2022/09/02

レファレンス級DAP雑感:Shanling M7 ファーストインプレッション

 4.4mm出力やデジタルトランスポートとしててんてこ舞いなShanling M3X。エントリークラスながら、プレイヤーとしての音質からAndroid OS端末としての機能性まで手堅く纏まっていて大変重宝しているが、やはり我が一番のレファレンス環境であるRME ADI-2 DAC FSと比較してしまうと、音質面でちょっとパッとしない面がある事は否めなかった。
 その為、M3X購入後もDAPやPHPAの物色はずっと続けており、取り分けDAPを意識して日頃から新製品情報等、各メーカーのプレスリリースやAV系メディア、ブログを注視していた。相対的に優先度が低かったPHPAについても、iFi xDSD Gryphon等は相当迷ったっつーか、正直今でも面白そうだなーと考えていたり。

 Shanling M7は海外で新製品として案内があってから、今の今まで注目し続けていたDAPで、製品の構成に比して然程値が高価く無い点にかなり惹かれていた。特に、据え置き向けのハイスペックDAC「ES9038Pro」を、電源回路の都合上ポータブルオーディオでは扱い難い電流出力で敢えて動作させるという辺りは、中々にマニア心を擽られてしまった。
 尤も、ドル価格$1249は現在のドル→円レートだと日本円で160kを軽々超えてくる為、気にはなっていても中々手を出す決心は付かなかった。出来ればケース・ジャケット等込み130k未満で手を打てないものかと考えて色々探したものの、M7以上、或いはM7並にそそられる選択肢が見付からず、まあ今後の新製品を待つしかないかー……と黄昏ていた。

 そんな折、中華SNSのWeiboにて、Shanling公式がその時点では未だ発売前だったM7について解説している記事を読む機会を得て、…………一頻りソレを読み下した後、我乍ら信じ難い事に、何と改めてM7の購入を固く決意してしまったのである! えぇ……
 決め手になったのは「M7がシングルエンド(SE)出力にも拘って設計されている」事が分かったから。何でもメーカー曰く、SE出力のニーズはマニア層からも何だかんだ言って根強く残ってるらしく、M7はSEでも十分な出力を稼げるようにしたらしい。
 個人的に、ヘッドフォン用のバランス出力は「プロ用のインターフェースでは先ず使われていない」事がずーっと引っ掛かっており、やたらとバランス出力を重視して持ち上げる最近の風潮はあんま好きじゃなかったりする。愛機ADI-2 DAC FSのヘッドフォン出力はSEのみだけど、決して低出力ではないし解像感が低いワケでもないしねー。むしろ悉く逆まである。


 ところでShanlingは此処最近にM6 Ultraという、AK4493SEQ*4なんて実に突き抜けたDAC構成のDAPを発表している。まー多分、コイツは完全にバランス出力へ傾倒した機種と見て間違い無いだろう。
 M7と比較してRAMとストレージ、出力が少々減っているものの、SoCとOS、ディスプレイ解像度は据え置きで、DACの御蔭かスタミナはM7より優秀、って塩梅。M7よりもなんぼか安価ながらスペックは決して悪く無く、上述したWeiboの記事見る迄は「ほーん、んじゃM6 Ultra出るの待っとるかー」と割かし本気で考えてた。
 だがM7がSE出力にも手を抜いてない事を知った後だと、M6 UltraのAK4493SEQ*4というバランス出力特化なDAC構成がやり過ぎに見えてしまった。4.4㎜バランスだけでなくSE出力も使い込むなら、クアッドDACなんて大袈裟なシロモノよりもES9038Pro*1でシンプルに纏めたM7の方が適切なのでは?、と思い直した次第。

