2020/09/26

据置型HPA/DAC複合機雑感:RME ADI-2 DAC FS 其之弐

 めっちゃくちゃお気に入りのT60RPを横着した結果として露骨に傷付けさせて派手に凹んでいるのも束の間。
 必要なモノが全て揃ったので、ADI-2 DAC FSのトランスポータブル化を実験してみた。


<今回仕入れた物々>

・ADI-2 DAC FS
 前回参照。

・モバイルバッテリー
 後述するUSB PDトリガーケーブル(12V)の使用を前提に、12VのPD出力に対応したヤツを捜索。
 その結果、密林で「RAVPOWER RP-PB201」というモデルを購入した次第。12V/3Aに対応し、20000mAhで容量は申し分無し。

・USB充電器
 20000mAhクラスともなると既に保有しているモノではバッテリーの充電に相当時間掛かることは明白だったので、此方も新たに購入。バッテリーと同じRAVPOWERの「RP-PC133」をチョイス。
 GaN(窒化ガリウム)を用いることで高出力とコンパクトさを両立したモデル。PD出力に特化し更に高出力なRP-PC128とは少し迷ったが、値段的にも用途的にも必要十分はコッチだろうとRP-PC133を選択した。

・オーディオグレードUSBケーブル(USB Type-C to B)
 AP80 or PocophoneをADI-2 DAC FSと繋ぐためのケーブル。PCとの接続に使っているGT2 USBにOTGケーブルを噛ませるのも考えたが、接点は減らすべきだろうと思って購入を決断。
 んで、オーディオグレードのType-C to Bケーブルというかなりニッチな代物があることは一応知っていたものの、まあ出してるメーカーそんな多くないだろうなと思っていたら、案の定極僅かで苦笑。国内の正規流通品だとオヤイデとAudioQuest、そしてunibrainというメーカーからしか出ていなかった。
 AudioQuestは流石に高過ぎるので即却下し、オヤイデとunibrainのどちらにするかでちと悩んだが、unibrainは情報が少なすぎるというか微妙に胡散臭かったので、手堅くオヤイデを採用。「d+USB Type-C classB(1.0m)」を購入。

・USB PDトリガーケーブル
 USB PD出力から、特定の電圧を選択して引き出せる特殊ケーブル。端子形状はUSB Type-C to DC。メーカーは中国。
 ADI-2 DAC FSに付属するACアダプタの出力電圧と揃えるのが一番安牌だろうと考え、12V仕様をポチった。ググると某電気部品店が出てくるので見付けるのは容易。


 一番の核となるADI-2 DAC FSを除いて、御値段占めて17kオーバー。ADI-2 DAC FSのキャンペーン価格も含めると140k前後くらいか。
 …………明らかに当初想定していた出費(※Cayin N3 Pro:64k、SHANLING M6 Pro:92k。何方も純正ケース込)を大幅に超過している気がするが、此処迄来たら気にするだけ無駄であろうよ。(震声

 ……さて。
 全部揃ったところで、ADI-2 DAC FSからGT2 USBと付属ACアダプタを引っこ抜き、代わりにType-C to B USBケーブルとUSB PDトリガーケーブルを接続。更にAP80とモバイルバッテリーを繋いでみる。
 ADI-2 DAC FSはしっかりコンセントに挿したACアダプタを繋いでスタンバイ状態になっていると、電源ボタンの周囲が赤く光るようになっているのだが、モバイルバッテリーを繋ぐとしっかり赤く光ってくれた。ならば、と電源を入れてみる――――問題無く起動してくれた。おぉ…
 続いてAP80を起動。……USBオーディオインターフェイス、つまりADI-2 DAC FSをしっかり認識した。AP80のボリュームをハイゲインの最大値(100)まで引き上げ、ライブラリからDSD音源を選択してみた。


「――――おぉ…………しっかり鳴ってる…………(感無量」


 ADI-2 DAC FSのPHONES出力に繋ぎっ放しのT60RPから、何の異常も無くクリアな音が鳴っている。
 つまり――――実験は、大成功である。…………うおおおおおおおおお…………!!(語彙消失


 此処迄書いておいて言うのもアレだが、…………実を言うと、肝心の音の出方というか具合というか、その辺は未ださっぱり精査していなかったりする。(何
 ぶっちゃけ音が問題無く出てくれたことだけで感激しきってしまったというか……音はどうせ良いことに変わりはないだろうからそこまで気にするこっちゃ無いわというか……(ぇ

