かった。どういうことなの…)

 尚、AP80の代わりにPocophoneを繋いでもしっかり使えた。但しDSDはネイティブではなくDoPに限るっぽい(※UAPPの場合)。
 以前の考察?を鑑みるに、USB-C to BケーブルはC側がホスト、B側がクライアントとして設定されてるっぽいですな。……B端子付いてる機器がホストなんて先ず有り得ないから当然っちゃ当然か。

 まあノイズとかを考慮すると、ADI-2 DAC FSに繋ぐならやはりスマホよりもDAPの方がなんぼかマシなんだろうなー。スマホはモバイル通信とか備わってる分だけノイジーだろうし。
 でもプレイリスト弄ったりするのはスマホ(というかAndroid OS)の方が圧倒的にやり易いんだよねえ。HiBy Link使えば多少はカバー出来るけど、アレってプレイリストの順番入れ替え不可っていう地味に面倒臭い欠点があるのよなあ。とは言えBluetoothで繋いだ独自OSのDAPの中身を、なんもかんも弄り回せるなんて流石に期待してなかったが…



 ちょいとコーヒーブレイク。
 今回買った物々の雑感を簡単に。

・RP-PB201(モバイルバッテリー)
 モバイルバッテリーは六年程前、未だ流行り始めの頃に買った10000mAhのモノを一つだけ持っているのだが、バッテリー容量に対しての体積が圧倒的にコンパクト化されていて舌を巻いた。技術の進歩ってのは恐ろしい…

・RP-PC133(USB充電器)
 Pocophone購入時に買った充電器よりも若干小さいサイズでよりぐーんと高出力化とかもう何が何だか。20000mAhをたった三時間で充電出来るんだからホント凄い。

d+USB Type-C classB(オーディオグレードUSBケーブル)
 写真で見た時は硬そうだなあと思っていたのだが、実際に触れてみると真逆で、非常に柔らかいもんだから面食らってしまった。平ぺったいきしめん型がその柔らかさを補っている感じ。しなやかで扱いやすい。
 端子が非常に挿しやすく、C側もB側もスルリと入るからちょっと驚かされた。正直、デジタルケーブルもといUSBケーブルによる音質の変化にはちと懐疑的なのだが、思った以上にモノが良さ気なので割と満足してたり。少なくともボトルネックにはならんと思えるクオリティ。
 当初は0.7mを買おうと思っていたのをやっぱ余裕欲しいと考え直して1.0mにしたが、実際そのくらいある方が取り回しやすかったので一安心。

USB PDトリガーケーブル
 特別安っぽくはないが、物凄く品質が高そうにも見えず。まあ用途とニーズ考えたら妥当な価格設定と言えるだろうか。
 因みにリンク先は自分が買った電気部品店ではなく、密林で見付かる同型品と思わしき商品のページ。Type-C端子に刻まれているメーカーロゴから見て、恐らく同じモノと考えられるが100%の保証は出来ないので御容赦。値段は電気部品店の方が一見安いものの、実際は送料込みだとトントンだったり。



 閑話休題。
 ADI-2 DAC FSについて考えたり思ったりしたことを箇条書きで簡単に。

結構発熱する
 使用中は思いの外熱を持ちやすいことが分かった。xDSD並。XD-05 PlusやHP-A3はそんなに発熱する方ではないので、768kHz/32bit対応機はこんなもんなのかなー、とか。

スペアナが楽しい
 fb2kもスキン弄ればスペアナは出せるが、「DACそのもの」の機能としてスペアナを表示出来るのが個人的にツボ。ついつい、音楽聞きながらADI-2 DAC FSの液晶をぼーっと見つめてしまう。お、今この辺の周波数出てるんだ~、みたいな。

・そういえば…
 ADI-2 DAC FSのDACチップってXD-05 Plusのソレと同じモノ(AK4493)使ってなかったっけ?、と今更気付いてしまったり。遅ぇよ!
 まあDACチップだけで音質決まる世界ではないだろうし、そういやそうだったっけ~、ってくらいの認識なのだが。実際全然鳴りっぷり違うしなあ…

・端子保護は大事
 モバイルバッテリーを密林で注文する際、一緒にADI-2 DAC FS背面のXLR端子とRCA・COAXIAL端子用の保護キャップを纏めて購入した。こーゆーのをほったらかしにしておくと金メッキがくすんでしまうのはHP-A3で経験済なので、さっさと手を打った次第。
 何せ保有機器では紛うこと無き最高額だしねえ……(遠目

サブスクは御得意じゃなさそう?
 ADI-2 DAC FSだけではなくてAmazon Music HD(以下AMHD)の問題でもあるかもだが、どうやらAMHDからADI-2 DAC FSへ出力する場合、ADI-2 DAC FSの実際の再生レートはデバイスドライバと共有モードの設定に完全依存してしまうらしい。
(デバイスドライバ設定と共有モード設定の関係だが、前者は上限値を定めているような感じで、後者はその上限値以下で実際の再生レートを設定するような趣となっている。但しデバイスドライバでADI-2 DAC FSのD/A変換上限である768kHzを設定すると、そもそもサウンドデバイスからADI-2 DAC FSが消失してしまう。正直この辺のロジックはよく分からん…)
 つまり、デバイスドライバと共有モードを384kHzに設定しているとAMHDで44.1kHzを再生しようが、96kHzや192kHzを再生しようが、出力時には必ず384kHzにアップサンプリングされてしまう。逆に設定を44.1kHzへ下げると、44.1kHzより高いレートのファイルを再生しても必ず44.1kHzにダウンサンプリングされてしまうのだ。えぇ……
 無論、PC+fb2kや、AP80、Pocophoneとの接続ではそんな現象は起こらない。さてこの差はなんじゃろな…と思っていた所、ついったで「ASIO出力以外でADI-2 DAC FSへ入力すると、画面に表示される再生レート表示の挙動がちょっと変?」という声を見付けて「嗚呼、成程…」と得心した。恐らく、ADI-2 DAC FSをAMHDで使用時の強制コンバートの原因は、AMHDのプログラムがASIO出力に対応していないことによるものなんだろう。
 一方、ASIO出力未対応のHP-A3(PCのM/Bから光入力)をAMHDで使用時に、96kHz配信されている曲と44.1kHz配信されている曲の再生レートを見てみたが、共有モード設定が96kHz/24bitでも44.1kHzの曲はアップサンプリングされていなかった。逆に共有モード設定を96kHz/24bitから落とすと、96kHzの曲が落としたレートへダウンサンプリングされていた。
 ……実を言うと、デバイスドライバと共有モードの設定についてADI-2 DAC FSには少々困った挙動が見付かっており、「fb2kで曲を再生時、曲のサンプリングレートが変わる度に共有モードの設定、というかサウンドデバイスとしての認識が若干変化している?」っぽいのだ。どういうことなの……(混乱
 そんなワケで、ADI-2 DAC FSでAMHDを使うのはちょっと面倒臭そうだ、と。やはり元々が入力出力の何方も出来る「USBオーディオインターフェイス」故に、HP-A3のような極々フツーのUSB-DACとはPCからの認識等が色々と異なる、ってことを実感させられた次第。成程ねえ…



 とまあ今回はこんなもんで。また音質とか聴き比べとか実施したらその都度纏めようかと。
 あ゛ぁ゛~、早うDT1990PROをADI-2 DAC FSで鳴らしてみたいんじゃ~…

2020/09/21

据置型HPA/DAC複合機雑感:RME ADI-2 DAC FS ファーストインプレッション


 DT1990PRO(※未到着)から始まった、臨時収入による散財の第二弾。
 当初は真空管内蔵DAP or サブスクに完全対応したAndroidDAPのハズが、何時の間にか据え置き機の導入になって出費が大幅増しになるという…

 ……何はともあれ。
 ヘッドフォンやイヤフォンに凝り始めた頃に買ったHP-A3以来となる、久々の据え置き機である。しかも御値段は怒涛の六桁。ワクワクしないわけがない。
 休日の午前に受け取って早々箱出しし、事前に接点復活剤で端子をメンテしておいたオーディオグレードUSBケーブル「FURUTECH GT2 USB(1.2m)」を用いて、専用ドライバインストール済のデスクトップPCとADI-2 DAC FSを接続。foobar2000でASIO出力してみた。
 出力先にはリファレンスとして重用しているT60RPを選択。設定はハイパワーモードをONに。イコライザやラウドネス、クロスフィード等は一切未使用。


――――――――ぇ、何コレすっご…………(震声


 ……もうホント只管良い意味で兎に角滅茶苦茶びっくりした。今まで聴いてた音は何だったの????、というか。
 数曲聞き終わった頃には顔のニヤけと背筋のゾクゾク感が止まりませんでしたよええもう。我ながら気持ち悪いこと限りないけれども。

 XD-05 Plus(with MUSES03*2)とT60RPも中々の鳴り心地だとは思うが、……流石に相手が悪過ぎる。ADI-2 DAC FSは次元違いと言って過言ではないクオリティだった。
 何と言っても解像感と分離感が異常。ディテール感凄まじ過ぎ。音楽の中の要素としての「音」の一つ一つを、余りにも簡単に捉えられて正直頭が混乱した。確かにコレなら、プロ仕様のAD/DA機器をベースにリスニング用途に最適化した、という設計思想にも合点がいく。モニターサウンドってのはこういうコトか…
 表現力も流石の一言。迫力ある音から繊細な音までしっかり描き分けてくれる。この辺はハイレゾ音源以上に44.1kHz/16bitの一般的なCD音源だと差を感じやすいかもしれない。「この音源ってこんなに情報多かったっけ……??」ってコトがしばしば。RME謹製のフェムト秒精度クロックが成せる技なのだろうか?
 ……なんつーか、XD-05 PlusはT60RPのスペックを十全に発揮出来ていなかったんだな、と痛感させられた。まあXD-05 PlusとADI-2 DAC FSの価格差考えたら当たり前っちゃ当たり前なのだが…

 他に驚いた点として、音量調整の細かさにむっちゃ感心させられた。ギャングエラーを一切出さずに極小から極大までスムーズにボリュームを弄れることが此程気楽とは! その上リモコンでも調整可能とか豪華過ぎじゃねコレ??
 更にノイズ。「はァ? そんなもんウチにゃねぇよ」と言わんばかりの静けさが良い。試しにIEMの個人的リファレンスであるWestone4RをIEM出力に挿してみたが、完全に背景真っ黒。まあW4Rは特別敏感なイヤフォンじゃないので参考にならんかもしれんが、説明書でIEM出力について書かれたトコ読むと、高感度で有名なCampfire AudioのANDROMEDAに触れてるくらいなので、恐らく問題は無かろうて。
 複数の出力(Line・Phones・IEM)を同時に使えるのも地味に有難い。特にPhonesとIEM。流石に音量調整はそれぞれ別に出来ないものの、比較試聴での挿し替えや、鳴らし込みを複数台行う際の手間を省けるので。こういうトコはやはり出力に余裕がある据え置き機ならではですな。
 そして今更だが――――すんごくコンパクト。HP-A3を横に二台並べたくらいの大きさしか無い。A4どころかB5ノートより小さいとかどういうことなの……それでいてこの音質とか、まさに「ドイツの技術力は世界一ィィィ!」と言うべきか。

 強いて難点を挙げるとすれば、元がプロフェッショナルユースの多機能な機器故に、弄れる設定項目が非常に多くその辺の把握がかなり大変なこと。操作はアレコレとカチカチやってる間にすんなり体得出来たが、流石に全設定項目の詳細を一つ一つしっかり把握するのは骨が折れそう。
 尤も、基本的にはUSB挿して電源入れてヘッドフォンやイヤフォン繋いで、プレイヤーで出力デバイスちゃんと定めた上で曲再生すればフツーに使えてしまうのだが。そこはHP-A3と同じである。

 fb2kを使う際の注意点として、ASIO出力用のコンポーネントは「foo_out_asio2」ではなくて「foo_out_asio」をオススメする。海外のフォーラムでアップされてる方ではなく、fb2k公式から落とせる旧い方である。
 当初、更新日時が新しいという理由でfoo_out_asio2を使っていたのだが、曲が切り替わる際にサンプリングレートが異なっていると、何故かノイズ混じりのスロー or 早回し再生と化す異変に遭遇し「え゛、初期不良!?」と滅茶苦茶焦らされた。DAC側の設定がおかしいのかと思って説明書片手に設定を色々と弄り回したものの、結局原因っぽいモノは見当たらず、では逆にこっち(PC側)か、と試しにfb2kの設定からfoo_out_asioを選択し直してみると、異変はすっかり治まってくれた。ほっ…
(……恐らく、foo_out_asio2もレイテンシー等の細かい設定をしっかり定めれば問題無いのだろうが、生憎とその辺詳しい知識無いのでパスした次第)


 現在、モバイルバッテリーを利用したトランスポータブル化を実行するべく、必要な物資を方々に発注して到着を待ちに入ってたり。……昨日今日届いて音出ししたばっかなのに最早ソレを試みるのはちと拙速じゃなぁい?、と我ながら思わないでもないが、余りの音の良さに「コレをトランスポータブルで何処でも使えたら面白いじゃん!? 面白いって絶対!!」と気が逸ってしまったと言うか…
 実際、ADI-2 DAC FSは持ち運びを全く考えられない程の体積・重量ではなく、むしろすっぽり収まる耐衝撃ケースの類でもあれば容易く旅行先へ持って行ける程度なのよなあ。だから人によってはトランスポータブルを真剣に考慮する価値、あるのではなかろーか。
 因みに自分は家の中でならやらないでもない。外は値段的に却下。こんな高価いもん外に持ち出すとか恐過ぎるわ!?(ぇ

2020/09/16

雑記

 のっけからで何だが。

 臨時収入でADI-2 DAC FSも、買 い ま し た 。


 …………とうとうやってしまった大型出費。まさかの六桁オーバー。
 しかしサブスク要らんDAPの追加要らん(※前回の雑記を参照)となると、据え置きのリファレンスに投資するのが最善だと思ったのだ。……臨時収入って(ry
 因みに案の定未だ届いていない。しかしDT1990PROと違って今月末には来るっぽい。ASAPで頼むぜbeyerdynamic…

 そんで現在、ADI-2 DAC FSをバッテリー駆動でトランスポータブル化するための方策を考え中の巻。12V/3AのPD出力に対応した20000mAhクラスのモバイルバッテリーに、ついったで運良く知ることが出来た、電子部品店で購入可能な「USB PDトリガーケーブル(※)」の12V仕様を組み合わせてやろうと。
(※USB PD出力から特定の電圧を引き出すことの出来るケーブル。端子形状は「USB Type-C to DC」)
 ……実は当初、付属ACアダプタの12V/2Aを丁度満たせるモバイルバッテリーを必死こいて探していたのだが見付からず、最新規格でメジャーな12V/3Aで妥協するか…、なんて肩を落としていたのだが――――結論から言うと、ほぼ完全に杞憂だった。えぇ…

 そもそもRMEの公式フォーラムで何と創業者自ら「ADI-2のバッテリー駆動は良いぞ!」というトピックを立てていたのだが、そこでADI-2 Proへの電力供給用に使われていたのは「モバイルバッテリーの12V/4A DC出力」。ぇ゛、2Aじゃなくていいのソレ?!
 更に「ADI-2 Proのバッテリー駆動と付属ACアダプタ駆動、どっちがより良いか?」を実際に実験した人のブログのURLがフォーラムに貼られていて、行ってみると使っていたのは12V/3Aだった。…………2Aに拘っていた自分って一体……orz
 後々、国内の某有名電子部品店のページでACアダプタについて解説しているのを読んで分かったが、どうやら自分が想定していたケースだと重要なのは電圧の方で、電流はあんまり関係無いらしい。……思ったよりもファジーなんだな電子回路の世界って……

 更に、公式フォーラムでADI-2 DAC FSのソースにAndroidやDAPを使えるか探ってみたのだが、どうやら幸運にも使えるらしいので、

・AP80→(USB-C to Bケーブル→)ADI-2 DAC FS(with バッテリー駆動)→ヘッドフォン or IEM
 +HiBy LinkでAP80をPocophone F1から操作
  +ADI-2 DAC FSを付属のリモコンで操作

