2017/10/22

アニメーション雑感:劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] 1.presage flower

 観てきた。



 安心のufotableによるアニメ化だから不安は然程無かったけど、実際に観劇してきたら出来の良さが此方の予想を軽々ぶち抜いていてどうしてくれたものか。
 そして頗る出来が良いからこそ、PC版を当時散々やりこんだ身として、今後どうなるか分かりきっているから、次回が滅茶苦茶恐ろしい。
 今作presage flowerの時点で十分過ぎる程絶望感に満ちているのに、次回次々回はもっと、より深く、より昏くなっていくのだから……

 つーかさあ! のっけから士郎と桜(と藤ねえ)の詳細な過去描写とかufoふざけんじゃねえぞ!?
 これから先の展開考えたら落差が酷すぎて鬱になるだろうが……!

 月姫の頃、琥珀さんがアルクと並んでダントツにお気に入りのヒロインだった身としては、Fateの桜も凄く好きなキャラクターなのだが、…………今作、桜がひたすら健気で可愛い。
 本当に健気で、可愛過ぎて、…………故にこそ、観ている間ずっと、眉間に皺が寄って、唇を噛み締めずにはいられなかった。

 何せHeaven's Feelは――――作中のキャラクターも、彼らを傍観する我々も「裏切られ続ける」物語。
 凛の過去。
 イリヤの真意。
 言峰の望み。
 臓硯の願い。
 サーヴァント達の在り方。

 そして――桜の真実と、士郎の決意。

 全てが、思っていたモノとは異なる形で叩き付けられる――――それが、Heaven's Feelという物語なのだから。


 原作プレイ勢の一人としてはちょこちょこ聞こえる、割と改変入ってるという感想に「……それが?」と思ってしまう。
 確かに改変はあるだろうが、表現形態がビジュアルノベルからアニメーションに変わっている以上、致し方無いと言う他無い。
 重要なことはその上で原作のイメージや雰囲気をどれだけ表現出来ているか、という点で、それで言えばpresage flowerは本当によく出来ていた。絶望感とか悲壮感とかのっけから全開で、原作のHeaven's Feelルートを読んでいる時にずっと抱いていた「…………ちょっと。いや、どういうことなんだよ…………?」という感情を、この上なく綺麗にリフレイン出来た程に。


 そして外せないのが――――Aimerが歌い上げるEDであり主題歌、「花の唄」。

 劇場でスタッフロール観ながら聞こえてくる内容が、あまりにも桜の想いそのもので切なすぎて堪らなかったのだが、帰宅して改めてちゃんと歌詞を調べて読み切った瞬間、CDの購入を決意した。
 ……涙目になりながら。

 あまりにも歌詞の内容が率直で、曲調と併せて非痛感が凄まじい。
 なまじ今後の展開を大筋把握出来ているからこそ、読んでいて涙が滲んできてしまう。

貴方のこと傷つけるもの全て
私はきっと許すことは出来ない

 ……コレで「うわぁ……」と思っていたら、

月が雲に隠れて 貴方は道を失くして
泣き出しそうな 目をしてた

ぎざぎざなこころだって ふたつ合わせてみれば
優しいものがきっと 生まれてくるわ

 ……このフレーズで完全に絶句し、

私を傷つけるものを 貴方は許さないでくれた
それだけでいいの

 とか、

戯れに伸ばされた 貴方の手にしがみ付いた
諦めていた世界に やがて温かな灯がともる

 ……とか、

私が摘んだ光をみんな束ねて
貴方の上に全部 よろこびのように
撒き散らしてあげたいだけ

 …………とか、


わるいことをしたらきっと貴方が 怒ってくれると約束したよね

だからきっともう一度 私を見つけてくれるよね


 ………………トドメに、コレを読んだ瞬間に色々と決壊した。


 多分、「花の唄」は原作やってた人だと感じ入り過ぎて大変だと思う。
 Fateシリーズに主題歌は数あれど、「花の唄」ほどド直球に感傷的なモノは初めてな気がする。
 作詞作曲編曲は梶浦由記氏らしいが、今後絶望しか待っていないことを、真正面から表現していて、ただただキツい。良い意味で、ではあるが。


 来年の第二幕が今から楽しみ過ぎて、いっそもう一度二度観てこようかなあ。
 ufoはホント、型月には手を抜かんねえ…

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