 それより。
 むしろ気になったのはモバイルバッテリーとAP80のバッテリーの減り具合の方。

 取り敢えず二時間を基準として見た感じ、モバイルバッテリーは1/4、AP80は凡そ1/5(20%前後)程減るっぽい。コレはDSD64(2.8MHz)を4時間程ぶっ続けで再生させていた際の消費なので、フォーマット如何ではもうちょっと伸びたり、逆に短くなることも十分考えられる。
 ってことは単純計算すると、20000mAhのバッテリーを繋ぐ場合、限界ギリギリを攻めるなら八時間、少し余裕保たせるなら七時間くらいは再生出来ると見て良いだろう。……ADI-2 DAC FSの音質考えれば十分過ぎる。むしろよくそんだけ再生出来るな、と思うべきだろう。コレ以上のトランスポータブル環境なんぞ考えるだけ野暮ってもんではなかろーか。

(※補足追記[201115]:
 後日、AliexpressでUSB-C端子に対応したUSBテスターを購入し、RP-PB201とトリガーケーブルの間に入れて電流電圧を計ってみた。
 電圧はトリガーケーブルの仕様通りほぼ12Vが出ているのに対して、電流は電源オンのアクティブ時で凡そ540mA前後、電源オフのスタンバイ時で凡そ15mA程度流れていた。
 また、ハイパワーモードのON/OFFで電流量が変化するか確認してみたが、見事に変化が無かった。どういうことなの…)

 尚、AP80の代わりにPocophoneを繋いでもしっかり使えた。但しDSDはネイティブではなくDoPに限るっぽい(※UAPPの場合)。
 以前の考察?を鑑みるに、USB-C to BケーブルはC側がホスト、B側がクライアントとして設定されてるっぽいですな。……B端子付いてる機器がホストなんて先ず有り得ないから当然っちゃ当然か。

 まあノイズとかを考慮すると、ADI-2 DAC FSに繋ぐならやはりスマホよりもDAPの方がなんぼかマシなんだろうなー。スマホはモバイル通信とか備わってる分だけノイジーだろうし。
 でもプレイリスト弄ったりするのはスマホ(というかAndroid OS)の方が圧倒的にやり易いんだよねえ。HiBy Link使えば多少はカバー出来るけど、アレってプレイリストの順番入れ替え不可っていう地味に面倒臭い欠点があるのよなあ。とは言えBluetoothで繋いだ独自OSのDAPの中身を、なんもかんも弄り回せるなんて流石に期待してなかったが…



 ちょいとコーヒーブレイク。
 今回買った物々の雑感を簡単に。

・RP-PB201(モバイルバッテリー)
 モバイルバッテリーは六年程前、未だ流行り始めの頃に買った10000mAhのモノを一つだけ持っているのだが、バッテリー容量に対しての体積が圧倒的にコンパクト化されていて舌を巻いた。技術の進歩ってのは恐ろしい…

・RP-PC133(USB充電器)
 Pocophone購入時に買った充電器よりも若干小さいサイズでよりぐーんと高出力化とかもう何が何だか。20000mAhをたった三時間で充電出来るんだからホント凄い。

d+USB Type-C classB(オーディオグレードUSBケーブル)
 写真で見た時は硬そうだなあと思っていたのだが、実際に触れてみると真逆で、非常に柔らかいもんだから面食らってしまった。平ぺったいきしめん型がその柔らかさを補っている感じ。しなやかで扱いやすい。
 端子が非常に挿しやすく、C側もB側もスルリと入るからちょっと驚かされた。正直、デジタルケーブルもといUSBケーブルによる音質の変化にはちと懐疑的なのだが、思った以上にモノが良さ気なので割と満足してたり。少なくともボトルネックにはならんと思えるクオリティ。
 当初は0.7mを買おうと思っていたのをやっぱ余裕欲しいと考え直して1.0mにしたが、実際そのくらいある方が取り回しやすかったので一安心。

USB PDトリガーケーブル
 特別安っぽくはないが、物凄く品質が高そうにも見えず。まあ用途とニーズ考えたら妥当な価格設定と言えるだろうか。
 因みにリンク先は自分が買った電気部品店ではなく、密林で見付かる同型品と思わしき商品のページ。Type-C端子に刻まれているメーカーロゴから見て、恐らく同じモノと考えられるが100%の保証は出来ないので御容赦。値段は電気部品店の方が一見安いものの、実際は送料込みだとトントンだったり。



 閑話休題。
 ADI-2 DAC FSについて考えたり思ったりしたことを箇条書きで簡単に。

結構発熱する
 使用中は思いの外熱を持ちやすいことが分かった。xDSD並。XD-05 PlusやHP-A3はそんなに発熱する方ではないので、768kHz/32bit対応機はこんなもんなのかなー、とか。