 ――という「手元で再生から音量まで操作出来る環境」が最終的には構築出来るか!?、と悪巧みしていたり。気分は「何処でもパーソナルリスニングルーム」。
 いやぁ夢が膨らみますねえ……!(恍惚顔

2020/09/06

雑記

 のっけからで何だが。

 臨時収入でDT1990PRO、買 い ま し た 。


 …………まあ、尤もブツ自体は手元に無いんだけどね。発注掛けたのが代理店で「取り寄せ(※納期未定)」の時だったし。さていつ触れるのやら…
 その代わりと言ってはアレだが、税込50k以下で注文出来た。かなり底値に近い額だと思うので、思い切ってIYHしてしまったのである。臨時収入って恐い……(黒笑

 尚、臨時収入がそこそこの額だったため、DT1990PRO以外にも何か買ってやろうかしらんと画策したり逡巡したり。
 具体的に言うとDAP。「SHANLING M6 Pro」と「Cayin N3 Pro」。

 M6 Proは以前発売前にちょこっと取り上げたが、所謂流行りのAndroid DAPである。OSにAndroidを用いることでAmazon Music HDのようなサブスクリプション方式の音楽配信サービスをフルに楽しめるようになっている。
 一方N3 Proは独自OS(恐らくHiBy OSベース)を採用した一見普通のDAP。が、本機のユニークな点は「真空管」を載っけていること。それもNutubeのような最新式のものではなく、ビンテージものの真空管を積んでいるという変わり種。

 臨時収入的にはこの二つを纏めて買っても何とかなりはするが、流石にそれは幾ら何でも無駄使いし過ぎ、ということでどちらか一方に絞ろうと思っているのだが、コレが中々難しい。
 現状、N3 Proに少し気持ちが傾いているが、しかしM6 Proも捨て難く…

 そもそも、サブスクリプション方式の音楽配信サービスが果たして自分の音楽鑑賞に対するスタンスと合致しているか否か、と言う問題がありまして。
 元々「アニメ、ドラマ、ゲーム等で聞いた事のある楽曲」をメインに音楽を楽しんでいる身で、コレは裏を返せば「未経験の音楽への興味が薄い」コトに繋がる。別な切り口で表現すると「歌手や作曲者繋がりで音楽を開拓しない」のだ。我ながら「お、この歌イイねえ。同じ歌手の別の曲も聞いてみっか!」という心理にならないのである。
 サブスクは「音楽鑑賞に於ける興味の幅を常日頃からアップデートすることに貪欲」な人程オトクになっていくと思うので、故にその辺自分と致命的に合わないのではなかろうか、という懸念がどーしても拭えないのである。実際にAmazon Music HDをお試し価格払ってサービスを使用して、余計に強くそう感じてしまった。

 サブスクを使わなくても良いとなると、ぶっちゃけM6 Proを選ぶメリットは一気に薄くなる。むしろ真空管サウンドを体験出来るN3 Proの方が面白味が強かろう。
 ただ、M6 Proはサブスク抜きでも割と良い作りをしているっぽく、M6 Proでサブスクのフル活用が出来るようになったならソレはソレで結局そこそこ使い込むようになるのではないか、と思ったりもするわけで。
 う~む、悩ましい…

 他、N3 Proに惹かれる点として「真空管増幅は3.5mmシングルエンドでのみ有効」である事が挙げられる。N3 Proは4.4mmバランス接続に対応し最大で800mW/32ohmまで出力出来るのだが、こっちでは真空管が動作しないのだ。
 コレはむしろ、バランス接続対応機器を全く保有していない自分にとっては大変好都合で、新型DAPの導入に際してわざわざバランス接続用ケーブルを買いに走る手間が省ける。まあどの道4.4mmバランスケーブルは一本くらい買う羽目になるだろうが、それでもN3 Proの「真空管サウンド」というユニークさを享受する上でケーブルの買い増しを意識しなくても良いのは有難い限り。


 う~~~~~む、頭の中の葛藤を文章として出力すればする程、Cayin N3 Proが魅力的に思えて欲しくなってくると言うか…
 M6 Proの最大の強みである「サブスク(特にAmazon Music HD)完全対応」って部分が自分とミスマッチしてるとなると、N3 Proの真空管サウンドに俄然興味湧いちゃうのよなあ。

 ただ、ポータブルプレーヤーは今の所AP80で特に不満を感じてないのも事実であって。
 幾ら未だ体験したことがない真空管サウンドと言えども、その為に60kを出すのは中々ねえ…

 因みに最近の組み合わせは、

・Pocophone F1→(LDAC音質優先→)XD-05 Plus(with MUSES03*2+05BL Pro)→T60RP
・AP80→(iFI純正Type-C OTGケーブル→)xDSD→AZLA MK2

 …って感じ。
 まー最近の買い物をフル活用するとこういうカタチに落ち着かざるを得ないのよな。AZLA MK2はXD-05 Plus相手じゃ音量取れすぎるだろうし。

 一応、何だかんだ言って上流系は現状で概ね満たされてる感あるから、M6 ProにしろN3 Proにしろ、買うっつってももーちょい後の話かね。そもそも大本命であるDT1990PROが未だ届いてないしな…
 つーかむしろ上流に投資するより、密閉型オーバーヘッドのイイのを一つ探した方が良いまである。気が付けばオーバーヘッドは開放型ばっかになっちまったからねえ。


 ところで。
 そういやT60RPをxDSDに繋いで聞いたこと無かったなーと思い、T60RPを被ったまんまxDSDとXD-05 Plusを取っ替え引っ替えしてみたのだが、

「…………まさかxDSDでLEDが赤になる直前までボリューム捻る羽目になるとは」

 ……思った以上に出力の差を思い知る羽目になってちょっとびっくり。XD-05 Plusのゲイン小で1時~2時辺りと、xDSDの音量色が赤に変わる少し手前(90%前後)で大体同じ音量、と言えばXD-05 Plusの余裕が分かるだろうか。ひぇぇ…
 当初、T60RPをxDSDに挿してAZLA MK2使ってる時の音量でそのまま鳴らし始めたら音が小さいのなんのって。やっぱりT60RPって鳴らしにくい類の機種なんだなあと実感させられた。

 尚、音色の違いに関しては以前と同じ感想。xDSDはボーカル辺り(中域)がフォーカスされ、XD-05 Plus(with MUSES03*2)は背景の音(高域と低域)が明確。解像感や分離感という点では後者に分があるものの、前者は前者で音楽のオイシイ部分を集中的に楽しめるんで存外悪くない。何よりイヤフォンを丁度良い音量で鳴らしやすいからXD-05 Plusとは使い分けが利く。バッテリー少ないから充電頻度高めなのは玉に瑕だが。



※以下から追記[200912]:

 今度はAZLA MK2をXD-05 Plus(with MUSES03*2)で鳴らしてみた。
 ので、簡単にレポ。

 先ずは無音時のノイズについてだが、…………ぶっちゃけxDSDよりも小さいってどういうことなん????(困惑
 ゲイン小ならボリュームを最大付近まで捻ってようやく「ジーッ…」というノイズ音が若干聞こえる程度。個人的には無視出来るレベルだった。あれまあ…

 その代わり音量の取れ方はかなり極端。
 スイッチを入れただけで全くボリュームノブを捻っていない状態でも、再生中の曲の音が若干、僅か透けて漏れるように聞こえている。んで、ノブを九時辺りまで捻ると次第に右側から本格的に音が聞こえ始める。
 ……と、思ったのも束の間。十時に達するくらいでいきなりワッと音が大きくなってびっくりさせられる。ついでにギャングエラーが解消されるのもこの辺だったり。
 但しのっけから爆音化するワケではなく、AZLA MK2の場合はマトモなリスニング音量に達する辺りで丁度ギャングエラーも無くなる、って塩梅。

 纏めると「別にIEMでも使えない事は無い」。
 確かに音量の取れ方は少々アレだが、案の定xDSDよりクリアで鮮度の良い鳴り方をしてくれるから聞いていて面白い。スッキリしているが軽くはなく、高域から低域までハキハキ鳴らしてくれるのが好印象。やっぱ音色としてはこっちの方が好みかねえ。
 ……………………xDSDの存在価値、危うくなぁい?(遠目


 尚、上述した臨時収入によるDT1990PROに続く買い物、現在はちと方針を転換中。DAPではなく――――据え置き用機器を買ってしまおうかと画策していたり。
 具体的に言うと、独RMEのヘッドフォンアンプ兼D/Aコンバーター「ADI-2 DAC FS」。お値段、実に128k。…………N3 Proの二倍くらいありませんかねえ…………(しろめ

 と言うのも、

<SHANLING M6 Pro>
・そもそもサブスクが自分のリスニングスタイルに合っていない
・Android DAPはOSにAndroidを使ってるのもあって未だ発展途上な気がする

<Cayin N3 Pro>
・ついった等で反応を見ていると今の所UIがイマイチっぽい
・真空管の寿命は30000~50000時間とのことだが、やはり不安

 ……こういう懸念がありまして。

 また、現在愛用中のXD-05 PlusはPHPAとしてはかなりの出力を持っているものの、やはりあくまでも「ポータブル」機器である。現状、トランスポータブルな環境を更に追加する必要が薄いと言うなら、むしろ据え置き環境に投資した方がマシなのではないか、と思った次第。

 ADI-2 DAC FSに注目した理由は以下の通り。

・RMEはプロ用のDA/AD機器を製造しているメーカーであり、フラットでニュートラルな鳴りを期待出来る
・PCM768/DSD256まで対応し、アンバランスのフォンアウトで最大1.5Wの出力という高スペック
・6.3mm以外にIEM(要はイヤフォン)用の3.5mm端子を用意してあり、低能率ヘッドフォンから高感度イヤフォンまで幅広く対応している
・ヘッドフォン用のバランス出力を省いた潔さ

 特に規格乱立著しいヘッドフォン用バランス出力を思い切って省略し、代わりにしっかり出力を調整したIEM用端子を載っけた辺りは構成が上手いな、と。
 製品の解説読むと兎に角ノイズやジッターの排除に腐心していることがよく分かるので、コレならバランス出力なんぞ無くとも十分良い音だろうと思ったのである。

 ただ一つ気になるのは、

・デジタルボリュームを採用する都合上、フォンアウトではDSDネイティブ再生に対応していない

 ……コレがかなりのネック。

 背面のバランス(XLR*2)/アンバランス(RCA)ライン出力ではDSDネイティブ再生可能なのだが、正面の6.3mm/3.5mmフォンアウトではDSDネイティブではなくPCM変換で再生してしまうらしい。
 前身であるADI-2 Proの解説を読むに、DSDネイティブ再生とデジタルボリュームによる音量調整は両立しないようで、ADI-2 DAC FSをヘッドフォンアンプとして使用する限り、DSDネイティブ再生は出来ないっぽい。コレは何とも痛い。

 その後自分でDSDのPCM変換やデジタルボリュームについて調べたが、…………正直、調べれば調べただけ「フォンアウトではDSDネイティブ再生不可」をどう捉えるべきか迷う羽目になっていたり。
 海外レビューでは「DSDをPCM変換して再生したが、音質が良いことに変わりはない」とあり、基本的に「フォンアウトではDSDネイティブ再生不可」という点を気にしている声が国内外共に少ないのだ。
 そもそもADI-2 DAC FSは出自や設計思想からして「D/Aコンバーター」であり、オーディオ機器としての「ヘッドフォンアンプ」とは趣の異なる代物である。それはボリュームにデジタルボリュームを採用していることからも明らかだろう。それこそ後者であればアナログボリュームを採用するはずである。
 しかし、此程「ヘッドフォンアンプとして」高評価を受けている製品が、「デジタルボリュームではビット落ちが云々~」という余りにも分かりやすい欠点を全く考慮していないとも思えない。更に超低ノイズ出力のIEM用端子を搭載するという強みもあり、「DSDネイティブ再生の可不可」だけで製品の是非を決めてしまうのは余りに勿体無いと言うか…

 丁度現在、Stay Homeキャンペーンということで本来なら160kオーバーするはずのモノが130k弱で買えるので、出来ればキャンペーンが有効な年内に結論を出してしまいたいところだが……悩ましいのぅ…………(懊悩

(※補足追記[200913]:
 RMEの日本代理店(シンタックスジャパン)ではなく本国の公式HPからADI-2 DACのマニュアル(英語)を見ることが出来たので、DSDの扱いやデジタルボリュームについて書かれている部分をじっくり読み込んでみた。
 どうやら、RMEはデジタルボリュームの採用に絶対の自信がある御様子。特に歪みやノイズを徹底的に抑えるにはデジタルボリュームの方がポテンショメータを利用したアナログボリュームより優れている、って考えっぽい。また、アナログ抵抗をデジタル制御するタイプのボリューム(xDSDみたいなタイプ?)も、やはり歪みやダイナミクスの点でデジタルボリューム程のモノにはならない、だそうな。
 他、ギャングエラーやクロストーク、最適な音量の設定範囲等、色々なトコでデジタルボリュームにするメリットが勝っている、というのがRMEの見解っぽい。

 ……んで、一通り解説を読み込んで、改めて決めた。
 DT1990PROに続く買い物はADI-2 DAC FSにしよう、と。

 高級HPA/DAC複合機の中にはADI-2 DAC FSの1500mW/32ohmよりも格段に出力高い機種もあるが、個人的にはADI-2 DAC FSの「D/Aコンバーター」としての設計思想にちょいと惹かれるものを感じた。デジタルボリュームによる、ノイズや歪み、クロストーク等の徹底排除、って辺りとか特に。
 また、低能率オーバーヘッドから高感度IEMまで幅広くそのメリットを享受出来るというのは、パーソナルリスニングを嗜んでいる者としては大変有難い。プロ用機器譲りのフラットでニュートラルな音なら尚更である。
 更に、…………コレは裏技っぽい手法(と言っても実は取説で推奨されている)だが、12Vの出力があればモバイルバッテリーでも駆動できるらしい。つまり――――何とこのクラスの製品でトランスポータブルが可能なのである! マジかよ! 嘘やろ!?(歓喜
 幸い、上述した通り2021年1月末迄であればStay Homeキャンペーンで平時よりかなり値打ちになっている(本来なら160kクラスの製品である)ので、DSDネイティブ再生や駆動力不足が気になってしまうなら浮いた分でいっそ単体アンプを買い足すという選択も取り得る。実はDropのTHX AAA 789アンプとかやたら安くて良さそうだなーとか思ってたり。アレめっちゃ出力高いしバランス対応してるし。評判も良いしね。

 そんなこんなで、在庫が復活したらどっかで注文してやろうと画策中。
 当初よりも出費がむっちゃ増えてる気がするが気にしない。…………気にしたら負けである。(震声))

2020/07/21

AndroidとPHPAとOTGケーブルの試行錯誤やら考察とか

 つい先日、密林でケーブルを一つ買った。


 エレコムのUSB-C to C USB2.0ケーブルである。

 以前、PocophoneとXD-05 Plusの有線接続用にOTGケーブルを探して、アイネックスの「U20CC-LL01T」という両端Type-Cのホストケーブルを買った。しかしPocophoneどころかAP80でも使えないという結果に終わり、それ以降もケーブルを探す中で、一つの可能性に期待したのだ。

 つまり――「USB-IF認証済」であるかどうか。

 USB-OTG規格それ自体、USB-IFが定めたものであることから、USB-IF認証が取れていればOTG規格もクリアしているのではないか、という考えに至ったのである。
 上記したエレコムの両端Type-CケーブルはUSB-IF認証をパスしており、密林を見ると、一つ前の型番だが「スマホとFiiOのBTR5を繋ぐことに成功した」というレビューがあったので、コレならイケる!、と思った次第。


 さて結果は――――――――ダメでした。_| ̄|○ il||li


 やっぱダメだった。PocophoneもAP80もXD-05 Plusを全く認識せず、ものの試しとDACモードにしたAP80とPocophoneを繋いでもみたがうんともすんとも言わない。

 じゃあもういっそLT-TC1買い足すか某店ならポイント値引きでタダに出来るし……、と一瞬ヤケになりかけた所で、xDSDとAP80のペア――厳密に言えば、その二つを結んでいるCオス-AメスのOTGケーブルが目に入った。

