2020/07/05

手持ちのオーバーヘッド簡単に聴き比べ

 現在XD-05 Plusでガンガン鳴らし込んでいるT60RPだが、手持ちのオーバーヘッドとどう音質が異なるのか、この際だからちゃんと聴き比べしてみようと思い立ったり。
 T60RPをリファレンスとして、手持ちのオーバーヘッドとの印象の差をごく簡単に羅列してみようかと。


 先ずは概要的なモノをば。

・比較対象
 K701・HD25 Originals・SRH440・DT990PRO・ATH-ESW9

・使用機器
 Pocophone F1(LDAC音質優先で出力)→XD-05 Plus(with MUSES03*2&05BL Pro)
 XD-05 PlusはBOOSTスイッチ切、バスブースト切、ゲイン小の状態で使用。

・使用アプリ
 Neutron Music Player

・使用ファイル
 Mili「String Theocracy」(FLAC96kHz/24bit)
 「Isn't It Lupintic?」収録「THEME FROM LUPIN Ⅲ '97(ルパン三世のテーマ'97)」(FLAC48kHz/24bit)

 音量はT60RP使用時にボリュームを1時辺りまで回した際の感覚を基準とした。



※御注意:

 人物解説のページでも触れていますが、以下、各ヘッドフォンの音に関する記述は全てあくまでも私の主観に基づくものであり、間違っても客観的事実では無い事を予め御了承下さい。
 ソレを了承した上で、記述の剽窃などする事は無いと確約出来る方のみ、続きをどうぞ。先ず間違いなくこんな駄文をパクろうとする酔狂者居ないだろうけど



<vs K701>
 若干遠くから音が聞こえる感じ。特に低域の音圧は減る。全体的にサラサラした音で、悪く言えばちょっと粉っぽい。と言うか、T60RPに比べて少し解像感・分離感が鈍い。但し鳴らし方に粗さは無く、いたって聞きやすい。
 帯域バランスはT60RPと大体同じような印象。恐らくフラット。特定の音域を殊更強調するような印象は無い。
 音量の取り易さ、もとい取り難さもT60RPと大体同じ。12時辺りだとかなり小音量。
 イヤーパッドは布製で厚みがあり、側圧は問題無いが、頭頂部は圧が気になる。特にヘッドバンドの凸凹は長時間だと痛い。
 思い切ってボリュームを時計方向へぐいっと捻ると少しキャラが変わってくる。粗が無く聞きやすい調子はそのまま、音圧は割と稼げるようになる。大音量でも鳴り方が破綻せず、ちゃんと整ったままな辺りはホント優等生的。

<vs HD25 Originals(※イヤーパッドにYAXI HD25 TypeBを使用)>
 低域と高域がドカンと来る。特に低域の音圧は凄まじい。モニターを謳うだけあって解像感は中々だが、それにしてはちょっと鳴り方が粗すぎるか。
 帯域バランスはドンシャリ。とは言え中域も割とハッキリ聞こえる。
 音量はかなり取りやすい。1時辺りでは爆音。12時でようやく普通の大音量。
 デフォルトは薄っぺらく安っぽいイヤーパッドだが、サード品のYAXI HD25 TypeBはふかふかで厚みがあり、側圧が相当マシになる。合成皮革の質感も良い。頭頂部は元々軽いため負荷はキツくない。
 とかく低域の音圧が凄い。高域もエッジが立っていて全体的に刺激的。おかげで大変ノリの良い鳴りっぷり。

<vs SRH440
 解像感や分離感は思った以上にちゃんと確保してるっぽい。ただ音が微妙に荒いと言うか、高域を中心に少しシャリシャリした調子なのが気になる。
 帯域バランスはほぼフラットだが、高域が若干強調されているかも。
 音量はかなり取りやすい。1時辺りでは爆音。12時でようやく普通の大音量。
 イヤーパッドは安っぽいペラペラの合成皮革ではないが、あまり厚みはない。側圧は長時間だと少し気になる。頭頂部は一点で支えてしまうため痛くなりやすい。
 本機はオンイヤーではなくアラウンドイヤーだが、T60RPやK701辺りと比較してイヤーパッドが薄い為か、耳の近くで鳴っている感が結構強い。また低域の響き方に若干の閉塞感を覚えた。とは言え密閉型モニター、更に価格が手頃(記述時点で10k未満)って事考えると、十分なクオリティではなかろうか。