 他、M6 Ultra以外でM7と天秤に掛けた機種として、嘗てPHPAで名を馳せたiBassoのDX240が挙げられる。昨年末?くらいに国内発売されたDAPで、DACに何とShanling M7と同じESSのES9038Proを搭載していたり。尤も、生憎とこっちは電流出力ではなさそうだけど。
 スペック的にはM7から露骨に見劣りする部分は無く、別売の4.4mm対応アンプモジュール込みでも精々約135kとM7より大分値を落とせたのだが、どうもiBassoのDAPはアンプ等「音」に関する部分の作り込みは良くてもソフトウェアの出来がイマイチな感じで、ともすればUSBデジタル出力でトランスポート運用する可能性がある自分の環境では、既にM3Xで使い心地を把握しているShanling製品の方が良さそうだな、と考えた次第。

 そんなこんなで、とうとう100kオーバーのレファレンス級DAPにまで手を出してしまった、という…
 あーあー、やっちまったなー……(遠目

 だが先日購入したSymphonium Audio Heliosを筆頭に、オーバー40kクラスのそれなりにお高価いイヤフォンがドッと増えてしまった今、Shanling M3Xというポータブル環境はIEMから見て役不足気味と言うか、ボトルネックになっている感が拭えなかったのよねー。特にHeliosは確実にそう。
 一応、自分はADI-2 DAC FSにUSB PDトリガーケーブルとモバイルバッテリーを組合わせる事でトランスポータブル化して運用してはいるが、このやり方はぶっちゃけバッテリー管理が煩雑且つあくまでも「設置場所をコンセントに縛られず自由に変えられる」だけに過ぎない。故に、ADI-2 DAC FSに匹敵するレベルのレファレンス級ポータブル環境をゆくゆくは整えてしまいたい、と長らく思っていたのだ。

 そんなワケで購入を決断したShanling M7だが、その代わりに一つ下取交換という形で手放したモノがある。
 M3Xを入手するまではメインDAPとして、M3Xの購入後はデジタルトランスポート兼旧機種向けSE出力用DAPとして活用していた、Hidizs AP80である。
 AP80を手放すに至った要因は以下の通り。

・M3Xをデジタルトランスポートとしても使い始めてしまった
・非Android端末故に楽曲管理等端末内ファイル操作を単体で完結出来ないのが不便
・旧機種の使用頻度がずっと低空飛行状態

 嘗ては「DAPにAndroid OSなんて音質考えたら無用の長物やろ~?」と高を括っていたハズが、M3Xを使い込む内にAndroid OS端末ならではの強みを散々実感しまくってしまい、逆に非Android OSなDAPを使う気がどんどん失せてきてしまったのだから人間分からんもんである。
 WiFiファイル共有による楽曲の追加、ライブラリのディレクトリ変更、プレイリストの生ファイル直接編集等、Android OS搭載機はそれ自体が簡易的なパソコンめいて使える以上、非Android OS機よりも自由度が圧倒的に高い。利便性がケタ違いなのだ。

 折しも、某店でM7に対し「下取交換で10k値引き!」キャンペーンが未だ実施されており、仮にAP80が満額で買い取りされれば、累計で16k近くもM7の値を下げる事が可能だった。
 ならば、ここらでいっそ使用機会がめっきり減りまくってたAP80を潔く手放してしまって、代わりにM7を少しでも安く買ってしまおう、と思ったワケ。幸い、丁寧に使っていた甲斐あってAP80の状態良好だったしねー。


 さて。
 いつも通り前置きが長くなってしまったが、そろそろ本題――M7の使用感、雑感について記してみようかと。

 此処でM7のスペックについておさらいすると、

・OS:Android 10
・SoC:Qualcomm Snapdragon 665
・RAM:6GB
・Storage:128GB+microSD
・Display:5inch, 1920*1080, by SHARP
・Battery:7000mAh
・Bluetooth:5.0
・Weight:320g

・DAC:ESS ES9038Pro in current-mode
・Output:3.5㎜ single ended+4.4mm balanced
・Power:400mW/32ohm(SE)+900mW/32ohm(BAL)
・Output Impedance:<1ohm
・Play Time:10h(SE)+8.5h(BAL)