「…………よく考えたら、所謂典型的なOTGケーブルの使い方って、

 『スマホ(ホスト端末)→OTGケーブル(C/microオス-Aメス)→USBケーブル(Aオス-C/microオス)→クライアント端末』

 ――って感じだよな?」

 自分はこれまでケーブル一本による直結をずっと試行していたので、「OTGケーブルを噛ませてUSBケーブルの延長ないしは端子変換を行う」という、「リピーターケーブル」的な運用は試したことがなかった。
 だが、iPhoneなんかはUSB-DACを繋ぐ際に「Lightning - USBカメラアダプタ(※所謂「カメラコネクションキット」)」を挟むのが割とフツーだったはず。実用性は兎も角、少なくともコレで相性というか、動作検証的な事は出来るんじゃないか?、と思ったのだ。

 幸い、その為に必要なケーブル類は一通り揃っている。
 そんなワケで、PocophoneとPHPAの接続試験を、ちょいと一捻りしてやってみた。


<Pocophone to XD-05 Plus>

・ホスト:Pocophone F1
・OTGケーブル:Cオス-Aメス、USB2.0(※AudioQuest DragonTail)
・USBケーブル:Aオス-Cオス、USB3.1(Gen2)対応、USB-IF認証済
・クライアント:XD-05 Plus

・結果:
 XD-05 Plusをしっかり認識。UAPPでDSD5.6MHzのネイティブ再生に成功。


<Pocophone to xDSD>

・ホスト:Pocophone F1
・OTGケーブル:Cオス-Aメス、USB3.0(※iFI純正OTGケーブル)
・USBケーブル:Aオス-Aメス、USB3.0延長ケーブル
・クライアント:xDSD

・結果:
 xDSDを認識するものの、UAPPでは一切音が出ない。PCMもダメ。尚、画面上に於いてDSD5.6MHzは88.2kHzへダウンコンバートされていた。
 一方、NeutronはPCMであれば音が出ており、96kHz/24bitまでダウンコンバートされずに再生を確認した。DSDは少なくとも画面上に於いてダウンコンバートされた様子は無かったものの、音が出なかった。


 ……と、まあ概ねこんな感じ。
 大事なのは、XD-05 PlusもxDSDも、USBケーブルを用いてデスクトップPCに繋ぐと十全に機能を発揮出来るというコト。その点を踏まえると、やはりPocophoneとxDSDは相性がかなり悪いと言わざるを得ない。

 また、OTGケーブルは「方向性」がかなり重要な気がする。
 ケーブルを探していた時に、OTG規格そのものの技術的な解説を幾つか見付けて目を通したのだが、両端Type-CのケーブルでOTGを実装する場合は回路設計?がややこしいっぽい。両端がそれぞれ異なる端子であれば、一方をホスト用、もう一方をクライアント用に割り当てて「方向性」を与えてしまうとシンプルなのだが、両端が同端子ではそうもいかず、チップセット等によるホストとクライアントの識別処理が必要になるらしい。
 FiiOのLT-TC1が良い例だが、アレはケーブルに方向性を与えているおかげで「Pocophone - XD-05 Plus」の接続がしっかり成立出来る。その点、前述の「U20CC-LL01T」やエレコムのケーブルは方向性が無い故に接続が上手く行かなかったのではないか?、と。

 尤もソレならソレで、
「じゃあXD-05 Plusに付属する両端Type-CかつL字端子のOTGケーブルで、どちらの端子を繋いでも接続が成立する(=方向性が無い)のは何でなんや????」
 ……という疑問が出てくるのだが。まあコレは当のメーカーなら製品に最適なケーブルの仕様を知ってて当然だし、そもそも付属品が全く使えなかったらマジで洒落にならんけど…
 その辺、情報機器の回路設計に詳しい人なら付属ケーブルの端子の殻割って解析すりゃ詳細分かるんかなあ。誰か人柱オナシャス!

 Cオス-AメスのOTGケーブルはCオスにホスト、Aメスにクライアントを割り当てているのだろうが、先の接続試験を鑑みるに、Aメス端子にUSBケーブルを挿して延長したり端子変換しても、Aメス側のクライアント属性が消えたりはしないっぽい? 或いは、そもそもAオス端子が付いてるUSBケーブルの場合、そっち側が基本的にホストとして認識されるのだろうか? 正直、技術的な詳細は全く分からんのでどう表現すりゃいいか分からん…

 取り敢えず言えるのは、

・OTG対応を謳ってないとXD-05 PlusとPocophoneの接続は出来ない
 (→エレコムのケーブル)
・OTG対応を謳っててもケーブルの仕様如何ではやっぱり出来ない
 (→U20CC-LL01T)
・OTGは方向性が大事っぽいが、それも結局はケーブルの仕様次第?
 (→XD-05 Plus付属ケーブル)
・xDSDはPocophoneと相性悪い

 ……この四点くらいか。
 チクショウ何も分かってないようなもんじゃねえか!(頭痛

 因みにOTG規格の技術的な詳細が書かれてたのはこれらのページ。
 特に最初んトコは大変興味深い内容だった。

 ttps://lab.fujiele.co.jp/articles/9418/
 ttps://www.uquest.co.jp/embedded/3minutes/3otg.html

 いやはや、コンピューターってのは奥が深いねえ……(遠目

2020/07/12

イヤフォン雑感:AZLA MK2 (AZLA-02R) ファーストインプレッション

 最近、巷で「AZLA SednaEarfit XELASTEC」なるイヤーピースが人気らしい。ドイツ製の高品位TPE(熱可塑性エラストマー)を使用しており、耳の中で形が変わってぴったりフィットするんだとか。
 このAZLAというメーカー、「SednaEarfit」というシリーズで他にも多種多様なシリコン製イヤーピースを販売しており、かく言う自分もSednaEarfitの無印M/MLサイズを購入して使用中だったり。しっかりした装着感が中々にベネ。

 ここまで読むと「AZLAはイヤーピース専門のメーカーなの?」と思うかもしれないが、それは間違いである。日本国内の正規代理店であるアユートのHPを見てもらえば分かるが、AZLAの販売ラインアップにはちゃんとイヤフォンが並んでいる。
 ……しかし悲しいかな、ユーザーの間では既に「AZLAと言えばイヤーピース」というイメージが定着してしまっているのが実情。何故そんな事になってしまったのか?

 …………恐らくは、その原因となってしまったイヤフォン(のマイナーチェンジ版)が、今回紹介する「AZLA MK2 (AZLA-02R)」である。


 AZLAは元々韓国のメーカーで、数年前に鳴り物入りで日本へ乗り込んできた際は「AZLA (AZLA-01R)」という正にブランド名そのものを冠したイヤフォンを引っ提げていた。
 ……が、このAZLA-01Rが大変なクセモノで、

「……音は良いのだが、如何せん装着感が…………」

 ……と、何とも微妙な評価を食らってしまい、ちょっとコケてしまったっぽいのだ。

 詳しいことは軽くググればすぐ分かるが、「同軸ハイブリッドドライバー」「有名メーカーとコラボしたケーブル」など、結構セールスポイントはあった。
 だがそれでも、こういう音響機器に絶対欠かせない「装着性」があんまり宜しくないのは流石に拙かった。終いには、ケーブルだけ取って本体は売却する、なんて悲惨な状況になっていたとか…

 そんなAZLA-01Rだが、後にケーブルやステムのフィルタ、付属するイヤーピース等に少しマイナーチェンジを加えたバージョンが販売された。それが「AZLA MK2 (AZLA-02R)」で、今回自分が買ってしまった機種である。
 ……XD-05 PlusやT60RP買ったばっかなのにこの期に及んで何をまた衝動買いやらかしてんだ、と我ながら自己嫌悪モノではあるが、まあちょっと言い訳がありまして。

 というのも、先述のXELASTECがオーオタ界隈で話題になっていた折、ひょんな事からAZLA-02Rが某有名オーディオ店で在庫処分の格安価格で捌けているのを偶然目撃してしまったのだ。
 AZLA-01Rは当初45k前後で発売されたのに対し、AZLA-02Rはそれより10k程値下げして発売開始。では本記事記述時点での価格はと言うと、


 ――――僅か、たったの12.8kである。


 なんともはや、最早大暴落でしか無い。哀れというか、何というか……

(※補足追記[200830]:
 その後更に値下がった(12.8k9.98k)模様。えぇ…………
 此処迄来るとコスパは非常に良いと思うので、余裕が有る方は是非買ってあげよう!(慈悲の心))


 ……まあそんな感じで、大安売りしていたのを良いコトに、ちょっと怖いもの見たさでつい注文してしまったのである。まる。
 お財布の中身は如何程ですか……?(死魚目



 さて。
 今回は音質の前に、装着感について先に言及しようかと。


 率直に言わせて貰おう――――――――かなりシビアで面倒臭い。


 考えられる一番の原因は、筐体のサイズが大きく、それでいて外耳孔周辺に最適化された形状をしていないこと。そのせいで、筐体が上手く耳に嵌まらないのだ。
 こうなると頼みの綱はイヤーピースをしっかり耳にフィットさせることだが、…………かつてのAZLA-01Rの場合、よりによって何の取り柄も無さそうなフツーの半透明シリコン製イヤピしか付属していなかったのが拙すぎた。上手く密閉出来ないと音がスッカスカになってしまうのに、山とあるサード品から最適なイヤピを見つけ出すことを強いられる……そりゃ、客が離れるのも致し方無いっつーか。さもありなん。

 一方、AZLA-02Rには前述した「SednaEarfit」の無印が付属するようになっている。デフォはMサイズ。取り敢えずそのまま着けてみるが――――ダメ。全然キチッと嵌らん。密閉出来ん。普段ならMサイズ辺りで全く問題ないんだがねえ…
 そこで以前購入していたSednaEarfit無印のMLサイズへ交換。着用してみると――――良い具合に外音が遮断されて、筐体がポロリしそうな感じが無くなった。お? おお? コレ上手くいったんじゃね?
 着用時だが、先ず最初はケーブルのコネクタ部を真正面に向けると良さ気。その状態で耳へ突っ込み、ちゃんと穴塞がったのを確認した上で筐体をくいっと回し、御馴染みShure掛けポジションへ移行するとしっかり装着しやすい。目安として、筐体表面の「AZLA」と書いてある金属部を軽く押し込んだ時に、圧が掛かって空気が逃げるような音がすればほぼ密閉出来ているハズ。


 そんなこんなで何とかきちんと装着できた所で、AP80に直挿しで音出してみた。
 ソースは色々。FLAC44.1kHz/16bit~96kHz/24bitまで。

 一聴してすぐに思ったのは「へえ、クリアじゃん!」。曇り籠もりはほぼ感じない。高域は繊細でシャープ。中域はハッキリくっきりしてるし、低域はしっかり圧を伴って響く。総じてバランス良好。何だよ、結構良い音してんじゃねえか…
 感心したのは「高域の繊細さ」と「低域の迫力」をしっかり両立しているところ。この辺はやはりBAとダイナミックのハイブリッドドライバーならではだろう。分離感も悪くないし、中々使い出のある音をしている。良いね、気に入った!

 帯域バランス的にはちょいと低域が強めかね? そのせいか、閉塞感や聞き疲れ易さが全く無いわけではない。まあこの頃はすっかりT60RPがリファレンスになってしまって、些か評点厳しいかもしれんけど……それに、聞き疲れに関して言えばコレはむしろ、音よりも装着感の窮屈さに起因している気がしないでもない。デカい筐体を耳へ押し込んで、イヤピの力で少し強引に固定している感が拭えんしなあ…
 とは言え、筐体デカいのは装着感という意味ではかなりのデメリットなんだが、そのおかげか本機の鳴り方は何処か「密閉型オーバーヘッド」めいてるのが個人的にちょっとツボ。解像感がイヤフォンよりもヘッドフォン的な調子で面白い。元々オーバーヘッドからオーディオにハマってったクチなので、こういう鳴りの方がどうも馴染み深いのよなあ。



 ――と、案の定前評判通りに「装着さえ上手く出来れば良い音」ってな塩梅。
 取り敢えず暫く鳴らし込んでみるが、既に「音そのもの」は比較的気に入ってるので、あくまでも気休めかねえ。低域が僅かに落ち着くと嬉しくはあるけど。

 それより何より、問題は何と言っても装着感だろう。繰り返しになるがコレはホントかなりのクセモノだった…
 何か噂じゃわざわざカスタムイヤピを発注したケースもあるらしいが、そこまでせんと使い物にならんと見るべきなのか、或いはそれくらい惚れ込んでしまう音と思うべきなのか、判断付かねえ…

 何はともあれ、12.8kでこの音なら満足かなー。割と良い買い物だった。
 装着性の難儀さに付き合う気概が有るなら、まあ、オススメ出来るかなー…?(遠目



※追記:イヤーピース取っ替え引っ替え

 低域を中心に音の圧がちょいキツいように感じたので、イヤピをSednaEarfit無印のMLサイズからスパイラルドットのLサイズに替えてみた。
 コレが思いの外良い感じ。音圧が緩んでキツさが解れ、若干カラッとした調子に変わった。おかげで少し聞きやすく聞き疲れ難くなった。

 恐らくだが、この変化はSednaEarfit無印とスパイラルドットの作りっつーか素材っつーか、その辺の差異がかなり作用しているんだと思う。前者は傘の部分までそこそこ厚みがあってしっかりかっちりした作りなのに対し、スパイラルドットはちょっとペラっとした薄く柔らかめな作りなので、適度に振動が抜けてるんじゃないかなー。

 んで、外したSednaEarfit無印のMLサイズはそれまでSpinFit(※旧パッケージ版。現行ならCP100が一番近い)のMサイズを使ってたMDR-EX800STに、そんであぶれてしまったSpinFitを純正のMサイズを付けてたIE8に充てがってみた。宛ら玉突き事故である。
 全てイヤピ交換後にそれぞれ音出して装着感や音の具合を確かめたが、何れも中々良さ気。特にMDR-EX800STは以前「独特のクセがあってあんま好きになれんわコイツ」なんて扱き下ろしてたのが悪くない風情に変わってくれて、「おろ? コレなら十分使えるんじゃね?」と手のひらを返す羽目になった。有難や~。

 しかしその過程で、AZLA MK2の音のクリアさに改めて感心してしまった。解像感がイヤフォンよりもヘッドフォン的な調子、と前述したが、実際に他のイヤフォンと鳴り方を比較してより強く実感したっつーか。
 ……後はこれで装着性にもうちょっと気を配ってりゃあねえ……(溜息



※追記[200713]:イヤピ更に取っ替え引っ替え

 IE8にSpinFitを充てがってたのを更に変更。IE8にはSednaEarfit無印のMサイズを付けて、SpinFitはものの試しとしてTripleFi 10に使ってみた。
 音自体はぶっちゃけそんな変わってないが、コレは装着感を考えたチョイスなんであんまその辺は気にしてなかったり。IE8+SpinFitだと何だかいまいちビシッと耳に嵌まらなかった感あったので、安定感強いSednaEarfit無印にしてみた次第。逆にTripleFi 10は気持ち奥へ突っ込めるようになったか?

(※補足追記[200716]:
 結局IE8のイヤピはSpinFitに戻しました(汗)。SednaEarfit無印はしっかり密閉出来るんだけど、奥まで突っ込めなくなってしまうのがIE8相手だとビミョ~に違和感あってダメだった…
 代わりにTripleFi 10へSednaEarfit無印を付けといた。TF10は耳から出っ張るタイプなので、安定感強いSednaEarfit無印と相性が良いのではないかと思った次第。)

 イヤピも中々沼の深いシロモノだが、アレコレ揃えまくっても金が掛かって仕方無いしねえ……スパイラルドット++とかXELASTECとか、興味はあるが単価高過ぎてそうそう気軽にポイポイ買っとれん。どのサイズが合うかも正直バクチだし。

 因みに、メインで使ってる手持ちのサード品イヤピはこんな感じ↓
・AZLA SednaEarfit(無印) M/MLサイズ
・SpinFit(茶楽音人名義旧パッケージ) 通常径(※現行のCP100相当) Mサイズ
・SpinFit(茶楽音人名義旧パッケージ) 細径(※現行のCP800相当) Mサイズ
・JVC スパイラルドット M/Lサイズ

 各イヤピの個人的な感触として、

・SednaEarfit無印:
 Mでもかなり密閉感強め。しっかりした作りで装着時の安定感は大変良好。音がシャープになって圧がハッキリするっぽい。MLの密閉感は凄まじいがちょい外耳道が痛くなりやすいか?