スペアナが楽しい
 fb2kもスキン弄ればスペアナは出せるが、「DACそのもの」の機能としてスペアナを表示出来るのが個人的にツボ。ついつい、音楽聞きながらADI-2 DAC FSの液晶をぼーっと見つめてしまう。お、今この辺の周波数出てるんだ~、みたいな。

・そういえば…
 ADI-2 DAC FSのDACチップってXD-05 Plusのソレと同じモノ(AK4493)使ってなかったっけ?、と今更気付いてしまったり。遅ぇよ!
 まあDACチップだけで音質決まる世界ではないだろうし、そういやそうだったっけ~、ってくらいの認識なのだが。実際全然鳴りっぷり違うしなあ…

・端子保護は大事
 モバイルバッテリーを密林で注文する際、一緒にADI-2 DAC FS背面のXLR端子とRCA・COAXIAL端子用の保護キャップを纏めて購入した。こーゆーのをほったらかしにしておくと金メッキがくすんでしまうのはHP-A3で経験済なので、さっさと手を打った次第。
 何せ保有機器では紛うこと無き最高額だしねえ……(遠目

サブスクは御得意じゃなさそう?
 ADI-2 DAC FSだけではなくてAmazon Music HD(以下AMHD)の問題でもあるかもだが、どうやらAMHDからADI-2 DAC FSへ出力する場合、ADI-2 DAC FSの実際の再生レートはデバイスドライバと共有モードの設定に完全依存してしまうらしい。
(デバイスドライバ設定と共有モード設定の関係だが、前者は上限値を定めているような感じで、後者はその上限値以下で実際の再生レートを設定するような趣となっている。但しデバイスドライバでADI-2 DAC FSのD/A変換上限である768kHzを設定すると、そもそもサウンドデバイスからADI-2 DAC FSが消失してしまう。正直この辺のロジックはよく分からん…)
 つまり、デバイスドライバと共有モードを384kHzに設定しているとAMHDで44.1kHzを再生しようが、96kHzや192kHzを再生しようが、出力時には必ず384kHzにアップサンプリングされてしまう。逆に設定を44.1kHzへ下げると、44.1kHzより高いレートのファイルを再生しても必ず44.1kHzにダウンサンプリングされてしまうのだ。えぇ……
 無論、PC+fb2kや、AP80、Pocophoneとの接続ではそんな現象は起こらない。さてこの差はなんじゃろな…と思っていた所、ついったで「ASIO出力以外でADI-2 DAC FSへ入力すると、画面に表示される再生レート表示の挙動がちょっと変?」という声を見付けて「嗚呼、成程…」と得心した。恐らく、ADI-2 DAC FSをAMHDで使用時の強制コンバートの原因は、AMHDのプログラムがASIO出力に対応していないことによるものなんだろう。
 一方、ASIO出力未対応のHP-A3(PCのM/Bから光入力)をAMHDで使用時に、96kHz配信されている曲と44.1kHz配信されている曲の再生レートを見てみたが、共有モード設定が96kHz/24bitでも44.1kHzの曲はアップサンプリングされていなかった。逆に共有モード設定を96kHz/24bitから落とすと、96kHzの曲が落としたレートへダウンサンプリングされていた。
 ……実を言うと、デバイスドライバと共有モードの設定についてADI-2 DAC FSには少々困った挙動が見付かっており、「fb2kで曲を再生時、曲のサンプリングレートが変わる度に共有モードの設定、というかサウンドデバイスとしての認識が若干変化している?」っぽいのだ。どういうことなの……(混乱
 そんなワケで、ADI-2 DAC FSでAMHDを使うのはちょっと面倒臭そうだ、と。やはり元々が入力出力の何方も出来る「USBオーディオインターフェイス」故に、HP-A3のような極々フツーのUSB-DACとはPCからの認識等が色々と異なる、ってことを実感させられた次第。成程ねえ…



 とまあ今回はこんなもんで。また音質とか聴き比べとか実施したらその都度纏めようかと。
 あ゛ぁ゛~、早うDT1990PROをADI-2 DAC FSで鳴らしてみたいんじゃ~…

2020/09/21

据置型HPA/DAC複合機雑感:RME ADI-2 DAC FS ファーストインプレッション


 DT1990PRO(※未到着)から始まった、臨時収入による散財の第二弾。
 当初は真空管内蔵DAP or サブスクに完全対応したAndroidDAPのハズが、何時の間にか据え置き機の導入になって出費が大幅増しになるという…

 ……何はともあれ。
 ヘッドフォンやイヤフォンに凝り始めた頃に買ったHP-A3以来となる、久々の据え置き機である。しかも御値段は怒涛の六桁。ワクワクしないわけがない。
 休日の午前に受け取って早々箱出しし、事前に接点復活剤で端子をメンテしておいたオーディオグレードUSBケーブル「FURUTECH GT2 USB(1.2m)」を用いて、専用ドライバインストール済のデスクトップPCとADI-2 DAC FSを接続。foobar2000でASIO出力してみた。
 出力先にはリファレンスとして重用しているT60RPを選択。設定はハイパワーモードをONに。イコライザやラウドネス、クロスフィード等は一切未使用。


