2019/06/18

AndroidカスタムROM導入備忘録 for Pocophone 後編

 前編からの続き。




<カスタムROMのインストール>
 いよいよお待ちかね、ROM焼きの時間。
 自分が今回焼いてみたのはPixel Experience(以下PE)とXiaomi.euの二種類。

 前者はGoogleが自社公式のスマホとして販売している「Pixel」シリーズを模したROMで、中身が極めてシンプルかつ最低限の機能しか入っていないのが特徴。とは言っても顔認証や指紋認証は普通に使えるので、Pocophoneのハードウェア的な機能を大幅に損なうことはほぼ無いはず。多機能高機能を求めずスッキリしたUIを求めるならベストチョイス。凝った作りをしていない分動作が安定しているのも魅力的。
 一方、後者はデフォルトで入っているMIUIの少々特殊なバリエーションで、Global機のMIUI(Global ROM)ではなく中国国内仕様機のMIUI(China ROM)をベースに、中国国内用アプリを削除してGoogleのアプリ一式(GApps)を導入、更にローカライズを施したという少々ややこしいROMである。但し元々がメーカー純正ROMなので比較的安定性が高く、かつ中国国内仕様でしか提供されていない機能も使えるという点は中々面白い。アプデが早いのも好印象。

 円滑なROM焼きの為には念入りな準備が必要不可欠。
 というわけで、

・USB OTGケーブルの入手
 TWRPを端末に書き込んであるなら、OTGケーブルを使って端末とUSBメモリを直結することで、PCを使わずにROM焼き出来るようになり非常に便利。入手を強く推奨。

・USBメモリに必要なファイルを予め書き込んでおく
 書き込みたいROMや一緒に導入したいツールなどのファイルをUSBメモリに一通り突っ込んでおく。
 今回用意したファイルは以下の通り。基本的に全て開発元の最新版を使用。

【Pixel Experience用】
・Pocophone用ROM
 記事執筆時点での最新版(PixelExperience_beryllium-9.0-20190614-1633-OFFICIAL.zip)はクリーンインストール(Formatからのインストール)を行うと動作が不安定になった。一つ前(PixelExperience_beryllium-9.0-20190604-0502-OFFICIAL.zip)なら無問題。

・Pocophone用ファームウェア
 MIUI系のROMはファームが組み込まれているのだが、PEには無いので補ってやる必要がある、ということっぽい?
 Xiaomi公式のファイルはよく分からなかったので、今回は5chに載っていたURLからダウンロードした。出処がイマイチよく分からずそれとなく調べてみると、比較的更新の早い配布元だよ、と海外の掲示板で書かれていた。実際ファーム自体は此処以外でも落とせるので、まあそういうことなんだろう。……多分。

【Xiaomi.eu用】
・Weekly Release版のPocophone用ROM
 実はStable Release版を最初試したのだが、起動後の初期セットアップ時にどうしてもトラブって仕方なかったのでWeeklyに変更した。

【共通】
・Magisk
 root取得用のツール。一昔前のSuperSUとかに相当。

・Pocophone用カスタムカーネル
 XDA Developersにアクセスすると色々なカスタムカーネルが作成・公開されているが、今回はその中でも有名なFrancoKernelを使ってみた。
 ただ、PEに組み込まれているカーネルは専用設計のものらしく、PEを使うならコレを焼く必要性は薄いかもしれない。

【?】
・Disable Force Encryption
 いわゆる暗号化解除用ツール……なのだが、色々な場所で配布されていてどれを使えば良いものか正直良く分からなかった。大抵の場合Magiskが同梱されているっぽいが、自分が落としたものはそこそこ前のバージョン(v19.3に対してv16)だった。
 因みにこの暗号化周りの仕組みが実にややこしいというか面倒くさいというか、ぶっちゃけ自分はPEとXiaomi.euを行ったり来たりしながら扱い方を覚えた感ある。詳細は後述。

 USBメモリに必要なデータを保存したら、後は以下の通り。

1.端末のTWRPを起動

2.Wipeをタップ

―――――――――――――――――――――――――
[a.以下、純正ROM(Stock ROM)→PEの場合]
3-a.Advanced Wipeを選択

4-a.Dalvik Cache・Cache・System・Dataの4項目をチェック

5-a.下にある「スワイプして消去」で消去開始

6-a.消去が完了したら、左上のTWRPアイコンをタップしてメインメニューに戻る
―――――――――――――――――――――――――
[b.以下、Xiaomi.euを焼く場合]
3-b.Format Dataを選択

