2021/06/09

オーディオ雑貨色々雑感

 先日(前々回の記事)で
これで当分は音響関連で出費することも無かろう
 と言ったな。

 あれは嘘だ。

 いや嘘も何も次の記事でケーブルやらイヤーピースやらについて散々書き殴ってたやんけ


 前回の記事で「プロモーションコードで安く出来たからケーブル(NICEHCK SpaceCloud)買っちゃった」と書いたが、それが届いたので簡単に雑感など。
 また、……………………AliExpressのセールで安くなってたのを良い事に性懲りも無くイヤフォン(お値段5k弱)を買ってしまったので、ソレについても。(目逸



<イヤフォン用ケーブル雑感:
  NICEHCK SpaceCloud 6N銀メッキOCC&7N OCCミックス8芯ケーブル>
 前回プロモコードで結構値引き出来たー、と喜んでいたSpaceCloudだが、…………後日、他のメーカー公認?セラーがついった上でフォロワー割引を開催しているのを見付けて、試しにコードを貰ったら、…………自分がメーカー公式で買った時より2kも安くなるんでやんの!何なんだよチクショー!(血涙
 …………そんで気が付けばqdc4.4mmとMMCX4.4mm仕様のSpaceCloudを追加発注していたという。最初に注文した0.78mm2pin4.4mmと合わせて、主要なコネクタが全て揃うことになってしまった。御値段しめて16k。我ながらマジで何やってんだろうか…………(死魚目

 日尼からポチったOalloyと違って、今回はAliExpressで注文したおかげで全てのケーブルにNICEHCK印のイヤフォンケースが付属していた。4.4mm端子にもカバーが付いていて大変有難い限り。
 届いたSpaceCloudを手に取って見てびっくりしたのはその存在感。8芯ケーブルだけあって太く、そしてゴッツい。4芯のOalloyと違ってズッシリ来る。以前KZ ZSN Proと同時購入したKB EAR 4842は、芯数で言えばSpaceCloudの倍である16芯だがそれでも柔らかいし軽いケーブルだった。逆に言えば、半分の芯数にも関わらずKB EAR 4842と同等の太さとソレを遥かに上回る重さを持っているSpaceCloudがおかしいというか、ぶっちゃけコレどうなってんのというか…

 一先ずテスターを当てたところ、どのケーブルも断線混線の類は無さそうだったので一安心。異常が無い事を確認出来たので、手持ちのイヤフォンを幾つかピックアップしてSpaceCloudを試してみた。
 実験台は以下の機種。

・0.78mm2pin:Westone Westone4R
・MMCX:Shure SE215
・qdc:Unique Melody 3D Terminator

 最初に、最も早く到着した0.78mm2pin仕様をW4Rに使用。……かつては大いに感銘を受けていたW4Rも、DUNU Studio SA6やUM 3DTの音を知った今では「…………こんなにバランス悪かったっけ…………??」と、使う度に何とも言えない気分になりがちだったり。SpaceCloudでその辺多少改善されんかなー、とか。
 W4Rの純正ケーブルを引っこ抜いてSpaceCloudと交換。Shanling M3Xの4.4mm出力にプラグ突っ込んで再生開始。そして2、3曲程聞き流す内に、「SpaceCloud」による音の変化を感じることが出来た。
 帯域バランス自体は殆ど変化無いものの、純正ケーブルだと酷かったW4Rの「高音の粗」が、SpaceCloud使用時には大分緩和されてそこそこ聞きやすくなった。また低音の鳴りが幾分ハッキリして、全体的に純正ケーブルよりも「音が整った」。……シビアな言い方だが、「聞くに堪える」レベルまで引き上がった、とでも言うべきか。
 流石に帯域バランスが激変する程の変化は得られなかったとは言え、それでも細かいブラッシュアップ的な変化は感じられたので、これなら未だW4Rを使っていけるかなー、と。特に「高音の粗」はW4R使用時に気になるポイントだったので、此処が改善出来そうなのは嬉しい。

 続いて、MMCX仕様をSE215に使ってみた。まあ手持ちのイヤフォンでMMCX使われてるのがSE215だけだから他に選択の余地無かったけど。
 案の定此方でも帯域バランスが変わる程の変化は無し。ただ、少々緩い鳴り方だった低音に引き締まりが感じられたので、やはり「クオリティの底上げ」的な効果は期待出来る模様。

 最後に、qdc仕様をUM 3DTに使っているOalloyと交換する形で試したが、……此方は元々のOalloyがちゃんとした作りのケーブルだからか、そんなに変化が無かった。
 尤も全くの無意味ではなく、OalloyをSpaceCloudに変えると「ステレオ感が増す」という面白い違いがあった。低音が僅かに強まるような感覚もあったが、此方は「……もしかするとプラシーボ効果かも?」というレベル。
 一方ステレオ感の強化は分かりやすく、逆にSpaceCloudからOalloyに戻すと音が真ん中(頭の中心)へ纏まるのがよく感じられた。音色自体はやはりと言うか激変しないので、基本的にはこの鳴り方の違いでOalloyかSpaceCloudかを決めることになりそう。一応、暫くはSpaceCloudで通してみるつもり。