・SpinFit:
 あんまり音の違い分からず。装着感も良いんだか悪いんだか。自分の耳だとMよりLの方が良かったかもしれない。一応、細径は使い心地良し(※W4Rに使用中)。

・スパイラルドット:
 Mの密閉感は程々で普通な感じ。LはSednaEarfitのMLとほぼ同等の密閉感を得られるが、外耳道への負担は少なめ。圧が減って聞き疲れし難い塩梅になる?

 SednaEarfit無印は音にシャープさを加えたい時、スパイラルドットは音圧を少し逃したい時に有効な印象。SpinFitはよく分からん。多分適正サイズで嵌まってない気がする。先細りのおかげで奥に突っ込めてる気はするけど。

2020/07/05

手持ちのオーバーヘッド簡単に聴き比べ

 現在XD-05 Plusでガンガン鳴らし込んでいるT60RPだが、手持ちのオーバーヘッドとどう音質が異なるのか、この際だからちゃんと聴き比べしてみようと思い立ったり。
 T60RPをリファレンスとして、手持ちのオーバーヘッドとの印象の差をごく簡単に羅列してみようかと。


 先ずは概要的なモノをば。

・比較対象
 K701・HD25 Originals・SRH440・DT990PRO・ATH-ESW9

・使用機器
 Pocophone F1(LDAC音質優先で出力)→XD-05 Plus(with MUSES03*2&05BL Pro)
 XD-05 PlusはBOOSTスイッチ切、バスブースト切、ゲイン小の状態で使用。

・使用アプリ
 Neutron Music Player

・使用ファイル
 Mili「String Theocracy」(FLAC96kHz/24bit)
 「Isn't It Lupintic?」収録「THEME FROM LUPIN Ⅲ '97(ルパン三世のテーマ'97)」(FLAC48kHz/24bit)

 音量はT60RP使用時にボリュームを1時辺りまで回した際の感覚を基準とした。



※御注意:

 人物解説のページでも触れていますが、以下、各ヘッドフォンの音に関する記述は全てあくまでも私の主観に基づくものであり、間違っても客観的事実では無い事を予め御了承下さい。
 ソレを了承した上で、記述の剽窃などする事は無いと確約出来る方のみ、続きをどうぞ。先ず間違いなくこんな駄文をパクろうとする酔狂者居ないだろうけど



<vs K701>
 若干遠くから音が聞こえる感じ。特に低域の音圧は減る。全体的にサラサラした音で、悪く言えばちょっと粉っぽい。と言うか、T60RPに比べて少し解像感・分離感が鈍い。但し鳴らし方に粗さは無く、いたって聞きやすい。
 帯域バランスはT60RPと大体同じような印象。恐らくフラット。特定の音域を殊更強調するような印象は無い。
 音量の取り易さ、もとい取り難さもT60RPと大体同じ。12時辺りだとかなり小音量。
 イヤーパッドは布製で厚みがあり、側圧は問題無いが、頭頂部は圧が気になる。特にヘッドバンドの凸凹は長時間だと痛い。
 思い切ってボリュームを時計方向へぐいっと捻ると少しキャラが変わってくる。粗が無く聞きやすい調子はそのまま、音圧は割と稼げるようになる。大音量でも鳴り方が破綻せず、ちゃんと整ったままな辺りはホント優等生的。

<vs HD25 Originals(※イヤーパッドにYAXI HD25 TypeBを使用)>
 低域と高域がドカンと来る。特に低域の音圧は凄まじい。モニターを謳うだけあって解像感は中々だが、それにしてはちょっと鳴り方が粗すぎるか。
 帯域バランスはドンシャリ。とは言え中域も割とハッキリ聞こえる。
 音量はかなり取りやすい。1時辺りでは爆音。12時でようやく普通の大音量。
 デフォルトは薄っぺらく安っぽいイヤーパッドだが、サード品のYAXI HD25 TypeBはふかふかで厚みがあり、側圧が相当マシになる。合成皮革の質感も良い。頭頂部は元々軽いため負荷はキツくない。
 とかく低域の音圧が凄い。高域もエッジが立っていて全体的に刺激的。おかげで大変ノリの良い鳴りっぷり。

<vs SRH440
 解像感や分離感は思った以上にちゃんと確保してるっぽい。ただ音が微妙に荒いと言うか、高域を中心に少しシャリシャリした調子なのが気になる。
 帯域バランスはほぼフラットだが、高域が若干強調されているかも。
 音量はかなり取りやすい。1時辺りでは爆音。12時でようやく普通の大音量。
 イヤーパッドは安っぽいペラペラの合成皮革ではないが、あまり厚みはない。側圧は長時間だと少し気になる。頭頂部は一点で支えてしまうため痛くなりやすい。
 本機はオンイヤーではなくアラウンドイヤーだが、T60RPやK701辺りと比較してイヤーパッドが薄い為か、耳の近くで鳴っている感が結構強い。また低域の響き方に若干の閉塞感を覚えた。とは言え密閉型モニター、更に価格が手頃(記述時点で10k未満)って事考えると、十分なクオリティではなかろうか。

<vs DT990PRO>
 一聴してすぐ、その重い音にびっくりした。HD25が高め~中ほどの低域が強いとするなら、こちらはより低い辺りから鳴っている模様。解像感は悪くなく、粗い鳴らし方ではない。むしろ高域は非常に細い響きで、ギャップが面白い。
 帯域バランスは低域が強め。ただ、低域の重さを除けば比較的中庸っぽい気もする。
 音量の取り難さはT60RPやK701と同程度。12時辺りだと小音量。
 イヤーパッドは布製でそこそこの厚み。ベロア素材?で肌触り良好。側圧は問題無し。頭頂部は地味にヘッドバンドのカーブが上手く出来ているのか、負荷は少ない。但しスライダーにクリック感が無いので位置決めが少し手間。
 鳴りが重い割に音圧はそこまででもなく、重厚な低域と繊細な高域が独特の感触。無骨な見た目と作りの一方で装着感は良く、疲れにくい。色々とアンビバレンスな機種。

<vs ATH-ESW9>
 高域が引っ込んで、中低域以下がグッと膨らむ。密閉型オンイヤー故か、音の広がり方が些か狭い感じ。音圧と音の重さがHD25とDT990PROのちょうど中間程度。解像感はそこそこ。悪くはないが、微妙にスモーキーな鳴り方。
 帯域バランスは高域が少し弱め。弱めと言っても聞こえ方はハッキリしている。殆ど刺さらないが、その分シャープさには劣る。
 音量はかなり取りやすい。1時辺りでは爆音。12時でようやく普通の大音量。
 イヤーパッドはそんなに厚みはないが、シープスキンを採用しているだけあって肌触りは良い。ただ縫製というか形がちと雑な気がする。側圧は長時間だと少し気になる。頭頂部も同じく。
 同じ密閉型オンイヤーのHD25とは鳴らし方がまるで異なる。解像感はあるものの鳴り方がやや粗いHD25に対して、本機の鳴りは粗く無い代わりにスモーキー。高域がマイルドかつ中低域以下の量感が豊かなので、ジャズなんかにはかなり合いそう。

 最後に、リファレンスとしたT60RPの感想を同じような調子で。

T60RP
 解像感と分離感の良さが抜群。音の広がりや音圧もしっかりしている。声や楽器のディテールが細かく、「裏にある音」を容易く探せるのは単純に凄い。丁寧な鳴らし方なのに迫力が確か。ぶっちゃけ、上記の機種達とは基本的なスペックが段違いな印象。
 帯域バランスは恐らくフラット。特定の音域を殊更強調するような印象は無い。
 比較時の音量は取り敢えず1時辺りを基準としたが、どうせならもうちょっとぐいっと捻って2時辺りまで回すと迫力マシマシで大変ベネ。耐入力値がマジで桁違いなので安心して爆音化出来るぞ!
 イヤーパッドは厚みがしっかりしており、合成皮革の質感も良い。側圧は問題無し。頭頂部はヘッドバンドが広く当たって荷重が分散しやすいものの、そもそも重めなのでちょい痛くなりやすい。その場合は一度軽く嵌め直すと痛みが和らぐ。
 比較したヘッドフォン達よりも圧倒的に新しいモデルなので、同列に語るのは少々野暮かもしれないが、やはり抜群に良い音。ウチのリファレンス・サウンドの座をあっさり奪ってしまった。この良さがFOSTEX御家芸のRP振動板に依るものだとすれば、成程そりゃあ平面駆動機が人気を呼ぶワケだわ…



 以上、ごく簡単に聴き比べ。
 HD595とAurvana Live!が入っていないのは、今回の聴き比べの趣旨が「モニター機と木製ハウジング」だったから。どうせならT60RPと共通項が有るモノを比較してみたかったのだ。HD595は開放型じゃんって? あーあー聞こえなーい(遠目
 結果は御覧の通り。案の定、T60RPの良さが際立つ格好になってしまった。尤も、T60RPの音に衝撃を受けた時からこうなると分かってはいたが…

 しかし改めて聴き直すと、帯域バランスがマトモで大音量にしても破綻無く迫力を増してくれる機種が、T60RP以外だとK701しか無かったってのは驚きだった。やっぱ偶にはしっかり比較して耳を鍛えとかなきゃダメですねえ…
 上述したように、K701はT60RPよりも解像感や分離感は鈍いものの、イージーリスニング的な聞きやすさと言うか、何となく耳触りの良い鳴らし方なのが面白いのよなあ。だからぼーっと聞き流すのに向いてる――かと思えば音量上げると一気に迫力出てきて、しっかり耳に届くようになる辺りがまたホント優等生。
 一方T60RPは音量を絞っててもクリアで、音量を上げると更に描写がハッキリしてくる。まあこっちは素性がガチのモニター(T50RP系列)で、しかも平面駆動機だから色々差があるのはしゃーないっちゃしゃーないのかもしれんが。

 此処迄やってしまうと、どうせならこのままHD595とAurvana Live!も聴き比べしときたいなー、と思わなくもないので、まあ実施したら追記しとこうかと。でも近日中に出来るかどうかは保証しない



※追記[200706]:HD595・ER-4Bとの比較

 我がファースト・ヘッドフォンであるHD595と、その特性故に使い所が中々難しいER-4Bを引っ張り出して、上述したようにT60RPと比較してみた。
 ……中々面白い結果になったよ!


<vs HD595>
 かなり前、このブログを始めて間も無い頃にK701と比較した時は、K701と似てるだのやっぱ違うだの言ってたが、…………むしろT60RPと似てないか、コレ?(ぇ
 解像感や分離感はK701よりも良い気がする。尤も鳴らし方が多少荒く、やや調子が軽いため、描写の細かさや重厚感はT60RP程しっかりしていない。
 帯域バランスは凡そフラットっぽい。ただ低域の特により低い辺りの鳴りが弱め。
 音量はHD25やSRH440、ATH-ESW9よりは取り難いが、T60RPやK701、DT990PROよりは取りやすい。
 イヤーパッドは布製で厚みは程々。側圧は問題無し。余裕を持ってすっぽり耳を覆ってくれるので大変快適。頭頂部は厚みのあるクッションが備わっているため当たりがとてもソフト。長時間でも全然イケる。
 全体的に、T60RPの鳴りを若干軽めにしたような印象を受けた。ディテール感や迫力の差は、「平面駆動ドライバーのセミオープン型」であるT60RPと、「ダイナミックドライバーの開放型」であるHD595、というドライバーとハウジングの違いが出ていたっぽい?

<vs ER-4B>
 初っ端はそのまま音出しして「う~むやっぱ低域弱いなあ」と思っていたが、試しにXD-05 Plusのバスブーストをオンにしてみたら、…………化けた。めっちゃ化けよった。
 解像感や分離感はT60RPにかなり近いモノを感じた。更に、鳴らし方が滑らかで粗が無い。迫力は流石にそう感じられないが、描写は細かくディテールはしっかりしている。
 帯域バランスはバスブースト有りならフラットと言える。逆にオフなら低域弱め。
 音量はHD25やSRH440、ATH-ESW9よりは取り難いが、T60RPやK701、DT990PROよりは取りやすい。
 イヤーピースは付属の三段フランジの大きい方。白っぽいの。耳の後ろを引っ張ってしっかり奥まで装着した。痛みは無いがそれより深刻なのはむしろケーブルのタッチノイズで、分岐部に付属のクリップを付けて胸ポケ辺りにでも固定しないと大変五月蝿い。
 イヤフォンであるためヘッドフォン程の音圧は無いものの、クリアさや分離の良さ、鳴りの繊細さは優秀。正直相当驚かされた。多分ER-4Sはデフォルトでこういう風情の音なんだろうな、と。まあ本機は元々バイノーラル音源用のイヤフォンなので、低域弱いことが一概にデメリットとは言えないのだが。


 どちらも思ってた以上に良好な感触を得られて面食らったが、同時にとっても満足。何だかんだ言って愛着のある機種なので。
 後は聴き比べするならオーバーヘッドのAurvana Live!と、その他のイヤフォン達だが、…………イヤフォンは結構数多いし、まあ、やる気が起きたら、かなあ…………(遠目

2020/07/03

平面駆動ヘッドフォン雑感:FOSTEX T60RP ファーストインプレッション

 XD-05 Plusの導入によりオーディオ環境、特に上流部のクオリティアップが為されたのを機に、
「何か新しく、今までは購入をあんま考えてなかった、如何にも『鳴らし難そうな』ヘッドフォンとか欲しいなあ…」
 と、物欲が沸々と湧き上がってきてしまった。最早病気である

 先日XD-05 Plusの感想を記述した際「DT1990PROとか、或いはエントリーでいいからHiFiMANの平面駆動ヘッドフォンとか欲しい」なんて我ながら宣っていた。
 が、DT1990PROは50kを軽々超える高級機で到底手が出せず、HiFiMANのエントリーモデルであるHE400番台は型番の一新により旧型が大幅値下げされていたものの既に在庫が枯渇しており、理由は違えど何れにしろ入手困難という有様だった。

 何か手頃な機種はないものか…、と価格.comや某有名店の通販で平面駆動ヘッドフォンのリストを眺めていたのだが、偶々(安い方の)価格順でソートし直した折に、目に留まった機種があった。
 ソレが今回取り上げる、FOSTEX T60RPである。


 FOSTEX自体はHP-A3を買った時から知っているメーカーだったが、同社のヘッドフォン/イヤフォンを購入するのは今回が初。
 RP振動板なる独自技術を用いた平面駆動機をモデルチェンジしながらリリースしていることも知っていたが、ぶっちゃけT60RPのことはまるで何も知らず、全く意識していなかった機種である。
 しかし気になって評判を調べてみるとコレが中々高評価で、しかも値段が25k(※記事執筆時点)とかなり手頃で入手しやすいと来た。原型機のT50RPと違ってハウジングに木材を使っている為か、写真越しでも中々洒落た雰囲気を漂わせており、また意外な事にT50RPは海外で相当な人気があるらしい。

 ……此処迄調べた所で、最安で捌けているのが毎度御馴染み密林、しかも公式発送なのを良いことに、またもIYHしてしまったのであった。まる。
 御財布の中身は大丈夫ですか……?(震声


 感想を記述する前に、環境等を少々。

・再生環境
 初っ端:デスクトップPC→(S/PDIF→)HP-A3(with MUSES8920D)
 聴き込み:AP80→(USB→)XD-05 Plus(with MUSES03*2)

・再生ファイル
 FLAC44.1kHz/16bit~96kHz/24bit


 さて、人生初となる平面駆動型ヘッドフォンの感想だが――――雑な表現で大変申し訳無いが、取り敢えず一言言わせて欲しい。びっくりするくらい良い音。

 初っ端、HP-A3で試し聴きした時点でめっちゃ驚かされた。所謂解像感と分離感がとんでもない。
 にも関わらず低音が気持ち良く響く。それでいて密閉型っぽい閉塞感が感じられない。高音は軽く刺さるくらいシャープ。中音域もハッキリくっきり聞こえてくる。どうなってんだこのヘッドフォン。