――――――――ぇ、何コレすっご…………(震声


 ……もうホント只管良い意味で兎に角滅茶苦茶びっくりした。今まで聴いてた音は何だったの????、というか。
 数曲聞き終わった頃には顔のニヤけと背筋のゾクゾク感が止まりませんでしたよええもう。我ながら気持ち悪いこと限りないけれども。

 XD-05 Plus(with MUSES03*2)とT60RPも中々の鳴り心地だとは思うが、……流石に相手が悪過ぎる。ADI-2 DAC FSは次元違いと言って過言ではないクオリティだった。
 何と言っても解像感と分離感が異常。ディテール感凄まじ過ぎ。音楽の中の要素としての「音」の一つ一つを、余りにも簡単に捉えられて正直頭が混乱した。確かにコレなら、プロ仕様のAD/DA機器をベースにリスニング用途に最適化した、という設計思想にも合点がいく。モニターサウンドってのはこういうコトか…
 表現力も流石の一言。迫力ある音から繊細な音までしっかり描き分けてくれる。この辺はハイレゾ音源以上に44.1kHz/16bitの一般的なCD音源だと差を感じやすいかもしれない。「この音源ってこんなに情報多かったっけ……??」ってコトがしばしば。RME謹製のフェムト秒精度クロックが成せる技なのだろうか?
 ……なんつーか、XD-05 PlusはT60RPのスペックを十全に発揮出来ていなかったんだな、と痛感させられた。まあXD-05 PlusとADI-2 DAC FSの価格差考えたら当たり前っちゃ当たり前なのだが…

 他に驚いた点として、音量調整の細かさにむっちゃ感心させられた。ギャングエラーを一切出さずに極小から極大までスムーズにボリュームを弄れることが此程気楽とは! その上リモコンでも調整可能とか豪華過ぎじゃねコレ??
 更にノイズ。「はァ? そんなもんウチにゃねぇよ」と言わんばかりの静けさが良い。試しにIEMの個人的リファレンスであるWestone4RをIEM出力に挿してみたが、完全に背景真っ黒。まあW4Rは特別敏感なイヤフォンじゃないので参考にならんかもしれんが、説明書でIEM出力について書かれたトコ読むと、高感度で有名なCampfire AudioのANDROMEDAに触れてるくらいなので、恐らく問題は無かろうて。
 複数の出力(Line・Phones・IEM)を同時に使えるのも地味に有難い。特にPhonesとIEM。流石に音量調整はそれぞれ別に出来ないものの、比較試聴での挿し替えや、鳴らし込みを複数台行う際の手間を省けるので。こういうトコはやはり出力に余裕がある据え置き機ならではですな。
 そして今更だが――――すんごくコンパクト。HP-A3を横に二台並べたくらいの大きさしか無い。A4どころかB5ノートより小さいとかどういうことなの……それでいてこの音質とか、まさに「ドイツの技術力は世界一ィィィ!」と言うべきか。

 強いて難点を挙げるとすれば、元がプロフェッショナルユースの多機能な機器故に、弄れる設定項目が非常に多くその辺の把握がかなり大変なこと。操作はアレコレとカチカチやってる間にすんなり体得出来たが、流石に全設定項目の詳細を一つ一つしっかり把握するのは骨が折れそう。
 尤も、基本的にはUSB挿して電源入れてヘッドフォンやイヤフォン繋いで、プレイヤーで出力デバイスちゃんと定めた上で曲再生すればフツーに使えてしまうのだが。そこはHP-A3と同じである。

 fb2kを使う際の注意点として、ASIO出力用のコンポーネントは「foo_out_asio2」ではなくて「foo_out_asio」をオススメする。海外のフォーラムでアップされてる方ではなく、fb2k公式から落とせる旧い方である。
 当初、更新日時が新しいという理由でfoo_out_asio2を使っていたのだが、曲が切り替わる際にサンプリングレートが異なっていると、何故かノイズ混じりのスロー or 早回し再生と化す異変に遭遇し「え゛、初期不良!?」と滅茶苦茶焦らされた。DAC側の設定がおかしいのかと思って説明書片手に設定を色々と弄り回したものの、結局原因っぽいモノは見当たらず、では逆にこっち(PC側)か、と試しにfb2kの設定からfoo_out_asioを選択し直してみると、異変はすっかり治まってくれた。ほっ…
(……恐らく、foo_out_asio2もレイテンシー等の細かい設定をしっかり定めれば問題無いのだろうが、生憎とその辺詳しい知識無いのでパスした次第)