 DAP以前にAndroid OS端末として見ても決して悪くは無いスペックだろう。無論、DAPの範疇で考えれば現行トップクラスなのは間違い無い。
 一つ「……んんん????」と違和感を覚えそうなのは、7000mAhという大容量バッテリーを積んでるにも関わらず、再生時間がシングルエンドですら10時間止まりなトコか。ES9038Proの電流出力モードが如何に難儀なシロモノかよく分かる部分。
 ……よくよく考えると、回路設計に於ける制約がコンセント接続前提な据置用機器の比では無いポータブル機器で、敢えて電力ドカ食いするES9038Proの電流出力を「大容量バッテリーや回路に高級コンデンサ使ってフォローして」動作させるって、発想が最早脳筋と言うかぶっちゃけイイ具合にイカレてると思うんだが、そこんトコどーなんよShanlingさん?(※褒めてます

 閑話休題。
 で、購入店から届いたM7を箱出ししてびっくりしたのがそのパッケージング。別に本革とか使ってるワケじゃ無いにしても、シュリンク(ビニール)破いて先ず初めに触れる外箱はホログラムでキラッキラ、外箱から少しはみ出している内箱は合皮っぽい装丁が為されており、「成程、高級感……(苦笑」と感心するやら表現に困るやら。
 観音開きになっている内箱の、正面向かって左側にM7が収まっており、緩衝材のポリウレタン?に確り嵌り込んでいるのを抜き出して手に取ってみると、画面の面積こそスマホより小さいものの、重みはそれらを上回る感じ。重量感……!

 電源を投入してみるとバッテリーが既に八割あったので、先ずは保護フィルムの貼り替えやmicroSDの支度、Android OSの設定やUAPPを筆頭によく使うアプリのインストール等、諸々の準備をキッチリ終わらせて、愛機であるM3Xとの聴き比べを早速実行してみた。
 使用イヤフォンはすっかり我がレファレンスの座に納まって久しいSymphonium Audio Helios。勿論4.4mm接続で。

 一般的に、オーディオ機器は出口(イヤフォン・ヘッドフォン・スピーカー)から上流(アンプ・DAC・ケーブル・電源・etc...)へ向かうに従って実際の出音に与える影響が小さくなって行く、と言われる。故に、聞こえ方を大きく変えたいなら出口であるイヤフォンやヘッドフォン自体を変える事が求められ、ブラッシュアップ的な変化を求めるならアンプやDAC、ケーブル等上流への投資が必要になる。
 率直な話、DAPから据置なら兎も角、同じDAPの範疇でなら其処迄大きな変化はまあ無いだろうなー、とタカを括っていたのだが、……M3Xと聴き比べたM7の音は、そんな考えを「おめぇ馬鹿言ってんじゃねぇよ」と軽く一蹴してしまうくらいのインパクトがあった。

 M7とM3Xの音を比較して最も分かり易いのは、何と言っても低音の鳴りの違いだろう。M7の低音は非常に重厚な響き方で、何と言うか、「凄味」の様なモノを伴っている。それでいて重苦しさが其程感じられず、嫌気が無い辺りに「ぁ、やべぇコレは格が違うわ…」と思わされたっつーか。
 この辺分かり易いのは「大編成のオーケストラ」や「FiiO FD5」を聞いた時。M3Xだと前者はかな~り薄味で迫力に欠け、後者は低域の強さもとい重苦しさが目立って聞き疲れ易かった。ところがM7を使うと、前者は低域成分がもう一段下から確りどっしり響いてきて、音の広がり――所謂「音場感」を強く意識し、後者は低音に制動が効いているのか、「ズドンシャリ」と揶揄されるFD5の音で聞き疲れが起きない、という不思議な現象を体験した。
 じゃあM7は低域寄りの鳴らし方なのか、と思うだろうが、個人的にはNO。確かに低音の重厚さを先ず真っ先に強く意識したものの、その後も聴き込んでみた感じ、中域~高域についてもより骨太というか、低域に隠れる事無く「朗々と」鳴り響くので、低域寄りという印象は其程無い。それどころか、むしろM3Xに対するM7の、その駆動力の強靭さを実感させられたくらいで。
 一例として、手持ちのIEMの中では何方かと言えば中域~高域に振ったバランスの「Unique Melody 3D Terminator」について、M3Xで鳴らすと元気さを感じられる良い意味で「粗い」調子の音が、M7では粗さが抜けて解像感が一段階向上したような風情に変貌したり。それでいて元々のUM 3DTの音色を潰してはおらず、「嗚呼、上流の明確なアップグレードって、こういうものなんだなあ……」としみじみ実感してしまった。

