2020/06/26

ファーストインプレッション色々

<ポータブルヘッドフォンアンプ:xDuoo XD-05 Plus
 +XD-05 Plus専用Bluetoothレシーバーオプション:xDuoo 05BL Pro
  +オペアンプ交換:新日本無線 MUSES03>

 先日「HP-A3のオペアンプをMUSES8920Dに交換してみた」という記事を書いた折、「HP-A3は実験台で本命は別にある」と言っていた訳だが、その本命がコレ。


 ――そう、何時ぞやの物欲整理で紹介した中国PHPA、XD-05 Plusである。
 Dropでの注文を泣く泣く見送ってしばらくして、…………物欲を抑えきれなくなった挙げ句、何と密林のマケプレで海外セラーからIYHしてしまったのだ!!

 ……………………いや、馬鹿なの? 阿呆なの??
 我ながらな~にやってんの????(自己嫌悪

 んで五月の上旬に注文したのだが、……タイミングが余りにも悪過ぎた。
 何せ時はコロナ禍真っ盛り。国内発なら兎も角海外発送なんてどうなるか分かったもんじゃないのに、深夜ならぬIYHテンションで発注掛けた結果、


 ――――到着まで一ヶ月以上掛かりました。
 _| ̄|○ il||li

 具体的に言うと五月半ば辺りからつい最近まで荷物の所在が不明でした……


 正直言って、荷物の余りの行方不明加減に注文のキャンセルもといマーケットプレイス保証による返金申請をすることすら覚悟していたのだが……何とか届いたんでまあ、じゃあもういいや……的な心境。
 セラー自体は結構評判確かなトコだったし、……今回は注文時期が時期故に自ら進んで貧乏クジ引いたようなもんだ、つまり自分が悪かったんだよバカヤロー、と反省中。
 途中、二回程セラーに催促めいて問い合わせもしていたのだが、この場を借りてお詫び申し上げたい。ホントすんませんでした……


 んで。
 荷物を受領後、早速ブツを出してAP80&HD25 Originalsと組み合わせてみた。AP80との接続にはFiiOのLT-TC1を使用。
 ソースは最近某ゆっくり実況見て世界観にハマってしまった韓国製ゲーム「Library Of Ruina」のOPより、音楽制作ユニット「Mili」が奏でる「String Theocracy」。FLAC96kHz/24bit。

 音出し一発目の感想としては「……うん、パワフル!」。
 ゲイン小、ブーストオフにも関わらず、ボリュームノブが十二時辺りで十分大音量が取れる程。噂に違わぬ高出力。

 きちんと音が出ることを確認後、今度はXD-05 Plusの電源を切りHD25とAP80を外して、早速フロントパネルのネジを外し、基盤を引き出す。そして前もって買っておいた交換用オペアンプの隠し玉――MUSES03を準備(※一個あたり一回路なので二個使用)。ツールで足を揃えて同梱の下駄を履かせ、XD-05 Plusにセッティング。
 引き出した基盤を元に戻して、ネジ締めて、HD25とAP80を再度繋いで、もう一度音出し。

 ――いやあ、こりゃ大したもんだ……!

 出だしからして明らかに風情が変わったのが分かる。中でも特に、メインとなるボーカルの、その裏にあるピアノやドラム、トランペット等の音がやたらくっきりハッキリ聞こえてくる。
 鮮度、とでも言えばいいのだろうか? 全体的に交換前(OPA1612)とはソレがまるで違う。一聴して明らかな音の変化に、思わず顔がニヤけてしまった。

 String Theocracyは当初、
「デスクトップPC→(光出力)→HP-A3(with MUSES8920D)→Aurvana Live!」
 という組み合わせで、Mili公式がようつべに上げているのを聴いていたが、e-onkyoでハイレゾ音源が配信されているのを発見してすぐに購入。fb2k使ってきちんと再生してみると、音質がようつべ音源とは別物でかなり驚かされた。改めてハイレゾ音源の良さを実感させられた次第。
 その上で今回届いたXD-05 PlusとMUSES03の組み合わせだが、……元々ハイレゾ音源再生してるんだし其程デカい変化は無いだろう、と高括ってたら見事に裏切られてしまった。オペアンプで音が変わること自体は前回のHP-A3で実感させられたが、微差どころかつい表情に出てしまうレベルで良くなるとは…

