2019/07/16

DAP雑感:Hidizs AP80 ファーストインプレッション

 前回の記事でポータブル環境の自己考察をした際、結論としてHidizsのAP80を買うのが最適な選択であろうとなり、実際に仕入れてしまった罠。

 まあ、何だ。
 とどのつまり、衝動買いである。…………お前いっつもこんなんばっかやな!?(溜息

 しかし実際に手にとって弄ってみると、コレが中々良い出来で感心させられてしまった。操作感や音質もさることながら、USB入出力機能やBluetooth入出力機能など「オーディオデバイス」としての機能が此程コンパクトに纏め上げられてるって事にちと脱帽。
 このクオリティで20k割るってんだから、中華デバイスの進化スピード、パねぇ…

 取り敢えず、ファーストインプレッションってことで簡単に。


<パッケージング>
 何と初めからシリコンジャケットが付属する他、本体の表裏両面(恐らくガラス製?)に予め保護フィルムを大変綺麗に貼り付け済みというのだからびっくり。しかもフィルムは予備分まで同封されていてとってもユーザーフレンドリー。
 シリコンジャケットは際の部分の処理が些か甘めではあるものの、落下衝撃の低減や傷の防止という点に限って見れば十分過ぎるシロモノ。わざわざサードパーティのオプションを密林辺りで捜索する手間が省けるので大変有難い。……ぶっちゃけ日本の企業にも見習って欲しい姿勢である。

<外観>
 手のひらにすっぽり収まるサイズ。向かって右側面には押し込みで画面/電源のON/OFFボタンを兼ねるボリュームノブと、再生/一時停止、曲送り、曲戻し、それぞれのボタンが存在。画面見なくても簡易的な操作が出来る物理ボタンはやはり便利なのです。
 今回仕入れたのはアルミボディのグレーカラーだが、実際はグレーっつーか鈍目のシルバーといった出で立ちで、案の定無難な色だからかよく売れているっぽい。SS(ステンレススチール)モデルも検討しなくはなかったが、個人的にDAPの筐体の材質が音質に与える影響ってのにイマイチ懐疑的なのと、コスト面で今回は妥協した。某所じゃ通常モデルとSSモデルで音質あんま変わらんって報告もあったっぽいしね。
 速攻でジャケットを被せてしまったのでパッと見だが、工作精度や仕上げ処理が極端に甘いとか雑と感じる部分は無かった。むしろ綺麗に出来ている。ボリュームノブが本体と擦れてしまうようなこともなく、シンプルかつ堅実に作られている感じが好印象。

<ソフトウェア>
 HiBy OS 3.0ってのを搭載している模様で、コイツが思った以上に使いやすくレスポンス良好。どうもLinuxベースのオーディオデバイス向けシステムらしいが、成程悪くない使い心地。目立つ引っ掛かりやもたつきは今んトコ感じず。
 何より感動したのは、外部DAC(xDSD)を繋ぐとあっさりしっかりUSBオーディオデバイスとして認識・接続してくれた点。Pocophoneではどう足掻いても出来なかった真似なので凄く感動してしまった。これだけでも買った価値があるというもの。
 HiBy Linkも試してみたが、成程こりゃ便利だと思わされた。スマホからAP80の中を覗いている感じが新鮮。これからはBluetoothレシーバーとか買うよりこういうLink機能を搭載している小型DAPの方がベターかもしれんね。更に音質高めたいならDAC繋いで重ねてもいいわけだし。

<拡張性>
 内蔵ストレージは備わっていないものの、最大1TBのmicroSDに対応しているので無問題。むしろ内蔵ストレージ備わってるとファイル管理ややっこしいので個人的には無い方が好き。但しmicroSDスロットは挿し難めなんで注意。
 USB-DAC機能は使っていないので割愛するが、xDSD繋いでUSBトランスポーター利用はしてみた。xDSDには入力された音楽データのフォーマットに応じてLEDインジケータ表示色が変わるギミックが存在し、DSD128の音源を再生させてみたところ、ちゃんとDSD64/128の表示色であるシアン(水色)に発光してくれた。……………………嗚呼、やっとポータブル環境でこの発光色と出会えたよ…………(感無量

<音質>
 比較対象と使用楽曲、使用イヤフォン・ヘッドフォンは以下の通り。
 音量は比較に使った楽曲以外で概ね同じになるよう調整してから比較に臨んだ。

[比較]
COWON J3・iFi xDSD(AP80からUSB出力)

[楽曲]※共にFLAC音源
Aimer「I beg you」(「I beg you/花びらたちのマーチ/Sailing」より)
QUEEN「Killer Queen」(「Bohemian Rhapsody The Original Soundtrack」より)