 此処迄で「お前聴き比べにはHelios使ってたんじゃないのかよ?!」と思われそうなので、ちゃんとその辺にも言及すると、…………M7で聞くHeliosは、正に自環境に於ける最強レベルの音質を誇っていた。
 実は、M3XでHeliosを聞いていて時折「……やっぱモニターライクな音色だからか、耳の調子次第では薄く軽く聞こえる事があるなー」なんて思う事があったのだが、M7とHeliosを組み合わせると、M7の骨太で重厚な鳴らし方がその辺を上手く補ってくれて、非常にバランスの良い音を味わえるようになった。もう向かう所敵無しである。
 此処でふと思い出されたのが、Heliosを変換アダプタ嚙ませてADI-2 DAC FSに繋いで使った時の記憶。M3X使用時と異なり、低域により「力感」めいたモノを感じて「あれ、Heliosってこんなガツンと来る鳴り方してたっけ?」と首を傾げ、まあ据置だし駆動力違うもんなー、と軽く流したが、……つまりM7の駆動力は、据え置き機器に迫り得るレベルのモノを備えている、って事になるのだろうか?? いやー、まさかねー……(遠目

 駆動力繫がりで音量の取れ高について言及すると、M3XのハイゲインがM7ではローゲイン相当。と言う事は即ち、M7のミッド~ハイゲインはそれ以上の出力って事になる。一見鳴らし易そうなスペックとは裏腹に実際はむっちゃ鳴り難いHeliosだが、M3Xだとハイゲインの60~67辺りが必要だったのに対し、M7はローゲインの60そこそこ、ミッドゲインならもう少し下の50辺りで十分大音量を取れる。
 地味に感心したのはハイゲインに切り替えた際の挙動で、爆音防止の為だろうが自動で音量が10/100へ下がるようになってる模様。人によっては「面倒な、勝手な真似しよって…」なんて思うかもしれないが、個人的には難聴リスク回避の方がよっぽど大事なのでこういう気遣いは有難い限り。M7のハイゲインって900mW/32ohmもあるしね。

 此処迄「音質良し、出力強し」と流石のクオリティなM7だが、弱点が全く無い訳では無い。
 最大の弱点にして懸念点は、――――発熱。

 とかく音楽再生時の発熱量が尋常ではなく、あくまでも体感だが、最高で摂氏40度半ば迄筐体が熱くなる。M3Xは充電時なら兎も角音楽再生時の発熱はほぼ無かった事を考えると、雲泥の差と言う他無い。冬場ならホッカイロにでもなりそうな勢いと言えば想像し易いだろうか?
 尤も、初めの方で述べたメーカー公式のWeiboを読み下すに、ShanlingはES9038Proを電流出力で動かす際の電力消費や発熱量を、全て承知の上でM7を設計してるっぽいので、必要以上に怖がる必要は無いかもしれんが。でもLi-Poバッテリーの熱劣化とか大丈夫なんですかね実際問題……(一抹の不安

 その他、触って/使っていて感じた/思った事を箇条書くと、

・スナドラ665+6GB RAMの御蔭でレスポンス良好
・7000mAhと大容量な割に充電速度早め、その上低発熱
・フットプリントが一昔前のスマホ並みでDAPとしては嵩が張る
・厚みがスマホを二つ重ねたくらいあってDAPとしては嵩(ry
・体積と重量の両面でポケッタブルとは言えず、価格的に外出は怖過ぎ
・室内でのトランスポータブルデバイス、という使い方が妥当か