 そんで上流を本命であるXD-05 Plusに変更。…………うわあ何やねんこの鳴りっぷり。表現力がやっばい。多分現時点に於ける自分の手持ちの組み合わせでは最高クラスの鳴り方してる。
 意味分かんない(※褒め言葉です)のは聞こえ方が極めてニュートラルなこと。モニターヘッドフォンであるT50RPを、木製ハウジングの使用等でリスニング寄りにチューニングしたモノがT60RPらしいが、やはりこのニュートラルさはその出自に拠るモノだろうか。
 尤も、手持ちで「モニター」を標榜するヘッドフォンやイヤフォンにはK701やSRH440、HD25 Originals、MDR-EX800ST等があるが、どれを聴いてもT60RP程ニュートラルな鳴り方ではない。上手く表現する事が難しいのだが、T60RPを初聞きした時の衝撃は「音源や上流機器のグレードを上げた時に覚える感覚」のソレに近かった。一皮剥けた音、と言うか。

 アニメやゲームのサントラを中心にクラシック、テクノ、ロック、ジャズ、ポップスなど色々再生してみたが、このジャンルはダメ、ってのは無さそう。只々ド真ん中の良い音で鳴ってくれるので聞いていてとても楽しい。
 だが、特にギョッとしたのはXD-05 Plusの初聴きで使った「String Theocracy」を再生した時。音の生々しさがホント凄く、96kHz/24bitという真っ当なハイレゾ音源と組み合わせると此処迄リアルになるのかと舌を巻いた。

 ……音の感想が大分熱入り過ぎてるので、ここらで一回コーヒーブレイク。

 差し当たっては装着感について。
 T60RPの重量はコード抜きで380gと結構重め。HD25なんかはケーブルとプラグまで含んで166g程しかないことを考えると、コードまで含めて400g以上あるのは結構重量級だろう。
 だがその実、T60RPの装着感は割と良い方だと思う。手持ちのオーバーヘッドで装着感ダントツNo.1は我がファースト・ヘッドフォンであるHD595だと断言出来るが、T60RPはそれに次ぐくらいには付け心地良好。パッドが厚めなおかげで側圧は全く問題無し。眼鏡でも全然大丈夫。
 むしろ気になるのは頭頂部。そこそこ広く当たる為荷重が分散されはするものの、長時間だとちと痛くなってくるかも。……それでもいっぺん付け直すだけでそこそこマシになる辺り、悪名高きK701の凸凹ヘッドバンドなんかと比べたら格段に上等である。(遠目

 見た目や質感。
 ぶっちゃけT50RPのデザインは無骨過ぎるというか正直野暮いというか、そんな好きでは無かったのだが、それがハウジングを木製にするだけでこうも風情良くなるものかと。端的に言って好みの部類。
 付属ケーブルは布巻きの1.5m。かなりクセが付きにくいタイプで中々上等な雰囲気。公式曰く導体はOFCらしい。端子形状は両端共にシンプルなストレート。人によってはリケーブルが捗りそうである。

 付属品。
 3.5mm三極アンバランスケーブルと6.3mm標準プラグ変換アダプター、サラサラした手触りの布製ポーチ。以上。シンプルですな。
 別売品として、交換用イヤーパッドの他、2.5mm・4.4mm・XLRの四極バランスケーブルが存在。当方はバランス出力環境皆無なので当分無関係かな…



 あんま長々書いてもクドくなるんで、取り敢えずファーストインプレとしては此処迄。
 現在XD-05 Plusで鳴らし込み中。エージングで音変わるって声そこそこあるしね。大方ただのプラシーボだろうけど



※追記[200714]:ヘッドフォンカバー「mimimamo」を使ってみた

 季節柄、合皮系のイヤーパッドはどーしても汗ムレっつーか、いやむしろ合皮素材そのものへ汗が侵蝕することによる劣化が気になってしまうワケで。
 替えのイヤーパッド買うのが手堅いっちゃ手堅いが、しかし随分前に買ったSRH440ですら一度もパッド交換せず使い続けてるのに、ついこの間買ったばっかのT60RPで早速スペア手配するのはちょっと…、と躊躇してしまうのは、まあ当然な話っつーか。

 そこで買ったのが、コレ。


 スーパーストレッチヘッドホンカバー「mimimamo」である。

 実は既に家族のヘッドフォン(Fidelio M1)でMサイズを使っているのだが、今回はT60RP用にLサイズを調達した次第。SRH440辺りにも使えるので使い回し利くし、損はせんだろうと。


 んで実際に使ってみた。

 ……………………あ、やべえT60RPとは相性悪いわコレ。


 布地を一枚隔てる影響がモロに出ており、特に低域がブーミー気味になってしまった。素だとかなりタイトで制動利いてるだけに、変化が露骨過ぎて思わず苦笑。
 そんで高域から中域は一応ハッキリ聞こえはするが、伸びっつーか響き方が寸詰まっちまうというか、イマイチもう一歩足らない調子になってしまった。

 特に低域の影響はほんとデカく、カバーの有無でこうも音が変わるなんぞ想像していなかった。ぶっちゃけ誤算もいいトコ。
 夏場の汗ムレを予防するには間違いなく良いだろうが、音の変化が思った以上に大きいので、コスパ的にはちょっと微妙かもしれない…

 しかしこんな薄い布切れ挟むだけで音が激変する辺り、ヘッドフォンってやっぱ繊細に出来てんだなあ…
 だからこそ大切に使い続けたいのに、丁重に保護しようとすると魅力が薄れてしまいかねないという。いやはや、中々ジレンマですねえ……(溜息

(※補足追記[200716]:
 公式のT60RP装着例を見ると、カバーの縁をハウジングとイヤーパッドの間の溝に埋め込んでいる(公式で言う所の「ステルス装着」か?)のだが、それを敢えて止めて、思い切ってハウジングの外縁部辺りまでがぼっと包んでしまった。
 すると生地の張りが強くなったおかげか、低音のブーミーさが随分と治まって高域から中域が大分キレイに聞こえるようになってくれた。ナイスゥ!)

2020/07/01

Pocophone F1とUSB-DACとの接続について

 以前xDSDを繋いでビットパーフェクト再生が全然上手く行かず、その後音楽用途は完全に捨てていたPocophone F1。
 USB-DACの直結はダメでもLDACが使えるならXD-05 Plusとペアで利用する価値有るな、と考えて、適当なmicroSDに楽曲を叩き込んで再びDAPライクに使い始めた。

 んで、再び使い始めたついでに、もう一度USB-DACと直結してビットパーフェクト再生出来るか実験してみようと思った次第。
 Pixel ExperienceもAndroid 10にバージョンアップしたし、ひょっとするとひょっとするかも?と淡い期待を抱いてしまったのである。


・ホスト端末
 Xiaomi Pocophone F1
 (Pixel Experience(Plus edition, ver.20200609-0858)導入済)

・クライアント端末
 iFi xDSD(Firmware v5.20)
 xDuoo XD-05 Plus

・使用プレーヤーアプリ ※全て最新版
 USB Audio Player PRO(UAPP)
 Neutron Music Player
 海貝音楽(Hiby Music Player)

・使用ケーブル
 xDSD:Apple USB-C - USBアダプタ
 XD-05 Plus:FiiO LT-TC1 or XD-05 Plus付属USB-C to Cケーブル


 実験対象の概要はこんな感じ。
 では結果をば。


<Pocophone F1 to iFI xDSD>

・UAPP and Neutron
 ネイティブ再生はPCM96kHzまで。DSDは5.6MHzなら96kHz(Neutron)/88.2kHz(UAPP)へ強制ダウンコンバート。

・海貝音楽
 DSDはおろか、PCM96kHzすら再生不可。そもUSB-DACが正常に認識されていない?


 あー、やっぱダメかー……Pixel Experienceがバージョンアップしてもやはり無理なもんは無理らしい。
 でも折角始めたんだし、取り敢えずダメ元でXD-05 Plusも実験してみようと。


<Pocophone F1 to xDuoo XD-05 Plus>

・UAPP and Neutron, 海貝音楽
 DSDのネイティブ再生可能を確認。異常無し。ビットパーフェクト再生成功。


 ……………………んんんんんん゛ん゛ん゛ん゛ん゛??!!?!!??!


 あれーおっかしいなー、フツーに再生出来てるけど何でかなー……


 …………いやホントに何でやねん!!?? 嘘ぉ?! 何で出来んの!?



 ――そう、結果はまさかの「ビットパーフェクト再生可能」
 XD-05 Plusが相手なら、Pocophoneで何の問題も無くビットパーフェクト再生出来てしまったのだ……!





 ……正直、アタマが混乱してしまってどうしたもんか。
 まさかPocophoneでこんなすんなりビットパーフェクト再生出来るとか思っても見なかったので、怒りとか悲しみとか喜びより、今はただ純粋に疑問しか浮かばねえ…

 当初、LT-TC1使って成功して、ケーブルのおかげかと邪推してXD-05 Plus付属のケーブルに切り替えたら、そっちでも成功するもんだから呆気に取られた。要は「ケーブル依存の成功ではない」という事である。
 しかし現に、xDSDではうんともすんとも言わない事を自ら確認しているので、じゃあxDSDとXD-05 Plusの違いは一体何なのだろうと。……勿論、専門家でも何でも無い身ではその辺詳しく分かるハズ無いのだが。

 参考までに、AP80はxDSDでもXD-05 Plusでも、何方も確りUSBオーディオデバイスと認識して出力してくれる。故に何方でもビットパーフェクト再生が可能である。
 また、以前UAPPの作者の方とメールでやり取りした際、PocophoneからxDSDはUSB Audio Class 1.0で接続されてしまっているようだ、と聞いた。逆に言えば、XD-05 PlusはPocophoneからUSB Audio Class 2.0で接続出来ている事になる。

 この場合、「ボトルネックになっているのは何なのか?」がホント謎よなあ……PocophoneはxDSDに対して有効なドライバを持ってないのに、XD-05 Plusが相手なら持っていると言う訳やろ? どういうこっちゃい。
 例えば、Pocophoneは実際にUSB-DACの認識に難があるのを、XD-05 Plus側が何らかの理由で解消しているとか? ……いやしかしクライアント側でそんな制御出来るんか??
 または、挙動としてはxDSDが最もおかしくて、酷くホスト側を選別してくるとか? ……それこそどんな設計してんねんという話で。
 う~~~~~む、分からん…


 ……分からんが、兎に角一応「PocophoneとXD-05 Plusとならオーディオ環境としてマトモな運用が出来る」事は分かった。
 AP80と違って「ネットワーク経由でファイルダウンロードしてmicroSDに移す」ってフレキシブルな真似出来るし、丁度サイズ感合うし、便利に使えそうでコレは助かる。
 選択肢が増えるのは良い事だ、うん。


 取り敢えず念の為、XD-05 Plus接続時のログファイルをUAPPで出力して、またUAPPの作者の方に送信しておこうかな…



※追記[200702]:USB-C to Cホストケーブルについて

 PocophoneとXD-05 Plusを繋ぐ場合、ストレートケーブルであるLT-TC1よりも端子が両端共にL字になっているXD-05 Plus付属のケーブルの方がコンパクトに纏められるのだが、如何せん短過ぎて(10cm程度)やや使いづらいのが難点。つーかちょっと大きくズレるだけで接続不良起きてしまうのがかなりストレス。流石に断線ではないだろうが…
 「両端がUSB-CのマトモなOTGケーブルなんてLT-TC1以外じゃ先ず見つからんよなあ…」と以前書いたように考えつつも、一縷の望みを託して密林を捜索してみたところ――


 あったーーーーー!!!!!
 何だよあるじゃんナイス密林いやアイネックス……!!

 調べてみるとコンセプトが「スマホとポタアンのOTG接続用」という正にドンピシャなシロモノで、昨年末から販売され始めたものらしい。端子の端から端までだと16cm在るらしいので、コレなら余裕持って繋げられる。05BL Proの充電端子用に、と思って既にカートに入れてあったUSB-Cホコリ防止キャップ共々速攻で注文。いやあ探してみるもんだ…
 よくよく考えたら最近は「有線で繋げばUSB-DACとして使えるBluetoothレシーバー」とか結構出て来てるもんなあ。最近の売れ筋だとFiiO BTR5とか。全くニーズが無いわけじゃなくなってきてる、ってことかねえ。


(※補足追記[200703]:
 密林から届いた上記Type-Cホストケーブルを早速使ってみたのだが、PocophoneとXD-05 PlusではPocophoneがXD-05 Plusを一切認識せず、XD-05 Plus背面のLINKランプ(青色LED)が全く点灯しなかった。
 ではAP80はどうかと挿してみたら、いきなりAP80の電源がぶった切れるという珍事が発生。どういうことなの……

 こんな状態ではとても使えそうにないので、直ぐに返品手続きを開始した次第。
 何だよダメじゃんアイネックス……orz)



※追記[200703]:Bluetooth使用時のNeutron Music Playerの設定について

 PocophoneとXD-05 PlusをLT-TC1使ってUSBで有線接続、或いは05BL Pro交えてBluetoothで無線接続、と色々繋ぎ方を実験していたのだが、Bluetooth接続中にNeutron Music Playerを使っていた際、LDACを使っているにも関わらず96kHz/24bitの音源が何故か48kHz/16bitにダウンサンプリングされてしまうという現象に出会した。
 ……さっさと結論をぶっちゃけると、コレはNeutronの設定で「オーディオハードウェア→一般的なドライバー」がオフになっていたせい。有線接続する際にOS標準ドライバーを回避するため切っていたのだが、そもそもLDACに関してはAndroidがデフォルトでサポートしているモノなので、LDAC使うならむしろ「オーディオハードウェア→一般的なドライバー」をオンにした方が良い御様子。盲点と言えば盲点だった。
 因みにLDACがちゃんと機能している場合、副次的な効果として、44.1kHz/16bitは44.1kHz/24bitにちょこっとだけアップサンプリングされる模様。まあ、多分誤差の範疇だと思うが…



※追記[200718]:xDSDの挙動について

 AZLA MK2の鳴らし込みにAP80とxDSDのペアを使っているのだが、…………xDSDの挙動が余りにもアレ過ぎると言うか、少々うんざりしてしまった。
 一応言っておくと、音が悪いというわけではない。その点は問題無い。問題はむしろそれ以前――――xDSDをDAPやスマホと接続した際の挙動の安定性、である。

 恐らくxDSD側のドライバ或いはホスト認識辺りの問題だと思うが、ちょっとしたことで音が出なくなってしまいがちなのよなあ…
 AP80との接続中にAP80が休止入って電源切れたりすると音出なくなって。
 Pocophoneとの接続試験やって音出ないのを確認後にAP80へ戻すとやっぱり音が出なくなって。
 ファームウェアがv5.30の時にFLAC192kHz/24bitを再生しようとすると失敗してその後うんともすんとも言わなくなって…………orz

 なまじ後から仕入れたXD-05 Plusが非常に安定して動く分、余計にxDSDの安定性の悪さが際立つのがねえ……しかもXD-05 Plusなら有線でもPocophoneがフツーに認識してくれるし。尤もXD-05 Plusにも「Type-C to CのOTG対応ケーブルが大変希少」という欠点はあるけど。
 またずっと気になっていたのが、「AP80とxDSDの組み合わせだと、何かしら曲を再生する際に冒頭がほんの僅か切れてしまう」こと。少なくともAP80単体やXD-05 Plusと組み合わせた時には確認されなかったことなので、xDSD固有の現象と思われる。

 音が出なくなると曲を再生させても「ジーッ」というノイズがずっと鳴りっぱなしになってしまうのだが、コレ、何故かファームウェアの書き替えをやると直る。内部の処理というかキャッシュというか、その辺が一旦リセットでもされてキレイになってんだろーか。でもホントはファーム書き替えなんぞ頻繁にやりたかないんだけどなあ…

 対応フォーマットの幅広さやサイズ感、肝心の音質は優れているものの、DAPやスマホと接続する際の安定性がイマイチ宜しくないのはぶっちゃけフラスト溜まる。トイレ行ったり電話したりでちょっと曲止めてイヤフォン外したい場合は必ずxDSDの電源を落としておくなど、気を使う必要あるし。

 しかし何だかんだ言って、散々愚痴ってても当分は手放す気無かったり。
 サイズがAP80と組み合わせやすいし、XD-05 Plusはイヤフォンにはパワフル過ぎるしなー。それにPHPAが二台くらいあっても全然困らんどころか、用途毎に使い分け効いて中々乙なモンだって分かったし。まだまだ使い倒すぞー、xDSD!