 現在、モバイルバッテリーを利用したトランスポータブル化を実行するべく、必要な物資を方々に発注して到着を待ちに入ってたり。……昨日今日届いて音出ししたばっかなのに最早ソレを試みるのはちと拙速じゃなぁい?、と我ながら思わないでもないが、余りの音の良さに「コレをトランスポータブルで何処でも使えたら面白いじゃん!? 面白いって絶対!!」と気が逸ってしまったと言うか…
 実際、ADI-2 DAC FSは持ち運びを全く考えられない程の体積・重量ではなく、むしろすっぽり収まる耐衝撃ケースの類でもあれば容易く旅行先へ持って行ける程度なのよなあ。だから人によってはトランスポータブルを真剣に考慮する価値、あるのではなかろーか。
 因みに自分は家の中でならやらないでもない。外は値段的に却下。こんな高価いもん外に持ち出すとか恐過ぎるわ!?(ぇ

2020/09/16

雑記

 のっけからで何だが。

 臨時収入でADI-2 DAC FSも、買 い ま し た 。


 …………とうとうやってしまった大型出費。まさかの六桁オーバー。
 しかしサブスク要らんDAPの追加要らん(※前回の雑記を参照)となると、据え置きのリファレンスに投資するのが最善だと思ったのだ。……臨時収入って(ry
 因みに案の定未だ届いていない。しかしDT1990PROと違って今月末には来るっぽい。ASAPで頼むぜbeyerdynamic…

 そんで現在、ADI-2 DAC FSをバッテリー駆動でトランスポータブル化するための方策を考え中の巻。12V/3AのPD出力に対応した20000mAhクラスのモバイルバッテリーに、ついったで運良く知ることが出来た、電子部品店で購入可能な「USB PDトリガーケーブル(※)」の12V仕様を組み合わせてやろうと。
(※USB PD出力から特定の電圧を引き出すことの出来るケーブル。端子形状は「USB Type-C to DC」)
 ……実は当初、付属ACアダプタの12V/2Aを丁度満たせるモバイルバッテリーを必死こいて探していたのだが見付からず、最新規格でメジャーな12V/3Aで妥協するか…、なんて肩を落としていたのだが――――結論から言うと、ほぼ完全に杞憂だった。えぇ…

 そもそもRMEの公式フォーラムで何と創業者自ら「ADI-2のバッテリー駆動は良いぞ!」というトピックを立てていたのだが、そこでADI-2 Proへの電力供給用に使われていたのは「モバイルバッテリーの12V/4A DC出力」。ぇ゛、2Aじゃなくていいのソレ?!
 更に「ADI-2 Proのバッテリー駆動と付属ACアダプタ駆動、どっちがより良いか?」を実際に実験した人のブログのURLがフォーラムに貼られていて、行ってみると使っていたのは12V/3Aだった。…………2Aに拘っていた自分って一体……orz
 後々、国内の某有名電子部品店のページでACアダプタについて解説しているのを読んで分かったが、どうやら自分が想定していたケースだと重要なのは電圧の方で、電流はあんまり関係無いらしい。……思ったよりもファジーなんだな電子回路の世界って……

 更に、公式フォーラムでADI-2 DAC FSのソースにAndroidやDAPを使えるか探ってみたのだが、どうやら幸運にも使えるらしいので、

・AP80→(USB-C to Bケーブル→)ADI-2 DAC FS(with バッテリー駆動)→ヘッドフォン or IEM
 +HiBy LinkでAP80をPocophone F1から操作
  +ADI-2 DAC FSを付属のリモコンで操作

 ――という「手元で再生から音量まで操作出来る環境」が最終的には構築出来るか!?、と悪巧みしていたり。気分は「何処でもパーソナルリスニングルーム」。
 いやぁ夢が膨らみますねえ……!(恍惚顔

2020/09/06

雑記

 のっけからで何だが。

 臨時収入でDT1990PRO、買 い ま し た 。


 …………まあ、尤もブツ自体は手元に無いんだけどね。発注掛けたのが代理店で「取り寄せ(※納期未定)」の時だったし。さていつ触れるのやら…
 その代わりと言ってはアレだが、税込50k以下で注文出来た。かなり底値に近い額だと思うので、思い切ってIYHしてしまったのである。臨時収入って恐い……(黒笑

 尚、臨時収入がそこそこの額だったため、DT1990PRO以外にも何か買ってやろうかしらんと画策したり逡巡したり。
 具体的に言うとDAP。「SHANLING M6 Pro」と「Cayin N3 Pro」。