 総じて、ともすれば据え置きに肉薄し得る音質をよくぞこのサイズへ押し込んだな、と。自分はものぐさで貧乏性且つチキン故に、こんな「デカい・重い・高価い」と三拍子揃ったブツをとても外へ持ち出す気にはなれんが、例え自宅内限定であっても、M7とお気に入りのIEMさえあれば何処でも上質なリスニングルームと化せるのはめちゃ便利。
 先述したようにADI-2 DAC FSもバッテリー駆動させりゃトランスポータブル化出来るが、ソレは「可搬性が有る」というだけで、「携帯性」を考えるとM7の方が圧倒的にコンパクトでとても比較にならんのは言わずもがな。勿論、ADI-2 DAC FSはM7よりも更に高出力でDT1990Proの様なハイインピーダンスのオーバーヘッドモニターですら軽々ドライブさせる出力を持つが、そんなもんIEM相手には無用の長物でしか無いのですよ。(遠目
 また、そうやって考えると現在の日本円で160kオーバーという価格にも割と納得出来る。自分がADI-2 DAC FSを購入した際の価格は130k弱だったが、ADI-2 DAC FSにバッテリーをくっつけた上で体積をDAPレベルまでシェイプアップしたとすれば、そりゃ160kしたってしゃーないわな……、としか。

 本記事投稿時点でオーバー100kクラスなDAPの内、代表的と言うか入手性が安定していて余り古過ぎないモノを列挙すると、

・Sony NW-WM1AM2(150k)
・Sony NW-WM1ZM2(360k)
・FiiO M11 Plus ESS(110k)
・FiiO M17(270k)
・iBasso DX240(110k)/AMP8 MK2(27k)
・iBasso DX320(220k)
・New HiBy R6(105k)
・HiBy RS6(200k)
・Cayin N8ii(440k)
・Astell&Kern SR25 MK2(100k)
・Astell&Kern SE180 SEM1(150k)
・Astell&Kern KANN MAX(180k)
・Astell&Kern SP2000T(300k)

 ……ザッとこんなトコか。十年程前、未だポータブルオーディオの最先端が「iPodのDockケーブルからライン出力してPHPA繋いで……」なんて感じだった頃を一応知ってる身としては、何かもう市場が青天井極まっててコメントに困る状況ですねえ……(乾笑

 M7は160kオーバーもとい170kってのが厳密な価格だが、列挙したDAP達と比較してコスパに優れたモデルではないかなー。トータルバランスが一番整ってる気がする。HiBy RS6はちょっと前まで165kで売っててM7とは良いライバルだったが、恐らくは円安による価格改定で値が跳ね上がってしまったのが悲しい。
 ES9038Proを電流出力でぶん回す、という本来据え置きでやるべき真似をポータブルで強引にやっちゃった点がM7のユニークさと他に無い強みであり、一方で其処に起因するスタミナの悪さと甚大な発熱は明確な弱みである。良くも悪くも、「ES9038Proを電流出力で使っている」事をどう捉えるかがカギだろう。無論、自分は魅力を見出してM7を買ったクチだが。

 個人的見解として、Sonyは出力が貧弱且つイマドキのAndroid端末にしてはスペック不足(専らCPUと画面解像度)、Cayinはフラッグシップで超高価いN8iiの下位に構成古いN6iiしかない、ってのがネックかなー。後者については、なまじ他のメーカーがエントリー(~70k)からミッドレンジ(~200k)、ハイエンド(200k~)まで、直近のラインアップだけで確り取り揃えてる分、余計に不足が目立つ。
 更に言うと、ヘッドフォンやイヤフォン、DAPやHPAと言ったパーソナルオーディオは100kを超えた辺りから段々コスパが悪くなっていって、200kを越す頃には最早オカルトじみてくる印象。なので、機器一つ当たりの投資額は200k以内に留める方が無難。
 その前提で先程列挙したDAP達をもう一度振り返ると、M11 Plus ESS・DX240(+AMP8 MK2)・New HiBy R6・HiBy RS6・SR25 MK2・SE180(SEM1)・KANN MAX、そして今回自分がIYHしたM7が、100k~200kの価格帯(ミッドレンジ中位~上位)に於ける狙い目の機種だろう。……今になってみれば、価格改定前のRS6は相当お買い得だったかも?
 しかしSonyはAM2とZM2に何故もっとマトモなSoCとディスプレイを搭載させなかったのか……ディスプレイは辛うじて大目に見てもSoCは擁護不可過ぎる……