 一本辺り凡そ5k強程度の出費となったSpaceCloud仕様別まとめ買いだが、今回はプロモコード使えたから安く買えているだけで元値は相当に高価い(現在20k前後)シロモノだってこと踏まえると、まあまあ悪くない買い物だったかね? 何だかんだ言ってリケーブルは全く効果無いワケじゃないんだな、と思えたし。
 Oalloyもそうだったが、SpaceCloudも元々の帯域バランスに大きく影響を与えるような変化は齎さないので、上述したように「音を整える」為なら意外にアリな出費かも。メーカー曰くフラグシップモデルらしいし、今後イヤフォン買ったらその都度SpaceCloud挿して試してみようかなー。



<イヤフォン雑感:HZSOUND Heart Mirror [心鏡]>
 Studio SA6やUM 3DTは確かに音良くて大変気に入っているのだが、…………このテのマニアの悪癖めいて、「気に入っているからこそ、ヘビーユーズし過ぎてキズモノにしたくない」という心持ちになってしまったのが運の尽き。
 出来れば10k未満、奮発しても15k未満で面白い機種はないものかとネットをフラフラしていたところ、二つ程良さそうな機種を見付けた。

 一つは「Moondrop[水月雨] Aria(2021 ver.)」。所謂アニメ・コミック的な「美少女キャラ」をパッケージに必ずあしらうことで有名?な中国メーカー「Moondrop[水月雨]」が今年リリースしたアンダー10kのイヤフォン。
 もう一つは今回購入した「HZSOUND Heart Mirror [心鏡]」。最近は専らイヤフォンケースなどのアクセサリー類を中心に販売している中国メーカー「HZSOUND」が久方振りに発売した、此方もアンダー10kのイヤフォン。
 DD一発構成、金属筐体、0.78mm2pinでリケーブル可能、アンダー10k、と共通点の多いAria(2021 ver.)と心鏡だが、細かく見ればAriaのドライバは振動板に「LCP(高分子液晶ポリマー)」を用いているのに対し、心鏡の振動板は「DLC(ダイヤモンドライクカーボン)」と、全く同じではない。値段もAriaは$79.99(※海外価格)なのに対し、心鏡は$50前後(※AliExpress価格)で、後者の方がもうちょっと安価である。

 どっちにするか割と真剣に迷ったのだが、丁度AliExpressのセールで心鏡が5k未満で買えそうだったので、思わずそっちに飛び付いてしまった。
 勿論事前にそこそこレビュー漁ったりしたが、驚いた事に心鏡は国内だけでなく海外(の某有名音響系フォーラム)でも高評価食らっており、これならまあ大丈夫だろう、と。Ariaも悪く無さそうだったが、如何せん出たばっかで評価が確定しきってない感あったし、今回はパス。

 注文から一週間と少しで届いた心鏡を、開封して現物手にして驚いたのはその小ささ。Studio SA6やUM 3DTと比較するとかなりちっこい。筐体の総体積はW4RやSE215くらいか? それでいて金属(亜鉛合金)使ってるからか、それなりに重みがある。中々どうして質感は悪く無さ気。
 地味に付属ケーブルは銀メッキOFC線の4芯仕立てと価格に反してマトモなモノを使用しており、イヤピも三種類同梱されているなど、パッケージングは非常にマジメ。……コレで5k弱なのだから中華イヤフォンってホント凄い市場である……

 取り敢えず、初めは付属ケーブルのまま音を聞いてみようとXD-05 Plus(with MUSES03*2)に繋いでみた。但しイヤピはSednaEarfit Light Short MSサイズに変更。
 Shanling M3Xから飛ばしたLDACを、XD-05 Plusにドッキングした05BL Proで受けて、いざ試聴開始。

 ――そして音出し一発目からびっくりした。
 何コイツめっちゃクリアな音鳴らすんですけど……!?

 事前にレビュー漁って音色やバランスについては大まかに予想していたが、実際に自分の耳で体験すると予想以上で驚きを隠せなかった。上から下までバランスが良好で、極端な誇張は無く、頗る聞きやすい音を鳴らしてくれる、というか。
 直近にSpaceCloudの実験台としたW4RやSE215は、Studio SA6やUM 3DTに慣れた耳だと正直低音過多に聞こえてしまったのに対し、心鏡はいたってフラットな調子で、バランスだけならいっそStudio SA6やUM 3DTに近いモノを持っている、かも。強いて言えば低域が少々控えめではあるものの、余程の低音狂でもなければ殆ど不足は感じないのではなかろうか。
 試しに、手持ちのイヤフォンの中からドライバ構成(DD一発)と帯域バランス(低域控えめ)が類似しているCL750を引っ張り出して心鏡と聴き比べてみたが、恐らく心鏡の方が鳴りがナチュラルで違和感少ないはず。CL750も独特な風味があって悪くないが、聞き心地が自然なのは心鏡だろう。