4-b.yesと入力し、右下のEnterマークをタップして消去開始

5-b.消去が完了したら、左上のTWRPアイコンをタップしてメインメニューに戻る

6-b.RebootからRecoveryを選択し、TWRPを再起動する
―――――――――――――――――――――――――

7.メインメニューに戻ったらOTGケーブルを使ってUSBメモリを端末と接続

8.Installを選択

9.ファイルマネージャを使って焼きたいファイルを選択する

10.更に焼きたいファイルが有る場合、Add more Zipsからもう一度選択する

―――――――――――――――――――――――――
※9~10.補足
 ファイルは選択された順に書き込まれてゆくので、以下のように選択する。

[PE]ファーム→ROM(→カスタムカーネル)(→Magisk)
[Xiaomi.eu]ROM(→カスタムカーネル)(→Magisk)
―――――――――――――――――――――――――

11.ファイルを選択し終えたら、下の「Swipe to confirm Flash」で書き込み開始

12.書き込みが完了したら、「Wipe cache/dalvik」からキャッシュを消去

13.「Reboot System」を選択して書き込んだシステムを起動

14.システムが立ち上がったら、初期設定を進める

15.正常に動作することを確認出来れば無事完了、お疲れ様でした


 ……とまあ、こんな感じでアンロックしたPocophoneにカスタムROMをインストールした次第。
 正直、初めてだとめちゃくちゃ緊張すること請け合いだが、慣れると気楽に出来るようになる。

 実を言うと、自分は当初PEを焼いてからXiaomi.euを焼き直し、更にPEを再び焼き戻し、というか焼き直し焼き戻しの際色々あって同工程を数回繰り返していたり、という一体ナニやってんのアンタと突っ込まれそうな真似をしていたり。だがコレはPocophoneがあくまでサブ端末故に、ほぼ素に近い状態で使っていてバックアップとか殆ど気にしなくて良かった為。メインなら絶対にオススメしない行為である。
 というのも、そうやって焼き直しをやっている内に身を以て思い知ったことがかな~り沢山ありまして…

【ROM毎の書き込み方の違い】
 今回使用したPEとXiaomi.euだが、それぞれ端末へのデータの書き込み方がまるで違っていてかなり面食らった。
 具体的に言うと、Wipeで表示される各領域(Dalvik Cache・Cache・System・Data・Internal Storage)について、PE(正確にはファーム+PE ROM)はInternal Storageを消去しないのに対し、Xiaomi.euはInternal Storage(内部ストレージ領域。DownloadとかDCIMとかあるトコ)を真っ向消しに掛かってくるのである。
 PEのインストールに関して調べていた際、Internal Storageにファイルを保存しておくとラクだよという記述が散見されて、Xiaomi.euを焼く時に実践したら中身が綺麗サッパリ消されて呆然とした。なんともはや…

【暗号化で右往左往】
 上記の暗号化解除ツールが求められるのはStockのroot化やStock存在下でのTWRPインストールの話であって、カスタムROMには必ずしも当てはまらない……っぽい、のだろうか……? 少なくとも、PEやXiaomi.euはDisable Force Encryptionを当てなくても簡単にMagiskを焼けたので、そういうことのはず。…………はず。

 つーか先述したがホントにこのInternal Storageの暗号化の扱いがややこしく、PEとXiaomi.euを行ったり来たりしたり同一ROMを再インストールしたりする中でようやくどういうものか分かってきたような、未だ分かっていないような…
 例えば、

・Wipeは暗号化に影響しない?
・Formatは暗号化が外れる、というか「Format→ROMデータ書き込み」毎に暗号化のキーが変化するっぽい?
・バックアップデータから環境をリストアする場合、バックアップのInternal Storageデータと書き込み先のInternal Storage領域の暗号化が合致しないとリストア自体出来ないらしい
・端末ファーム+PE ROMの書き込みはInternal Storage領域に影響を及ぼさない
・Xiaomi.euはWipeで書き込むと暗号化がよく分からないことになる(OS起動時にキーを要求されてしまうため実質使用不可、Disable Force Encryptionも効果無し)
・Formatした状態でPEを突っ込むと初回起動時にInternal Storageの暗号化処理が行われる

 …………いやホント扱いがよく分からん……取り敢えず、Xiaomi.euはFormatじゃないとROMを上手く焼けないってのだけは学習できたけれども。
 例外的に、同一OS、カーネル、ファーム間のアップデート時はWipeせず書き込みしても何とかなる(Dirty Flashと言うらしい)っぽいので、恐らくWipeやFormatといったデータや領域の消去処理無しの書き込みであれば大丈夫、…………なんじゃないかなぁ……


 んで。
 最終的に現在Pocophoneはどうなっているかと言うと、

―――――――――――――――――――――――――
Stock ROM

PE

Xiaomi.eu(Wipeでやって失敗)

Xiaomi.eu(Formatでやって成功)

PE

Xiaomi.eu(リストア失敗)

PE(最新版焼いたらトラブル発生)

PE(一つ前のROMを焼いて何とか成功)

最新版をDirty Flashしてアプデ成功 ← Now!
―――――――――――――――――――――――――

 ……というわけわからん経過を辿って、PEに落ち着いたとさ。
 めでたしめでたし…………なの、だろうか……?(懊悩

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