 更に、XD-05 Plusとセットで注文した専用のBluetoothレシーバーオプション、05BL Proを開封。AP80を外して代わりに装着し、AP80とペアリングしてLDAC(音質優先)で再生してみた。……フツーに音が良くてびっくり。つーかXD-05 Plusの画面見たら96kHz扱いになってて苦笑。LDACは公式で96kHz/24bit相当を謳ってるが、それならUSB接続時と違和感無いワケだ…
 05BL ProはLDAC以外にもaptX HD(48kHz/24bit相当)やaptX LLにも対応しているが、AP80では使えないためそっちは残念ながら実験不可能。PocophoneならaptX HDに対応していたはずなので、気が向いたら試してみようかなー。


 ぶっちゃけ、OPA1612の状態のままではそんな強く印象に残るような音ではなかったXD-05 Plusだが、MUSES03に交換してみたら思った以上に化けてくれた。尤も一個2.5kもする高級品を二個も使ってショボい結果だったら目も当てられなかったのだが、杞憂に終わってくれて何より。
 とは言え、出費のトータルを見ると40k近く使ってしまっているという…………まあXD-05 Plus以上に高出力なPHPAっつーとiFI micro iDSD BLくらいのもんで、しかもこっちはもう25kくらい出さないと買えない高級品であることを考えると、何だかんだ言ってコスパは良い方だと思う。

 取り敢えず、暫くはAP80→(USB or LDAC)→XD-05 Plus(with MUSES03*2)→HD25 Originalsって組み合わせで鳴らし込んでみるつもり。慣らしが一段落したら今度はxDSDと比較して見る所存。
 折角それなりに音質が確かなPHPAが二つもあるんだから、やっぱしっかり比べてみないとねー?



※追記[200627]:XD-05 Plus vs xDSD聴き比べ

 という訳で聴き比べ、やってみた。

 経路は「AP80→(LDAC音質優先)→XD-05 Plus」or「AP80→(USB)→xDSD」ってな具合。音質優先時のLDACならUSB接続に匹敵し得ると思えたので、出力先をスイッチする際の利便性考えてXD-05 PlusはLDACを使用することにした。
 ソースは引き続きMiliの「String Theocracy」。FLAC96kHz/24bit。
 使用したヘッドフォン/イヤフォンはDT990PRO、ATH-ESW9、Westone4R、TripleFi 10、MDR-EX800ST。

 結論からぶっちゃけると、…………XD-05 Plus(with MUSES03*2)の方が好みだった。あくまでも自分にとっては、だが。
 xDSDも十分良い音だとは思うが、どのヘッドフォンやイヤフォンを使っても「……XD-05 Plusの方が鳴り方好きだなあ……」と思ってしまった。何ともはや……(遠目

 XD-05 PlusとxDSDの差だが、特に明らかだったのは「フォーカス」。音楽のどの辺に焦点を合わせているか、それがかなり違った。
 xDSDのフォーカスは恐らくボーカル。BGMはその名の通り背景的に鳴らす感じ。だからといってBGMがボケて聞こえる訳ではないのだが、あくまでもボーカル辺りに焦点を当てているからか、歌声の方が目立つ。とは言え、その分歌そのものを聞き取りやすいので、一概にデメリットとは言い難いが。
 ではXD-05 Plus(with MUSES03*2)はどうかと言うと、xDSDに比べて随分と「BGMが明瞭に聞こえてくる」。ピアノやトランペット、ドラム、サクソフォンやトロンボーンの音色がとてもクリアに響くのだ。無論、ボーカルも十分ハッキリ聞こえるのだが、とかく「耳に感じる音の量が増える」ので、xDSDからスイッチした時は驚かされた。テンプレ的な表現をするなら、「全体的にクリアで音の分離が良く、透明感に優れ、音楽の細部まで見通せる鳴り方」という感じか。

 先のファーストインプレで「鮮度」という表現を使わせてもらったが、ほんと正にソレ。XD-05 Plus(with MUSES03*2)の音は頗る鮮度が良い。元々ノリが良いString Theocracyが更にリズム感溢れるようになり、ついつい身体を音楽に合わせて揺らしてしまう。
 一方のxDSDは、各パートの分離感や明瞭さこそXD-05 Plusに劣るものの、代わりに楽曲全体の纏まりは上々で、僅かにスモーキーな風情がジャズ調のString Theocracyと良くマッチしている。加えてボーカルにフォーカスが合っている為、歌それ自体をしっかり聴き込めるのはメリットだろう。
 やや大袈裟な表現だが、XD-05 Plusは「ライブ会場でヒャッホーしながら音の奔流を聞いている」感じ。xDSDは「ジャズバーでソファに腰を落ち着けて旋律を聞いている」感じ。躍動感のXD-05 Plusに対して、ムーディなxDSD、って印象。ちと抽象的過ぎて申し訳ないが…