<vs DT990PRO>
 一聴してすぐ、その重い音にびっくりした。HD25が高め~中ほどの低域が強いとするなら、こちらはより低い辺りから鳴っている模様。解像感は悪くなく、粗い鳴らし方ではない。むしろ高域は非常に細い響きで、ギャップが面白い。
 帯域バランスは低域が強め。ただ、低域の重さを除けば比較的中庸っぽい気もする。
 音量の取り難さはT60RPやK701と同程度。12時辺りだと小音量。
 イヤーパッドは布製でそこそこの厚み。ベロア素材?で肌触り良好。側圧は問題無し。頭頂部は地味にヘッドバンドのカーブが上手く出来ているのか、負荷は少ない。但しスライダーにクリック感が無いので位置決めが少し手間。
 鳴りが重い割に音圧はそこまででもなく、重厚な低域と繊細な高域が独特の感触。無骨な見た目と作りの一方で装着感は良く、疲れにくい。色々とアンビバレンスな機種。

<vs ATH-ESW9>
 高域が引っ込んで、中低域以下がグッと膨らむ。密閉型オンイヤー故か、音の広がり方が些か狭い感じ。音圧と音の重さがHD25とDT990PROのちょうど中間程度。解像感はそこそこ。悪くはないが、微妙にスモーキーな鳴り方。
 帯域バランスは高域が少し弱め。弱めと言っても聞こえ方はハッキリしている。殆ど刺さらないが、その分シャープさには劣る。
 音量はかなり取りやすい。1時辺りでは爆音。12時でようやく普通の大音量。
 イヤーパッドはそんなに厚みはないが、シープスキンを採用しているだけあって肌触りは良い。ただ縫製というか形がちと雑な気がする。側圧は長時間だと少し気になる。頭頂部も同じく。
 同じ密閉型オンイヤーのHD25とは鳴らし方がまるで異なる。解像感はあるものの鳴り方がやや粗いHD25に対して、本機の鳴りは粗く無い代わりにスモーキー。高域がマイルドかつ中低域以下の量感が豊かなので、ジャズなんかにはかなり合いそう。

 最後に、リファレンスとしたT60RPの感想を同じような調子で。

T60RP
 解像感と分離感の良さが抜群。音の広がりや音圧もしっかりしている。声や楽器のディテールが細かく、「裏にある音」を容易く探せるのは単純に凄い。丁寧な鳴らし方なのに迫力が確か。ぶっちゃけ、上記の機種達とは基本的なスペックが段違いな印象。
 帯域バランスは恐らくフラット。特定の音域を殊更強調するような印象は無い。
 比較時の音量は取り敢えず1時辺りを基準としたが、どうせならもうちょっとぐいっと捻って2時辺りまで回すと迫力マシマシで大変ベネ。耐入力値がマジで桁違いなので安心して爆音化出来るぞ!
 イヤーパッドは厚みがしっかりしており、合成皮革の質感も良い。側圧は問題無し。頭頂部はヘッドバンドが広く当たって荷重が分散しやすいものの、そもそも重めなのでちょい痛くなりやすい。その場合は一度軽く嵌め直すと痛みが和らぐ。
 比較したヘッドフォン達よりも圧倒的に新しいモデルなので、同列に語るのは少々野暮かもしれないが、やはり抜群に良い音。ウチのリファレンス・サウンドの座をあっさり奪ってしまった。この良さがFOSTEX御家芸のRP振動板に依るものだとすれば、成程そりゃあ平面駆動機が人気を呼ぶワケだわ…



 以上、ごく簡単に聴き比べ。
 HD595とAurvana Live!が入っていないのは、今回の聴き比べの趣旨が「モニター機と木製ハウジング」だったから。どうせならT60RPと共通項が有るモノを比較してみたかったのだ。HD595は開放型じゃんって? あーあー聞こえなーい(遠目
 結果は御覧の通り。案の定、T60RPの良さが際立つ格好になってしまった。尤も、T60RPの音に衝撃を受けた時からこうなると分かってはいたが…