 此処でふと、「……心鏡にSpaceCloud使うとどうなるだろう?」と考えてしまい、そのままリケーブルを実行。0.78mm2pin4.4mm仕様のSpaceCloudをW4Rから没収し、心鏡に挿し替えてShanling M3Xの4.4mm出力で聞いてみた。
 そしてコレが実にドンピシャだった。心鏡の控えめな低域が見事カバーされて尚更バランスが良くなり、それでいて高域から中域も綺麗に響いてくれる、と一気に万能な音に。…………フォロワー割引で仕入れたSpaceCloudを合わせてもたったの9k程度なんだが、コレ一寸幾ら何でもコスパ良過ぎとちゃう??(困惑

 3Way6BAによる濃密緻密な表現が大変気に入っているStudio SA6、2Way3DDという変わり種ながらスッキリと聞き心地の良い鳴りが面白いUM 3DT。あくまでも心鏡は、この二機種を温存する為のサブ機として今回仕入れたのだが、……SpaceCloudによる化けもあるとは言え、想定を大幅に上回るクオリティにメインとサブの関係が逆転しそうである。(甘錯乱
 尤も、当のStudio SA6及びUM 3DTと心鏡とのじっくりとした比較は全然行っていないので、心鏡が二機種相手にガチで下剋上出来るかどうかは、マジメに聴き比べてみんと未ーだ未だ分からんがねー。

 因みに、海外の某有名音響系フォーラムに投稿されている心鏡のレビューで、よく見掛けたのが「駆動力が欲しい」という旨。出力がしっかりしていると迫力などがより良くなる、という感じ。
 幸い、自分が使用したXD-05 PlusやShanling M3X(※4.4mm出力)は比較的パワフルな出力元なので特段痩せた音には聞こえなかったが、スマホのイヤフォンジャックやiPod辺りに直挿しするつもりなら注意が必要かも。せめてドングルタイプのDACを挟むか、或いはいっそのことFiiO BTR5やShanling UP4辺りのUSB-DAC兼用Bluetoothレシーバーを使うことを考えた方が良いかも?
 ……心鏡そのものの価格は決して高価いモノではないのだが、上流にそこそこの環境を求められる辺りマニアックと言うか、如何にも所謂オーディオファイル向けだなあ、っつーか。



 しっかし……僅か一年程の間に高価格から低価格まで、またUSB-DAC/AMPやイヤフォン、DAP、果てはケーブルと、様々な価格帯・種類の中国製オーディオ機器を買いまくってしまったが、その質の高さには本当に驚く他無い。こういう「趣味の品」がどんどんレベルアップしているというのは、それだけ中国企業の技術力が半端無くなって来ているコトの証左であって、…………凄い時代になったもんだなあ。
 きっと今後も折に触れてちらほらと中国企業の製品を買うことになるだろうけど、……さてはて日本企業や欧米企業は、彼らの攻勢を前に踏ん張れるのかねえ……



※追記:Studio SA6・UM 3DTと心鏡の比較

 ADI-2 DAC FSを用いて三機種の音を聴き比べてみた。
 サクッと結論を述べてしまうと、やはりと言うかStudio SA6やUM 3DTは値段相応に聴き応えがあった。心鏡も決して悪く無い、いやむしろ健闘しているのだが、下剋上というワケには行かず。そりゃそーだわなー。
 心鏡は明瞭感こそ優れているものの、Studio SA6やUM 3DTを使った後では低域が控えめ故に重厚感が足りない、と感じてしまう。ではStudio SA6やUM 3DTは曇ってたり籠もってたりするか、と言うと全然そんなことは無く、低音の量感と中~高音のクリアさを確り両立しているのが流石。
 そんなStudio SA6とUM 3DTの差は聞こえる音の範囲。Studio SA6はUM 3DTに比べて高域はより高く、低域はより低くまで鳴らしている印象。一言で言えばワイドレンジ。それ故かStudio SA6は鳴りが濃密で情報量が多く、逆にUM 3DTは軽快でサッパリしている。甲乙付け難いが、本腰入れてじっくり聴き込むならStudio SA6、肩の力抜いて気楽に聞き流すならUM 3DT、って塩梅かねー。まあぶっちゃけ気分次第だけど。

 ただ心鏡はコスト考えれば十分過ぎるクオリティなのは間違い無いかと。控えめだがちゃんと響く低音と、明瞭感に富んだ中~高音による、やや高域寄りのフラットバランスでかなり自然な音色を、たったの5k未満で実現しているのはシンプルに凄いとしか言い様が無い。しかもコレでリケーブル可能とか沼に誘っているようなモノである。(ぇ
 日尼でもタイミング良ければAliExpressとほぼ同等の価格で買えるらしいし、「有線イヤフォンでより良く音を聞きたい」というポータブルオーディオ初心者へ気軽にオススメ出来るのではなかろーか。そしてDACやらアンプやらリケーブルやらイヤピやら底無し沼に引き摺り込んでしまおう!(ゲス顔