2020/06/26

ファーストインプレッション色々

<ポータブルヘッドフォンアンプ:xDuoo XD-05 Plus
 +XD-05 Plus専用Bluetoothレシーバーオプション:xDuoo 05BL Pro
  +オペアンプ交換:新日本無線 MUSES03>

 先日「HP-A3のオペアンプをMUSES8920Dに交換してみた」という記事を書いた折、「HP-A3は実験台で本命は別にある」と言っていた訳だが、その本命がコレ。


 ――そう、何時ぞやの物欲整理で紹介した中国PHPA、XD-05 Plusである。
 Dropでの注文を泣く泣く見送ってしばらくして、…………物欲を抑えきれなくなった挙げ句、何と密林のマケプレで海外セラーからIYHしてしまったのだ!!

 ……………………いや、馬鹿なの? 阿呆なの??
 我ながらな~にやってんの????(自己嫌悪

 んで五月の上旬に注文したのだが、……タイミングが余りにも悪過ぎた。
 何せ時はコロナ禍真っ盛り。国内発なら兎も角海外発送なんてどうなるか分かったもんじゃないのに、深夜ならぬIYHテンションで発注掛けた結果、


 ――――到着まで一ヶ月以上掛かりました。
 _| ̄|○ il||li

 具体的に言うと五月半ば辺りからつい最近まで荷物の所在が不明でした……


 正直言って、荷物の余りの行方不明加減に注文のキャンセルもといマーケットプレイス保証による返金申請をすることすら覚悟していたのだが……何とか届いたんでまあ、じゃあもういいや……的な心境。
 セラー自体は結構評判確かなトコだったし、……今回は注文時期が時期故に自ら進んで貧乏クジ引いたようなもんだ、つまり自分が悪かったんだよバカヤロー、と反省中。
 途中、二回程セラーに催促めいて問い合わせもしていたのだが、この場を借りてお詫び申し上げたい。ホントすんませんでした……


 んで。
 荷物を受領後、早速ブツを出してAP80&HD25 Originalsと組み合わせてみた。AP80との接続にはFiiOのLT-TC1を使用。
 ソースは最近某ゆっくり実況見て世界観にハマってしまった韓国製ゲーム「Library Of Ruina」のOPより、音楽制作ユニット「Mili」が奏でる「String Theocracy」。FLAC96kHz/24bit。

 音出し一発目の感想としては「……うん、パワフル!」。
 ゲイン小、ブーストオフにも関わらず、ボリュームノブが十二時辺りで十分大音量が取れる程。噂に違わぬ高出力。

 きちんと音が出ることを確認後、今度はXD-05 Plusの電源を切りHD25とAP80を外して、早速フロントパネルのネジを外し、基盤を引き出す。そして前もって買っておいた交換用オペアンプの隠し玉――MUSES03を準備(※一個あたり一回路なので二個使用)。ツールで足を揃えて同梱の下駄を履かせ、XD-05 Plusにセッティング。
 引き出した基盤を元に戻して、ネジ締めて、HD25とAP80を再度繋いで、もう一度音出し。

 ――いやあ、こりゃ大したもんだ……!

 出だしからして明らかに風情が変わったのが分かる。中でも特に、メインとなるボーカルの、その裏にあるピアノやドラム、トランペット等の音がやたらくっきりハッキリ聞こえてくる。
 鮮度、とでも言えばいいのだろうか? 全体的に交換前(OPA1612)とはソレがまるで違う。一聴して明らかな音の変化に、思わず顔がニヤけてしまった。

 String Theocracyは当初、
「デスクトップPC→(光出力)→HP-A3(with MUSES8920D)→Aurvana Live!」
 という組み合わせで、Mili公式がようつべに上げているのを聴いていたが、e-onkyoでハイレゾ音源が配信されているのを発見してすぐに購入。fb2k使ってきちんと再生してみると、音質がようつべ音源とは別物でかなり驚かされた。改めてハイレゾ音源の良さを実感させられた次第。
 その上で今回届いたXD-05 PlusとMUSES03の組み合わせだが、……元々ハイレゾ音源再生してるんだし其程デカい変化は無いだろう、と高括ってたら見事に裏切られてしまった。オペアンプで音が変わること自体は前回のHP-A3で実感させられたが、微差どころかつい表情に出てしまうレベルで良くなるとは…

 更に、XD-05 Plusとセットで注文した専用のBluetoothレシーバーオプション、05BL Proを開封。AP80を外して代わりに装着し、AP80とペアリングしてLDAC(音質優先)で再生してみた。……フツーに音が良くてびっくり。つーかXD-05 Plusの画面見たら96kHz扱いになってて苦笑。LDACは公式で96kHz/24bit相当を謳ってるが、それならUSB接続時と違和感無いワケだ…
 05BL ProはLDAC以外にもaptX HD(48kHz/24bit相当)やaptX LLにも対応しているが、AP80では使えないためそっちは残念ながら実験不可能。PocophoneならaptX HDに対応していたはずなので、気が向いたら試してみようかなー。


 ぶっちゃけ、OPA1612の状態のままではそんな強く印象に残るような音ではなかったXD-05 Plusだが、MUSES03に交換してみたら思った以上に化けてくれた。尤も一個2.5kもする高級品を二個も使ってショボい結果だったら目も当てられなかったのだが、杞憂に終わってくれて何より。
 とは言え、出費のトータルを見ると40k近く使ってしまっているという…………まあXD-05 Plus以上に高出力なPHPAっつーとiFI micro iDSD BLくらいのもんで、しかもこっちはもう25kくらい出さないと買えない高級品であることを考えると、何だかんだ言ってコスパは良い方だと思う。

 取り敢えず、暫くはAP80→(USB or LDAC)→XD-05 Plus(with MUSES03*2)→HD25 Originalsって組み合わせで鳴らし込んでみるつもり。慣らしが一段落したら今度はxDSDと比較して見る所存。
 折角それなりに音質が確かなPHPAが二つもあるんだから、やっぱしっかり比べてみないとねー?



※追記[200627]:XD-05 Plus vs xDSD聴き比べ

 という訳で聴き比べ、やってみた。

 経路は「AP80→(LDAC音質優先)→XD-05 Plus」or「AP80→(USB)→xDSD」ってな具合。音質優先時のLDACならUSB接続に匹敵し得ると思えたので、出力先をスイッチする際の利便性考えてXD-05 PlusはLDACを使用することにした。
 ソースは引き続きMiliの「String Theocracy」。FLAC96kHz/24bit。
 使用したヘッドフォン/イヤフォンはDT990PRO、ATH-ESW9、Westone4R、TripleFi 10、MDR-EX800ST。

 結論からぶっちゃけると、…………XD-05 Plus(with MUSES03*2)の方が好みだった。あくまでも自分にとっては、だが。
 xDSDも十分良い音だとは思うが、どのヘッドフォンやイヤフォンを使っても「……XD-05 Plusの方が鳴り方好きだなあ……」と思ってしまった。何ともはや……(遠目

 XD-05 PlusとxDSDの差だが、特に明らかだったのは「フォーカス」。音楽のどの辺に焦点を合わせているか、それがかなり違った。
 xDSDのフォーカスは恐らくボーカル。BGMはその名の通り背景的に鳴らす感じ。だからといってBGMがボケて聞こえる訳ではないのだが、あくまでもボーカル辺りに焦点を当てているからか、歌声の方が目立つ。とは言え、その分歌そのものを聞き取りやすいので、一概にデメリットとは言い難いが。
 ではXD-05 Plus(with MUSES03*2)はどうかと言うと、xDSDに比べて随分と「BGMが明瞭に聞こえてくる」。ピアノやトランペット、ドラム、サクソフォンやトロンボーンの音色がとてもクリアに響くのだ。無論、ボーカルも十分ハッキリ聞こえるのだが、とかく「耳に感じる音の量が増える」ので、xDSDからスイッチした時は驚かされた。テンプレ的な表現をするなら、「全体的にクリアで音の分離が良く、透明感に優れ、音楽の細部まで見通せる鳴り方」という感じか。

 先のファーストインプレで「鮮度」という表現を使わせてもらったが、ほんと正にソレ。XD-05 Plus(with MUSES03*2)の音は頗る鮮度が良い。元々ノリが良いString Theocracyが更にリズム感溢れるようになり、ついつい身体を音楽に合わせて揺らしてしまう。
 一方のxDSDは、各パートの分離感や明瞭さこそXD-05 Plusに劣るものの、代わりに楽曲全体の纏まりは上々で、僅かにスモーキーな風情がジャズ調のString Theocracyと良くマッチしている。加えてボーカルにフォーカスが合っている為、歌それ自体をしっかり聴き込めるのはメリットだろう。
 やや大袈裟な表現だが、XD-05 Plusは「ライブ会場でヒャッホーしながら音の奔流を聞いている」感じ。xDSDは「ジャズバーでソファに腰を落ち着けて旋律を聞いている」感じ。躍動感のXD-05 Plusに対して、ムーディなxDSD、って印象。ちと抽象的過ぎて申し訳ないが…

 他、びっくりしたのはWestone4Rを使って比較した時。初めにxDSDへ繋いで「何か随分とシャリシャリして聴こえるなあ…」なんて思っていたのだが、XD-05 Plusにスイッチするとそのシャリシャリ感が一気に収まったのだ。
 恐らくは相性の類だと思われるが、かなり露骨な差を感じたので少々驚いた。それともXD-05 Plusの駆動力によるものだったのだろうか?


 とまあ、好みなのはXD-05 Plus(with MUSES03*2)なのだが、xDSDもコレはコレで悪くないわな、って塩梅。つーかXD-05 Plusコスパ良過ぎやろ、専用BluetoothレシーバーやMUSES03*2含めて考えてもxDSDより10k以上安いのに、それでこの音質とか…

 音質以外では、xDSDに対するXD-05 Plusの長所として「入力情報が分かりやすい」事が挙げられる。LEDインジケータによる簡素な表示と違って、ディスプレイに文字出して教えてくれるのは内容が一目瞭然。そして「連続駆動時間」。5000mAhの大容量バッテリーは伊達ではなく、フル充電したなら十時間以上も使える。
 逆にxDSDが勝る点は、何と言ってもコンパクトさ。長辺で見てもXD-05 Plus+05BL Proの六割程度しか無い為、可搬性は抜群。また、USB-C to CのOTGケーブルは選択肢が極僅か(日本国内での正規流通品だとFiiOのLT-TC1くらい)しか無いのに対し、USB-A(Female) to C/microのOTGケーブルは非常にバリエーション豊かなので、端末との接続性に優れる点は何気に重要。

 個人的には、xDSDのバッテリー持続時間と駆動力に不足を感じてモノを探した結果がXD-05 Plusなので、目論んでいた代物を入手出来て大変満足。Bluetoothレシーバーオプションは当初若干迷っていたが、実際に使ってみると96kHzを無線伝送出来るのが便利過ぎてやはり買っといて良かったな、と。MUSES03も、あんなちっこいICチップ二個にわざわざ5kも出した甲斐があった。
 コレで上流は当分心配無くなったと思うので、次に何かオーディオ製品買うならやっぱオーバーヘッドかなー? DT1990PROとか、或いはエントリークラスでいいからHiFiMANの平面駆動とか欲しいねえ、なんてずっと思ってたんだが、その辺導入するならしっかり駆動出来るように上流整えておきたいって考えてたからのう……それもようやく何とかなったので、次の為にコツコツ金貯めるとするかなあ。

 因みに。
 xDSDで力不足を感じてしまったK701だが、XD-05 Plusで鳴らしてみると軽々音量が取れた。つーかブーストオフかつゲイン小のまま、ボリュームノブを二時~三時辺りまで捻るだけで十分以上に大音量だった。試しにゲインを上げていったら中はいいとして大では一気に爆音化してめっちゃ焦った…
 音はやはりと言うか、散々音量上げても鳴り方が何処かサラリとしていて、HD25辺りで感じたノリの良さはあんまり無い。しかし音楽の細かい部分をきちんと捉えられるクリアさと分離感は備わっているので、やはり良いヘッドフォンだな、と。



※追記[200627]:ブーストスイッチと充電インジケータについて

 XD-05 Plusのフロントパネルにはボリュームノブ以外に三つのスイッチがある。左から順にブーストスイッチ、低音ブーストスイッチ、ゲインスイッチとなっており、その内ゲインスイッチと低音ブーストスイッチは効果が分かりやすい。ゲインは全体的な音量が変化し、低音ブーストは高音はそのままに低音が一気に盛られる。
 が、ブーストスイッチはON-OFFしてみてもリアルタイムで目立った効果が表れず、正直どういう意味があるのかちょっと分からない。公式マニュアルには「increased thrust, adapt to different impedance headphones」とあって、つまり「出力を増加させるよ、高インピーダンスのヘッドフォンに適合するよ」というニュアンスだと思うのだが、実際にスイッチをカチカチしてみてもそのような感触を得られないのだからどうしたもんか。

 そこで海外勢のレビューを見ると、
「ブースト、という表現はちょい違う。インピーダンスの整合スイッチ(専ら150Ω以上向け)と言った方が良いんじゃね?」
 的な意見が散見されて、嗚呼成程と。実際に音量を変化させるワケではなく、あくまでもアンプの具合をハイインピーダンス向けに調整するためのスイッチ、ってことなのだろう。しかしソレならソレでカチカチやってる間に何か変化を感じてもおかしくないような気がするのだが、自分の耳では全然分からなかった。ぐぬぬ…

(※補足追記[200628]:
 海外レビューを更に漁ってみたところ、
「ブーストスイッチって出力インピーダンスを変えてるんだろうけどさ、ぶっちゃけあんま効果無いからオフにしっ放しでいいんじゃない?」
 ……なんて感じの、身も蓋も無さ過ぎる意見が見付かって盛大に脱力。えぇ……
 つまり自分の耳の感覚はそんな間違って無かったってことらしい。何ともはや…

 そういうワケで以下、一部不必要になってしまった記述は文字色を変えて意図的に読み難くしてあります。御了承下さい…)

 ――そこでふと、気付いたことがある。
「…………そういや、届いて速攻オペアンプをMUSES03*2に交換してたよな、自分?(滝汗」

 そう、我がXD-05 Plusは届いた初日からいきなりフロントパネルをバラして改造済みなのである……!
 基本的に取説なんかに書いてあるのはあくまでも未改造状態での話なので、既にカスタムしてしまった場合は必ずしもそのまんま当て嵌ってくれるとは限らんのよなあ…

 ってなわけで、その内フロントパネルもっかいバラして一度純正仕様に戻してみようかと。ソレでもしブーストスイッチの効果が分かりやすければ、まあ、そういうことだったのだろうと。
 大体、二回路入りオペアンプ一個(OPA1612)を一回路入りオペアンプ二個(MUSES03*2)に置換して回路的なバランスっつーか電流電圧の調整というか、その辺何も変わらんなんてこと流石に無い気がするんだよねえ……OPA1612とMUSES03とで全然データシートのスペック値違ってるし。いや自分電子回路はド素人でホント何も知らんのだけれども。
 尤も、音自体は現在のMUSES03*2仕様を気に入ってしまっているので、多分OPA1612でブーストスイッチに関して検証出来たら速攻で元に戻すと思われ。さもありなん。


 もう一つ気になったのは、充電時のLEDインジケータの挙動。
 これも公式を見ると、
「When charging, the red light turn on and stay on for 15seconds,then it will start blinking according to the mode of charging(slow blink when slow charge mode, quick blink when quick charge mode),the right(※lightの誤字?) will turn off after it’s charged.」
 とあり、要は、
「充電始めると赤いライト点いて直に点滅するよ、高速充電か低速充電かで点滅速度が違うよ、充電終わったら消えるよ」
 的なことが書いてあるのだが…………実際に充電させてみると、まっっっっっっっっっっったく点滅しないのだ。ずーーーーーーーーーーっと点灯しっ放し。えぇ…
 当初、充電に使ったのがモバイルバッテリーだったのがいけなかったのかと考え、ACアダプタをちゃんと繋いでみたのだが、やはり点滅しない。思っきし点灯である。いやいやいやどうなっとんねん……別にフツーに使えてるから良いけどさあ。

 ……尚、05BL ProにもLEDインジケータによる充電状態の表示は備わっているのだが、此方はメーカーの説明通りの挙動を示していた。なんでや!