 しかし改めて聴き直すと、帯域バランスがマトモで大音量にしても破綻無く迫力を増してくれる機種が、T60RP以外だとK701しか無かったってのは驚きだった。やっぱ偶にはしっかり比較して耳を鍛えとかなきゃダメですねえ…
 上述したように、K701はT60RPよりも解像感や分離感は鈍いものの、イージーリスニング的な聞きやすさと言うか、何となく耳触りの良い鳴らし方なのが面白いのよなあ。だからぼーっと聞き流すのに向いてる――かと思えば音量上げると一気に迫力出てきて、しっかり耳に届くようになる辺りがまたホント優等生。
 一方T60RPは音量を絞っててもクリアで、音量を上げると更に描写がハッキリしてくる。まあこっちは素性がガチのモニター(T50RP系列)で、しかも平面駆動機だから色々差があるのはしゃーないっちゃしゃーないのかもしれんが。

 此処迄やってしまうと、どうせならこのままHD595とAurvana Live!も聴き比べしときたいなー、と思わなくもないので、まあ実施したら追記しとこうかと。でも近日中に出来るかどうかは保証しない



※追記[200706]:HD595・ER-4Bとの比較

 我がファースト・ヘッドフォンであるHD595と、その特性故に使い所が中々難しいER-4Bを引っ張り出して、上述したようにT60RPと比較してみた。
 ……中々面白い結果になったよ!


<vs HD595>
 かなり前、このブログを始めて間も無い頃にK701と比較した時は、K701と似てるだのやっぱ違うだの言ってたが、…………むしろT60RPと似てないか、コレ?(ぇ
 解像感や分離感はK701よりも良い気がする。尤も鳴らし方が多少荒く、やや調子が軽いため、描写の細かさや重厚感はT60RP程しっかりしていない。
 帯域バランスは凡そフラットっぽい。ただ低域の特により低い辺りの鳴りが弱め。
 音量はHD25やSRH440、ATH-ESW9よりは取り難いが、T60RPやK701、DT990PROよりは取りやすい。
 イヤーパッドは布製で厚みは程々。側圧は問題無し。余裕を持ってすっぽり耳を覆ってくれるので大変快適。頭頂部は厚みのあるクッションが備わっているため当たりがとてもソフト。長時間でも全然イケる。
 全体的に、T60RPの鳴りを若干軽めにしたような印象を受けた。ディテール感や迫力の差は、「平面駆動ドライバーのセミオープン型」であるT60RPと、「ダイナミックドライバーの開放型」であるHD595、というドライバーとハウジングの違いが出ていたっぽい?

<vs ER-4B>
 初っ端はそのまま音出しして「う~むやっぱ低域弱いなあ」と思っていたが、試しにXD-05 Plusのバスブーストをオンにしてみたら、…………化けた。めっちゃ化けよった。
 解像感や分離感はT60RPにかなり近いモノを感じた。更に、鳴らし方が滑らかで粗が無い。迫力は流石にそう感じられないが、描写は細かくディテールはしっかりしている。
 帯域バランスはバスブースト有りならフラットと言える。逆にオフなら低域弱め。
 音量はHD25やSRH440、ATH-ESW9よりは取り難いが、T60RPやK701、DT990PROよりは取りやすい。
 イヤーピースは付属の三段フランジの大きい方。白っぽいの。耳の後ろを引っ張ってしっかり奥まで装着した。痛みは無いがそれより深刻なのはむしろケーブルのタッチノイズで、分岐部に付属のクリップを付けて胸ポケ辺りにでも固定しないと大変五月蝿い。
 イヤフォンであるためヘッドフォン程の音圧は無いものの、クリアさや分離の良さ、鳴りの繊細さは優秀。正直相当驚かされた。多分ER-4Sはデフォルトでこういう風情の音なんだろうな、と。まあ本機は元々バイノーラル音源用のイヤフォンなので、低域弱いことが一概にデメリットとは言えないのだが。


 どちらも思ってた以上に良好な感触を得られて面食らったが、同時にとっても満足。何だかんだ言って愛着のある機種なので。
 後は聴き比べするならオーバーヘッドのAurvana Live!と、その他のイヤフォン達だが、…………イヤフォンは結構数多いし、まあ、やる気が起きたら、かなあ…………(遠目

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