[機器]
Westone4R・DT990 PRO

 結論からぶっちゃけると、J3以上xDSD以下って感じ。最早過去の機種であるJ3よりは、所謂解像度的な部分が時代相応に優秀なものの、xDSDに勝てるほどじゃない。
 特にI beg youの大サビ周辺をDT990で集中的に聴き比べてみた際、J3とAP80では余り感じられなかった「曲の空気感」みたいなモノがxDSDでは思いっきり伝わってきて、なまじ曲調が曲調だけに背筋がゾッとするような寒さを覚えさせられた。流石の表現力である。
 ……と、これだけだとAP80の音質が大した事無いように聞こえてしまうが、決して悪くないのでどうかご安心を。価格とサイズ考えたらむしろ上々な部類のはず。そもそも単体DACであるxDSDと小型DAPのAP80を比較するのは流石にやり過ぎ感あるし…

 驚かされたのはAP80単体でも出力が相当に強力な点。ハイゲイン出力なら250ΩあるDT990でもやすやすと鳴らしてくれるのはちょっと意外だった。少なくともイヤフォンであれば先ず鳴らすのに困らないだろう。
 他、搭載しているDACチップ(ESS Technology製 ES9218P。Shanling M0と同型)の関係だろうが、アンチエイリアシングフィルタが多数用意されており好みで選択出来るようになっている。真剣に試してないので効果の程はよく分かっていないが、こういう機能が用意されている事自体は個人的に好ましいかなー。
 音弄りの機能も充実。イコライザーは勿論の事、MSEBと呼ばれる独自の音質調整機能を備えており、色々遊べそう。

<まとめ>
 元々、「Pocophone+xDSD」という組み合わせが失敗したことでその埋め合わせめいて急遽仕入れたAP80だが、ポータブルオーディオデバイスとしてかなり出来良く纏まっているので大変気に入ってしまった。特にUSB/Bluetooth入出力周りがしっかりサポートされているのは、無線による気楽な聞き流しからUSB-DACを組み合わせた真剣な聴き込みまで、幅広いリスニングスタイルに対応可能という点でとても好印象。
 自分の場合、ハイスペックPHPAの中でもかなり小型なxDSDと組み合わせるにはAP80くらいのミニマムさがベストだったので、結果的に良い買い物になった。ちゃんとしたUSBトランスポーター機能と、Link機能によるスマホのリモコン化が両方使える上に、DAPそのものの音質も中々と来ればむしろお釣りが来るレベルである。


 絶賛気味かもしれないが、コレは自分が元々USBトランスポーター機能とLink機能を目当てにしていたからってことでどうか勘弁願いたい。
 ……まあ方々で音質良いよ!って言われてるから大丈夫、大丈夫!(楽観



※追記[190718]:



 xDSDと重ねてみた画像が此方。イイ感じ。
 接続には林檎の「USB-C - USBアダプタ」を、AP80とxDSDを束ねるのには密林で仕入れた日清紡のモビロンバンド(70×3mm)を使用した。

 積んだ状態で色々触っていた折、DSD128の再生中にFLAC192kHzを選択した途端xDSDがバグってしまったので、ふと思い立ってファームの書き換え(v5.30→v5.20)を決行してみたらアッサリ直った。
 …………やっぱMQAのサポートなんて要らんかったんとちゃうのん??(怪訝顔

 また、ちょこちょこ存在する和訳のおかしさ故に効果の分からない設定項目が幾つかあったのだが、マニュアル(英文)を熟読しつつ触ってみたところ、

<システム設定→待機する>
 ディープスリープ機能のON/OFF

<システム設定→記録ステップ>
 歩数計機能のON/OFF

 ――という意味だったらしい。
 但しディープスリープ機能は復帰時にスクリーンロックが解除出来なくなったことがあり、少々不安定かも。注意。


 …………注意と言えば、AP80を充電する際についうっかりスマホ(Pocophone)用に使っている「Anker PowerPort+ 1 Quick Charge 3.0 & PowerIQ【改善版】」をそのまま挿しちゃったのだが、40分くらい充電したところでAP80が凄まじく発熱していることに気付き、慌ててプラグを抜くというハプニングがあった。
 実はコレに関してもマニュアルよく読めばちゃんと書いてあるのだが、

高電圧で充電すると機器を痛める可能性あるから5V/2Aでチャージしてね!

 ――と注意してくれているので、皆さんもAP80の充電に今流行りの急速充電器を使わないようくれぐれも注意して下さいね?(真剣
 モバイルバッテリー辺りでゆるゆる充電するのが吉かと。

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