2020/09/26

据置型HPA/DAC複合機雑感:RME ADI-2 DAC FS 其之弐

 めっちゃくちゃお気に入りのT60RPを横着した結果として露骨に傷付けさせて派手に凹んでいるのも束の間。
 必要なモノが全て揃ったので、ADI-2 DAC FSのトランスポータブル化を実験してみた。


<今回仕入れた物々>

・ADI-2 DAC FS
 前回参照。

・モバイルバッテリー
 後述するUSB PDトリガーケーブル(12V)の使用を前提に、12VのPD出力に対応したヤツを捜索。
 その結果、密林で「RAVPOWER RP-PB201」というモデルを購入した次第。12V/3Aに対応し、20000mAhで容量は申し分無し。

・USB充電器
 20000mAhクラスともなると既に保有しているモノではバッテリーの充電に相当時間掛かることは明白だったので、此方も新たに購入。バッテリーと同じRAVPOWERの「RP-PC133」をチョイス。
 GaN(窒化ガリウム)を用いることで高出力とコンパクトさを両立したモデル。PD出力に特化し更に高出力なRP-PC128とは少し迷ったが、値段的にも用途的にも必要十分はコッチだろうとRP-PC133を選択した。

・オーディオグレードUSBケーブル(USB Type-C to B)
 AP80 or PocophoneをADI-2 DAC FSと繋ぐためのケーブル。PCとの接続に使っているGT2 USBにOTGケーブルを噛ませるのも考えたが、接点は減らすべきだろうと思って購入を決断。
 んで、オーディオグレードのType-C to Bケーブルというかなりニッチな代物があることは一応知っていたものの、まあ出してるメーカーそんな多くないだろうなと思っていたら、案の定極僅かで苦笑。国内の正規流通品だとオヤイデとAudioQuest、そしてunibrainというメーカーからしか出ていなかった。
 AudioQuestは流石に高過ぎるので即却下し、オヤイデとunibrainのどちらにするかでちと悩んだが、unibrainは情報が少なすぎるというか微妙に胡散臭かったので、手堅くオヤイデを採用。「d+USB Type-C classB(1.0m)」を購入。

・USB PDトリガーケーブル
 USB PD出力から、特定の電圧を選択して引き出せる特殊ケーブル。端子形状はUSB Type-C to DC。メーカーは中国。
 ADI-2 DAC FSに付属するACアダプタの出力電圧と揃えるのが一番安牌だろうと考え、12V仕様をポチった。ググると某電気部品店が出てくるので見付けるのは容易。


 一番の核となるADI-2 DAC FSを除いて、御値段占めて17kオーバー。ADI-2 DAC FSのキャンペーン価格も含めると140k前後くらいか。
 …………明らかに当初想定していた出費(※Cayin N3 Pro:64k、SHANLING M6 Pro:92k。何方も純正ケース込)を大幅に超過している気がするが、此処迄来たら気にするだけ無駄であろうよ。(震声

 ……さて。
 全部揃ったところで、ADI-2 DAC FSからGT2 USBと付属ACアダプタを引っこ抜き、代わりにType-C to B USBケーブルとUSB PDトリガーケーブルを接続。更にAP80とモバイルバッテリーを繋いでみる。
 ADI-2 DAC FSはしっかりコンセントに挿したACアダプタを繋いでスタンバイ状態になっていると、電源ボタンの周囲が赤く光るようになっているのだが、モバイルバッテリーを繋ぐとしっかり赤く光ってくれた。ならば、と電源を入れてみる――――問題無く起動してくれた。おぉ…
 続いてAP80を起動。……USBオーディオインターフェイス、つまりADI-2 DAC FSをしっかり認識した。AP80のボリュームをハイゲインの最大値(100)まで引き上げ、ライブラリからDSD音源を選択してみた。


「――――おぉ…………しっかり鳴ってる…………(感無量」


 ADI-2 DAC FSのPHONES出力に繋ぎっ放しのT60RPから、何の異常も無くクリアな音が鳴っている。
 つまり――――実験は、大成功である。…………うおおおおおおおおお…………!!(語彙消失


 此処迄書いておいて言うのもアレだが、…………実を言うと、肝心の音の出方というか具合というか、その辺は未ださっぱり精査していなかったりする。(何
 ぶっちゃけ音が問題無く出てくれたことだけで感激しきってしまったというか……音はどうせ良いことに変わりはないだろうからそこまで気にするこっちゃ無いわというか……(ぇ