 他、びっくりしたのはWestone4Rを使って比較した時。初めにxDSDへ繋いで「何か随分とシャリシャリして聴こえるなあ…」なんて思っていたのだが、XD-05 Plusにスイッチするとそのシャリシャリ感が一気に収まったのだ。
 恐らくは相性の類だと思われるが、かなり露骨な差を感じたので少々驚いた。それともXD-05 Plusの駆動力によるものだったのだろうか?


 とまあ、好みなのはXD-05 Plus(with MUSES03*2)なのだが、xDSDもコレはコレで悪くないわな、って塩梅。つーかXD-05 Plusコスパ良過ぎやろ、専用BluetoothレシーバーやMUSES03*2含めて考えてもxDSDより10k以上安いのに、それでこの音質とか…

 音質以外では、xDSDに対するXD-05 Plusの長所として「入力情報が分かりやすい」事が挙げられる。LEDインジケータによる簡素な表示と違って、ディスプレイに文字出して教えてくれるのは内容が一目瞭然。そして「連続駆動時間」。5000mAhの大容量バッテリーは伊達ではなく、フル充電したなら十時間以上も使える。
 逆にxDSDが勝る点は、何と言ってもコンパクトさ。長辺で見てもXD-05 Plus+05BL Proの六割程度しか無い為、可搬性は抜群。また、USB-C to CのOTGケーブルは選択肢が極僅か(日本国内での正規流通品だとFiiOのLT-TC1くらい)しか無いのに対し、USB-A(Female) to C/microのOTGケーブルは非常にバリエーション豊かなので、端末との接続性に優れる点は何気に重要。

 個人的には、xDSDのバッテリー持続時間と駆動力に不足を感じてモノを探した結果がXD-05 Plusなので、目論んでいた代物を入手出来て大変満足。Bluetoothレシーバーオプションは当初若干迷っていたが、実際に使ってみると96kHzを無線伝送出来るのが便利過ぎてやはり買っといて良かったな、と。MUSES03も、あんなちっこいICチップ二個にわざわざ5kも出した甲斐があった。
 コレで上流は当分心配無くなったと思うので、次に何かオーディオ製品買うならやっぱオーバーヘッドかなー? DT1990PROとか、或いはエントリークラスでいいからHiFiMANの平面駆動とか欲しいねえ、なんてずっと思ってたんだが、その辺導入するならしっかり駆動出来るように上流整えておきたいって考えてたからのう……それもようやく何とかなったので、次の為にコツコツ金貯めるとするかなあ。

 因みに。
 xDSDで力不足を感じてしまったK701だが、XD-05 Plusで鳴らしてみると軽々音量が取れた。つーかブーストオフかつゲイン小のまま、ボリュームノブを二時~三時辺りまで捻るだけで十分以上に大音量だった。試しにゲインを上げていったら中はいいとして大では一気に爆音化してめっちゃ焦った…
 音はやはりと言うか、散々音量上げても鳴り方が何処かサラリとしていて、HD25辺りで感じたノリの良さはあんまり無い。しかし音楽の細かい部分をきちんと捉えられるクリアさと分離感は備わっているので、やはり良いヘッドフォンだな、と。



※追記[200627]:ブーストスイッチと充電インジケータについて

 XD-05 Plusのフロントパネルにはボリュームノブ以外に三つのスイッチがある。左から順にブーストスイッチ、低音ブーストスイッチ、ゲインスイッチとなっており、その内ゲインスイッチと低音ブーストスイッチは効果が分かりやすい。ゲインは全体的な音量が変化し、低音ブーストは高音はそのままに低音が一気に盛られる。
 が、ブーストスイッチはON-OFFしてみてもリアルタイムで目立った効果が表れず、正直どういう意味があるのかちょっと分からない。公式マニュアルには「increased thrust, adapt to different impedance headphones」とあって、つまり「出力を増加させるよ、高インピーダンスのヘッドフォンに適合するよ」というニュアンスだと思うのだが、実際にスイッチをカチカチしてみてもそのような感触を得られないのだからどうしたもんか。