(※補足追記[200703]:
 メーカーの公式フォーラムを試しに覗いてみたところ、幸運な事に、
「マニュアルには充電時に点滅するってあるけど実際は点灯しっ放しじゃん、コレ正しい挙動なの?」
 正に自分の疑問そのものなトピックが立てられていて、それに対し公式が、
「すみません、私達の間違いです。XD-05 Plusは充電中赤いライトが点灯して、充電が終わったら消灯します」
 と返答していた。…………マニュアルと全然挙動ちゃうやんけ!?(困惑

 実際、PCから給電させてほかってたらいつの間にか赤色LEDが消灯していたので、つまりコレで仕様としては正常な挙動っぽい。……「海外セラーで買ったから不良品の返送とか超面倒そうだなあどーしよー……」って少し憂鬱になりかけてたので取り敢えず一安心。良かったあ…)

2020/05/28

オペアンプ交換初挑戦雑感:新日本無線 MUSES8920D with HP-A3

 コロナで出禁食らっているのを良い事に、とうとうオペアンプの交換なんて真似にまで手を染めてしまった。しかもHP-A3だけじゃなくて隠し玉があるという…
 だが隠し玉に関してはまた後日。

 で、今回は鉄板である「HP-A3にMUSES8920Dを突っ込む」って改造に挑戦した次第。
 電子部品で有名な秋月電子通商から引き抜き用の治具も合わせて購入し、HP-A3の天板をバラして恐る恐るチャレンジしてみた。


 感想を一言で述べると、

――――ほんまに音変わったやんけ!!??!!??


 ……いや、だって正直な話「こんなちっさいIC如きでそんな音質変わるんか嘘やろ~?」なんて今の今まで考えてたもんなあ……
 しかし実際、デフォルトのOPA2134PAと取っ替え引っ替えしながら聴き比べると、確かに感触違って聴こえたんだからどうしようもない。オーディオの世界って凄え…

 具体的に「OPA2134PA → MUSES8920D」での変化を表現すると、「一皮剥ける」という感じ。高域から低域までまんべんなく明瞭感が増すと言うか、音がシャープになって輪郭がハッキリする。ハイファイサウンド、的な。
 じゃあ明瞭になった代わりに低音は弱くなってしまうのか、というと全然そんなことはなく、むしろ輪郭がくっきりした低音を容赦無く鳴らしてくるので迫力がすっごい。つーか聞き疲れる。やたらハキハキした鳴り方に変わったもんだから余計に。

 此処で逆に「MUSES8920D → OPA2134PA」と元に戻すと、音像?に一枚ぺろんとベールを被せてしまったみたいな風情に。んでちと分離感が悪くなる。まあ聴きやすいことは聴きやすいが、MUSES8920Dのメリハリ感に衝撃を受けた後だと、何とも音楽がつまらない。
 も一度MUSES8920Dに戻す。…………うん、音像がかなりハッキリする。メリハリが出て、音そのものの量が随分増えたような感覚を得られる。……これはまた何とも面白い……

 こうなると俄然気になるのは「他のオペアンプならどんな音になるんだろう?」って事だが、今回HP-A3用に買ったのはMUSES8920Dだけなので、今回はコレでお終い。
 まあ幸い、居住地が居住地故に中心出れば電子部品扱ってる店在るんで、大手を振って外出出来るようになったら色々オペアンプ買ってみて試してみたいねえ。



 ……因みに。
 秋月電子通商から届いたMUSES8920Dだが、そのままだとピンが外側へ開き気味で、HP-A3のソケットへすんなり突っ込めなかった。新品は皆こんな感じなんだろうか?
 なのでピンを真っ直ぐに揃えて均してやる必要があり、今回はピンセットやら指(もとい爪)で四苦八苦しながら何とか揃えて突っ込んだのだが、


 ……交換後、密林を検索してみたらこういう便利なグッズが見付かって即刻注文する羽目に。
 嗚呼、出費が嵩む…


 ……実を言うと、HP-A3のオペアンプ交換は冒頭で触れた「隠し玉」の為の予行演習というか布石というか、まあそんな感じだったりする。
 つまり実験台。我ながら何とも酷い話だが…

 とは言え隠し玉で使うオペアンプとオペアンプの搭載先の合計金額考えると、流石に実験というか練習挟みたかったしねえ。何せMUSES8920Dの値段が端金に思える額なので、コレばっかりは流石になあ…
 現実問題、今回の初挑戦まで「ピンを真っ直ぐに揃えてやらんとソケットに突っ込めない」事を全く知らなかったわけで、ド初っ端から隠し玉の方で四苦八苦するよりは格段にマシなのは間違いない。コレで隠し玉の方は安心して臨めるしなー。

2020/05/25

Wi-Fiトラブル備忘録

 先週の初めのこと。

 来たる猛暑に備えて、自室のエアコンを業者に内部清掃してもらったのだが、その際色々と家具を動かす必要に迫られたため、ついでに模様替えして気分を一新してしまおうと思い立った。
 暫く触っていなかった所が多く、大量のホコリと格闘しながら家具の再配置を終えて、一段落したところでデスクトップPCの電源を入れてみた。
 すると、

「あれ? Wi-Fiが繋がらんぞ??」

 ログイン直後はリンクしているのだが、ブラウザ開いて何か適当なページを出そうとすると通信が落ちてしまうのだ。
 しかし思い当たるフシが無い――と言う訳ではなく、

「あー、アンテナ剥がす時にちょっと無茶したもんなあ…」

 デスクトップPCは有線LANではなく無線LANでネットに繋いでおり、「Intel 7260HMWDTX1」というPCIeタイプのネットワークカードを使っている。
 模様替えの折、付属のループアンテナを元々設置していた箇所から剥がす際、かなり強引に引き剥がしたのでアンテナが壊れてしまったのだろうと思ったのである。振るとカラカラ音してたし。
 加えて、Wi-Fiこそ繋がらないがBluetoothは生きており、周辺のデバイスをフツーに認識していたため、通信モジュールそのものは無事だろうと考えていた。ダメ押しにデバイスマネージャ見ると「このデバイスは正常に動作しています。」とあったので、じゃあアンテナ交換すりゃ大丈夫だな、と。

 そんな訳で毎度御馴染み密林からロッドアンテナを購入。二日後に届いたのでループアンテナの代わりに装着。コレで問題解決――


 ……とはならなかったんだなあ、コレが。
 ロッドアンテナ繋いでも通信が繋がらない。同じ症状が出る。あるぇ……????

 ロッドアンテナが壊れている、つまり不良品が届いたという可能性は取り敢えず放置。
 先ず最初に考えたのは「模様替えに伴う電波強度の変化」。つまり、再配置先のポジションではルーターの電波が弱くなってるんじゃないか?、と。
 が、デスクトップPCの近くに置いてあるPS3を立ち上げるとしっかり電波を拾っている。つまり電波強度の問題ではない。つーか模様替え前からその辺でスマホをガンガンWi-Fi繋いでたし…

 次いで考えたのはドライバの異常。Intelの公式から最新ドライバを落としてきてインストールしてみる。……やっぱりダメ。一度完全にドライバをアンインストールしてからのクリーンインストールも試してみたが、それもダメ。
 模様替えで筐体動かした際に接点不良でも起きたか?、とも考えてネットワークカードを一度外してから嵌め直してもみたが、それでもやっぱりダメ。
 一体何が原因なんだ……と思いつつ、じゃあOS変えたら挙動変わるか?と最近あまり立ち上げていなかったWin7を起動してみる。…………こっちでもWi-Fiが切れる。えぇ……

 まとめると、
・電波強度ではない
・ドライバは関係ない
・接触不良ではない
・OSの問題ではない
・デバイス自体は正常に認識されている

 ……ぶっちゃけ途方に暮れかけていたのだが、何度もOSを再起動している内に、ちょっと気に掛かる挙動が見つかった。
 それは、「OS起動時はWi-Fiの電波を検知しているのに、いざ通信しようとすると落ちてしまって何も電波を拾わなくなる」というモノ。

 更にイベントビューアーでイベントログを漁ってみると、「NETwNb64(Win10)/NETwNs64(Win7)」というログが大量に出ており、しかも「このイベントを発生させるコンポーネントがローカル コンピューターにインストールされていないか、インストールが壊れています。」なんて記述されていた。…………ちょっと待てドライバ再インストールしたばっかやんけ?? どういうことなん????
 そこで試しに「NETwNs64」でググってみると、何とIntelのコミュニティに自分と同症状のトピックが立てられていて、最終的にオペレーターから「OSクリーンインストールしてみて?(苦肉の策」的な事が書かれていた。

 つまり、
・通信負荷を掛けた途端ダメになるっぽい
・クリーンインストールまでしたはずのドライバを認識しない
・ここ最近メインで使っているWin10だけならソフトウェア面での異常も納得出来るが、あまり使っていなかったWin7でも同症状が出るのはちょっと不自然

 ……この時点で、一つの結論に至った。
 つまり、「ネットワークカードの通信モジュールに寿命が来たのではないか?」と。

 何だかんだ四年は使っている上、かなり大容量の通信をしょっちゅうやらせていたので、モジュールがいよいよぶっ壊れちゃったんじゃなかろうか、とようやく思い至ったのだ。
 となれば、必要なのは新品のネットワークカードである。再び密林を物色し、中国メーカーであるTP-Linkの「Archer T4E」を購入した。ホントは最新規格である802.11axに対応したもっと新しいヤツが欲しかったが、それだとWin7が対応してないってことで泣く泣く断念。



 二日後。
 届いたT4Eを早速挿して、付属のCDでドライバをインストール。

 ……………………拍子抜けする程あっさりネットに繋がった。Win10もWin7も。
 速度も申し分無し。スピードテストで下り168Mbps上り185Mbpsならバッチリだろう。
 嗚呼…………(安堵



 ……ってなわけで、Wi-Fiトラブル備忘録の巻。
 二ヶ月程前はグラボ変えて、今度はネットワークカード……よー壊れるなあほんま。(溜息

 まあデスクトップPCならパーツ単位での交換がラクだから構わんっちゃ構わんがね。
 ノーパソだとバラさにゃならんでもっと大変だし。

2020/05/05

雑記 for 物欲整理

 新型コロナウイルス、ひいてはその疾患(COVID-19)でてんやわんやしている今日此頃。
 皆様如何御過ごしでしょうか?
 ちゃんと活動自粛していますか?
 不要不急の外出は控えていますか?



 ……とまあ、茶番はさておき。

 しかしなんつーかホント、おっそろしい状況になったもんだなあ……年末年始、ゴーンの国外脱出を「また愉快な事態になったもんだ…w」と面白く可笑しく思ってたら、まさかほんの数ヶ月後に斯様な国際的カタストロフィに見舞われるとか誰が想像出来たろうか。
 幸い、自分は元々出不精な質で引きこもることに其程苦痛覚えないから気が楽だが、そうでない人間は気が狂いそうかもしれんね。日本人ってワーカホリックなエコノミックアニマルだし余計にしんどかろうよ。マクロに見れば良い薬かもしれんが。

 運が良いのか悪いのか、通い先から出禁食らったのを是幸と只管自宅でゴロゴロしてゲームやってウイスキー呑んでネットサーフィンして通販サイトをウィンドーショッピングしてるが、そんな中沸々と湧いてきた物欲を整理するのが本記事の目的だったり。
 ってなわけで早速。



・ポータブルヘッドフォンアンプ:xDuoo XD-05 Plus


 人物解説のページを見て頂ければ分かると思うが、自分が保有しているアンプの類は合計で3つ。

 一番最初に購入した「FOSTEX HP-A3」。フォーマット上限PCM96kHz。
 某電気屋で投げ売りされてたのを掴んだ「NuForce Icon」。上限PCM48kHz。
 そして最近大枚叩いて買った「iFI Audio xDSD」。上限PCM768kHz/DSD512。

 最近メインで動かしてるのはxDSDで、Hidizs AP80と重ねて使うことが多い。極めてミニマムに環境が纏まるので可搬性抜群。音も上々。

 ただ、xDSDには一つどーしてもしんどい弱点がある。買う前は然程気にしていなかったのだが、使ってる内にじわじわと実感してきてしまったというか。

 その弱点とは――――バッテリー容量。もとい駆動時間。

 xDSDはBluetoothなら8時間使えるが、USB-DACとして使うと6時間程度しか保たない。AP80が公称15時間なので、組み合わせると1回と半分の充電を途中余儀無くされるのだ。
 コレが中々、めんどい。正直、めんどいのである。(大二言

 加えて最近K701を引っ張り出して使ってみた際に、パワー不足的な感覚を得てしまい、もっとドライブ力が強いアンプが欲しいなあ、と思ってしまった。
 尤もxDSDの出力はメーカーのスペック表見ると決して貧弱と言う程弱くは無く、むしろポータブル機器としては十分なレベルに達していると思う。が、流石にK701のような据置向けオーバーヘッドをドライブするには力不足なのかもしれないな、とか。

 ドライブ力の強烈なPHPAというと、すぐに思い浮かんだのがiFIのmicro iDSD BLだが、流石にアレは幾ら何でも高過ぎてそう簡単に手を出せる代物ではない。憧れではあるけど。
 ぶっちゃけxDSD手放しゃ頭金くらいは出るが、しかしxDSDの小音量でもギャングエラーが出難いボリュームの仕組み(詳しい方に曰く「エンコーダー制御のアナログ抵抗ICボリューム」らしい)は個人的に結構気に入ってる部分なので、売り飛ばすのは勿体無い。

 もっと安いの無いかなあ、でも安いとクオリティとかアレかなあ、なんて思いながら、ちょっと前に登録して、しかし一度も使ってなかったDrop(旧Massdrop)のページを眺めてたら、一つ面白い機種を見付けてしまった。
 それが、xDuoo XD-05 Plusである。

 最近そのコスパで伸びに伸びている中国オーディオだが、xDuooもその例に漏れず。製品数は決して多くないが、中々ニッチな辺りを攻めてるというか、面白い製品が多い。特にデジタルトランスポーターのX10TIIとか。あんなもん国産では絶対出てこんぞ。
 XD-05 Plusは数年前に発売されたXD-05のアップグレード版で、特に駆動力が大幅に増した点は見逃せない。32Ωで1000mWは思わず二度見した。海外のフォーラムのレビューでも、ハイインピーダンス機や低能率機を問題無く駆動出来ると言われてる辺り、ガチである。

 対応フォーマットも幅広く、PCM384/DSD256まで対応する。ぶっちゃけこれだけ扱えりゃ先ず不自由しない。つーか自分が聞くジャンルでPCM384/DSD256以上のファイルを見たことが無いので、完全にオーバースペックである。MQA?知らん。
 更に更に、オプションで専用のBluetoothレシーバーを追加すればaptX LLやaptX HD、LDACに対応したワイヤレスレシーバーにもなるという至れり尽せりっぷり。正直詰め込み過ぎである。

 そしてこれだけ詰めて詰めて詰め込んで、何と本体価格が30kを割る。Bluetoothレシーバーのオプションをセットにしてようやく33k前後。破格もいいトコ。
 中国オーディオ、ヤベぇ…

 レビュー探して読んだ感じ、音質面は問題無さそうだったので思わずIYHしてしまいそうになったのだが、慎重に情報を集める内に「最近のスマホやDAPと接続する場合、Type-C to CのUSB OTGケーブルを探すのにかなり苦労する」という弱点が分かって寸前で躊躇。
 その上、メーカーの公式ページを見たら「その内OTG機能の無いケーブルでも接続出来るよう改善するのでお知らせを待っててね」的な記述が発見されたので、今回は泣く泣く見送ることを決意したのだった。

 んで現在はアップグレードのお知らせ待ち。出たら速攻でIYHするんじゃないかな…


・ポータブルヘッドホンアンプ:Topping NX4DSD

 此方も中国オーディオ。Dropで同社の据置アンプやらDACやら並んでたのを見て興味出て、メーカーの公式ページへ飛んでみたら見つかったのがコレ。

 特筆すべきはそのスペックに対する価格。PCM768/DSD512まで対応し、300Ω時に114mWの出力を持ちながら、何とたったの19k。安過ぎて此方もつい二度見した。
 USBレシーバーにXMOS XU208というXD-05 Plusと同じチップを搭載しながら、フォーマット上限がもひとつ高いトコにあるのは如何なるテクによるものか。中国オーディオどーなってんの…