 それより。
 むしろ気になったのはモバイルバッテリーとAP80のバッテリーの減り具合の方。

 取り敢えず二時間を基準として見た感じ、モバイルバッテリーは1/4、AP80は凡そ1/5(20%前後)程減るっぽい。コレはDSD64(2.8MHz)を4時間程ぶっ続けで再生させていた際の消費なので、フォーマット如何ではもうちょっと伸びたり、逆に短くなることも十分考えられる。
 ってことは単純計算すると、20000mAhのバッテリーを繋ぐ場合、限界ギリギリを攻めるなら八時間、少し余裕保たせるなら七時間くらいは再生出来ると見て良いだろう。……ADI-2 DAC FSの音質考えれば十分過ぎる。むしろよくそんだけ再生出来るな、と思うべきだろう。コレ以上のトランスポータブル環境なんぞ考えるだけ野暮ってもんではなかろーか。

(※補足追記[201115]:
 後日、AliexpressでUSB-C端子に対応したUSBテスターを購入し、RP-PB201とトリガーケーブルの間に入れて電流電圧を計ってみた。
 電圧はトリガーケーブルの仕様通りほぼ12Vが出ているのに対して、電流は電源オンのアクティブ時で凡そ540mA前後、電源オフのスタンバイ時で凡そ15mA程度流れていた。
 また、ハイパワーモードのON/OFFで電流量が変化するか確認してみたが、見事に変化が無かった。どういうことなの…)

 尚、AP80の代わりにPocophoneを繋いでもしっかり使えた。但しDSDはネイティブではなくDoPに限るっぽい(※UAPPの場合)。
 以前の考察?を鑑みるに、USB-C to BケーブルはC側がホスト、B側がクライアントとして設定されてるっぽいですな。……B端子付いてる機器がホストなんて先ず有り得ないから当然っちゃ当然か。

 まあノイズとかを考慮すると、ADI-2 DAC FSに繋ぐならやはりスマホよりもDAPの方がなんぼかマシなんだろうなー。スマホはモバイル通信とか備わってる分だけノイジーだろうし。
 でもプレイリスト弄ったりするのはスマホ(というかAndroid OS)の方が圧倒的にやり易いんだよねえ。HiBy Link使えば多少はカバー出来るけど、アレってプレイリストの順番入れ替え不可っていう地味に面倒臭い欠点があるのよなあ。とは言えBluetoothで繋いだ独自OSのDAPの中身を、なんもかんも弄り回せるなんて流石に期待してなかったが…



 ちょいとコーヒーブレイク。
 今回買った物々の雑感を簡単に。

・RP-PB201(モバイルバッテリー)
 モバイルバッテリーは六年程前、未だ流行り始めの頃に買った10000mAhのモノを一つだけ持っているのだが、バッテリー容量に対しての体積が圧倒的にコンパクト化されていて舌を巻いた。技術の進歩ってのは恐ろしい…

・RP-PC133(USB充電器)
 Pocophone購入時に買った充電器よりも若干小さいサイズでよりぐーんと高出力化とかもう何が何だか。20000mAhをたった三時間で充電出来るんだからホント凄い。

d+USB Type-C classB(オーディオグレードUSBケーブル)
 写真で見た時は硬そうだなあと思っていたのだが、実際に触れてみると真逆で、非常に柔らかいもんだから面食らってしまった。平ぺったいきしめん型がその柔らかさを補っている感じ。しなやかで扱いやすい。
 端子が非常に挿しやすく、C側もB側もスルリと入るからちょっと驚かされた。正直、デジタルケーブルもといUSBケーブルによる音質の変化にはちと懐疑的なのだが、思った以上にモノが良さ気なので割と満足してたり。少なくともボトルネックにはならんと思えるクオリティ。
 当初は0.7mを買おうと思っていたのをやっぱ余裕欲しいと考え直して1.0mにしたが、実際そのくらいある方が取り回しやすかったので一安心。

USB PDトリガーケーブル
 特別安っぽくはないが、物凄く品質が高そうにも見えず。まあ用途とニーズ考えたら妥当な価格設定と言えるだろうか。
 因みにリンク先は自分が買った電気部品店ではなく、密林で見付かる同型品と思わしき商品のページ。Type-C端子に刻まれているメーカーロゴから見て、恐らく同じモノと考えられるが100%の保証は出来ないので御容赦。値段は電気部品店の方が一見安いものの、実際は送料込みだとトントンだったり。