 M6 Proは以前発売前にちょこっと取り上げたが、所謂流行りのAndroid DAPである。OSにAndroidを用いることでAmazon Music HDのようなサブスクリプション方式の音楽配信サービスをフルに楽しめるようになっている。
 一方N3 Proは独自OS(恐らくHiBy OSベース)を採用した一見普通のDAP。が、本機のユニークな点は「真空管」を載っけていること。それもNutubeのような最新式のものではなく、ビンテージものの真空管を積んでいるという変わり種。

 臨時収入的にはこの二つを纏めて買っても何とかなりはするが、流石にそれは幾ら何でも無駄使いし過ぎ、ということでどちらか一方に絞ろうと思っているのだが、コレが中々難しい。
 現状、N3 Proに少し気持ちが傾いているが、しかしM6 Proも捨て難く…

 そもそも、サブスクリプション方式の音楽配信サービスが果たして自分の音楽鑑賞に対するスタンスと合致しているか否か、と言う問題がありまして。
 元々「アニメ、ドラマ、ゲーム等で聞いた事のある楽曲」をメインに音楽を楽しんでいる身で、コレは裏を返せば「未経験の音楽への興味が薄い」コトに繋がる。別な切り口で表現すると「歌手や作曲者繋がりで音楽を開拓しない」のだ。我ながら「お、この歌イイねえ。同じ歌手の別の曲も聞いてみっか!」という心理にならないのである。
 サブスクは「音楽鑑賞に於ける興味の幅を常日頃からアップデートすることに貪欲」な人程オトクになっていくと思うので、故にその辺自分と致命的に合わないのではなかろうか、という懸念がどーしても拭えないのである。実際にAmazon Music HDをお試し価格払ってサービスを使用して、余計に強くそう感じてしまった。

 サブスクを使わなくても良いとなると、ぶっちゃけM6 Proを選ぶメリットは一気に薄くなる。むしろ真空管サウンドを体験出来るN3 Proの方が面白味が強かろう。
 ただ、M6 Proはサブスク抜きでも割と良い作りをしているっぽく、M6 Proでサブスクのフル活用が出来るようになったならソレはソレで結局そこそこ使い込むようになるのではないか、と思ったりもするわけで。
 う~む、悩ましい…

 他、N3 Proに惹かれる点として「真空管増幅は3.5mmシングルエンドでのみ有効」である事が挙げられる。N3 Proは4.4mmバランス接続に対応し最大で800mW/32ohmまで出力出来るのだが、こっちでは真空管が動作しないのだ。
 コレはむしろ、バランス接続対応機器を全く保有していない自分にとっては大変好都合で、新型DAPの導入に際してわざわざバランス接続用ケーブルを買いに走る手間が省ける。まあどの道4.4mmバランスケーブルは一本くらい買う羽目になるだろうが、それでもN3 Proの「真空管サウンド」というユニークさを享受する上でケーブルの買い増しを意識しなくても良いのは有難い限り。


 う~~~~~む、頭の中の葛藤を文章として出力すればする程、Cayin N3 Proが魅力的に思えて欲しくなってくると言うか…
 M6 Proの最大の強みである「サブスク(特にAmazon Music HD)完全対応」って部分が自分とミスマッチしてるとなると、N3 Proの真空管サウンドに俄然興味湧いちゃうのよなあ。

 ただ、ポータブルプレーヤーは今の所AP80で特に不満を感じてないのも事実であって。
 幾ら未だ体験したことがない真空管サウンドと言えども、その為に60kを出すのは中々ねえ…

 因みに最近の組み合わせは、

・Pocophone F1→(LDAC音質優先→)XD-05 Plus(with MUSES03*2+05BL Pro)→T60RP
・AP80→(iFI純正Type-C OTGケーブル→)xDSD→AZLA MK2

 …って感じ。
 まー最近の買い物をフル活用するとこういうカタチに落ち着かざるを得ないのよな。AZLA MK2はXD-05 Plus相手じゃ音量取れすぎるだろうし。

 一応、何だかんだ言って上流系は現状で概ね満たされてる感あるから、M6 ProにしろN3 Proにしろ、買うっつってももーちょい後の話かね。そもそも大本命であるDT1990PROが未だ届いてないしな…
 つーかむしろ上流に投資するより、密閉型オーバーヘッドのイイのを一つ探した方が良いまである。気が付けばオーバーヘッドは開放型ばっかになっちまったからねえ。


 ところで。
 そういやT60RPをxDSDに繋いで聞いたこと無かったなーと思い、T60RPを被ったまんまxDSDとXD-05 Plusを取っ替え引っ替えしてみたのだが、