 余りのコスパに物欲がぶわっと湧いたものの、此方はレビュー探しても情報に乏しく、音質が如何程のモノか掴み難いのが残念。それでも少ないレビューを斜め読みした感じ、決して悪いものでは無さそう。
 懐に余裕あるなら是非試してみたいがなあ…


・デジタルオーディオプレーヤー:SHANLING M6 Pro

 またまた中国オーディオ。今度はプレーヤー。今時のAndroid式DAP。

 既に発売されているM6というモデルのアッパーバージョンで、本記事執筆時点で国内未発売。スペックだけ見るとこれまた至れり尽せり。
 特にAmazon Musicのようなサブスクリプションサービスの利用時に、Android OSのSRCをバイパスできるのは個人的に評価高め。HiByやiBassoのDAPにも同じことが言えるが。

 中国DAPはFiiOも有名だが、どーもUIの完成度がHiBy系に劣るっぽいのよなあ。AP80を愛用してる身としては、HiBy系の安定したUIは魅力的。Link機能も便利だし。なのでSHANLINGは候補に入りやすい感じ。

 流石に価格は高めで、どうやら80k前後は掛かりそうな御様子。尤も、主要バランス端子全部載せでこのスペックなら、十分HiBy R6Pro辺りとガチれる気もするが。


・シングルモルトウイスキー:ラガヴーリン 16年


 此処に来てまさかの酒で読者が混乱する顔が浮かぶ浮かぶ…
 いやでも本当に欲しいんだから仕方ない。

 ウイスキーは特に此処二、三年で凝り始めて、最初はジョニ黒から入って、最近はとうとうアイラモルトのボウモアとアードベッグに手を出していたり。デイリーはジョニ赤かホワイトホースのハイボール。ソーダストリームを導入しているので連日ぐびぐび呑みまくってる。
 飲酒を解禁してからビールやらライトなカクテルやらワインやら日本酒やらかっぱかぱ開けまくってるが、最終的にウイスキーちびちびへ行き着く辺り、自分も随分と年食ってしまったなあ……(遠目

 アイラはつい魔が差して手を出してしまったのだが、ボウモアは「思ったより普通やなコレ…」、アードベッグは「…………!!??!?!? 何じゃこの味!?(混乱」ってな感じ。でも呑み切る頃にはどっちも悪くないなー、と。
 ラガヴーリンはデイリーで愛飲しているホワイトホースのキーモルトってことで興味あって、しかし如何せん値段が値段なのでちょっと躊躇してしまってるというか。巷じゃ16年でこの価格ならむしろ破格って言われてるけど、それでも7kは中々厳しい…

 他にもグレンモーレンジィとかマッカランとか、或いはウイスキーではなくコニャックやアルマニャックといったブランデーなど、色々呑んでみたい酒は多いのだが、個人的に優先順位がオーディオ>>飲酒なので機会に乏しいのが悩み所。
 財布の中身は無限じゃないからね、仕方無いね……………………(血涙


 …………こうして記述してみると、我ながら物欲塗れですねえ…………
 まあ現代人らしいっちゃらしいが、複雑な気分だ……

2020/04/10

スマートフォンゲーム雑感:アズールレーン 演習環境について

 前回の記事で駄文を綴ったアズレンだが、演習に対する不満は前回散々書き殴ったので、今回は昨今の演習環境について書いてみようかと。

 現在の演習を席巻している編成として、先日は「天龍門(とその派生)」「ウォスパロイヤル」「長門一航戦」の三編成を挙げた。実際、例えレベル120好感度200のキャラを六人フルで並べていても、スキル・装備面で何のシナジーも考えられていない編成では、此等の強編成を迅速に撃破することは先ず無理と言っていい。
 演習ではキャラのレベリングやスキル強化、装備強化といった「個の戦力」だけでなく、スキルや装備のシナジーまで含めた「戦術」がモノを言う。その点、先の強編成は本当に良く噛み合っており、ぶっちゃけミラー(※相手と同じ編成のこと)を使うのが最も手っ取り早い攻略法とまで言われる始末である。
(尤も、ミラーを使うという選択はアズレンの演習が「攻め側にプラス補正が掛かる」仕様になっていることを考慮すれば、非常にシンプルかつ確実な勝ち筋なのだが)

 演習で主に用いられるキャラは何れも大変強力なステータスないしはスキルを保有しており、特に昨今の演習環境では幾人かキーパーソンとすら呼べる者も居る。
 例えば、

・天城
 「天龍門」編成の要の一人。敵全体の攻撃面に作用するデバフと、味方主力艦への炎上ダメージ及び回避率へのバフ、更に主砲攻撃時の特殊弾幕スキルを備える優秀な巡洋戦艦。バフデバフによる支援と特殊弾幕による攻撃を両立しており、対峙するならば速攻で潰しておきたい難敵。

・ウォースパイト改
 改造前は実艦の戦歴に見合わぬ性能だったが、改造によりステータスとスキルが大幅に強化されたことで現在は最強クラスの戦艦として君臨している。敵主力艦へダイレクトに痛打を叩き込んで逸早く一人落伍させられる、極めて強力な対主力スナイパー。改造に専用のユニークアイテム(※期間限定入手)を要するのが最大の欠点。

・雪風
 防御スキルとズバ抜けた運により、非常に優れた生存性を誇る駆逐艦。味方主力艦への防御バフをも備えるほか、攻撃性能も悪くないという万能っぷり。前衛艦は演習に於いて敵主力の攻勢を引き付けるデコイめいた役割も担っているため、雪風が居るだけで自主力の生存性が大きく変わり得る。

・オーロラ
 その回避性能から演習でも重用される駆逐艦・軽巡洋艦の「最終回避率」を二割もダウンさせるという強力なデバッファー。敵前衛の迅速な撃破は演習の勝敗を強く左右するファクターであり、そこに強く絡み得るオーロラを編成に組み込む意義はデカい。

・ジュノー
 自身が撃破された際に残された味方の損傷を大幅に回復させるスキルの持ち主。ステータス自体は砲火力・雷撃共に大したことはないが、対空値はかなり高めでスキルと合わせて護りに特化したキャラ。持久戦の要中の要。

・飛龍改
 「天龍門」編成の要の一人。改造前から保有している自己蘇生&逆襲スキルが最凶の遅延行為として名高い。改造によりステータスが向上、更に定時(20秒毎)攻撃スキルが付与され攻撃性能が大幅に増したことで、防衛編成への採用率が鰻登り。

 この六名は演習への採用率がかなり高く、出来れば全て揃えてしっかり育てておきたい。何れもそのユニークさから陣営問わず演習用編成に組み込んで使っていけるくらいなので、優先度高め。
 その他、演習で有用なキャラとして、

・長門
 「天龍門」編成の要の一人。現時点で重桜に二人居る陣営バッファーの片割れ。単純にステータスが優れているだけでなく、優秀な陣営バフスキルに加えてやや低確率ながら抜群の破壊力を誇る特殊弾幕スキルもあって、敵に回すと本当に面倒極まりない。重桜を主とした陣営統一編成での旗艦採用率は文句無しトップのはず。

・セントー
 正規空母に匹敵する航空機展開能力(戦闘機4攻撃機4)を、カテゴリならではの高装填で回せる軽空母。航空攻撃時に強烈な鈍足デバフ効果の乗った攻撃機を追加するスキルを持ち、敵前衛を高確率でその場に縫い止められるのが強力。但し、防衛編成ではスキルが上手く働かないため攻め専用。

・大鳳
 ややムラっ気はあるが、上手くハマればスキルで一度に多量の航空機を展開出来る装甲空母。防御スキルにより榴弾や航空攻撃への耐性が高く、旗艦配置にしても思いの外耐えてくれるのは心強い。航空攻撃と装甲防御に特化しており、制空面はそれなりな点に注意。

・フォーミダブル
 航空攻撃発動時に敵の動きを瞬間的とはいえ完全停止させるというとんでもないスキルを保有し、上手く航空攻撃や戦艦の砲撃、前衛の雷撃等を同期させることで敵前衛を一息に消し飛ばすことが可能。その他、浸水付与や自主力ダメージ軽減など中々有用なスキルを併せ持っているが、装填値と制空力が低い点には気を付けたい。

・一航戦(赤城・加賀)
 「長門一航戦」編成の要となる空母姉妹。航空攻撃の装填時間を初回分に限り大幅短縮するスキルにより逸早く猛攻を掛けられるのが最大の強み。天龍門やウォスパロイヤルが台頭したことでかつて程の存在感は無くなったものの、生半可な編成では太刀打ち出来ないのは今でも変わらない。しかも意外と防衛採用者が多いので、対策必須。

・クイーン・エリザベス(QE)
 火力・雷撃・航空・対空・装填・回避の全六種ものステータスを最大15%も引き上げるという無茶苦茶な陣営バフを有しており、しかも旗艦配置を発動条件としないという嬉しいオマケ付き。特殊弾幕・砲撃こそ持ち合わせていないものの、バフにより素のスペックが引き上げられる為使用感は良好。ロイヤル統一編成の要。

・シリアス
 防空艦ということで攻撃能力は程々だが、味方空母への航空バフに加え、味方全体に敵駆逐・軽巡・重巡への命中率バフを付与出来るスキルを備える。味方命中率バフ(敵回避率デバフ)の代表格であるオーロラに比べ上昇率(減少率)は控えめだが、計画艦に多い強力な重巡に対しても効果が見込めるのはメリット。空母主体の編成では必須級。

・神通改
 スキルにより駆逐艦と軽巡の雷撃に強烈なバフを掛けられ、開幕雷撃で敵前衛へ(稀に敵主力にまで)痛打を見舞える雷撃アタッカー兼バッファー。特にオーロラや一航戦とのシナジーは抜群で、一時はこの面子による超速攻編成が環境を席巻していた。バルジで対策すれば有利に立てるが、未だに思いの外リセを強いてくる辺り厄介さは健在。

 此処からは、完成までに多大な手間とゲーム内資源が要求される「特別計画艦」について。

・伊吹
 開幕魚雷装填数が二つという唯一無二のスペックを持ち、スキルで爆発的に強化された二連雷撃は敵前衛を初手から潰しに掛かれる程の破壊力を誇る。砲火力も悪くなく、前衛では屈指のアタッカー。但し耐久面はあくまでも重巡相応な点に留意されたし。

・ネプチューン
 徹甲弾バフによる攻撃性能と自己回復スキルによる継戦能力の攻守両面に優れた軽巡。スタンダードながら穴の少ない高水準なステータスの持ち主で、特に自己回復による継戦性は軽巡でもピカイチ。しかもこれでQEバフが乗るのだからたまったものではない。

・サン・ルイ
 重巡らしからぬ速力と回避性能に加え、主砲砲座+1のおかげで榴弾バフが乗った砲撃を二連射出来るというハイスペックな計画艦。重巡のデメリットを無かったことにしている重巡とも呼ばれ、耐久性の高さから演習では壁役として重宝する。

・モナーク
 演習に於いては同陣営の巡戦フッドのアッパーバージョン宜しく扱われている戦艦。フッドでは通常弾だった投射弾幕が徹甲弾になったことで対主力ダメージ効率が一気に向上しており、特にウォスパ改とのクロスファイアは強力無比。


 ――以上、この辺をキッチリ揃えてしっかり鍛えておけば演習でそれなりに戦えるようになるはず。
 しかし、何も考えずに上記のキャラから六人抜き出しただけでは常勝することは難しい。やはり、しっかりとキャラ間の相性等を考慮した編成が必須である。

 特に、現演習環境に於いて最大の鬼門となる「天龍門」は持久戦寄りの編成としてはある種完成されたシロモノで、コイツを安定して撃破出来なければ元帥を狙うのは大変難しい。上手く接待編成を連続で引き当てられればその限りではないが、運勝負なので安定は望むべくもない。
 重桜勢をメインに組むことで長門の陣営バフの恩恵を存分に受けられ、天城のバフデバフにより長門一航戦の重爆撃すら軽症で済ませ、飛龍は増加した手数とステータスでじわじわと相手を削り、自己蘇生ついでの逆襲空爆でトドメを刺しに来る。前衛は前衛で雪風や伊吹、オーロラやジュノーなど攻守両面で厄介な組み方をしていることが殆どで、このシナジーを突き崩さなければならない。……なんなんだこの無理ゲー。(棒読み

 ところで。
 天龍門には色々と派生編成があり、特に「龍」や「門」は他のキャラと交換しても構わなかったりする。飛龍を「狸」ことウォスパ改に替えて砲撃に特化させた「天狸門」はその代表格とも言え、対主力ダイレクトアタッカーであるウォスパ改の存在によりかなりの速攻力を発揮する。天龍門対策としてもそこそこ有効。
 また天龍門は確かに強力な編成なのだが、その厄介さは天城のバフデバフと飛龍改の自己蘇生+逆襲スキルによって支えられているので、どちらか一方を速攻出来るなら存外あっさり突破出来たりする。そういう意味でウォスパ改は天敵と言えるだろう。


 ――因みに。
 天龍門及び同派生編成は確かに演習に於いて強力な組み合わせだが、現在は更に上を行く編成が既に猛威を振るい始めている。

 それが、ただでさえ面倒な計画艦の中でも文字通りケタ違いの時間を完成に要する、「DR」の二名を利用した編成である。

・吾妻
 「巡戦が前線で暴れている」と形容される程の戦力を戦線に提供する「超甲巡」。前衛にあるまじき超高耐久、投射故にシールドが効かず炎上ダメージが痛い専用の榴弾砲、更に主砲砲座+1、ダメ押しに自己回避・命中バフ持ちときたもんだ。その耐久によって前線を長時間支え、敵前衛どころか敵主力まで容赦無く焼き尽くす圧倒的スペックは味方にすればこの上無く頼もしく、相手にすれば洒落にならん厄介さであろう。

・フリードリヒ・デア・グローセ(FDG)
 元々耐久に秀でたカテゴリにあって尚ぶっちぎりの超高耐久と最高レアリティに十分見合った砲火力を誇る戦艦。ただでさえ高いステータスが二種の自己バフで更に強化されるため攻守共に極めて優秀で、更に被弾or敵接近をトリガーとして放つ特殊弾幕まで備えている。大抵の猛攻を持ち前の耐久でしっかり凌ぎ、返す刀で高火力砲撃を容赦無く叩き込むその姿はまさに「ラスボス」という形容が相応しい。

 上述した天龍門派生の一つ「天狸門」の「門」をFDGに置換した編成は「狸天帝」と呼ばれ、元々演習で凶悪な面子である「ウォスパ改・天城・雪風・ジュノー(軽巡)」に単体スペックがぶっ飛んでいるDR二名を組み込むことで、恐ろしい強さを発揮する。現環境に於ける最凶編成の一角とまで言われる程。
 他、「天龍門」の「龍」とFDGを置換した「天帝門」という組み合わせもあり、こっちも「狸天帝」とほぼ同格の強編成。特に敵に回す際は長門の弾幕発動率が妙に高くなる(気がする)ので、三種類の強弾幕が定期的にぶっ飛んでくることになる。ひでぇ。

 此処まで書くとFDGだけが凄いように聞こえるが、実際の所、FDGを使わず「天狸門」で前衛に吾妻を採用した編成は「狸天帝」や「天帝門」に匹敵する強さであり、吾妻も大概とんでもない。
 また「狸天帝」と「天帝門」で、「帝」を上述の大鳳やフォーミダブル、セントー、エンタープライズといった単体性能の高い空母と組み合わせても、その実かなり強かったり。長門一航戦辺りを相手取るならむしろこっちの方が多少戦いやすいかも。


 アズレンは有名なスマホゲーの中でも比較的後発の作品だが、それでもサービス開始からなんだかんだ今年で三年目。戦力が揃っている指揮官が繰り出す本気防衛は、マジで洒落にならん強さを容赦無く叩き付けてくる。……尤もサービス開始から今の今までずっと、頑なに演習のシステムへ手を入れようとしない運営の姿勢こそ、このコンテンツが抱える最大の問題点である、と思えてならないが……
 経験値稼ぎやキャラ凸資源の入手というメリットを存分に享受するつもりなら、是非とも力を付けて、それこそ元帥タッチを狙えるくらい艦隊を鍛え上げたい。