 そこで海外勢のレビューを見ると、
「ブースト、という表現はちょい違う。インピーダンスの整合スイッチ(専ら150Ω以上向け)と言った方が良いんじゃね?」
 的な意見が散見されて、嗚呼成程と。実際に音量を変化させるワケではなく、あくまでもアンプの具合をハイインピーダンス向けに調整するためのスイッチ、ってことなのだろう。しかしソレならソレでカチカチやってる間に何か変化を感じてもおかしくないような気がするのだが、自分の耳では全然分からなかった。ぐぬぬ…

(※補足追記[200628]:
 海外レビューを更に漁ってみたところ、
「ブーストスイッチって出力インピーダンスを変えてるんだろうけどさ、ぶっちゃけあんま効果無いからオフにしっ放しでいいんじゃない?」
 ……なんて感じの、身も蓋も無さ過ぎる意見が見付かって盛大に脱力。えぇ……
 つまり自分の耳の感覚はそんな間違って無かったってことらしい。何ともはや…

 そういうワケで以下、一部不必要になってしまった記述は文字色を変えて意図的に読み難くしてあります。御了承下さい…)

 ――そこでふと、気付いたことがある。
「…………そういや、届いて速攻オペアンプをMUSES03*2に交換してたよな、自分?(滝汗」

 そう、我がXD-05 Plusは届いた初日からいきなりフロントパネルをバラして改造済みなのである……!
 基本的に取説なんかに書いてあるのはあくまでも未改造状態での話なので、既にカスタムしてしまった場合は必ずしもそのまんま当て嵌ってくれるとは限らんのよなあ…

 ってなわけで、その内フロントパネルもっかいバラして一度純正仕様に戻してみようかと。ソレでもしブーストスイッチの効果が分かりやすければ、まあ、そういうことだったのだろうと。
 大体、二回路入りオペアンプ一個(OPA1612)を一回路入りオペアンプ二個(MUSES03*2)に置換して回路的なバランスっつーか電流電圧の調整というか、その辺何も変わらんなんてこと流石に無い気がするんだよねえ……OPA1612とMUSES03とで全然データシートのスペック値違ってるし。いや自分電子回路はド素人でホント何も知らんのだけれども。
 尤も、音自体は現在のMUSES03*2仕様を気に入ってしまっているので、多分OPA1612でブーストスイッチに関して検証出来たら速攻で元に戻すと思われ。さもありなん。


 もう一つ気になったのは、充電時のLEDインジケータの挙動。
 これも公式を見ると、
「When charging, the red light turn on and stay on for 15seconds,then it will start blinking according to the mode of charging(slow blink when slow charge mode, quick blink when quick charge mode),the right(※lightの誤字?) will turn off after it’s charged.」
 とあり、要は、
「充電始めると赤いライト点いて直に点滅するよ、高速充電か低速充電かで点滅速度が違うよ、充電終わったら消えるよ」
 的なことが書いてあるのだが…………実際に充電させてみると、まっっっっっっっっっっったく点滅しないのだ。ずーーーーーーーーーーっと点灯しっ放し。えぇ…
 当初、充電に使ったのがモバイルバッテリーだったのがいけなかったのかと考え、ACアダプタをちゃんと繋いでみたのだが、やはり点滅しない。思っきし点灯である。いやいやいやどうなっとんねん……別にフツーに使えてるから良いけどさあ。

 ……尚、05BL ProにもLEDインジケータによる充電状態の表示は備わっているのだが、此方はメーカーの説明通りの挙動を示していた。なんでや!


(※補足追記[200703]:
 メーカーの公式フォーラムを試しに覗いてみたところ、幸運な事に、
「マニュアルには充電時に点滅するってあるけど実際は点灯しっ放しじゃん、コレ正しい挙動なの?」
 正に自分の疑問そのものなトピックが立てられていて、それに対し公式が、
「すみません、私達の間違いです。XD-05 Plusは充電中赤いライトが点灯して、充電が終わったら消灯します」
 と返答していた。…………マニュアルと全然挙動ちゃうやんけ!?(困惑

 実際、PCから給電させてほかってたらいつの間にか赤色LEDが消灯していたので、つまりコレで仕様としては正常な挙動っぽい。……「海外セラーで買ったから不良品の返送とか超面倒そうだなあどーしよー……」って少し憂鬱になりかけてたので取り敢えず一安心。良かったあ…)