「…………まさかxDSDでLEDが赤になる直前までボリューム捻る羽目になるとは」

 ……思った以上に出力の差を思い知る羽目になってちょっとびっくり。XD-05 Plusのゲイン小で1時~2時辺りと、xDSDの音量色が赤に変わる少し手前(90%前後)で大体同じ音量、と言えばXD-05 Plusの余裕が分かるだろうか。ひぇぇ…
 当初、T60RPをxDSDに挿してAZLA MK2使ってる時の音量でそのまま鳴らし始めたら音が小さいのなんのって。やっぱりT60RPって鳴らしにくい類の機種なんだなあと実感させられた。

 尚、音色の違いに関しては以前と同じ感想。xDSDはボーカル辺り(中域)がフォーカスされ、XD-05 Plus(with MUSES03*2)は背景の音(高域と低域)が明確。解像感や分離感という点では後者に分があるものの、前者は前者で音楽のオイシイ部分を集中的に楽しめるんで存外悪くない。何よりイヤフォンを丁度良い音量で鳴らしやすいからXD-05 Plusとは使い分けが利く。バッテリー少ないから充電頻度高めなのは玉に瑕だが。



※以下から追記[200912]:

 今度はAZLA MK2をXD-05 Plus(with MUSES03*2)で鳴らしてみた。
 ので、簡単にレポ。

 先ずは無音時のノイズについてだが、…………ぶっちゃけxDSDよりも小さいってどういうことなん????(困惑
 ゲイン小ならボリュームを最大付近まで捻ってようやく「ジーッ…」というノイズ音が若干聞こえる程度。個人的には無視出来るレベルだった。あれまあ…

 その代わり音量の取れ方はかなり極端。
 スイッチを入れただけで全くボリュームノブを捻っていない状態でも、再生中の曲の音が若干、僅か透けて漏れるように聞こえている。んで、ノブを九時辺りまで捻ると次第に右側から本格的に音が聞こえ始める。
 ……と、思ったのも束の間。十時に達するくらいでいきなりワッと音が大きくなってびっくりさせられる。ついでにギャングエラーが解消されるのもこの辺だったり。
 但しのっけから爆音化するワケではなく、AZLA MK2の場合はマトモなリスニング音量に達する辺りで丁度ギャングエラーも無くなる、って塩梅。

 纏めると「別にIEMでも使えない事は無い」。
 確かに音量の取れ方は少々アレだが、案の定xDSDよりクリアで鮮度の良い鳴り方をしてくれるから聞いていて面白い。スッキリしているが軽くはなく、高域から低域までハキハキ鳴らしてくれるのが好印象。やっぱ音色としてはこっちの方が好みかねえ。
 ……………………xDSDの存在価値、危うくなぁい?(遠目


 尚、上述した臨時収入によるDT1990PROに続く買い物、現在はちと方針を転換中。DAPではなく――――据え置き用機器を買ってしまおうかと画策していたり。
 具体的に言うと、独RMEのヘッドフォンアンプ兼D/Aコンバーター「ADI-2 DAC FS」。お値段、実に128k。…………N3 Proの二倍くらいありませんかねえ…………(しろめ

 と言うのも、

<SHANLING M6 Pro>
・そもそもサブスクが自分のリスニングスタイルに合っていない
・Android DAPはOSにAndroidを使ってるのもあって未だ発展途上な気がする

<Cayin N3 Pro>
・ついった等で反応を見ていると今の所UIがイマイチっぽい
・真空管の寿命は30000~50000時間とのことだが、やはり不安

 ……こういう懸念がありまして。

 また、現在愛用中のXD-05 PlusはPHPAとしてはかなりの出力を持っているものの、やはりあくまでも「ポータブル」機器である。現状、トランスポータブルな環境を更に追加する必要が薄いと言うなら、むしろ据え置き環境に投資した方がマシなのではないか、と思った次第。

 ADI-2 DAC FSに注目した理由は以下の通り。

・RMEはプロ用のDA/AD機器を製造しているメーカーであり、フラットでニュートラルな鳴りを期待出来る
・PCM768/DSD256まで対応し、アンバランスのフォンアウトで最大1.5Wの出力という高スペック
・6.3mm以外にIEM(要はイヤフォン)用の3.5mm端子を用意してあり、低能率ヘッドフォンから高感度イヤフォンまで幅広く対応している
・ヘッドフォン用のバランス出力を省いた潔さ

 特に規格乱立著しいヘッドフォン用バランス出力を思い切って省略し、代わりにしっかり出力を調整したIEM用端子を載っけた辺りは構成が上手いな、と。
 製品の解説読むと兎に角ノイズやジッターの排除に腐心していることがよく分かるので、コレならバランス出力なんぞ無くとも十分良い音だろうと思ったのである。