 閑話休題。
 ADI-2 DAC FSについて考えたり思ったりしたことを箇条書きで簡単に。

結構発熱する
 使用中は思いの外熱を持ちやすいことが分かった。xDSD並。XD-05 PlusやHP-A3はそんなに発熱する方ではないので、768kHz/32bit対応機はこんなもんなのかなー、とか。

スペアナが楽しい
 fb2kもスキン弄ればスペアナは出せるが、「DACそのもの」の機能としてスペアナを表示出来るのが個人的にツボ。ついつい、音楽聞きながらADI-2 DAC FSの液晶をぼーっと見つめてしまう。お、今この辺の周波数出てるんだ~、みたいな。

・そういえば…
 ADI-2 DAC FSのDACチップってXD-05 Plusのソレと同じモノ(AK4493)使ってなかったっけ?、と今更気付いてしまったり。遅ぇよ!
 まあDACチップだけで音質決まる世界ではないだろうし、そういやそうだったっけ~、ってくらいの認識なのだが。実際全然鳴りっぷり違うしなあ…

・端子保護は大事
 モバイルバッテリーを密林で注文する際、一緒にADI-2 DAC FS背面のXLR端子とRCA・COAXIAL端子用の保護キャップを纏めて購入した。こーゆーのをほったらかしにしておくと金メッキがくすんでしまうのはHP-A3で経験済なので、さっさと手を打った次第。
 何せ保有機器では紛うこと無き最高額だしねえ……(遠目

サブスクは御得意じゃなさそう?
 ADI-2 DAC FSだけではなくてAmazon Music HD(以下AMHD)の問題でもあるかもだが、どうやらAMHDからADI-2 DAC FSへ出力する場合、ADI-2 DAC FSの実際の再生レートはデバイスドライバと共有モードの設定に完全依存してしまうらしい。
(デバイスドライバ設定と共有モード設定の関係だが、前者は上限値を定めているような感じで、後者はその上限値以下で実際の再生レートを設定するような趣となっている。但しデバイスドライバでADI-2 DAC FSのD/A変換上限である768kHzを設定すると、そもそもサウンドデバイスからADI-2 DAC FSが消失してしまう。正直この辺のロジックはよく分からん…)
 つまり、デバイスドライバと共有モードを384kHzに設定しているとAMHDで44.1kHzを再生しようが、96kHzや192kHzを再生しようが、出力時には必ず384kHzにアップサンプリングされてしまう。逆に設定を44.1kHzへ下げると、44.1kHzより高いレートのファイルを再生しても必ず44.1kHzにダウンサンプリングされてしまうのだ。えぇ……
 無論、PC+fb2kや、AP80、Pocophoneとの接続ではそんな現象は起こらない。さてこの差はなんじゃろな…と思っていた所、ついったで「ASIO出力以外でADI-2 DAC FSへ入力すると、画面に表示される再生レート表示の挙動がちょっと変?」という声を見付けて「嗚呼、成程…」と得心した。恐らく、ADI-2 DAC FSをAMHDで使用時の強制コンバートの原因は、AMHDのプログラムがASIO出力に対応していないことによるものなんだろう。
 一方、ASIO出力未対応のHP-A3(PCのM/Bから光入力)をAMHDで使用時に、96kHz配信されている曲と44.1kHz配信されている曲の再生レートを見てみたが、共有モード設定が96kHz/24bitでも44.1kHzの曲はアップサンプリングされていなかった。逆に共有モード設定を96kHz/24bitから落とすと、96kHzの曲が落としたレートへダウンサンプリングされていた。
 ……実を言うと、デバイスドライバと共有モードの設定についてADI-2 DAC FSには少々困った挙動が見付かっており、「fb2kで曲を再生時、曲のサンプリングレートが変わる度に共有モードの設定、というかサウンドデバイスとしての認識が若干変化している?」っぽいのだ。どういうことなの……(混乱
 そんなワケで、ADI-2 DAC FSでAMHDを使うのはちょっと面倒臭そうだ、と。やはり元々が入力出力の何方も出来る「USBオーディオインターフェイス」故に、HP-A3のような極々フツーのUSB-DACとはPCからの認識等が色々と異なる、ってことを実感させられた次第。成程ねえ…



 とまあ今回はこんなもんで。また音質とか聴き比べとか実施したらその都度纏めようかと。
 あ゛ぁ゛~、早うDT1990PROをADI-2 DAC FSで鳴らしてみたいんじゃ~…

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