 やたら長くなり過ぎたが、結論としてはシンプルに「M7デカいし熱いけど音良いよ!」って次第。
 真逆自分がオーバー100kな、レファレンスクラスと言って差し支え無いレベルのDAPを手にする日が来るとは思っていなかったが、いざ使い始めると「ぁ゛ーやべぇ、コレもう戻れねぇー……(恍惚顔」とかなってんだからホント現金なもんよなあ…


 ところで、今回奮発してM7を購入したはいいが、実のところ購入後にちょっとしたトラブルに見舞われてしまい、本格的に使い込めるようになったのは購入から一週間程経ってからだったりする。……呟き帳では既に触れているが、初期不良の洗礼をモロに食らってしまったのだ。
 具体的な不良内容は省くが、最初に購入店から届いた一台目、代理店に問い合わせて交換してもらった二台目、何方にも同様の不良が確認されてしまい、ラストチャンスとなる二度目の交換――つまり三台目にしてようやっと、(現時点では)何の異常も確認されない正常なM7を手に入れるに至った。

 初っ端の起動時に不良を確認してすぐに返送した二台目はさておき、少なくとも一台目の音声出力には何の問題も無かったので、不良に目を瞑れば使えない事も無かったが…………そうは言っても、如何せん160kという(一般人目線で言えば)バカ高価いブツを購入した以上、全く異常無い完璧な個体を欲するのが普通の感覚だろう。
 幸運だったのは、Shanling製品の国内代理店である株式会社MUSINが、此方の問い合わせに対して丁寧且つ真面目に対応してくれたこと。サプライヤー側からすれば昨今は何ともやり辛かろう初期不良対応、しかも100kオーバーという高額商品で、アレ程真摯に応対してくれるとはちょっと予想出来なかった。本当に有難い限りである…


 我乍ら遂に、据え置きとポータブルの両方でレファレンス級の上流環境を持ってしまったワケだが、…………もし仮に、今後また何らかの音響機器を購入するとして、その最有力は――――GRADOになるかも。
 いやー一度は聴いてみたいのよねあの民芸品。特に最新鋭のRS1xは値上げ前の100k弱って価格が未だ続いてたらIYHしてた可能性大。メープルとヘンプとココボロのトライウッドハウジングとかワケ分かんなくて面白そうじゃん?
 ただ、同時発売されてるRS2xとの分かり易い比較が国内は元より海外サイト探しても全然見当たらないのがなー……RS1eとRS2eの関係性がx世代でも継承されてるなら、RS2xの方がGRADOのハウスサウンドに近いっぽいのだが、はてさて。

 他方、オーバーヘッドではなくIEMなら、使ってみたいのはCampfire Audioの機種。特にAndromedaとか。
 まー彼処は高級IEMの定番メーカーってイメージ強いしねー。MW10はいつぞやの安売り時に買っときゃ良かったかなあ、と実は少々後悔気味。その一方、最近発売された3BA機Holoceneが「リトルAndromeda」とか言われてて往年の雰囲気を残してるとか何とか。ほほぅ。

 国内メーカーなら、未だにビクター(JVC)のヘッドフォン・イヤフォンを使った経験無いので、何れ触れてみたいとは思ってるのよな。特にWOODシリーズ。HA-SW01とか今微妙に安くなってるけど、密閉型オーバーヘッドをこれ以上増やすのはどーなの?、と必死に自制中。
 そもそもオーバーヘッド買い足すなら開放型の高級機が欲しいのですよ。だからこそGRADOになるかも、とか言ったワケでして。Dropで往年の名機HD650(の廉価パッケージ品HD6XX)買うのも考えたが、そっちより未だ未体験のGRADOサウンドの方がそそられてしまう。

 さーてはて、次は果たして何をIYHすることになるのやら…

  

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