 ただ一つ気になるのは、

・デジタルボリュームを採用する都合上、フォンアウトではDSDネイティブ再生に対応していない

 ……コレがかなりのネック。

 背面のバランス(XLR*2)/アンバランス(RCA)ライン出力ではDSDネイティブ再生可能なのだが、正面の6.3mm/3.5mmフォンアウトではDSDネイティブではなくPCM変換で再生してしまうらしい。
 前身であるADI-2 Proの解説を読むに、DSDネイティブ再生とデジタルボリュームによる音量調整は両立しないようで、ADI-2 DAC FSをヘッドフォンアンプとして使用する限り、DSDネイティブ再生は出来ないっぽい。コレは何とも痛い。

 その後自分でDSDのPCM変換やデジタルボリュームについて調べたが、…………正直、調べれば調べただけ「フォンアウトではDSDネイティブ再生不可」をどう捉えるべきか迷う羽目になっていたり。
 海外レビューでは「DSDをPCM変換して再生したが、音質が良いことに変わりはない」とあり、基本的に「フォンアウトではDSDネイティブ再生不可」という点を気にしている声が国内外共に少ないのだ。
 そもそもADI-2 DAC FSは出自や設計思想からして「D/Aコンバーター」であり、オーディオ機器としての「ヘッドフォンアンプ」とは趣の異なる代物である。それはボリュームにデジタルボリュームを採用していることからも明らかだろう。それこそ後者であればアナログボリュームを採用するはずである。
 しかし、此程「ヘッドフォンアンプとして」高評価を受けている製品が、「デジタルボリュームではビット落ちが云々~」という余りにも分かりやすい欠点を全く考慮していないとも思えない。更に超低ノイズ出力のIEM用端子を搭載するという強みもあり、「DSDネイティブ再生の可不可」だけで製品の是非を決めてしまうのは余りに勿体無いと言うか…

 丁度現在、Stay Homeキャンペーンということで本来なら160kオーバーするはずのモノが130k弱で買えるので、出来ればキャンペーンが有効な年内に結論を出してしまいたいところだが……悩ましいのぅ…………(懊悩

(※補足追記[200913]:
 RMEの日本代理店(シンタックスジャパン)ではなく本国の公式HPからADI-2 DACのマニュアル(英語)を見ることが出来たので、DSDの扱いやデジタルボリュームについて書かれている部分をじっくり読み込んでみた。
 どうやら、RMEはデジタルボリュームの採用に絶対の自信がある御様子。特に歪みやノイズを徹底的に抑えるにはデジタルボリュームの方がポテンショメータを利用したアナログボリュームより優れている、って考えっぽい。また、アナログ抵抗をデジタル制御するタイプのボリューム(xDSDみたいなタイプ?)も、やはり歪みやダイナミクスの点でデジタルボリューム程のモノにはならない、だそうな。
 他、ギャングエラーやクロストーク、最適な音量の設定範囲等、色々なトコでデジタルボリュームにするメリットが勝っている、というのがRMEの見解っぽい。

 ……んで、一通り解説を読み込んで、改めて決めた。
 DT1990PROに続く買い物はADI-2 DAC FSにしよう、と。

 高級HPA/DAC複合機の中にはADI-2 DAC FSの1500mW/32ohmよりも格段に出力高い機種もあるが、個人的にはADI-2 DAC FSの「D/Aコンバーター」としての設計思想にちょいと惹かれるものを感じた。デジタルボリュームによる、ノイズや歪み、クロストーク等の徹底排除、って辺りとか特に。
 また、低能率オーバーヘッドから高感度IEMまで幅広くそのメリットを享受出来るというのは、パーソナルリスニングを嗜んでいる者としては大変有難い。プロ用機器譲りのフラットでニュートラルな音なら尚更である。
 更に、…………コレは裏技っぽい手法(と言っても実は取説で推奨されている)だが、12Vの出力があればモバイルバッテリーでも駆動できるらしい。つまり――――何とこのクラスの製品でトランスポータブルが可能なのである! マジかよ! 嘘やろ!?(歓喜
 幸い、上述した通り2021年1月末迄であればStay Homeキャンペーンで平時よりかなり値打ちになっている(本来なら160kクラスの製品である)ので、DSDネイティブ再生や駆動力不足が気になってしまうなら浮いた分でいっそ単体アンプを買い足すという選択も取り得る。実はDropのTHX AAA 789アンプとかやたら安くて良さそうだなーとか思ってたり。アレめっちゃ出力高いしバランス対応してるし。評判も良いしね。

 そんなこんなで、在庫が復活したらどっかで注文してやろうと画策中。
 当初よりも出費がむっちゃ増えてる気がするが気にしない。…………気にしたら負けである。(震声))